電脳世界で鏡を合わせる   作:蛇ヤミー

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 家に帰り、シャンフロをする前に、買ったばかりのゲームに目を向ける。

 

「……ちょっと気になるしやってみるか」

『反転鏡愛・オンライン』……まあ自分攻略……自分への恋愛だから鏡愛というより狂愛って感じだな……略すとしたら『半狂乱』ってところか。

 

 ……しかし、とりあえず起動が長い。

 まあ、岩巻さんの話が本当なら、俺の過去からトレースしているという事……そりゃ長いのも納得だ。

 っと、終わりか?

 

「えーなになに? ああ、転校ルートと道端で会うルート、幼馴染ルートにシークレットルート……同じヒロインだけど、シチュエーションでバリエーションを増やすタイプのギャルゲーか…………知ってる奴ら相手に初対面の振りするのキツイし、長々やるのもダルイから道端にするか」

 

 ~~~~~~~~

 

 お、一瞬目の前が真っ白になり、そして次第に目が慣れてくる。

「ここは…………あー通学路?」

 いつも学校に向かう途中にある道だった。

 

「格好は私服……つか、アバターの変更きかねぇのかよ!」

 

 シャンフロシステム使ってるわりにはそこにこだわりはないのか。

 ……いや、自分自身のトレースの攻略だから、あえて本来の姿でって事か?

 

 何にせよおかしなゲームだな……クソゲーだからか?

 

「ん?」

 

 そんなことを考えてるうちに、前から誰か歩いてきた。

 というか、この状況なら一人しかいないか。

 

「ん?」

 向こうも俺に気づいて、怪訝そうな顔をする。

 その見た目は、当たり前だが瑠美に似ている、それでいて、瑠美よりも目つきが悪い女子……おそらく、こいつが俺のトレースだろう。

 

 いやまあ、俺のトレースにしては妙にお洒落だが……瑠美辺りがコーディネートしてるのか?

 というか瑠美に似てる子を口説くの割ときつくないか? 多少違う雰囲気ではあるけどさ……。

 ……なんにせよ待たせるのもピザる原因になりかねないし、とりあえず笑顔で挨拶だ。

 

「「こんにちは」」

「……………………」

「……………………」

 

 挨拶のタイミングが被った。

 まさか、読まれてる!? ……当たり前か。 

 

 もういっそそのまま行くか。

 で、どう話しかける……最近やったゲームでこの手の選択肢が必要なのは……アレだ!

 

「やあ彼女。今一人かい? 暇なら俺と一緒に遊びに行かないか?」

 

「はぁ?」

 

「………………うん、ごめん、今のは俺もないと思った……なんでそんなのをチョイスした俺」

 

 ついプレジ伝でライスちゃんと最初にあった時みたいな感じを出してしまった……。

 左下はお遊び枠だったろ!

 

「えぇ……? 何急に…………」

 めっちゃ引かれた。

 

「すまん、とりあえず声をかけなきゃと思ってな」

「んー? ……わかんないけど、対応しなきゃまずい感じ? なんか、初めてあった気がしないんだけど」

 

「あー……正直こっちとしては対応してもらえると割と助かるが、ま、無理強いはしない」

「別にいいけど……ナンパ?」

 

「ん……あー……そうなるのか、そうなるな。とりあえず自己紹介からか。俺はサ――」

 

 まてよ。サンラクはまずいんじゃないか?

 どういう設定かはわからんが、こいつが俺と同じアバターネーム使ってる可能性だってあるし、シャンフロシステム使ってるなら、サンラクって名前が一般的じゃないくらい理解するだろうし……。

 

「さ?」

「さ……陽務(さんむ)楽郎。よろしく」

 

「さんむらくろう……変わった苗字だ……でも名前は割と親近感沸く。私は陽務楽羽……よろしく? になる? もしかして」

「とりあえずよろしくしてくれると助かる」

 

 ……らくは……らくは少なくとも楽だと思うし、サンラクの名前を使わなかったのは正解か?

 

「で? 凄腕ナンパ師楽郎は、この後どうするつもりなの?」

「どうって……つかなんだ凄腕ナンパ師って」

 

「いやぁ、リアルであんなセリフきくとは思ってもいなかったからねぇ? きょうびクソゲーでも言わないよ? あんなの。超ウケる」

「くっ……」

 やっちまった……こいつは俺のトレース。

 

 つまりは根からの外道……誰が根からの外道だ!!

 

「……なにか、すごく見覚えのある光景が広がってる気がする。こう、自分で自分の喧嘩売り買いする感じ……」

 

「ん? あー、ごめん。とりあえず今日の所は一旦おち……帰るわ。今日は顔見せ的な?」

「毎日来るって事?」

 

「毎日かどうかはわからん。まあ、ある程度頻繁に来るかもな」

「ふーん……?」

 

「じゃあな?」

「うん」

 

 

「…………ああそうだ、一つだけ。楽羽、お前の好みのタイプってどんな?」

 

 俺にしちゃすんなり名前呼びしたが、感覚が近いせいか、ほんとに気を遣わず話せる感じがある。

 

「好みのタイプ? 男子の? ……前に友達にも聞かれたなそんなの……ティアー上位の人。ナーフされないラインの」

 間違いなくこいつは俺のトレースAIだ。

 

「おいおい……」

「仕方ないじゃん。彼氏というコンテンツになんら魅力を感じないんだから」

 

 あー、女子だったら俺そんなこと言うのか……わからんでもないな。

 

「で、それがどしたの?」

「いや、聞いただけだ。じゃあな」

 

「そ。じゃね」

 

 そのまま一旦ログアウトする。

 

 ~~~~~~~~

 

 

「………………や、結構ガチ目にトレースしてやがんな……」

 

 しかも友達と恋愛話してる雰囲気があったってことは、確かに岩巻さんが言ったように性転換に合わせた独自の歴史を歩んでやがるな……。

 

 マジでこのゲーム大丈夫なの?

 

 とりあえず飯食ったらも一回やってみるか。

 

 

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