(更新停止)果てしなく続く坂道の途中で(ペルソナ4)   作:アズマケイ

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第51話

りせちーのシャドウが完全に暴走をはじめた。黄色い水着を脱ぎ捨て、ポールダンス用の柱にぶら下がったのは、極彩色の肌をした全裸の女性の姿を取り、顔の部分は電波受信用のアンテナで覆い隠されている結構エロいボスだった。ただ、中ボスもそうだがいくらボディラインが強調されていても顔からなにから7色の原色のマーブル模様に塗りつぶされていてはグロいだけだ。

 

「きゃはははは、どう楽しんでる?特等席のお客さんには......メチャメチャきっつーいのを特別サービスよ!」

 

花村に四角い光がこちらにむけられる。

 

「情報解析タイプのシャドウクマ!もってるペルソナの能力解析して、こっちを攻撃してくるつもりクマ!でも情報解析には時間がかかるから、それまでに倒すしかないクマよ!!すっごく強いシャドウみたいだから、みんな頑張るクマー!!」

 

こちらのペルソナの能力を完全に解析して攻撃を回避する上に弱点で攻撃してくるマハアナライズの発動を教えてくれるのは有難いがムチャをいう。やるしかないのは仕方ないが。

 

「もー、耐性もってる人しかいないなんて意地悪なんだからー!」

 

最初の標的はやはり花村だった。

 

「はーい、解析完了!あなたのことぜーんぶわかっちゃった。さあ、メチャメチャきっつーいのをお見舞いしちゃうぞ!」

 

「か、かんべんしてほしいなー、なんて」

 

「だーめ!」

 

「可愛いフリしてもダメだかんな!くっそー!」

 

「ジ、オ、ダ、イ、ン!」

 

「花村、あぶない!」

 

たまらず私は叫んで走るが間に合わない。弱点をつかれた花村が苦悶の表情を浮かべる。ジオからターンを重ねるたびに強くなっていくはずの攻撃がいきなり最大火力で叩き込まれたのである。

 

「花村!」

 

「花村くん!」

 

「はーい、2発目!」

 

月森たちの動揺を嘲笑うかのように、さらなる雷撃が迸った。

 

「うわあああっ、ヨースケ大丈夫クマかー!だ、だれか回復したげてえええ!!」

 

なんとか持ちこたえたらしい花村は魔術師のペルソナにつけかえる。可愛いペルソナが多いために本人はあんまり使いたくないらしいが背に腹はかえられぬというやつなのだろう。

 

「来てくれ、ディース!」

 

北欧神話において人間の霊的な随伴者とされる存在が姿を表した。農耕牧畜の守護者とされる一方で戦運の司者とも言われ、ヴァルキリーに付き従う霊、ないしは同等の役割を果たす者と見なされる事がある。 低級の女神と見る解釈もあるようだ。

 

「大丈夫か、花村!」

 

「今にも気絶しそーだけど、なんとか!よっくもやったな、マハラギオン!」

 

りせちーのシャドウは光と闇無効以外は特に弱点がないはずだからうまいこと通ってくれた。

 

「よくも花村を!来い、ラクシャーサ!チャージだ!」

 

次に動いたのは月森だった。攻撃の心得があるおかげで最初から3ターンは攻撃力がアップする特別仕様だ。チャージで次のターンのみ攻撃力が2倍以上になるというぶっ壊れ仕様での攻撃が可能となる。さらにブレインシェイクを使うと1~3回攻撃できるから、攻撃力超アップ状態なので3回攻撃だと400~500は与えられるだろう。これならあっという間に半分は削れるはずだ。

 

なら、私がすべきなのは月森たちのサポートだろう。ペルソナはオルトロスのままでいい。今回改めて作り直してくれたオルトロスは、すべてのスキルが解放されていたものだ。コミュの進行具合で作成時にもらえる経験値に補正がかかるはずだから、私は刑死者担当らしいから知らないうちに攻略されていたらしい。複雑な気分になるがまあいい。とにかく、既に月森からもらったオルトロスは氷結耐性がすでについているから、氷結ガードキルを誘うことができるし、ターン消費されたら電撃弱点のあいつにチェンジすることで時間稼ぎが可能だ。

 

「花村、大丈夫か?」

 

私はふらふらの花村のサポートに入る。回復アイテムを渡してやる。

 

「さんきゅー、神薙。ハー、生き返るわ。死ぬかと思った」

 

「真っ先に狙われるあたり、やっぱり花村は花村だな」

 

「やめてくれっつーの。でも今回は見切ったかんな、絶対避けてやる!」

 

意気込む花村には悪いがマハアナライズが発動したら最後、攻撃はなにひとつ当たらなくなってしまうだろう。

 

「いや、ガードしといた方がいいよ、花村。絶対次はもっと強力なやつが来そうだ。回復が間に合わなくなる」

 

「げっ、マジ?俺全然いいとこないなー、くっそー!」

 

私が花村を回復している間に、今回は攻撃に回ることにした雪が、花村のおかげでダメージが通るとわかった特大の火炎攻撃をお見舞いしていた。

 

私たちが戦っている間に千枝たちがりせちーのところに向かい、完全に腰が抜けているりせちーを巽が背負ってその場を離れることにしたのがみえた。

 

「うっふふー、解析完了ー!ガードしちゃってかわいい!じゃあ次はー、あなたね!今度はぜーったいに逃さないんだから!」

 

「雪!」

 

りせちーのシャドウは私の想像以上に能力が高いようだ。まだガードしたらどれくらい防がれるか見たことがないにもかかわらず、花村ではなく雪に標的を変更したのである。

 

「ニ、ブ、ル、ヘ、イ、ム」

 

一瞬私の頭は理解するのを拒否した。ニブルヘイム?ニブルヘイムってたしかブフダインの上位互換の攻撃じゃなかったか!?だめだ、直撃したら雪が!私はとっさに雪をみた。

 

「甘いよ!」

 

「雪ちゃんナーイス!さすがクマー!」

 

「よかった......」

 

ふふ、と雪は鉄の扇で顔を仰いだ。私は胸を撫で下ろす。雪が装備していた氷結弱点の攻撃を回避させてくれるアイテムか、はたまた運が高いステータスか、いずれにしろ雪は回避に成功してくれて助かった。気を取り直して、今度は私たちの番である。

 

「さっきのお返しだ。来い、ラクシャーサ!ブレインシェイク!!」

 

怒り心頭の月森がその怒りをペルソナの力に変えていく。背後から出現したインド神話における悪鬼は、その自慢の双刀を構えるなり見上げるほど高く跳躍し、りせちーのシャドウめがけて振り下ろした。一撃、二撃、三撃、複数の攻撃がポールを両断し、花村と雪が稼いできたダメージの蓄積もあいまって一気にりせちーのシャドウの体を切り刻んでいく。目に痛い蛍光色の液体があたりに四散する。そのうち一撃がクリティカルしたらしく、巨体がストリップ劇場にしずんだ。

 

「いくぞ、みんな!」

 

月森の呼びかけに私たちはうなずく。そして、一気に攻勢に出たのだった。私たちの攻撃を一気にうけたりせちーのシャドウはいよいよふらふらになってしまう。ポールをラクシャーサが破壊したために逆さまにゆれることはもうない。掴むものがないと気づいたりせちーのシャドウはふらふらになりながらも立ち上がった。いけると思ったのだが倒れないあたりさすがはボスといったところだろうか。

 

「うふ、ふふふふ、きゃははははははっ!」

 

いきなりシャドウが笑いだした。

 

「解析、完全に完了したよー!今までお疲れ様でしたー!後ちょっとだったのにねー、残念残念。発動するよー、マハアナライズ!!!」

 

空間全体がゆがみ始めた。無数の蛍光色の光が隅から隅まで行き渡っていき、りせちーのシャドウの顔部分に展開しているテレビのアンテナみたいなものにどんどん光があつまっていくのがわかる。そして、周りにそれぞれの属性に応じた光の球体が出現した。

 

「あわわわわ、ま、間に合わなかったクマー!とうとう発動しちゃったクマー!!みんな、今すぐ防御するクマー!!飛んでくるクマよー!!!」

 

防御する暇すらなかった。私の前には真っ黒な球体が迫り来る。私は一瞬にして意識をきりとられたのだった。

 

雪子

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