感想評価お気に入り誤字報告ありがとうございますー!
なんと評価数100を初めて超えました。
本当にありがとうございます!
ミッションが終わり、いつも通り部屋へと帰還する。どうやら甚爾が最初らしく、部屋には誰もいなかった。
「あー、かったり。再生持ちは本当に面倒だからやめてくれよ、ガンツさんよ」
『──』
暇つぶしにガンツに語りかけてみるが、やはり反応を示さない。中にいる人間に自由意志はないらしい。完全にガンツを動かすためだけの
(今回は随分と死んだな)
ミッションの難易度の急激な上昇。
甚爾が相手だったからこそ千手は呆気なく殺されたが、常人であれば相当に危険な星人だっただろう。それこそ、現段階のこの部屋の実力であれば全滅もあり得るほどに。
西が一年間もの間一人でも生き残り、点数を稼いでいた例をみるに、今回のような高難度のミッションはかなり少ないのだろうが、対策は練っておいて損はない。
もとより、玄野の鍛錬に付き合っているのもその一環だ。
千手と交戦していたメンバーは誰か一人でも生き残っているのだろうか。可能性は低いが、あるとすれば北条か加藤であろう。加藤の性格上、新人と共に突撃するとは考えられず、であるなら経験者だけで本殿へと侵入した筈だ。岸本と貞子が千手相手に生き残れるとは考えられないため、消去法的に二人になる。
まぁ、二人が彼女らを庇ったのだとしたら話は変わるが、その辺りを考え出したらキリがない。
「お、オマエか」
次に転送されてきたのは、軍人の男──東郷だ。
「よう、いい射撃だったぜ」
「俺は任務をこなしただけだ。気にするな」
そう答えて、東郷は部屋の周囲を見渡す。
「本当に戻れるのだな」
「生きてさえいればな。どんな大怪我を負っていようと、とりあえず生きてたら無傷でこの部屋に戻される」
「……なるほど」
ネギ星人の時、加藤は腕を斬り裂かれていたが無傷で戻ってきていた。
その際、一部記憶を失っていたが、おそらく大きすぎる怪我の場合は、治すのではなく怪我をする直前の状態に巻き戻すのだろう。
ところで、と東郷が話題を切り替える。
「あの怪物との戦いを見ていたが、その肉体、身のこなし……オマエは、只者ではないだろう?」
「ハハ、聞かれるとは思ってたよ」
部屋にいた時も射撃の依頼をした時も、東郷からはこちらを観察するような視線を感じていた。
気になっているのだろう。甚爾の完成された肉体に洗練された技量。どうなってそれを身につけたのか、そして甚爾が一体何者であるのかが。
「フリーの殺し屋、といえば信じるか?」
勿論、その全てを教えるつもりはない。
異世界で能力者のようなものを狩って生計を立てていました、などと言っても信じはしないだろう。頭がイカれてると思われて再度問い質されるのがオチだ。
だから、今のようにある程度は正直に答えるつもりだ。異世界云々などはぼかし、伝えられる部分を伝えるだけでいい。
「……信じよう。そういう存在がいることは知っているからな。"リスト"に載っていることもある」
「へぇ、意外とブラックな仕事もしてんのな」
「まぁな。相手にしたこともある」
日本の軍部の闇が垣間見えたが、大きな組織となるとそういう側面は絶対にある。呪術総監部でさえそうだ。保身や利益が大好きな老害どもが牛耳っているクソみたいな組織だった。
平気で呪詛師とも繋がっており、
あそこまで腐った組織は中々にあるまい。
そして、次なる生還者が現れる。
転送されて来たのは、ミッションにより一気に玄野との距離が縮まった桜丘だった。
彼女は甚爾と東郷を見ると、驚いたように目を見開いた。
「転送されたから分かってたけど……ホントに倒したのね」
「面倒な相手だったけどな。まぁ、退屈凌ぎにはなったさ」
「……私、アンタと話したのは数十分前からだけど、規格外さが理解出来たわ……」
実際にボスと遭遇したわけではないが、10人近くの人間が、それも半分近くがスーツを着ていたのにも関わらずに千手に敗北し、そのほとんどが命を落としたのだ。相当に強い相手だというのはなんとなく分かる。
そんな相手を退屈凌ぎと言えるのは、この男くらいのものだろう。その発言からして、まだまだ底を見せていないようだし。
「そういえば、オマエに聞きたかったんだ。本殿の生き残りは誰だったんだ?」
「加藤クンだったわよ。他はみんな死んでた」
やはり、加藤だったようだ。
「胸を貫かれて、酷い出血だった。けど……奇跡的に心臓は外れてたわ。不幸中の幸いね」
「あとは運次第、か。ボス自体は5分程度で終わったが……」
血液の1/3が失われれば生命の危機に瀕する。そうなればただでさえ低いというのに、加藤の助かる見込みはぐんと下がるだろう。
桜丘は、心臓を外れていたとは言っていたが、重要な血管にダメージがいっている可能性もある。少なくとも肺は確実にやられているであろう。はっきり言えば、加藤の生存は絶望的だ。
「……来たぞ」
東郷が指を差す。
桜丘の次に転送されて来たのは、玄野だった。
顔を涙と鼻水でぐちゃぐちゃにし、転送が終わるや否やぺたりと地面に座り込んだ。
桜丘が掛け寄り玄野を抱きしめ、あやすようにして頭を撫でる。玄野は仕切りなしに、加藤と呟いている。
その様子に甚爾は少し驚いた。
玄野は別段、加藤に対して友情や愛着といったものを見せていなかったからだ。ネギ星人の時などは悪感情すら向けていたほどだ。無意識下のうちに気に入っていたのだろう。
とはいえ、別に慰めたりはしない。何が悲しくて男を慰めないといけないのだろうか。そういう役目は桜丘が買って出てくれる。
甚爾としても、玄野の精神的支柱になりつつある桜丘の存在は非常にありがたい。問題としては、互いに依存してしまい、片方を失うと使い物にならなくなる可能性があることだが……まぁ、その辺りはどうとでもなるだろう。
(加藤、オマエはどっちに転がるだろうな)
玄野から目を離し、ガンツに視線を向ける。
もしもこの後、ガンツが採点を行えば加藤は死んだことになる。"3番"を使用して復活させるしかないだろう。
甚爾としては加藤を復活させる旨味はそこまでないため、蘇生をするつもりはない。
加藤の死が玄野へプラスの方向に繋がるか、それともマイナスな方向に行ってしまうかが少々気になるところではあるが。
(──さて、どうなる?)
そして、ガンツは──
◆◇◆
『コイツだよな?』
『ああ、たぶんな』
『よし、撃つぞ!』
『うん……早く倒して、帰ろう!』
『いや、これでいい』
──いい筈だ
『貞子、加藤、岸本! 逃──』
『あ……北、条……く──』
『岸、本……なンで……』
『好き……加藤くん、好き──』
◆◇◆
「──ッ!?」
気がつくと──『彼』は見慣れた部屋に立っていた。
やってくるのは今日で3回目。人の命など、軽く消えてゆく地獄の戦場の入り口がこの部屋だ。
何故、どうして自分はここにいる?
そうだ、先ほど北条たちと残りの星人を倒しに本殿に乗り込んで、そして──
──フラッシュバックする、惨状。
まず北条が死んだ。いち早く千手の危険性を悟り、逃がそうとしたがそれは叶わず、首を飛ばされた。
次は貞子だった。北条を殺されたことに激昂した彼女は千手に突撃したが、あっさりとレーザーで心臓を穿たれ命を落とした。
そして──岸本恵
彼女は『彼』を庇い、最後に自分の想いを伝えて死んでいった。
その後──そうだ!
俺はその後──俺は──
──
「──加藤!」
「!」
その言葉に、『彼』は振り返る。
そこには小さな頃に『彼』が憧れた、今でも憧れている、幼馴染の少年がいた。
涙で眼を腫らし、鼻水を垂れ流しながらも──笑顔で『彼』を出迎えた。
『彼』──加藤 勝は、生還した。
◆◇◆
「け、計ちゃん……」
加藤はまだ上手く状況を飲み込めていないようだった。困惑しながら、部屋の中を見回している。
「俺は、岸本に庇われて……それで……」
「ギリギリ生きてたのよ。意識も朦朧としてて、ほとんど覚えてないでしょうけど」
「そう、か……」
加藤自身も死んだと思ったのだろう。それもそうだ。胸を貫かれてしまえば誰もが死んでしまうと思う筈だ。九死に一生とはまさにこのことだ。
「……北条も貞子、他の人たちも──岸本も、死んだんだな」
「……ああ」
玄野が首肯すると、加藤は静かに涙を流した。力が抜けた手からXガンがこぼれ落ち、床に落ちる。
加藤のような人間には辛いはずだ。既存のメンバーも新人も加藤は救おうとしていた。
だが、結果はどうだろう。加藤に付いていったメンバーは、誰一人として生きて帰って来なかった。
いずれこうなるだろう──甚爾はそう悟っていた。
加藤のような存在は、弱者にとって光であると同時に、絶望を連れてくることだってあるのだ。
そして──終わりの音が部屋に響く。
ミッションの締め切り。
今現在、この部屋にいるメンバー以外は全員死んだという残酷な知らせだ。
『それぢわ ちいてんを はじぬる』
今回のミッションは前回の田中星人の数を上回る18体もの数の星人がいた。雑魚の仏像星人は田中星人には劣るもののそれなりの点数は期待できるだろうし、何よりあの千手観音はその強さ相応の点数が与えられるのなら、高得点が期待できる。
ミッション中にも考えていた100点の数字──本当に辿り着くことが出来るかもしれない。
「これって……」
「採点……ミッションの評価、と言ったところか?」
今回のミッションが初参加である桜丘が首を傾げる。
彼女も彼女でポテンシャルは高いが、一般人ではある。いきなり採点などと言われても困惑するだけだろう。
東郷は軍人ということもあり、観察や推察することは長けている。ある程度の予想はついたようだ。
「説明するより見てもらった方が早え。ま、大体は東郷が言ったことで間違いはねえ」
ブン、と画面が切り替わる。
最初に表示されたのは東郷だ。
「軍人
15てん
TOたる15てん
あと85てんで終わり』
「15点……俺の活躍が15点として評価されたのか、それともあの星人が1体5点だったのか?」
「後者だな。星人それぞれに点数が振られている」
「なるほど」
初回のミッションで15点を取れたのなら十分だろう。
しかし、こうして振り返ると、ネギ星人はボーナスゲームだったのだと思い知らされる。星人の数はたったの2体。常人でもスーツを着てれば余裕で倒せるといった具合だ。
田中星人や今回のミッションが初参加だった者たちは運が悪かったとしか言いようがない。
「あ、私だ」
次は桜丘の番だった。
『美形
0てん
とーたる0てん
あと100てんでおわり
くろののことすきすぎ』
「あ、そうだ。玄野クン、私と付き合うッて約束、忘れてないわよね?」
「あ、ああ……その、よろしくお願いします」
「んふ、カワイイ」
笑って、桜丘は玄野に抱きつく。玄野は「おい!」と叫ぶが、その顔は真っ赤に染まっており満更でもなさそうだった。
「私も次のミッションからやるわ。玄野クンたちばかりに頼るわけにはいかないもの」
そう言って強気の姿勢を見せる桜丘。
立ち姿や筋肉の着き方から、彼女も何らかの格闘技をやっていることが分かる。ミッションでも活躍は期待出来る。
桜丘の次は玄野の採点だった。
『くろの
17てん
TTOTAL32てん
あと 68てんでおわり』
17点──おこりんぼう星人と仏像星人を3体、そして大仏星人を玄野は倒した。その成果としては十分すぎる結果だろう。
「17点……計ちゃん、やっぱりすごいや」
「すごくなんてねーよ。俺一人じゃ、きっと無理だった」
以前の玄野なら自慢げにしていたかもしれないが、彼はこの短期間で精神的な成長を遂げていた。
スーツを使いこなし始めた玄野は、調子に乗ってしまった時期があった。だが、それを甚爾がスーツすら着ずに一方的にボコボコにしたことで鼻っ柱を折られ、自分のアホさ加減をその身に刻み込んだのだった。
まだまだ年相応なところはあるが、これからもっと成長していくだろう。
そして、次の採点は甚爾の番だった。
画面が切り替わり、その点数が表示され、甚爾以外のメンバーは驚きに目を見開く。
『駄目ゴリラ
69てん
TOtaL115てん
100点めにゆ~から選んで下さい』
ついに現れた100点の到達者。
西でさえ1年かけて90点しか貯めていなかったとというのに、甚爾はたった3回のミッションで掴んでみせた。
69点──それほどまでに今回のボス、千手は強大な相手だったのだろう。あばれんぼう星人と仏像星人が3点だったとして、千手の点数は45点。
相応しい点数だと言える。
『100点めにゅ~
1 記憶をけされて解放される
2 より強力な武器を与えられる
3 MEMORYの中から人間をでちる』
自動的に画面が切り替わり、100点メニューが追加される。
東郷と桜丘は、初めてその画面を目にしたため、興味深そうにまじまじと見つめている。
「これが100点を取った時のボーナスだ。俺も詳しいことは知らねえがな。まぁ、文字通りだろうよ」
さて、と甚爾は思案する。
まず"1番"だがこれは初めてメニューを見た時に結論を出したが、論外だ。異世界人である甚爾には戸籍もないためメリットがない。状況としては命の危険はあれど今の方がマシだ。
だからこそ選ぶのは"2番"か"3番"だ。
"2番"は戦力増強にもなるし、点数は取りやすくなるのだろうが、どういう武器か全く予想がつかない。使えない武器が出てくる可能性はもちろんある。
"3番"も人手を集めるという点では有用だ。特に西丈一郎──彼は甚爾では手に入れることが出来ない情報を持っている可能性がある。予定が狂わなければいずれは再生させるつもりだ。
玄野たちが甚爾はどれを選ぶのだろうかと好奇心にも似た感情を向けてくる。
まぁ、元々決めていたことだ。
ガンツ、と黒い球体へと語りかける。
「"2番"だ。強い武器を寄越せ。今すぐにだ」
ごとん、という大きな物体が床に落ちた音が奥の部屋から響いた。
確認しにいくと、乱雑に置かれたガンツソードの中にXショットガンと同程度の大きさの直方体型の銃のような武器が置かれていた。
「これが"2番"の武器か」
かなり大きいが、重さは不思議とあまり感じない。どういった性能かはまだ使っていないので分からないため、一度試す必要があるだろう。
「"1番"じゃなくてよかったんですか?」
新武器の持ち応えなどを確認していると、ふと加藤がそんなことを問いかけてきた。
その質問を甚爾は鼻で笑う。
「俺はオマエが"3番"で岸本を生き返らせてくれ、なんて言うと思ったがな」
「……確かに、一瞬頼もうとしました。けど、岸本が生き返っても、また
たとえ加藤は100点を取ったとしても、岸本を蘇らせる選択は取らないだろう。
そして、それはある意味正解だと甚爾は思う。
岸本は二人いる──それは、玄野から聞いたことだ。それが意味することは、ガンツの再生は蘇生ではなく、西の言っていたようにコピーであるということだ。
肉体と人格と記憶だけが同じの別人──再生させたところで甚爾たちの知っている岸本とは違う。
それに、オリジナルが生きているのなら、再生された岸本に居場所はない。誰も幸せにならない、無意味な選択だ。
「加藤……」
「計ちゃん、俺は100点を集めても、岸本は復活させない」
「ああ、俺もだよ」
岸本とは親密な関係だった二人だ。思うところはたくさんあるのだろう。だからこそ、二人は岸本の再生はしないことに決めた。
部屋に戻り、採点を待つ。
最後は加藤だ。
『かとう
5てん
TOtaL10てん
あと90てんでおわり』
「5点……あの星人か」
おそらく、千手の取り巻きの星人のうちの一人だろう。千手と戦った際に倒してたらしい。
100点まであと90点。長い道のりだ。
これからのミッションで10点ずつ取ったとしても、あと9回生き残らなければならない。
それに、甚爾に玄野、東郷、それに桜丘と、強者たちが集っている。点数を取るのは難しいだろう。
採点は終了し、画面が暗転する。
「伏黒、俺たちはこれからどうなる?」
「分かってんだろ。解放されたきゃ100点取って"1番"取るしかねえ」
「やはり、か。つまり、ミッションはこれからも続いていくんだな?」
「そうだな。今のところは1ヶ月に1回、多くても2回は呼ばれる。今のところはだがな」
東郷も確認のつもりで質問したのだろう。返答に満足したのか、口を閉ざした。
甚爾もこれ以上は質問はないと判断し、廊下へと向かう。
「んじゃ、俺は帰る。生きてりゃまた次のミッションで会うことになるだろ」
そう言って甚爾は、完全に部屋を後にした。
◆◇◆
甚爾が去っていく姿を、加藤はジッと見ていた。
今回のミッションで自分のせいで多くの人間を死なせてしまった。自責の念が重りのようにのしかかり、気を抜けば崩れ落ち、吐いてしまいそうだった。
だが──そんなことをしても意味はない。
死んでしまった彼らに加藤が出来るのは、生き残った自分に出来るのは、その責任を果たすことだけだ。
岸本たちが繋いだこの命を──どう使うべきなのか。
加藤は考え、ある結論に至る。
「計ちゃん、桜丘さん、東郷さん──提案がある」
というわけで加藤は生存です。
感想欄でも散々言われてましたが、東京チームマジで強くなってて笑う。
早く大阪編まで書きたいンゴ。
GANTZ:F 完結後に書いてほしいもの
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GANTZ:Gにパパ黒√
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かっぺ星人後からパパ黒介入√
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チャットルーム回
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その他(個人でメッセージでどうぞ)