電脳世界で鏡を合わせる   作:蛇ヤミー

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 ほんの、ほんの数秒唇を合わせ、俺たちは静かに離れる。

 

 

「「………………………」」

 

 

 お互い、うまく言葉が出ない。

 

 

 こういったゲームの定番は、この手の行動でエンディングを迎えることが多い。

 だからこそ、この行動をとったわけだが。

 

 ああいや、もう一つ付け足さないとダメだな。

 

 うまく言葉にはできないが、それでもこれは言わなければいけない言葉だ。

 

 

 

「楽羽……好きだ」

 

 

 

「っ……ありがと、楽郎……私も好き」

 

 

 

「「…………………………」」

 

「……うん、ものすごく、何とも言えない照れくささ」

「言うな」

 

「これで何も起きなかったら大恥だよ? 楽郎」

「言うな」

 

 

 ~~♪~~♪~~

 

「お」

「ん?」

 

 どこからともなく聞こえてくる音楽。

 おそらくエンディングに向けてのBGM的な何かだろう。

 

 ということは、今のがクリアの行動で間違っていなかったらしい。

 

 この音楽は当然ながら俺にしか聞こえてないようで、楽羽が不思議そうな顔をしていたが、やがて思い至ったのか、少し寂しそうに口を開く。

 

「……そっか、終わりなんだね?」

「ああ。……なんか少しギャルゲっぽくはないけどな……っと、ちょいまち」

 

 俺の頭の中にその文字が浮かび上がる。

 これは、エンドロールか? ……あった、オフ機能。

 頭の中に勝手に流れてくる文字列をなくし、改めて楽羽に向き合う。

 

「わり、エンドロールが邪魔でな」

 

「もうそんな段階なんだ……ま、ヒロインが自分一人しかいないって時点でギャルゲっぽくはないけど、ラストは駆け足だなぁ……やっぱりクソゲーだわこれ」

 

「な。ちゃんと修正重ねりゃいい出来になりそうなもんだが」

 実際一緒に遊ぶときは楽しかったしな。

 

「いやぁ……これは無理でしょ」

「ま、そうだろうな……」

 

 

 その直後、ゲームを始めたときのようにあたりが光に満たされていく。

 

 

「これで最後か……」

 

 最後に楽羽を一目だけ見るが、その楽羽も徐々に光に飲まれて行く。

 

 そして、見えなくなる直前、最後に楽羽の声が聞こえた。

 

 

「楽郎――――――――――――」

 

 

 その言葉を言った後、楽羽は満面の笑みを魅せて、光の中に消えていった。

 

 

 

 ~~~~~~~~

 

 

「…………………………」

 俺はVR機器から離れ、そばに置いてあったライオットブラッドを一口あおる。

 

 別に疲れてたわけじゃないが、今は妙にカフェインがほしくなっていた。

 

 

「…………………………」

 

 何も言わずに『反転鏡愛・オンライン』をクリア済みの棚に飾って少しだけ眺める。

 

 

「ま、たまにはこういう感傷に浸るのも悪くないけどな……今は少し走り回りたい気分だ」

 

 俺は最近ログインの少なかったシャンフロを起動する。

 

 

『楽郎……今まで通りゲーム楽しんでいこうね! じゃあ、またね!』

 

 

 最後の楽羽の言葉を少しだけ思い出し、シャンフロにインする。

 

 

 

「『ゲームを楽しむ』……ね。前に似たようなこと玲さんにも言われたっけな……さて……楽しんでいきますかぁ!」

 




そう、私は楽羽ちゃんの出現により半狂乱に陥りましたが、これを書ききることで半狂乱から抜け出したのです。
楽羽ちゃんは虚構だという話を自分自身に突きつけてやりましたよ。

個人的には割と満足。

わちはこれで夢から覚めました。

でも後1話だけ続くんじゃよ()
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