VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた 作:七斗七
次は誰の配信を見に行こうか? ……今のをカウントしていいのか分からないけど。
もうね、言ってしまえばまだ企画が始まってないのよ。思いっきりタイトル詐欺状態なんよこれ。
次こそは客観的にライブオンを楽しむのだ。もうチャレンジはしない、安定択を取りに行くぞ。
「……あ、ちゃみちゃんやってる! しかも配信タイトルを見るに、光ちゃんとオフで会ってマッサージをしてあげているみたいですよ!」
なんだこれは、マッサージの音でリラックスし、同時にてぇてぇを摂取できる……お疲れの私が見るのにこれ以上は無い程完璧じゃないか! 有素ちゃんにもさっき勧められたし、なんてタイムリーなんだ!
「そういえばこの前、ちゃみちゃんが耳以外のマッサージの音も研究を始めたって聞いたんですよね、それの練習なのでしょうか?」
肩をたたく音とかツボを押した時の凝りがほぐれる音とかって、聴いているだけでこっちまで気持ちよくなってくるんだよなぁ。
光ちゃんにマッサージ……ちょっと苦い?記憶を思い出してしまったが、まぁちゃみちゃんなら大丈夫でしょ。今回私は第三者だし、少なくとも私みたいに調教はしないはず。
「もうこれ以外ありえないでしょう! 配信が終わっちゃう前に、早速見に行きましょう(カチッ)!」
配信を開きながら、音の力ってすごいなーなんて思う。
『安易な耳舐めが許せない! 安易な耳舐めが許せない! 安易な耳舐めが許せない! 安易な耳舐めが許せない! 安易な耳舐めが許せない! 安易な耳舐めが許せない! 安易な耳舐めが許せない! 安易な耳舐めが許せない! 安易な耳舐めが許せない! 安易な耳舐めが許せない!』
『あああああーーッ!! ちゃみちゃんもっと強く! もっと強く踏んでぇ! もっと理不尽な怒りを光に叩きつけてええええぇぇぇ!!!!』
「おーおー今日もライブオンは
うん、ほんと音の力ってすごいわ()。
コメント
:なんだこれ……
:俺も開いた瞬間配信間違えたかと思ったわ
:マッサージと光ちゃんの組み合わせはやっぱりこうなるのか……
:どんな状況!?
:ASMRマイクちゃんの前でなんてことしてんだこいつら!!
『最近の音声作品は一体どうしちゃったの!? まるで義務かのようにどんなジャンルにも耳舐め耳舐め耳舐めって、そんなに水音が聴きたいなら水の中に頭突っ込みなさいよ!!』
『あひぃ!』
『ねぇどうして? どうしてこんなことになっちゃったの? 教えてよ光ちゃん』
『ど、どうしてかな?』
『それがブームだからに決まってんでしょうがーー!!』
『あああぁーッ! ひぎぃ! ごめんなさいいいいぃぃぃ!!』
『私は物申したい! 耳舐め一色になった音声作品業界に物申したい! 耳舐めはジャンルの一つであるべきであってなんにでも付け加えればいいものじゃない! 確かに破壊力はあるけどだからこそ時と場合が重要なの! 何にでもニンニクマシマシが料理じゃないのと同じ! この業界は音声作品であって耳舐め作品じゃないでしょ!』
『はぁ、はぁ、はぁ、ヒステリックガチギレちゃみちゃん、いい!!』
さっきはちゃみちゃんなら大丈夫と思ったが、よくよく考えれば最近ちゃみちゃんで大丈夫だったことがない。第三者とか調教はしなそうとか最早そんな狭い範囲の問題ではないのだろう。
どうしようこれ……とりあえず情報集めるか。
「あの、なんでこうなったのか知ってるリスナーさんいますか……?」
コメント
:君だよ
:お前のせいやで
:お前じゃなかったらこれ事件だよ
「はい!? 私のせい!? どういうことですか!?」
その後、リスナーさんがコメントに書いてくれた情報を集めると、経緯はこうだった。
1・ちゃみちゃんが光ちゃんをマッサージ配信に誘う
2・例の件の影響で光ちゃんの中では完全にマッサージ=痛いことされる認識、PONなちゃみちゃんそれに当然気づかない
3・踏んでくれるかな~とウッキウキで配信に向かった光ちゃん、普通のマッサージだったことに絶望
4・光ちゃんを元気付ける為に踏む決心をしたちゃみちゃん、でもどうしても遠慮してしまう
5・対応策として光ちゃんが抱えている怒りをぶつけることを提案する、脳裏によぎる耳舐めにちゃみちゃん激怒
こうして今に至る訳らしい。
「なんかもう……自分の影響力がオーバーロードしてて制御できない……アイ〇ズ様ってこんな気分なのかな……」
頭を抱えずにはいられない私なのだった。
私は常々ちゃみちゃん覚醒は私のせいではないと言い続けているが、段々それも自信が無くなってきたよ……。
それでも、性癖に魅入られた者として、ちゃみちゃんが耳舐めに物申していることが意外に思う自分も同時にそこにいた。嫌でも配信が気になってしまう自分が悲しい。
だって仕方ないじゃん! ちゃみちゃんってめっちゃ耳舐め好きそうな印象あるじゃん! ちなみに私は大好きです!
だが、やはりというかなんというか、疑問に駆られてその後も配信を聴き続けると、ちゃみちゃんにも事情があったようで――