千手編よりは短くなる予定──たぶん全3話か2話で終わる予定ですが、少し特殊ギミックを用意しました〜。
GANTZのSS増えろ増えろ……私もそのうちクラスじゃないノーマルGANTZ書くからな……。
たぶん観察日記とほむほむGANTZ、やる夫スレのGANTZを読んだら皆んな書きたくなるはず。
ps.160連回したのにクロエが来てくれない。
あと40連で天井なのでこのまま頑張るぞい。
0013 チームマッチ
羅鼎院でのミッションから数日が経つ。ミッションで戦っている姿はステルスで隠されているため、一般人には見えないようにはなっているが、破壊痕は残る。多くの仏像を始めとする貴重な文化財が納められている羅鼎院の崩壊は、非常に騒ぎになっていた。
甚爾からしてみれば知ったことではないが。
そして、甚爾は今日も今日とて玄野ヘと鍛錬をつけるためにいつもの建設現場へと向かったのだが──そこにはいる筈のない者たちが三人。玄野と共に待っていた。
「伏黒さん」
「……何でオマエらがいるんだ?」
緊張した表情で声を上げたのは──加藤勝だ。彼の両隣には桜丘と東郷もおり、前には玄野が立っていた。
前回のミッションで生き残った、甚爾を除いた4人の人間。
甚爾は玄野に鍛錬をつけていることを他人に教えたことはない。つまり、玄野がバラしたか、それともつけられてバレてしまったのかの二通りとなる。
玄野に目を向けると、びくりと体を震わせて気まずさに目を逸らす。
「いや、その……あの後、伏黒さんが帰ッた後、加藤に相談されてさ……それで……」
あはは、と誤魔化すように笑う玄野だが、焦燥に駆られているのがすぐにわかる。滝のように汗を流して、よく見れば瞳が潤んでいるように見えた。
「ハァ……」
甚爾は思わずため息を吐いた。
「まぁ、連れて来たのはいい……加藤、だいたいは分かるが、要件はなんだ?」
「──俺たちを、計ちゃんと同じように鍛えてほしい」
「やっぱりか」
採点が終わり、甚爾が帰ろうとした時、加藤からずっと視線を感じていた。何となく予想はついており、ただ自分から切り出すことでもないので無視をしていた。
「計ちゃんから聞いた。毎日夜にここで訓練してるッて。
俺はもう──後悔はしたくないンですッ!!」
そう言って頭を下げる──いや、どころか地面に頭を付けて加藤は甚爾に頼み込んだ。
後悔の念。自責。
加藤はもう二度とあんな悲劇を起こしたくなかった。
だが、気持ちだけでそれを実行できるほどミッションは容易くはない。そのために必要なのは、力だ。力がいる。
そして、それを最も持っているのは加藤の知る限り甚爾だけだった。
「──金が払えるなら構わねえよ」
甚爾は加藤の頼みを承諾した。
「元々、声を掛けるつもりではあったしな」
千手の一件で、高難度のミッションに参加させられることもあることは確定した。少し悠長に考えていたが、予定を早めて戦力の増強に力を入れようとは考えていた。
桜丘と加藤だけでなく、東郷までやって来たのは想定外だったがラッキーだ。彼もそれなりの修羅場は潜って来ている。部隊を率いていたこともあるだろうし、有用な存在だ。
甚爾の言葉に加藤は顔を上げ、再び頭を下げた。
「で、だ。問題は金だが──玄野は月に5万払っている。東郷はともかくとして、オマエら二人は払えんのか?」
「私は大丈夫よ」
桜丘は頷く。どうやら彼女は格闘技でそれなりに稼げているらしく、その辺りは特に問題ないらしい。
東郷を除外したのは彼は職に就き、安定した高収入を手に出来ているためだ。
しかし、加藤は厳しそうな表情を浮かべていた。
「その……俺、両親がいなくて……弟と二人暮らしで、あまり余裕がなくて……」
「なるほど」
確かにそれなら5万は高過ぎるだろう。玄野でさえ、仕送りをもらい、そこにバイトを注ぎ込むことで払うことが出来ている。仕送りもなく、アルバイトのお金で何とか生活を続けている加藤には払えない額だ。
すると、東郷が「いいか?」と話に入ってくる。
「なら──
「!?」
加藤が驚いたように東郷を見る。
東郷はそんな加藤に小さく笑みを浮かべ、話を続ける。
「元々俺は、伏黒に相応の金額を払うつもりだった。構わない」
「へぇ、気前がいいな」
「オマエは、俺からはもッと取るつもりだっただろう?」
バレていたらしい。
甚爾が玄野たちに譲歩していたのは、彼らがまだ収入を得ておらず、大金を払えないからだ。その点、東郷は安定した高収入を得ている。五万というのは安い金だろう。
「ミッションが終わった翌日、"上"から大金と共に休暇を言い渡された。金に関しては問題はない」
「ほお、面白えな。"上"ねぇ……」
思いがけない拾いものだ。やはり予想していたようにガンツは上層の人間が操っているらしい。
軍部に所属している東郷に指示を出せるとなると、政界の連中はほぼ黒だと言ってもいいだろう。
と、同時に甚爾は東郷を羨ましく感じた。休暇にプラスして大金も貰える──そんな素晴らしいことがあるだろうか。東郷に掛け合い、こっちにも渡すように言ってもいいかもしれないな、なんて半分本気で思ったりもした。
「東郷さん、そんなわざわざ……」
「構わない、と言った筈だ。収入とは別であるし、元々手を得ることのない金だ。いくら使おうとも俺には関係ない」
「ありがとう、ございます……!」
頭を下げる加藤の肩に東郷が手を乗せる。
「どうせなら、君らの分も払おう」
「ええ!? いいンすか!?」
「ああ」
玄野が涙を流し、東郷に感謝する。
「おい、何か俺が悪役みたいな感じになってねえか?」
「感じじゃなくてなッてるわよ。アンタ、命を盾に金を取ろうとしてみたいなものだし……」
「収入ねえんだから仕方ねえだろ」
タダ働きだけは絶対にしない甚爾の性質上、収入があったとしてもおそらく金を取っていただろうが。
「俺が払うのはその大金全てだ」
「どれだけあるんだ?」
「7桁は堅い、とだけ言っておこう」
「7け──!?」
途方もない金額に玄野が唖然とする。
だが、これくらいは安いものだろうと甚爾は考える。術師殺しとして生計を立てていたのだから、数百万程度は見慣れている。
「どうだ伏黒? 満足か?」
「ああ、そんだけありゃあな」
今回は東郷に交渉のペースを掴まれた。まさか、それほどの大金を持ってくるとは思ってもなかったのだ。
しかし、甚爾にとってマイナスではなく、プラスでしかないためよしとするとしよう。
「伏黒さん、これからよろしくお願いします」
加藤が甚爾に手を伸ばし、握手を求めようとして──引っ込めた。
「男とは、しないんでしたね」
「まぁな。ま、使える程度には鍛えてやるよ」
甚爾はニヤリと笑い、加藤も微笑みを返した。
◆◇◆
それから一週間が経った。
訓練は順調だった。加藤も桜丘もポテンシャルが高いため、動きはどんどん洗練されていった。そして、それに触発されたのか、玄野も更に鍛錬に身を入れ始め、急速に成長していった。
東郷に関しては特に問題はなく、スーツを着た状態で動くことにもすぐに慣れ、甚爾と戦術やガンツについての考察などを語ることが多かった。
そして──再び彼らは部屋に呼ばれた。
鍛錬中に呼ばれたため、身体も適度に温まり、コンディションはバッチリだ。
加藤は前回のこともあり、緊張しているようにも見えるが、その瞳には覚悟が定まっているように見える。
玄野と桜丘はやる気に溢れており、東郷は今回はスーツを着用し、冷静に武器の確認をしていた。
「今回は、新人がいないのか?」
「確かに、今のところ俺らしかいねーしな」
玄野と加藤がそんな疑問を落とす。
確かにこれまでのミッションでは必ず新人が数人呼ばれていた。近郊で一人たりとて死ななかったとは考えにくい。必ずしも追加メンバーがくるとは限らないのかもしれない。
桜丘や東郷のように新しい戦力がやって来ないと考えれば損失だが、下手に足を引っ張るメンツに来られても困る。それに、新人の手助けをしなくてもいいのなら、ミッションもスムーズに進めることが出来るだろう。
甚爾は二人から目を離し、その手に持っている"2番"の武器──玄野名称"Zガン"に目を向ける。
前回のミッションで持ち出し、玄野たちとの鍛錬で使っている場所とは違う
今回のミッションでもきっと役に立つだろう。
そして、ガンツがいつものように歌を流し始めた。
どうやら今回は本当に新人は来ないようだった。どういった条件で決めているのか気になるところではあるが、今はミッションの方が優先だ。
歌が終わり、画面に
『チビ星人
特徴
つよい
根にもつ
気にしてること
背の低さ
特技
人マネ
心を通わす』
「チビ星人……なんか弱そうだな」
「つよい、って書いてるけど?」
「ああ、それは毎回だ。気にすることはねえよ」
チビ星人のビジュアルは、田中星人や仏像に比べれて宇宙人に近い。体色は真っ白であり、米粒のような形の頭部に頬には赤い渦巻きの模様。玄野が弱いと判断してしまうのも無理はない。
ただ、今回はガンツが提供するにしては使えそうな情報が二つほど転がっている。
「人マネ、心を通わす──ね」
人マネというのが動きを真似ることを指すのか見た目を変えるのかは分からない。ただ、後者だった場合は厄介だ。甚爾であれば五感などで察知出来るが、玄野たちはレーダーかスコープで中を透かして確認するしかない。躊躇った隙を狙われる可能性はある。
それに心を通わす──前回の千手の中身同様、もしかしたらコミュニケーションが取れる星人なのかもしれない。そしてそれは、知性が高いということを示す。
そのことを伝えようと思ったが、辞めた。玄野たちが甚爾たちに依存しすぎても困るためだ。
同じ星人が群体としているのではなく、仏像星人のように様々な個体がいることもある。これから先、一人で星人と戦わざるを得ない状況もあるだろう。その時のために洞察力はある程度鍛えておいた方がいい。
「よし、みんな絶対に生き残るぞ!」
玄野が拳で手のひらを叩き、ミッションに対して意気込む。それに対し、加藤、桜丘、東郷は頷いた。
リーダーらしくなって来たな、と甚爾は笑う。
──転送が始まった。
◆◇◆
転送された先は、東京の何処かの市街地、そこに立つ中層ビルの屋上だった。
柵から身を乗り出し、下を見下ろすと普通に通行人が歩いているのが見えた。下で戦うのは流石に辞めとくか、と玄野は思った。知らない人間なんてどうでもいいが、自分のせいで死んだとなると流石に目覚めが悪い。
とりあえず、自分と星人の配置を確認しよう。
レーダーマップを取り出した玄野だが「はぁ!?」と思わず叫んでしまった。
「さ、30体はいるぞ……何だよ、今回は」
マップに表示されている、大量の星人の反応。前回のミッションの2倍近くはある。
「嘘だろマジで……こんだけ居てボスがいるとなると、流石に厄介だぜ……」
「どうしたの、玄野クン」
「
続いて転送されて来た桜丘。ちゃっかり彼女のことを名前で呼びながら、マップを見せつける。彼女も驚嘆を声を上げた。
それから加藤と東郷も転送が完了し、玄野が事情を説明する。
「こんなに星人が……」
「ああ、面倒だな」
「どうする? 玄野クン」
4人で思い悩むが、あまり悠長に時間を掛けられない。ミッションは最初の一人が転送された時点でカウントが始まる。最初に転送されたのが甚爾であり、既に10分は経っている。
「伏黒はもう動いてるな。星人の数が減っていってる」
「駄目人間だけど、ミッションや鍛錬の時は頼りになるわね」
「伏黒さんに全て任せるわけにもいかないし、俺たちも早く動かないとな」
「そうだな……」
加藤の言葉に玄野は頷く。甚爾に任せていてはダメだ。それでは何のために鍛えてもらったのか分からない。
玄野は思考を回し、考える。
甚爾から教えてもらったのは、何も身体の動かし方だけじゃない。立ち回り方などの戦術も教え込まれている。
今回の星人は質よりも量の敵。ただ、質も低いとは限らないため、一人で立ち回るのはリスクがある。甚爾のように個として完成していたり、東郷のように戦いの経験が深いわけでもない玄野たちは、誰かしらと組んで動いた方がいいだろう。
ならば。
「俺と聖、加藤と東郷さんで分かれて動こう」
「分かれて?」
「ああ。この数だ。まとめて動くよりもバラけた方が効率がいい。けど、一人だと対応できないかもしれない。だから二人組になってそれを補うンだ」
これが正しい選択なのかは分からない。
けれど、無策よりかはマシな筈だ。
「その案に乗ろう」
「!」
「俺たちが一人で動くのは危険だ。だから、4人まとめて動くか2組ずつ分かれるかしかない」
玄野の案に東郷が乗る。それに続いて、加藤と桜丘も首肯する。
「ただ、ヤバそうだったらすぐに合流すること。その場合は4人で行動しよう」
「了解」
「わかったよ」
それを最後に4人は二手に分かれ、星人を撃破しに向かう。
「絶対に生き残るわよ!」
「ああ……! 俺だッてやれるンだッて証明してやるッ!!」
玄野を中心として、この部屋が初めてチームとして動き始める。
リーダーの兆し。
甚爾がその方向性を示すために植え込んだ種が、本人の預かり知らぬところで芽生え始めていた。
◆◇◆
玄野たちと分かれた加藤と東郷たちは、マップを確認しながら星人の下へと向かっていた。ミッション範囲は特に広くはなく、星人の数からして遭遇までにそうは時間は掛からないだろう。
一番近いところにいる星人は3体。向こうがどんな能力を有しているかは分からないため、油断は出来ない。念のため遠くから狙おうという東郷の意見に加藤は賛成した。
「東郷さん、いけそうだったら俺が突っ込みます。射撃でカバーして貰えますか?」
「了解した。だが、君は星人を殺せるのか? この前、苦手だと言ッていただろう」
「それは……」
確かにそうだ。ネギ星人、田中星人、仏像星人──段々と抵抗感は薄れていったとはいえ、消えはしなかった。
覚悟は決めた筈だ。
だが、人の性根はそう簡単には変わらない。実際に星人に手を掛けようとして、加藤は引き金を引くことが出来るのか。
じり、と汗が滲む。
「……分かりませン。けど、俺はもう後悔はしたくないッ!」
「そうか。なら、カバーは任せろ」
「……ありがとうございます」
加藤の苦悩は、東郷にとってはリスクでしかない筈だ。それでも彼はそれを受け入れ、全力でカバーすると答えてくれた。
だったら──
(俺も、乗り越えなくちゃいけない)
岸本に助けられた命。
今は東郷の命も背負っている。
何より加藤には、帰りを待つ弟がいるのだ。そのためにも星人は絶対に倒さなくてはならない。
射撃ポイントにつき、星人の反応がある道路を見る。しかし、そこで加藤と東郷は眉を顰める。
「東郷さん、これッて──」
「……ああ。
視線の先──そこにはガンツの提示した星人の姿はなく、
◆◇◆
そして、玄野たちも同じ状況に陥っていた。
星人の反応がある屋根の上にやって来たが、星人の姿は見当たらない。そこには一般人がいるだけだ。
「どういうことだ……?」
「分からない、けど──」
嫌な予感がする。
二人の視線の先、そこにいる五人の一般人は──
◆◇◆
同時刻、そこから1キロほど離れた場所。
大きく抉れた壁。ぽっかりと大きな円形の穴が空いた地面。
壁と地面には夥しい量の鮮血と肉片が付着している。そして、彼の足元には不気味なほど真っ白な、人間ではない生物の頭部や四肢が落ちていた。
『貴様、よくも同胞を──!』
「あ゛ー、頭に話しかけてくんのやめろよ気持ち悪い」
『破壊する! 解体する! 貴様を必ず!』
「ハッ、解体されるのはオマエらだろうが」
仲間を殺されたチビ星人が甚爾に襲いかかってくる。凄まじい速度だ。仏像星人の中にも速い個体がいたが、その比ではない。
だが、甚爾にとっては欠伸が出る程度のもの。タイミングを合わせ、真っ二つに切断する。
「これで5体目。アイツらはどうしてんだろうな」
油断さえしなければ、この程度の星人にやられることはないだろう。
そう結論付けたところで、更なる敵がやって来る。
『破壊する。破壊する』
『同胞を殺した。ただでは殺さない』
『同胞と同じ──それ以上の目に遭わせてやる』
『四肢を捥ごう。首も引きちぎろう』
『──許さない』
玄野たちが発見した個体と同じく、表情の消えた不気味な一般人の姿をしている。
気持ち悪いな、と甚爾は吐き捨てた。
続きは明日の21時に予約投稿しております
原作との相違点
・チビ星人の数が3倍に
・一部のチビ星人の様子が違う。チビ星人の能力を知っている人は察しがついてるかも?
パパ黒、大金ゲット──! なお、東郷にその面は信用されていないので、月額で少しずつ渡されてゆく模様。
東郷の性格は完全にオリジナルです。イメージが違うかもしれませんが、その辺は流してくれると助かります。
東郷が大金を手に入れ、休暇を言い渡された理由ですが、完全に裏設定です。
本作では、政界のトップ層はもうガンツ側に染まっており、『来たる日』に備えて東郷を戦士として育て上げることに。
まぁ、死んでしまえばそこで終わりですが。
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