VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた   作:七斗七

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プニキリベンジ1

「はぁ……はぁ……」

 

私は今、戦いの最中に居た。

戦っている相手はピッチャーのフクロウ。

いや、もしくはバットを振る黄熊、そしてこの黄熊を操作している自分自身が最大の敵なのかもしれない。

例の配信切り忘れ事件から間もないころ、私はこのゲームに大きな敗北を味わった。

理不尽とすら思えたそのゲームバランスに、私は憤慨すら覚えた。

だが、不思議と私は後日も魅入られたかのように同じゲームをプレイしていた。

次の日もさらにまた次の日も、空いた時間を使っては自分から苦行に身を投じた。

私が鬼畜ゲー好きのマゾヒストだったのか、もしくはこのゲームに謎の中毒性があるのか、もしくは両方か。

それは自分でも分からないが、間違いなく私はリベンジの炎に燃えていた。

そして今夜、時は満ちた。

 

――さぁ、『プニキ』リベンジのときだ――

 

「練習ではいい感じだった。オウカスよ、今日こそ決着をつける!」

「なんか燃えすぎて光ちゃんみたいになってるね」

 

コメント

:めっちゃうまくなってて草

:いけるでこれ!

:がんばれー!

:今日中にオウカスはいけそう

:奴が見れるかもしれんな……

 

さてさて、裏でやってた練習で前破れたオウカスに勝てそうなところまでいったのでいよいよリベンジ配信ですよ!

しかも今日はなんとゲストとしてネコマ先輩が応援に駆けつけてくれてます!

ネコマ先輩とはこれが初コラボだ。前のプニキ配信の時にコメント欄には来てくれていたので、リベンジするのならせっかくなのでコラボしちゃおうという流れになった次第。

先輩の前で恥を見せるわけにはいかない! 何としてもこの場でこのフクロウは倒す!

あ、初めてこのゲーム見るよーって人はアーカイブにある『清楚配信』をぜひ見てね!

 

「よし! 3連続ホームラン!」

「これで14本目のホームラン、残り10球で5本ホームランを打てばオウカス突破だね」

 

これが配信始めてから初めてのトライだが、悪くないペースだ。

本番だから緊張もあって結構空振りとかあったけど、うまくいけば一発突破いけるかも!

実はネコマ先輩はすでにこのゲームをクリア済みらしく、度々にアドバイスもいただいていた。

横に大きく揺れる球だから、中央に来た時にバットを振ることを意識して、慣れてきたら体でリズムを覚える。

練習の成果もあって以降も順調そのものでホームランを量産していった。

 

「残り三球3だけど、ホームランはあとノルマまであと1本!」

「い、いけるかも!」

 

きたきた! とうとうあと一歩まで来たよ!

ああ、指が震えてきた、こんな時こそ落ち着いて……

 

「ボールが中央に来たらクリック、ボールが中央に来たらクリック、目標をセンターに入れてスイッチ、ボールが中央に来たらクリック」

「今サラっと使徒襲来してなかった?」

「今だ!」

 

目を最大まで凝らして放った渾身の一振りは、完璧にボールを場外までカッ飛ばした。

 

「や、やった! やったぁ!! やったよぉぉぉ!!!」

「にゃにゃーん! 淡雪選手、残り2球を残してオウカス選手に完璧な勝利だぁ!」

 

コメント

:やったぜ ¥50000

:よっしゃああああ!!

:おめでとう! ¥10000

:日本一や! ¥5000

:ほう、経験が生きたな

 

「それでは淡雪選手、今のお気持ちをどうぞ!☆」

「ほぼイキかけました」

「失礼しました。シュワちゃんが出てしまいました☆」

 

コメント

:おいwww

:世界一かっこいい下ネタ

:世界一清楚な下ネタやろ ¥1000

:矛盾の塊で草

:これは許される

:純粋に喜んでるのかわいい

:いい最終回だった ¥3000

:まだ後続いるんだよなぁ……

 

Fooo!! 最高だぜぇ!!

もうオウカスを突破した私ならもうクリアまで余裕なんじゃないですかね?

ウイニングランおめでとう私。

さて、次の相手はティガカスとかいうトラみたいですね。

記念すべき一球目、どんな球でもカモンカモーン♪ 

 

スカッ!

 

消えた、間違いなくこのトラから放たれた球は一切姿を見せずにプニキの真横を悠々と通過していった。

なるほど、次の相手は所謂『消える魔球』ってやつか。

 

「おい、野球しろよ」

「バットは拾った、なんてね☆」




sillaさんから頂いたブクマ13000越え記念ファンアートです。
大勢に見てもらえる幸せ、プライスレス。

【挿絵表示】

活動報告にてマシュマロとリクエスト募集中です!
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