暇潰しにどうぞ
柚ノ木さんより料理同好会に誘われたその日の夜に、我が親友前田一也よりの連絡があった
えらく長くなったが、要約すると
新体操部の早倉舞衣さんと話をした
新見遙佳さんとも話をした
実原氷里さんとも話をした
新見遙佳さんと下校した
らしい
おい!節操って言葉はねぇのか!此の馬鹿!
なんなの!お前!マジでなんなの!
新見さんはわからなくもない。恐らく所属するテニス部にも新見さんが説得すれば大事にはならないだろう
実原さんはフォト部の人間だが、他のフォト部の人間よりは写真部への隔意は低いらしいから、まぁ良しとしよう
だ、が、新体操部は明らかにアウトダルゥォウが!
写真部を嫌う部活の中でも上位に入るぞ!
つか、フォローしようにも伝手が無いわ!
果音ちゃんに頼むにしても、対価がいるしなぁ
プリティラヴィは止めて下さい。いやマジで
以前頼み事をした時にプリティラヴィの衣装を買うのに付き合わされて、メンタルが死にかけた
しかもその後でプリティラヴィのダンスの振り付け完コピさせられました。心折れるわ、あれは
とりあえずアイツとの電話中に怒鳴らなかった俺の忍耐を褒めて欲しいわ、マジで
怒鳴ったら、隣の姉貴にしばかれるんだけどね
そんなんだから、彼氏出来ないのさ
『あの』従兄弟の橘さんですら彼女が出来たと言うのに
つか、昨日電話した時に彼女の事を聞いたら「裏表のない素敵な人物です」とか言ってたけど、何?彼女に言わされてるの?
随分とまぁ、凄い彼女サンだこと
俺はてっきり、あの年上のキャラが掴めなかった人と付き合うとばかり思ってたんだけどなぁ
ま、いっか。早倉さんは保留で実原さんはどうすっかねぇ
なお、翌日に果音ちゃんから協力する変わりにプリティラヴィのコスプレ衣装の製作を依頼されて頭を抱える事になるが、それは後の話
新見さんは見守るか。小賢しい妨害があれば、今度ばかりは容赦しない
恐らく、一也と新見さんにとってのラストチャンスとなるだろうからな
少し間咲の事を思うと心が痛むが、どちらとも応援する等というのは流石に二人にも不誠実だろうし、ガキの頃からの付き合いなのに、今の二人の関係は見ていて気分がよくないしな
女子の友情かも知れんが、お似合いとかは本人が気にしてないのに外野が騒ぐ事でもなかろうに
アイツの事はこれくらいにして、柚ノ木さんからの誘いをどうするか、だな
確かに料理は出来るに越したことはないだろう
社会人になってしまえば、自炊の機会も増えるだろうし、自炊の方が自由も効くだろう
だが、現状『女子と二人』というのに俺が耐えられるか?これが重大な問題となるだろう
さて、どうしたもんか
野井の悩みは尽きない
柚ノ木梨奈は今日の事を振り返る
折角創った料理同好会だが、部員が集まらなかった
そこでクラスメートで友達のののかちゃんに相談したら
「料理かぁ。私は食べる専門だし、うーん
あ!弘やんがいた!」
「ののかちゃん、弘やんって男子よね?」
「大丈夫だって、りなちー。弘やんは結構誤解されがちだけどね、付き合うといい奴だって分かるよ
しかも弘やんも料理するし」
「え、男子なのに?」
「弘やんのお姉さんが料理下手でさ、いっつも手伝わされているんだって
よくお菓子とか持ってくるよ」
「お菓子も?」
「本人が言うには、バレンタインとかでお姉さんの代わりに作るらしいよ。で結構美味しいんだ
しかも気配りもそれなりに出来るから悪くないと思うよ」
「そうなの
頼んでもいいのかな?」
「いきなり断るとは思わないよ。りなちーの事は少し話しておくから、多少でも考えてくれるって」
「じゃあ、頼んでみるね」
「うん!その方が良いって。何なら私も話すの手伝うしさ」
そんな話となって、今日の昼休みにお願いしに行った訳だが
初めて会った感想は『少し怖そうな人』だったけど、きちんと話を聞いてくれたし、真剣に考えてくれるみたいで「即答は出来ない」と言ってくれた
早ければ明日には返事をくれるらしい
先ずは簡単なお菓子でも造って持っていこうかな
もし、断られても真剣に考えてくれたんだから
少し明日が楽しみな柚ノ木であった
翌日、昼休みに野井の姿は家庭科室にあった
「こんちは、柚ノ木さん居るかな?」
「あ、野井君。来てくれたの」
「申し訳ないけども」
「やっぱり駄目かな」
「いや、他に部員が入る迄なら手伝うよ
女子が入ったら、悪いとは思うが辞めさせて貰おうと思う
勝手な事と思うけど、それでよければ」
野井としての最大限の譲歩であった
実は若干の『女性恐怖症』を抱えつつある野井は『女性と二人きり』というのに対してストレスを感じてしまう
それでも友人の間咲の頼みでもあるし、親友の一也との関わりを踏まえると断り切れなかった
柚ノ木さんには申し訳ないが、これで駄目ならば諦めて貰おう。そう思っていた
「え、ええ。それでもいいわ。ありがとう」
「では、活動は放課後でいい?」
「そうね。放課後にここに来てくれたら、いつもいるわ」
「材料とかは?
持ち込みの方がいいなら、持ってくるけど?」
「大丈夫なの?」
「一応、うちは食料品の店だしね
店番とかの給料で現物支給も出来るだろうし」
「え?時間とか大丈夫?
というか、お店なの?」
「店といってもそんなに大きくないし、店番がある時は来れないけども、そんなにないしね」
野井の実家は食料品店を営んでいる
といっても、両親で上手くやっているし、小遣い稼ぎ程度の頻度でしかしていない
更に姉が小遣い欲しさに野井の分も店番するので、一月に二、三度である
「そうね。無理でなかったら持ってきて貰えると嬉しいかな」
「じゃあ明日何作るか、放課後に話をしようか?」
「ええ。そうしましょう」
「じゃ改めてよろしく『部長』」
「もう」
昼休みも終わりそうになったので一旦解散して柚ノ木は教室に戻った
「あれ、りなちー。何だか嬉しそうだね」
「ののかちゃん、野井君が同好会に入ってくれたのよ」
「流石は弘やん。頼まれたら断り切れないねー」
「そうなの?」
「うん。弘やんが断るのは、私とかのちゃん、あ隣のクラスの前田君の妹さんね。との買い物位かな」
「買い物なのに?」
「うん。「そういうのは、だっつん。隣のクラスの前田君ね、に言え!」って」
「どうしてなの?」
「本人がいうには「(顔面)偏差値、考えてどうぞ」だって」
「よくわからないけど、食材の買い物とか一緒に行きたいけど無理かな?」
「どうだろ?
りなちーが真剣に頼んでみたら、わからないかも」
「うん、お願いしてみる」
「ヴッ、何か寒気が」
とか呟く男がいたとかなんとか
短すぎて、暇潰しになりませんでしたか?
申し訳ありません。暇な時間にポチってますので、このくらいの文量となります
では、このような作品を読んで頂きまして、ありがとうございます
また、お時間があればお付き合いください