VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた   作:七斗七

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シュワちゃんの配信者育成1

「プシュ! どもどもー! シュワちゃんだどー! みんなストゼロは持ったな!! 行くぞォ!!」

 

コメント

:プシュ!

:¥220

:どどどどー!

:丸太しか持ってません!

:ストゼロを丸太並みに万能だと思っている女

:丸太を万能だと思ってるあの島の住民

 

「今日はゲームをやっていくよ! タイトルは『人気配信者になりたい!』、知っている人もいるかもしれないけど、まずはゲーム内容を軽く説明するね」

 

 このゲームはタイトルにある通り、配信者を題材にしたゲームだ。

 主人公は人気になることを夢見て配信者を始めたかわいい女の子の『キュンちゃん』。この子の彼氏であるプレイヤーは同時にマネージャーになり、二人三脚の活動を開始し、三十日間でフォロワー数100万人の達成を目指すというストーリー。

 要は配信者版の育成ゲームってことだね。現実的に見れば結構というか無理げーレベルの目標なんだけど、まぁそこはゲームと言うことで!

 それにしても、すごい現代的な題材のゲームだよね。私もVTuberではあるけど同じ配信者だし、ピッタリなゲームだと思ったので選びました!

 

「ふっふっふ、このキュンちゃんは運がいいね、実在の大人気配信者であるこの心音淡雪が直々にマネジメントしてあげるんだから! これもう始める前から勝ち確でしょ! ねーリスナーさん!」

 

 説明を終えたところで、同意を求めてリスナーさんにそう振ってみたのだが――

 

コメント

:はい解散

:お前やっていいことと悪いことあるぞ

:できないことをできると言うのは優しさじゃない

:不安しかない

:仮にもマネージャーならその酒しまえ

:キュンちゃん逃げて! 

 

 コメント欄は非難囂囂であった。

 

「はいはい出ましたー、いつものブーイング出ましたー。でもね、今回ばっかしは私に分があるから! おそらく今ブーイングした誰よりも配信者のことを知っているんすわこっちは! 本職ってやつなんすわ! プロがやる以上ヌルゲーどころか神々のお遊び状態にしてファン数3兆人とかにしてやるから覚悟しとけよお前ら!」

 

コメント

:流石っす! やっぱ本職のフラグ建築はちげーわ!

:達成できないに聖様の魂を賭けよう

:3兆……?

:俺は正直これはいけそうな気がしてるぞ!

:現在進行形でリスナーを盛り上げている手腕は否定できない!

:シュワちゃんを否定することはそれを見ている自分の否定にもなる罠

:一体どうなるんだ……

 

「それじゃあ始めて行こうか、ゲームスタート!」

 

 お馴染みのリスナーさんとのやり取りも終え、いざ最初から開始のボタンを押すと、画面が暗転した後、かわいくデザインされた配信画面が映りだした。

 そしてその画面に、私が主役とばかりに上半身が大きく映っているかわいい女の子――

 

『キュンばんは! キュンキュンさせ過ぎたらごめんね? キュンちゃんです!』

 

 この子こそが主人公のキュンちゃんである。

 

「あ~このあざとい女めっちゃ孕ませて~」

 

コメント

:マネージャーさん!?

:マネちゃん!?

:はい挨拶代わりのセクハラ

:これもうセクハラどころのレベルじゃないだろ

:彼氏じゃなかったらもうゲームオーバーになってる

:絶対マネージャーやったらいけないタイプの人じゃん

 

「ご、ごめんごめんつい……今のは配信中のキュンちゃんには聞こえてないと思うからセーフってことで……」

 

 どうやら今の配信風景はOPだったようで、すぐに画面は切り替わり、キュンちゃんにやってもらう様々な行動を選べる画面となった。

 

「なるほど、ここから行動を選んで成長させて、配信を開いてフォロワー数を増やす感じなんだよね? 実はさっきの説明も聞きかじったもので、私もこのゲーム初見なんだよね」

 

 なにが出来るかの確認がてら色々動かしていると、その中にはゲーム内でスマホを開くボタンがあり、試しに開くとキュンちゃんからチャットが来ていることに気が付いた。

 

チャット

<キュン>:マネちゃん! えへへ、今日から配信者として入り込むためにマネちゃんって呼ぶね! 私絶対に大人気配信者になりたいの! これからマネジメントよろしくね!

 

「ふっ、心配しなくてもいいんだよキュンちゃん。なんたって私はライブオンのエースなんだから。君は私の指示をこなしていくだけでいいんだよ」

 

コメント

:うぜぇ……

:なにがエースだお前はむしろジョーカーだろ

:ストゼロと一緒にゴミ袋に入れて缶ゴミの日に捨てたい

 

「えっと、まずはなにをさせるべきかなー」

 

 再び出来ることの確認に戻る。

 

「ほうほう……ここを押せば配信で……ほうほう……ほ?」

 

 あちこち動かしていたカーソルがある一点で止まる。そこに表示されていたのはなにやらハートマークがちりばめられたベッドのアイコン。

 

「ほーん」

 

 アイコンの下に表示されている行動名は『エッチなこと』。

 

「ほーん」

 

 行動の効果説明も表示できたので読んでみる。

 

【ストレスと病み度が減り、好感度が上がります。使うと一日経過します】

 

「ほーん(カチッ)」

 

【たくさんなかよしした】

 

コメント

:ちょおおおおおおおぉぉぉ!?!?

:迷いなくイッたああああぁぁぁ!!!!

:いきなりなんてもん選んでんだwww

:事実上初日が無駄に……

:マネちゃん!?

 

 ゲーム内二日目。

 

「ほーん(カチッ)」

 

【たくさんなかよしした】

 

コメント

:ええええええぇぇぇ!?!?

:二日連続www

:ほーんじゃないから!

:おい、嘘だろ……?

:まさか……この流れは……

 

 その後私は、

 

「ほーん(カチッ)」

 

 この三十日間、

 

「ほーん(カチッ)」

 

 同じ行動を、

 

「ほーん(カチッ)」

 

 繰り返した。

 

【ED・最終フォロワー0人・キュンちゃんはフォロワー100万人は達成できなかったがマネージャーとデキ婚した】

 

「あー気持ちよかった」

 

コメント

:終わったあああああああああーー!?!?

:有 言 実 行 ! !

:本当に孕ませてどうする!

:最低of最低

:結局一回も配信しなかった……

:ここまで来るとこのカップル最初からそういうプレイがしたかっただけだろ

:エロゲだと勘違いしていらっしゃる?

:おい本職!

:お前の本職今日からヤリモクほんほん種付けマネージャーな

:淡雪さんってそんな人だったんですね、知ってました

:君の担当マネちゃん今泣いてるぞ

:なんでこんなエンディング用意されてるんだ……

:エッチなことするコマンドがある時点で察して

 

「すんません、流石に冗談です。ニューゲームからやり直しまーす……」

 

 一周してこんなにノウハウが蓄積されなかったゲーム経験は初めてだ……いや私が悪いんだけど……。




元ネタが分かる方も多いと思いますが、かなりゲームシステムにアレンジを入れていく予定です。
また、活動報告でもご報告した通り本作のTVアニメ化が決定しました! 
↓アニメ化発表PV。見てねー。
https://youtu.be/N9oJfVhaC2E

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