GANTZ:F   作:うたたね。

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戦闘描写難しすぎて頭が破裂した。

感想、評価、お気に入り、誤字報告、いつもいつもありがとうございます!


ところで皆さん、聖学祭のクロエちゃん引きました?
僕はは勝てないです。
課金も視野に入れています。


0011 決着と帰還

 甚爾が千手観音と戦っている間に、玄野と桜丘は本殿の中へと向かっていた。複数あった星人の反応はひとつになっており、その唯一生き残っている星人は、甚爾が相手している。

 本殿の外には遺体が転がっているのが見えた。その中に加藤たちはおらず、もしかしたらまだ生きているかもしれない──そんな希望を胸に抱きながら、中へと入る。

 本殿に入ってすぐのところにある台座。おそらく千手観音たちがいたであろうそこに、加藤が倒れていた。

 死んでいる、そう思ったが、微かに彼の胸が上下しているのが確認できた。

 

「かと──!」

 

 急いで加藤の下へと駆け寄ろうとして、気づく。

 

「ああ……」

 

  

 覚悟はしていた。

 覚悟をして、この場所までやってきた。

 だが、同時に思ってもいたのだ。

 

 ──もしかしたら、みんな生きているんじゃないかって。

 

 加藤の胸元に、眠るようにして寄りかかっている少女──玄野が恋した、ひとりの少女。

 

「岸本……ッ!」

 

 背中を深く斬り裂かれて死んでいた。千手観音の持っていた剣でやられたのだろう。

 周りを見渡すと、北条や貞子の遺体もあった。北条は首を刎ね飛ばされ、貞子は体を上下に寸断されていた。確認するまでもなく死んでいる。

 

「玄野クン……」

「分かッてる!」

 

 今は死んでいった者たちよりも、生きている者だ。

 

 加藤の傷はかなり深かった。胸を貫かれたのだろう。口元に耳を近づけると、微かに呼吸音がした。出血も酷いというのに、まだ生きているのは奇跡といっても過言じゃない。

 

「加藤、よかッた! まだ生きてるッ!」

「とりあえず、体を起こして出血の量を減らしましょ。この傷だと、気休めにしかならないでしょうけど」

「それでも、やらないよりはマシだ」

 

 加藤のスーツの一部分を引きちぎり、傷に押し当て出血を少しでも減らし、生存の確率を上げる。

 玄野と桜丘は加藤に「死ぬな!」と懸命に語りかけ、甚爾が千手を討伐するのを待ち続けた。

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 落雷の如き爆発音と共に、甚爾が千手に急激に接近した。その雷を思わせる程の速度に千手は反撃をする暇がなく、振り下ろされたガンツソードを二つの剣で防ぐ。

 だが、甚爾の力は速さだけではない。

 天与呪縛のフィジカルギフテッド。

 呪縛により手に入れた天賦の肉体が生み出す膂力は、如何に星人といえど耐えられるものではなく。

 二つの剣をへし折り、ガンツソードで千手を真っ二つに断ち切った。

 

【きょーッ! きょーッ!】

「うるせえ」

 

 甚爾の攻撃はまだ終わっていない。悲鳴を上げる千手を更に水平に一閃。4分割した千手の肉体へXガンを放ち、肉塊へと変える。

 だが、地面に転がっていた時計型の秘具が動き出したかと思うと、まるで()()()()()()()()()()肉体が修復された。

 再び距離を取り、千手を観察する。

 

(なるほどな……まぁ予想はついてたが、あの道具を壊さねえ限り、どんなに破壊しても無意味らしい)

 

 反転術式のような再生能力とは違う──自分限定の時間遡行。

 原理は分からないが、あの秘具は限定的ではあるが時を戻す力があるようだ。

 まるで呪具。

 もしもそんなものがあれば、間違いなく武器庫呪霊の中に収納していただろう。

 厄介極まりないがやりようはある。要するに再生される前にあの時計を破壊するか、破壊した後に千手を殺せばいいだけのことだ。

 

 今のところ確認出来ている千手の攻撃手段は4つ。

 ①剣による斬撃

 ②香炉による(おそらく)遠距離攻撃

 ③瓶に入っている硫酸のような液体

 ④時計による復元能力

 

 それら以外にもまだ切っていない手札はあるだろう。

 それを踏まえて、甚爾が千手に対して下した判断は──

 

 

 ()()

 

 

「──問題無し」

 

 

 ①斬撃は元より、膂力、敏捷、技能ともにこちらが上回っている

 ②遠距離以外にも使えるとしても、発動までに1秒程度のラグがある。視て避けることは容易

 ③これも②同様に予備動作がある。動作は更に遅いため対処の必要は無し

 ④最優先事項。千手本体への攻撃よりも時計の破壊を優先、あるいは再生前に時計を破壊する

 

 瞬く間に術師殺しの脳に千手の攻撃への多彩な対応手段が書きたてられる。

 残りの未知の手札に関してはその場その場で対処。注意深く千手の動作を見ておくしか方法はない。

 

 千手の持つ香炉が光る──が、それは既に甚爾は見ている。

 発射されるよりも先に甚爾が動く。Xガンを取り出し、二つの香炉を()()()()()()()し、破壊する。

 多重ロックオンが可能なのは、先程東郷が取り巻きの仏像星人を同時に破壊したことで証明されている。

 レーザーは発射されたが、すぐに破壊され消える。

 本来であれば、ここで時計もロックオンしておきたかったが、バレていたのか複数の手で守っていた。

 ただ、そんなものは所詮焼石に水でしかなく、一息の間に接近しガンツソードを振るう。

 千手もすかさず二振りの剣で対処しようとするが、甚爾の前には無力。剣を持つ手が切り落とされる。

 

【きょーッ!】

 

 本殿から位置を遠ざけるため、千手の胴を蹴り飛ばす。

 めぎり、と。

 大樹ですら軽くへし折る甚爾の蹴り。

 それをまともに食らった千手は、上半身と下半身が分断され、クルクルと宙を舞う。

 甚爾はそのまま屋根に飛び移り、吹き飛んだ千手を追跡し──()()()()()

 そのまま地面に叩き落とそうと蹴りの体勢に入ろうとした時、千手が再び再生を始めた。

 そんなものは知ったことかと踵落としを繰り出そうとし──

 

 

 ──ゾクッ

 

 

 天与呪縛により強化された五感とは違う──伏黒甚爾が積み重ねた膨大な経験値。その果てに研ぎ澄まされた()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 直感を信じよう。空中で体を捻り軌道を変え、千手とは少し離れた位置に着地する。

 

(分からねぇが、再生中に()()()()()()()()()())

 

 千手の背から生えている無数の腕──正確には手から嫌な感じがする。

 ならば手に触れなければいいだけの話だ。

 未だ再生途中の千手。ここで殺す、と甚爾は飛び出した。

 距離を詰めて来る甚爾にレーザーを放つが、甚爾の速度を追い切れていない。あっさりと接近を許し、体を刻まれる。

 千手は体を復元させながらあらゆる手段を用いて甚爾を殺そうと手札を切っていくが、その全てを無為に返していく。

 対策は既に済んでいる。あとはそれに対応した行動を取ればいいだけのこと。

 千手の再生能力の源である時計を二つとも破壊し、ついに千手の再生が止まる。

 

 これで千手はもう再生出来ない。

 あと一度殺されれば終わり──もう巻き戻すことは出来ないのだ。

 

  千手が一旦距離を取ろうと後方へ跳躍するが、()()()()()()()()()()()

 千手はガンツソードの性能の全てを見ていない。

 このミッションにおいて、それを使っていたのは甚爾だけだからだ。

 ガンツソードはただ斬れ味がいいだけの刀ではない。()()()()があることを千手は知らなかった。

 

 ガンツソードは──()()()

 

 無論、伸びた分だけ重量は増す。そのため、横薙ぎに振るう時はあまり好んで使われない機能なのだが、その点は甚爾には関係ない。増した重さなど気にも止めず、振るわれた黒刀は千手を斬り裂いた──

 

 

 ──()()()

 

 

 甚爾は視た。

 千手の身体を寸断したその直後、その断面からずるりと異形の怪物が飛び出して来たのを。

 

「……寄生型か。面倒だな」

 

 Xガンで見た限りでは異常は見当たらなかった。おそらく、不定形タイプの寄生生物。その姿形は、宿主に依存するのだろう。

 

 ずちゃり、と地面へと降り立った千手の中身は、爬虫類と霊長類を掛け合わせたような見た目だった。

 全長は2m程。大柄な肉体で、そこから六本の腕と大きな尻尾が生えてあり、光沢のある粘液に包まれていた。そして不気味なのが、その長い首の先にある顔のようなもの。目も耳も鼻もなく、引き裂かれたような口だけがそこに存在していた。

 不快感だけなら呪霊に似ている。

 

 千手の中身が甚爾に気づく。

 が、異形の星人は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それを見た甚爾は、()()()()()()と心の中で呟く。

 

「ぎやぁぁぁぁああ!!!! や、やめッ──」

 

 バチバチバチ、と()()()()()()()()()()と同じ火花のような音が寺院に響く。どうやらステルスは攻撃を喰らえば解除されるらしい。露わになったのは、新人の一人──唯一スーツを最初から着ていた新人──宮藤だった。

 彼は聡明な男だった。おそらく、加藤達が突入した後もレーダーを見て中の様子を探っていたのだろう。そして、加藤達がやられるや否やステルスを使用し、身を隠していた──と言ったところか。

 

 宮藤はそのまま頭部を丸ごと齧られ絶命し、星人がこちらを振り向いた。その顔は、先程の口だけしかなかった姿とは打って変わり、人間の顔が浮かび上がっている。

 その顔には見覚えがあった。というより、()()()()()()だ。

 

(さっき後退しようとしたのは、コイツを取り込むためだったか。本殿から離れてて正解だったな。最悪、玄野たちが食われてたかもしれねぇ)

 

 宮藤は運が悪かったという他ない。

 星人に食われた彼を哀れに思ってると──甚爾の予想外のことが起きた。

 

【やぁ、こうして話すのは初めてだね】

「ああ?」

 

 異形の星人が、突如として言葉を使い、流暢に話しかけて来たのだ。

 

【僕は宮藤──君は伏黒さんッて呼ばれてたよね】

「ハッ、脳を取り込むことで()()()()()()()()()()()

【……すごいな。もう分かるなンて】

 

 くつくつと『宮藤』は笑う。

 

【この体はとても気分がいい。何ていうか、全てがクリアに感じる。力もみなぎッてくる】

「そうか。それで?」

【急かすなよ。それよりも仏像から聞きたいことがあるンだそうだ】

「!」

 

 さっさと殺すか、そう思いガンツソードに手を掛けたが、『宮藤』の言葉に甚爾は手を止めた。

 星人とのコミュニケーション。

 星人が何者であるか知ることが出来るかもしれない。

 

【キミ達は何なンだ? ナゼ、現地の生物なンだ? キミ達には何にも迷惑かけていなかッたのに……とうとう僕一人になッてしまッた……】

「その口振り、まるでこの星の生物じゃないみたいだな」

 

 甚爾が答えると、『宮藤』は俯いて肯定した。

 

【そうさ。僕らは遠い場所(ほし)から来た。キミ達に害を与える気もなく、ただひッそりと生きていられれば、それでよかッたンだ】

 

 けど、と。

 宮藤の遺品であるメガネを掛け、顔を上げた『宮藤』の顔は──獰猛に笑っていた。

 

【そッちがその気なら僕らも容赦はしない……それにキミは強い。キミを取り込むことが出来れば、僕はもッと────あ゛?】

 

 ()()

 

 いい終わるよりも先に、『宮藤』の首は落ちていた。

 

「オマエらが異星人だって知れただけで十分だ。もう用はねえよ」

 

 Xガンで首と体を数回撃ち、念入りに破壊した後レーダーを確認する。カウンターは止まっていたため、じきに部屋へと転送されるだろう。

 

 今回のミッションは難易度が一気に上がっていた。

 雑魚の星人はともかくとして、ボスの星人──千手は、これまでのボスとは比べ物にならないくらいに強かった。

 ただ武器を振るうだけでは倒せない、特定の手順を踏まなくてはいけない相手。

 呪霊換算でいえば一級……あるいは、特級に手をかけていたかもしれない。

 それでも甚爾の相手ではなかったが、懸念していることが現実を帯び始めている。

 

 

 転送が始まった。

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

「……」

 

 甚爾と千手の戦いを1キロほど離れた位置に聳え立つ五重塔から見届けていた男がいた。

 彼の名は東郷。

 現役の軍人であり、素の能力はもちろん高く、特に射撃の腕に関しては随一のものを持つ。

 彼は甚爾からある依頼を受けていた。

 それは、多重ロックオンが可能であるかの確認。狙撃で取り巻きの星人を倒すついでに試しておいてほしいとのことだった。

 無論、断る理由もない。

 彼は見事に仕事をこなし、3体もの星人を葬ってみせた。

 

 見事な戦いだった。

 甚爾と千手との戦い──いや、このミッション全体での戦いを見ての総評だ。

 卓越した身体能力に、それに裏付けされた技量。戦いを見るだけで膨大な経験を積んだ強者であることが分かる。

 

 彼が言うには、ミッションが終われば()()()()()()帰還することが出来るらしい。詳しいことは部屋に戻れば大体分かるそうだ。

 

 ならば今は、勝利の余韻に浸るとしよう。

 

 

「任務、完了」

 

 

 

◆◇◆

 

 

 そして本殿では、玄野と桜丘が必死になって加藤の生存に手を尽くしていた。

 ──いや、もう尽くせるだけの手は尽くしたのだ。あとはもう加藤の気力のみ。玄野たちに出来るのは加藤に話しかけ、脳に刺激を与え続けることだけだった。

 加藤を見つけてから5分ほど時間が経つ。ミッションはまだ終わる素振りを見せない。加藤の息は出血量に反比例して、あれからどんどんと小さくなっており、いつ死んでもおかしくはない。

 

「加藤ッ! 生きろッ! 絶対に死ぬンじゃねー!」

 

 涙が溢れ落ちる。

 玄野と加藤は再会したとはいえ、別に親しかったわけではない。加藤はこちらに友情を向けていたが、玄野からは特に何もなかった。むしろ、加藤のせいで死んだのだから、怒りの矛先を向けていた。

 だが、ミッションを重ね、一緒に生き延びていって、玄野はかつてと同じく、加藤に対して友情を感じていたのだ。

 それを死にかけた加藤を見て、ようやく自覚した。

 

 岸本が惹かれた理由が分かる。

 加藤勝はヒーローだ。

 玄野の目指すそれとは違う、困っている人間に手を差し伸べ、ひたすらに救おうともがき続ける生粋の善人。

 そんな奴がこんな場所で死んでいいはずがない。死んじゃ、ダメだろう!

 

 すると、加藤がスッと目を開いた。

 先ほどまで意識を途絶えさせ、浅い呼吸をしていた彼は、目だけ動かして周りを見渡す。

 その瞳は虚だ。おそらく、満足に見えていないのだろう。だがそれでも彼は、自分の目の前にいる男の名を──口にした。

 

「け……い……ちゃ、ん」

「加藤ッ! 俺だ! もうすぐミッションが終わる! 伏黒さんがやッてくれてる!」

「加藤クン、喋ッたら──いや、喋り続けてッ! 意識を保つのよ!」

 

 西は言っていた。どんなに酷い怪我を負っていても、生きてさえいれば帰還することが可能だと。

 玄野と桜丘は、加藤の意識を継続させようと話しかけ続ける。

 

「そ……か……伏……黒、さ……ンが……」

「ああ! あの人ならやッてくれるさ! だから頑張れッ!」

 

 とはいえ──だ。

 玄野──いや、桜丘も焦りを覚えていた。

 確かに甚爾は強いが、相手の星人も10人近い人間をあっという間に殺したのだ。

 ないとは思いたい──それでも、嫌な予感というものはどうしても頭から離れない。

 

 そして──そんな不安を払うようにして、桜丘の転送が始まった。

 

「あ、これッて──」

「伏黒さんがやッたンだ!」

「! 玄野クン、先に行ッて待ッてる。加藤クンのこと、よろしくね」

「ああ!」

 

 桜丘の転送が終わると同時に、玄野の転送も始まった。

 ふざけるな、と玄野は叫んだ。

 俺なんかいい、先に加藤を連れて行け──だが、そんな懇願も虚しく玄野の転送は継続していく。

 クソッ、と悪態を吐き、最後の言葉を加藤に伝える。

 

「加藤、絶対に戻ッてこいよ。待ッてるからな」

 

 そして、玄野の転送は完全に終了した。

 本殿に残された加藤。

 混濁した意識の中、ふと頭の中を過ぎったのは歩のことだった。

 そうだ。

 歩──弟が、帰りを待っているのだ。

 絶対に独りにさせないと、そう誓った──大切な。

 

「そう、だ……俺、は──!」

 

 震える手を伸ばす。

 その手を、誰かが掴んだ気がした。

 

 

 ──生きて、加藤くん

 

 

 ぶつん、と。加藤の意識は完全に途絶えた。




パパ黒vs五条悟の二回戦目好き。

果たして加藤勝は生きて帰って来れるのか。



次回『100点への到達者』

明日か土曜日に投稿しますね。

GANTZ:F 完結後に書いてほしいもの

  • GANTZ:Gにパパ黒√
  • かっぺ星人後からパパ黒介入√
  • チャットルーム回
  • その他(個人でメッセージでどうぞ)
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