IS −インフィニット・ストラトス− 蒼の魔神   作:ラナ・テスタメント

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……ところでスパロボで海と言うと、やはりジ・インスペクターのエンディングを思い出しますよね。各女性陣が海で戯れ、犬が水着を奪い取り――そんな犬を抱き上げる”フンドシの親分と、ブーメランなトロンベ兄さん”(笑)
エクセレン? いや、親分とトロンベ兄さんのインパクトには敵いませんって(笑)
なお今回、ラストが超展開です(笑)
では第十一話、どうぞー。



第十一話「いざ、臨海学校へ!」

 

 織斑一夏は夢を見ていた。何故それが夢かと問われると、一夏としてはこうとしか答えられない。

 目の前で行われている凄絶な戦いが、あまりに非現実的なものであったとしか。

 それは、銀の翼を持つ巨人と、数多の勇者達との戦いであったのだから。

 いずこと知れない、得体の知れない空間で彼等は戦う。だが、それも限界だった。銀の翼を持つ巨人は果てない回復力を持っていたのだ。それにより、勇者達が何度も傷をつけようとも平然としていた。やがて、勇者達が力尽き――銀の巨人は笑う。

 

「くっくっく……私を倒す事など不可能なのだよ」

「くそ……っ! デビルガンダムとは比べ物にならない再生力だ……!」

「……っ!」

 

 笑う銀の巨人の前で、白く背に日輪を背負うロボットに乗る若者が悔しげに呻く。

 隣にいる青と白のカラーリングに、二門の砲を持つロボットに乗る男も舌打ちを放った。

 巨人は、そんな勇者達を満足げに見下ろし、やおら片手を上げる。そこへ光が集って行った。

 

「さぁ……遊びはここまでだ! クロスゲート・パラダイム・システムで因果律を操作し、お前達の存在を消し去る! 己の無力を呪うがいい!」

「く……っ!」

 

 いよいよ止めを刺そうと言うのか。掌の中に集まる光は徐々に強さを増す。あれがどのくらいのものか一夏には分からないが、途方も無いエネルギーが渦巻いているのだけは理解した。

 同時に思う。何故、自分は見ているだけなのかと。

 何とか手助けしたいのに……! 彼等に比べたら大した力では無いのかも知れない。でも、今は『白式』と言う力もあるのだ。

 無力に涙した、あの頃の自分とは違う。これは夢と分かっていても、一夏は彼等と戦いたかった。

 だけど、何も出来なくて。そして、いよいよ銀の巨人が光を解き放たんとした、まさにその時!

 光の巨人達が、勇者達の前に立ちはだかった。まるで盾になるように。

 それは正しく、誰しもが憧れるヒーローの姿であった。

 

「な……!」

 

 先程の男が目を見開く、銀の巨人はそんな彼等に訝し気な顔となった。何をしようと言うのか。

 

「何をする積もりだ!」

「地球の諸君……今回の事件は我々の存在が原因だ。我々が、超神■■■■を生み出してしまった……」

 

 光の巨人の一人が、後ろに居る仲間達に語り掛ける。一夏には何故か声の一部が聞こえなかったのだが。すると、彼等の身体が徐々に光を点し出した。

 だが、彼等が何をしようとしているのか。また、何を言おうとしているのか分からず、仲間達は唖然とする。

 だが、光の巨人達は構わない。互いに頷き合うと七人居た彼等全員の身体が光を放つ。

 

「■■■■の力の源がカラータイマーなら、同じエネルギーをぶつけて相殺するしかない」

「今から我々は、全エネルギーを放出する!」

『『!?』』

 

 その言葉に勇者達は一様に驚いた顔となった。

 それは、彼等にとって自殺行為に等しい行為であったからだ。男が悲壮な顔で叫ぶ!

 

「しかし! そんな事をすれば……!」

「心配はいらない。我々は死にはしない」

「ただ……この姿を維持する事が出来なくなるだけだ」

「貴様ら……!」

 

 銀の巨人が吠える。すると、掌の中にある光球が更なる強さを増した。しかし、光の巨人達は構わない。

 仲間達に、これまでずっと一緒に戦って来た仲間達に優しく語りかけていく。

 その、優しくも反論出来ない言葉を何と呼ぶか――それは遺言だった。

 

「……地球人は我々がいなくとも地球の平和を守っていけるほど強く成長した」

「だが、忘れないでくれ……!」

「優しさを忘れないでくれっ! 例えそれが幾度も裏切られようと……」

「仲間を愛し、地球を大切にする心を決して忘れないでくれ」

「そうすれば、銀河の仲間達は必ず君達を認め、仲間として、迎えてくれるだろう……」

 

 光の巨人達が発する光が一際強くなる。それは、銀の巨人の力にも比肩し得る――否、凌駕するほどの力であった。

 光の巨人達はそれを放出し、一人に托す。彼はそれを受け取り、確かに頷いた。……巨人達が、一人一人消えていく。

 

「その日まで……我々は地球を見守っている――」

 

 そして、全ての力を受け取った巨人は、胸元にある光玉にその力を集め、解き放つ!

 

「――夜空に輝く……星となって!」

 

 解き放たれた力は光線となって、迷い無く銀の巨人に叩き込まれた。そして、その巨人もまた消えた。

 

「ウルトラ兄弟達……!」

「っ――! く……っ!」

 

 仲間達は消えてしまった光の巨人達に、それぞれ悔しそうに、悲しそうな顔となる。だが、まだ戦いは終わってはいなかった。銀の巨人はぼろぼろとなりながらもまだ立ち上がる。

 

「おのれ……! ウルトラ兄弟達め! 再生が……再生が間に合わん! クロスゲート・パラダイム・システムが作動しない!? 奴達の力で、私の力が相殺されたとでも言うのかっ!?」

 

 銀の巨人が放つ怒りの咆哮が辺りに轟く。それに、仲間達もそれぞれ立ち上がった。彼等の犠牲を無駄にしないために!

 

 ここで、奴を討つ!

 

「デビルガンダムも大火力で破壊する事が出来た……ひょっとしたら、奴も!」

「ぐ……」

「■■■■■!?」

 

 一気呵成に銀の巨人へと再び向かおうとして、しかし、男がロボットのコクピットで苦しげな声を出した。先程の言葉を告げた男がハッとなる。

 

「お前……まさか、兄さんと同じように!? 本体が、■■■■がダメージを受ければ、お前も!?」

「も、問題ない……! 今ここで■■■■を倒さなければ……!」

「しかし……!」

 

 仲間達は男の様子に躊躇いを見せる。だが、男は構わず仲間達に叫んだ。他の何でもない、己の為に!

 

「ウルトラ兄弟達の犠牲を無駄にする気か!? 行くぞっ!」

「くそ……! ちくしょぉおおおおおお――!」

 

 男の叫びに仲間達は、一様に唸りにも似た叫びを上げ、男の意を汲んで銀の巨人へと攻撃を放つ! それは、それぞれの最強の攻撃!

 

「ズバット・アタ――――――ック!」

 

「デン・ジ・エンド!」

 

「ギャバン・ダイナミック!」

 

「目標を……破壊するっ!」

 

「石波ァ! 天驚ォォォォォォ拳っ!」

 

「がぁあああああああああああああああああああああああああああ――――――――っ!?」

 

 一斉攻撃。まさしく、そう呼ぶに相応しき莫大な威力を秘めた攻撃が銀の巨人に叩き込まれる!

 再生能力も失い、翼を無くし、身体の至る所を欠損しながら、銀の巨人は墜ちて。それを追い掛けるように、先の男のロボットと、その倍もある印象的なゴーグルの巨大なロボットが、巨人に追撃を掛けんと追いすがった。そんな男に巨人は叫ぶ!

 

「貴様が……! 貴様さえいなければっ!」

「ようやく俺の存在を認めたか! 俺は貴様の複製でもなければ、影でもない!」

 

 巨人の叫びに男は応え、吠える。それこそまさに男が自我を確立した瞬間であった。そんな男に、しかし生みの親でもある巨人は構わない。むしろ憎々しげに男を睨み付けた。

 

「私に何かあれば貴様もただでは済まんぞ!?」

「この身が共に消えようとも、俺は……俺は一人の人間として。地球人として、お前を倒す! 忘れるなっ! 俺の名前は、”イングラム・プリスケンだ!”」

 

 男は、イングラムは名乗りを上げ、ロボットを変形させる。それはさしずめ、巨大な銃にも似ていた。銃に変形したロボットを後ろから追従していたロボットが掴む。

 

「トロニウム・エンジン、オーバードライブ!」

「ウラヌス・システム、強制発動!」

「みんな……すまない」

 

 男の言葉に一瞬だけ後ろのロボットのメインパイロットは躊躇う。そんな彼へ、イングラムは懇願するように言葉を告げた。

 

「リュウセイ……頼む。奴との決着を付けさせてくれ」

「っ! イングラム……!」

「頼む! リュウセイっ!」

「う……うおおおおおっ! 行くぞっ! 天上ぅ天下ぁっ!」

 

 イングラムの願いに応え、リュウセイは頷くと、トリガーに手を掛ける。目端に浮かぶは涙か、だ、彼は迷わず銀の巨人へとロックオンした。後は、引き金を引くだけ――――!

 

「撃てぇ! リュウセイ――――!」

 

「一撃! 必殺砲ぉぉぉぉ――――――っ!」

 

 光が生まれ、膨らみ、驀進を開始する!

 その一撃は違う事なく銀の巨人を飲み込んで、次元の彼方へと消えさったのであった。

 

 そして――。

 

「……みんな、ありがとう……また……どこかで会えることを祈っている……さらばだ……ガイアセイバーズ……俺のかけがえのない仲間達……」

 

 そんな言葉だけが仲間達に届けられ、やがてそれも光に溶けて消えて行った。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「……夢……?」

 

 鳥のさえずる音と共に、一夏はぼんやりと呟いた。

 朝のまだ五時である。起きるにしても、まだ早過ぎる時間。事実、目覚まし時計が鳴るのは後一時間以上も先だ。

 だが一夏は再び眠る気にもなれず、むくりと起き上がる。

 

 ふぁっと欠伸を一つだけかいて、ぼんやりと夢の内容を思い出していた。

 どこともしれない世界の戦い。それも、最後の戦いであった。光の巨人や、ロボット達……はたまた、鎧を纏った戦士に、日本一の男。そして。

 

「……あの人、どうなったんだろうな」

 

 −忘れるな! 俺の名前は、■■■■■・■■■■■だ!−

 

 高らかに名乗りを上げた青年。あれは? と、そこでふと気付いた。名前が思い出せない。

 あんな名乗りだ。嫌が応でも覚えそうなものだったのだが。今では、まるで記憶に霞でもかかったように、とんと出て来なくなっていた。

 

「……ま、いいか」

 

 うーんと伸びをして、一夏は気にしない事にする。そして、カーテンを引いて、光を部屋に差し込ませた。早朝。夏とはいえ、まだ太陽が昇り始めたような頃合いである。しかし、見上げる空に青が広がっていて、一夏は微笑んだ。

 

「臨海学校日和、だな」

 

 本日臨海学校、これより海へ出発である。まだかなり早いが。ともあれ、一夏は久しぶりの海を楽しもうと、そう思うのであった。

 

 

 

 

 ――そして、六時間後。

 

「海っ! 見えたぁっ」

 

 トンネルを抜けたバスの中で、嬉しそうに騒ぐ女子達の声を一夏は聞いた。

 学校集合が八時、そこからバスに乗って三時間と言った所で、ようやく海が見れたのだ。

 こちらも快晴、陽の光を反射する海面は穏やかで、心地良さそうな潮風にゆっくりと揺らいでいた。一夏も窓から覗く海の光景に笑顔を浮かべる。

 

「おー、やっぱり海を見るとテンション上がるなぁ」

「う、うん? そうだねっ」

 

 隣にそう笑い掛けると、そこでようやく気付いたように彼女は頷いた。

 シャルロット・デュノアである。……この席の取り合いにも、様々なオトメの戦いが繰り広げられはしたのだが――それについては、各々想像だけですませて頂くとありがたい。

 まあそんな事はともかく、彼女は一夏に返事だけを返すと再び手元に視線を送る。そこに光るのは、昨日一夏がプレゼントしたブレスレットであった。

 それを見てシャルロットはえへらっと笑う。先程から、ずっとそんな調子であった。どうもいまいち話しを聞いていない。プレゼントをした一夏からすれば、喜んでもらえて嬉しくはあるのだが。

 

「それ、そんなに気に入ったのか?」

「えっ、あ、うん。まあね。えへへ」

 

 一夏の台詞に、同じ反応をシャルロットは返す。

 その脳裏に浮かぶのは、昨日のプレゼントしてくれた場面だ。まるで、結婚式でやる指輪の交換のよう。それを思い出しては、えへっと笑うのであった。

 

「うふふっ♪」

 

 ……で、キング・オブ・唐変木、一夏君はと言うと、そんな彼女の上機嫌っぷりに?顔となるだけである。

 皆さん、体育館裏に一夏を連れて行かないように。そこには、スパロボマニアのフラグブレイカーな方が既に居るので、別の場所を選んで下さい。

 

「まったく、シャルロットさんったら、朝からえらくご機嫌ですわね」

 

 そんなシャルロットの様子に、通路を挟んだ向こう側で――ちなみに、この席も相応の競争率ではあった――セシリア・オルコットが若干むすっとした顔で言って来た。

 だがしかしっ! 一種の勝ち組たるシャルロットはセシリアの言葉も何のその!

 

「うん、そうだね。ごめんね。えへへ……♪」

 

 ……語尾に音符マークまで付けて笑顔で返す始末であった。セシリアは、うーと悔しそうな顔となる。

 

「……昨日、あの事件の前に抜けたと思ったら、まさかプレゼントなんて、不公平ですわっ」

「あー……まぁ、その、なんだ。セシリアにはまた今度の機会にな?」

 

 拗ねたように口を尖らせるセシリアに、一夏は何とかそう言う。彼的には、プレゼントそんなに欲しかったんだなぁと言う状態か。

 はい、皆さん。ただ今地雷が埋め込まれました。このように地雷を無意識に埋めると、後でとんでもない目に合うので注意しましょう。

 

「や、約束ですわよ?」

「おう。あんまり高いのは無理だけどな」

 

 セシリアにそう返しながら一夏は笑う。しかし、脳裏には別の事を思い浮かべていた。セシリアが言った、”あの事件”とやらである。……正確に言えば、事件など無かった。いや、”無かった事にされた”が正しいのか。

 

『この事は早急に忘れるように』

 

 姉であり、IS学園教師であり、あの事件に一緒に巻き込まれた織斑千冬の言葉である。結局、無かった事にされた以上、気にしても仕方ない。と言うのがその場での結論だった。

 だが……一夏は、ぐっと拳を握りしめる。

 あの『魔神』は確かに居たのだ。千冬を助け、しかし勘違いした自分と戦い、圧倒的な戦闘能力で叩きのめした。あれをどう忘れろと言うのか。他の巻き込まれた女子達も顔には出さないが、気にしていない訳が無い。

 

 また、あいつが現れたら、今度こそは、敵となったら……。

 

 ……そう思っていない訳が無かった。ともあれ、今は気にしても仕方ないのは違い無い。海を楽しもうと一夏は一人頷き、海へと視線を向けたのであった――。

 

 

 

 

 一方その頃、当の『魔神』はと言うと。

 

「……海か……何故またこんな所にゲートを?」

 

 −そんな気分だったんじゃありませんか?−

 

「誰がだ」

 

 −それは勿論、ユーゼス・ゴッツオがですよ。それはともかく−

 

「おにーさーん? こっち手伝ってー」

「ああ、了解した」

 

 様々な偶然が重なり、何故か旅館のお手伝いをやる羽目になっていたのであった。

 

 

(第十二話に続く)

 




言った筈だ……超展開だとな……!(笑)
はい、第十一話。何故にフフフ……さんが、旅館のお手伝いをやってるのかは次回をお楽しみにー。
なお、最後に声を掛けたのもびっくりなお方です(笑)
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