今回のはちょっと追加した部分なので荒いかもです。
ログインすると、大体いつも同じような光景から始まる。
正直これは人によってはうんざりしてくるかもしれない……とは思ったものの、これに関してはゲームが悪いのではなく、そもそもが違うことに気づいた。
「……このゲーム、ギャルゲにしては動きがなさすぎるとか思ったけど、そこはプレイヤー自身の資質で変わってくるだけか……俺インドアだし」
多分だが、アクティブに動き回る人間がこのゲームをやった場合、様々な場所でイベントが起きるんじゃないかと思う。
半狂乱をやったプレイヤーが室内でしか行動しない人間だから、おのずとログイン地点も似たような場所になってくるってところか。
「とはいえ、そのあたりプレイヤーに依存してる辺り、微妙なんだよなぁ」
やればやるほど、気になるところが見つかるのがクソゲー。
とりあえずは一旦思考を切り替え、ゲームに集中する。
「さて……今日は……学校の近く、か?」
今日のログイン地点は学校付近。
設定が夏休み中なので、ここにはあまり用はないはずだ。
とりあえず家に向かって歩いてるとき、妙なことに気づいた。
「…………時間帯おかしくない?」
若干薄暗い空模様に、響く雀の声。
いつもだったらある程度モブと言わんばかりに近所の人とすれ違うのだが、それもない。
――ちなみに近所の人は仲良くなると、このゲームの世界線のみで起こった情報を教えてくれたりする。
「朝じゃん」
明らかに誰かの家に遊びに行く時間帯ではない。
「だったら……考えられるのは、特殊イベント、か?」
そうなると、普段の私服の一つと言えなくもない今着ているジャージも、意味が変わってきそう。
これは、いつも俺が多少の体力作りにやってるランニングを、楽羽もやっているということなんだろう。
「…………じゃあ、走っといた方がいいな」
こういった特殊イベントは、一定の行動でルートを分けることがある。
もしかしたら歩いていると楽羽のランニングが終わって、会えないで今日が終わる可能性もあるのだ。
「そういう時間指定のイベントはラブクロックで慣れてるんだよ」
俺はいつものランニングルートを頭に思い浮かべつつ、足早に走り始める。
~~~~~~
十分ほど走っただろうタイミングで、案の定見覚えのある後姿が見えた。
「おっす、お前もランニングか」
「あれ!? 楽郎!? なんで!?」
「偶然だ偶然。フルダイブゲームなんてのを趣味にしてると、ある程度体力も付けとかなきゃだしな」
「うーん、考えることは同じってことかぁ……つくづく似てるね私たち。じゃとりあえず一緒に行く?」
「競争でも構わんが?」
「いやいや、朝っぱらからそんな疲れたくないって」
「だろうな」
こうして軽く話しつつ一緒に走る。
~~~~~~
「はぁ……疲れた。でもこう、誰かと一緒に入るのも悪くないもんだねぇ」
「あー……いつも一人だから考えたことなかったが、そうかもな」
「私は友達……後輩かな? とたまに一緒に走るけど、あの子走るの早いから、結構置いてかれるんだよね」
「へぇ…………」
俺の友達とか後輩にそんなキャラの奴いたっけか……。
まあ、この世界線はたまにとんでもないことやらかすから、気にするだけ無駄か。
「それで? 今日はどうする? この後遊びに来ちゃう?」
「こんな時間からか? 冗談だろ、帰るよ流石に」
「だよね」
一応、楽羽と会うことが出来たし、一緒に行動もした。
イベント自体は発生させたとは思うが……何のイベントだったんだ?
「ねえ、楽郎も体力安定の為に走ったりしてるんだよね」
「ん? おう」
「じゃあさ、たまにでいいから一緒に走らない? さっきも言ったけど、一人で走ってるより結構楽しいしさ」
「……別に構わんけど」
――ポン♪――
『特殊イベント・早朝ランニング達成――これ以降ログイン時、ランダムで早朝ログインが可能となります。なお、早朝ログイン後、通常の時間帯にログインすることも可能です』
ああそういうイベントだったのか。
これで、ランダムで昼間会う前に早朝も会うことが出来るって事か。
…………このゲームでこういうアナウンス入ったのこれが初なんだが、俺がイベントのタイミングを見逃してるのか? それとも、俺のトレースデータだとこういうイベントが発生しづらくなってるのか?
なんとなく後者のような気がするな……。
「楽郎?」
「あ、いやなんでもない。じゃ、俺はそろそろ行くわ」
「うん、またね」
「じゃあまたな」