VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた 作:七斗七
次の切り抜きは『爆弾のついでに友情も解除しちゃうお天気組【ライブオン/切り抜き/朝霧晴/心音淡雪】』。丁度晴先輩のソロライブが終わり、仲良くなってよくコラボしていた時期の配信が元だ。
やっているのは『以心伝心爆弾解除』というゲーム。
片方のプレイヤーが時限爆弾を、もう片方のプレイヤーがその爆弾の解除マニュアルを持っており、互いの持っている情報を言葉でうまく交換して爆弾を解除するという、コンビネーションが重要になるゲームだ。
『私達の絆なら余裕っしょ! ね~あわっちー!』
『ラブラブですからね~晴せんぱーい!』
ライブでの熱を引きずっているのか、なんかめっちゃイチャイチャしているが、ゲームが開始される。
爆発するまでの制限時間は五分。爆弾を持っているのは晴先輩、解除マニュアルを持っているのが私だ。
『あわっち! まずはこれ! 色のついた配線が四本並んでる! よく一本だけ正解でお前がどれを切るか選べとかやるやつ!』
『了解です! 晴先輩をそんな危険な目になんか遭わせませんよ! 私の言う通りにすれば安全に解除できます!』
そう言って情報を交換し合い、解除に必要な配線を私が選び抜き、晴先輩がカットする。
すると爆弾の配線上部にある緑色のランプが点灯した。配線解除成功の合図だ。
『おっけぃ! お天気組に不可能はないのさ!』
『私達通じ合ってますからね!』
これにて配線はクリア。だけどまだ解除までに越えなければいけない壁は残っている。
その後も順調に進めていた私達だったが、とうとう最大の壁に挑むことになった。
それは『キーパッド』。
晴先輩の爆弾には、それぞれ違う謎の記号が描かれたキー4つで構成されているキーパッドがあり、それを正しい順番で押すことで解除成功となるようだ。
そしてその順番の鍵を握っているのは私の方。つまり、晴先輩が言葉にして表した記号を、私が正しく理解することにより、解除は成功するというわけだ。
『あわっち! 行くぞ!』
『はい!』
『まずはこれ! 右に飛ぶ弓矢!』
『右に飛ぶ弓矢了解! これ(➼)ですね! めっちゃ分かりやすいです!』
『よっしゃあこの調子で行くぞ! 次はこれ! イキかけチンコ!』
『イキかけチンコ了解! これ(⇭)ですね!』
『次はこれ! アナルのシワ数えちゃおっかなぁ~ほーら1、2、よーし次はどこ責めちゃおっかな~!』
『アナルのシワ数えちゃおっかなぁ~ほーら1、2、よーし次はどこ責めちゃおっかな~了解! これ(✺)ですね!』
『最後はこれ! あわっちが出現するときに降るなんか気色悪いウイルスみたいな雪の結晶!』
『あわっちが出現するときに降るなんか気色悪いウイルスみたいな雪の結晶了解! これ(❉)ですね!』
『以上! 順番は!?』
『右上右下左上左下の順番で押してください!』
『了解! おお! 解除出来たよあわっち! 私達の絆の前に敵はなし!』
『はい! …………はい』
その後も見事なコンビネーションで順調に解除を進め、遂にはかなりの残り時間を残して爆弾の完全解除に成功した私達。
だけど、その頃には、開幕と変わらない高テンションな晴先輩とは対照的に、私のテンションは地に落ちていた。
『やったねぇあわっちぃ! イェーイハイタァッチ!』
『……………………』
『あわっち? どうしたの? なんかキーパッド終わってからテンション低くない?』
『晴先輩』
『んー?』
『記号の伝え方おかしくなかったですか?』
抑揚のない声でそう尋ねる。
『ああそれね! あわっちが理解しやすいようにあわっち用の言葉選びをしたからね! すぐ理解してくれて嬉しかったよ! やっぱ私達絆レベルMAXだね!』
『なるほど! あれは私が理解しやすいと晴先輩が思った伝え方だったと!』
『おうさ!』
『晴先輩』
『な~ぁ~に~ぃ~?♡』
『配信外に出ろーーーー!!!!』
一転して私の怒号が響き渡った。
『うわビックリした!? な、なんだ急に!』
『なんだじゃないんですよ! なんで私用の言葉選びでイキかけチンコなんて下ネタが出てくるんだよ!』
『は、はぁ!? だってUnicodeの番号で説明してもあわっち分からないでしょ!?』
『絶対他にも伝え方あっただろ! 私まともなの弓矢で限界だと思われてたのか! アナルとか配信に乗せていいたとえじゃないんだよ!』
『そ、それは下ネタが一番伝わりやすそうなあわっちのせいだろ! 私もあそこまで行くと言うの恥ずかしかったんだからな!』
『くっ、じゃ、じゃあ最後のウイルスみたいな雪の結晶は!? あんなの悪意あるだろ!』
『でもあわっち全部分かってたじゃん!』
『分かってても言わないでほしい、そんな女心もあるんですよ』
『うわこいつめんどくさ』
『はぁ!? モラルがない方がめんどくさいですが~?』
『はぁ!? あーあーもう私も怒った! 何が絆じゃい! 喧嘩だ喧嘩ー!!』
『こっちだって何がラブラブじゃい! お局が調子乗ってんじゃねぇぞー!!』
こうして、一回だけのプレイでゲームをほったらかしにし、ワーワーと喧嘩を始める私と晴先輩を最後に、動画は終了したのだった。
さて、この動画を見ての振り返りは――
「てぇてぇなぁ……」
私は、涙目で噛みしめるようにそう呟いていた。
コメント
:えぇぇ……
:てぇてぇシーンあったか?
:友情崩壊してますよ
:ハレルンは悪くないと思ったけど待ってUnicodeの番号って言った?
:Unicodeに含まれてることすら知らねぇよ
:実は絆とラブラブで最初からすれ違ってたの草
:何を見せられてるんだ俺らは
:てぇてぇくねぇなぁ……
「何言ってるんですか! あんなに距離があると思っていた先輩と私が、ライブを通して対等だったことを知り、こうして喧嘩しているんですよ! 今の関係がこうやって築かれていったんだなぁと思うと、尊くて涙出ちゃいますよ!」
コメント
:なるほど
:そう言われてみるとだな
:正直絆とかラブラブとかこの2人が言ってるとちょっと痛いもんな……
:草
:喧嘩出来る仲になったんやなぁ
:険悪とかじゃなく楽しそうな喧嘩だしなw
:仲良く喧嘩しな!
:今のハレルンと淡雪の会話まじで自然だからなぁ
:てぇてぇなぁ…… ¥50000
「よかったね私(泣)」
遂には涙が止まらなくなってしまった私なのだった。
環境によっては記号崩れていたらすみません……。