GANTZ:F   作:うたたね。

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前回までのあらすじ

パパ黒「俺は他殺で死んだ」
玄野達「マ?」
読者様「実質カタストロフィに襲われたみたいなもんだろ」
ぼく「考察を気に入ってくれてて嬉しい」

感想、お気に入り、誤字報告、評価、ありがとうございます!


【謝罪】
17話にて、鈴木のおっちゃんがいるかのような描写がありました。
すいません、消し忘れです。
本作では鈴木のおっちゃんは部屋に呼ばれていません。
勘違いさせてしまった方には大変申し訳ないです。


0018 ジェ(ジュ)ラシック・ミッション

 博物館へと侵入した甚爾に、突如として複数の星人が襲い掛かってきた。その数は6匹。彼らは甚爾を囲おうとするが、それを容易く潜り抜けた。甚爾はそのまま星人がギリギリ動けない速度で博物館内をぐるぐると回る。

 

「恐竜か」

 

 チラリと敵の姿を確認した甚爾が、つぶやいた。

 全長2メートルほどの小型の肉食竜。鋭い鉤爪と牙が特徴的な恐竜だ。名前はたしかラプトルだったか。その昔、肉体関係であった女が恐竜好きであり、そのせいで微妙に知識があった。微かながらに残っていた記憶からその名前を引っ張り出す。

 ラプトルは、知性が高く好戦的な恐竜だ。ジュラシックパークでも主人公たちの敵としてよく現れる。

 やはり、千手と同じタイプのようだ。展示物に寄生し、ひっそりと生きてきた星人。もしかしたら近位種なのかもしれない。

 

(つーか、コイツらステルスが効かねぇのか)

 

 甚爾は今もなおステルスを起動している。だが、ラプトルたちはきちんと甚爾を認識しており、視界の中に捉えている。

 別に驚きはしない。ステルス自体の仕組みは単純で、あくまで視界から消え失せるだけ。五感が鋭い生物であれば認識することは可能なのだ。事実、甚爾は西のステルスを破っている。

 

 ただ、ステルスが効かないからと言って不利に働くわけではない。甚爾にとっては楽に敵を倒せるからという補助道具的なものでしかなく、戦闘のメインに据えているわけではない。

 

「やるか」

 

 持っていたZガンを上に放り投げ、ガンツソードに手を添え、振り返りながら立ち止まり、()()()

 ラプトルたちはそれを跳躍して避けるが、全ての個体が避けられたわけではない。後方の個体は間に合わず胴体を斬り飛ばされ、地面に転がった。

 残りは4体。

 跳躍したラプトルたちを多重ロックオンし、引き金を引く。彼らは瞬く間に弾け飛び、肉塊へとその姿を変えた。

 やはり、複数体を相手取るなら多重ロックオンは非常に使いやすい。そればかりに頼るのも良くないが、使い所を間違わなければ強力な機能である。

 

 Zガンを拾い上げ、甚爾はレーダーを確認する。転送直後では博物館内に大量にあった反応が、かなりの数外に流れ出ている。部屋のメンバーも半分程度は消えており、やられたのはおそらく新規メンバーだろう。

 玄野たちも実力はかなり上がっているが、交渉や説得などはさっぱりだ。そもそも、ガンツのことを新規のメンバー全員に信じてもらうなど絶対に不可能。夢物語だ。

 加藤は納得しないだろうが、信じない新人は切り捨てるべきだ。

 

(博物館に誰か一人いるな……まぁ、十中八九和泉だろうな)

 

 そちらに向かうと、予想通り和泉がいた。彼が戦っているのはトリケラトプスだった。しかし、甚爾の知るトリケラトプスではない。筋骨隆々の肉体で二足歩行をしており、拳で和泉を攻撃していた。

 何というか、非常にシュールな光景だ。

 和泉はこちらに気がついたが、特に声をかけることなく戦いに没入している。

 その動きは玄野たちよりも優れており、彼が昔あの部屋で戦っていたという事実の証明でもあった。ブランクもあるのだろう。動きにはまだまだムラがあるが、それもどんどん修正されていく。

 ガンツソードを伸ばし、迫るトリケラトプスを一刀両断した和泉はふぅ、と息を吐いた。

 

「どうだ? ブランクは消えたか?」

「……伏黒」

「あのサイトでオマエは実力者として描写されていた。嘘じゃなかったみたいだな」

「サイトに、俺が……?」

「あ?」

 

 和泉が困惑した顔を見せる。

 

「オマエ、サイトを全部見たわけじゃないのか?」

「あ、ああ……何個か見てないのは、ある」

 

 本当に見ていないらしい。その言葉が嘘でないことは分かる。

 おかしな話だ。あれほどミッションに参加することを渇望していて、サイトに惹かれていたと言っていたのにも関わらず、見ていないところがある。それも細かいところならまだしもミッションの話を、だ。

 

「……オマエはこんなところで無駄話していていいのか、伏黒? 点数が欲しくないのか?」

「まさか。今回で100点を取るつもりだしな」

「……ボスか」

「御名答」

 

 博物館に残っている反応はあと7体。そのうち動いていない反応が2つ存在する。それがボスであると甚爾は思っている。

 

「ボスを倒すのは、俺だ」

「止めてみるか?」

「……」

 

 甚爾が笑うと、和泉はガンツソードを静かに構えた。緊張からか、表情は強張っているが、目は本気だ。

 冷たい殺気を纏い、いつでも動けると言わんばかりにスーツがミシミシと軋んでいる。

 しかし。

 

「……やめだ。実力差くらいは……分かるさ。今の俺では、オマエには勝てない」

「へぇ」

 

 構えを解き、ガンツソードを収める和泉。

 

「だが、ボスは俺が倒す。オマエよりも先に、俺が絶対にッ!」

 

 だが、諦めたわけではなかった。和泉の瞳は轟々と燃えている。それはもう決意というよりは、衝動だ。

 

「そうか──けどまぁ、それは叶わねぇ話だな」

 

 何、と和泉が怪訝に眉を顰めたその刹那。

 

 ズン! 

 

 そんな大きな足音と振動と共に現れた2匹のトリケラトプス。彼らは仲間の死体を見ると同時に大きく咆哮し、 みるみるうちにその体を隆起させ、先程の個体と同じ姿となった。

 

「じゃ、ソイツらは任せたわ」

「! オマエ──!」

 

 跳躍し、甚爾は2匹のトリケラトプスの間を潜り抜け、ボス星人の下へと向かった。

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

「やッてくれたな、伏黒──!」

 

 甚爾が逃げていった方向を睨みつけながら、和泉は刀を構える。

 一刻も早く追わなければ、甚爾にボス星人が倒されてしまう。ボスがどれほどの星人かは分からないが、あれほどの実力者であれば並大抵の敵では相手にならないだろう。

 

【ツーテンカク グルルロロコロロロ】

【グルルルル……トリケラサン……】

「……チッ」

 

 こちらを睨みつけるトリケラトプス2匹。和泉もガンツソードを構え、迎撃の姿勢を取る。

 トリケラトプスたちの動きは既に見た。この2匹も見た目は微妙に違うが、戦闘スタイルはおそらくほぼ同じと見ていい。違っていれば対処すればいいだけの話だ。

 2匹同時にかかって来られようと負ける気はしなかった。恐怖や絶望など、そんな感情は湧かない。

 これだ。

 スポーツや勉強では味わえないスリル!

 和泉紫音の居場所──望んだ世界だ。

 

「クク……ハハッ……!」

 

 トリケラトプスの怒り。

 和泉の喜び。

 両者の感情がぶつかり合い、一歩前へ足を踏み出したその直後のことだった。

 

 ──ギャアアァァアオオオオオオオオン!!!!

 

 空気が震える。

 地が揺れる。

 

 和泉とトリケラトプスの下へ──最強の恐竜がやってきた。

 

「T-レックス……か」

 

 それも──3()()

 

 トリケラトプスとT-レックス──合わせて5体だ。

 流石に厄介だな、と和泉は顔を歪める。

 負けるヴィジョンは見えないが、確実に甚爾には追いつけなくなった。このままこの星人たちから逃げ、甚爾の下へ向かうのはリスクが高い。最悪の場合ボス星人との板挟みになる。

 ここで倒す他ない。

 

 ふぅ、と息を吐き、ガンツソードを振り抜こうとしたその時──!

 

「なッ──!?」

 

 T-レックスとトリケラトプスが仲間割れを始めた。

 いや、確かに2匹の生態を考えれば普通のことではあるが、あくまで彼らは星人。そういった肉食動物だの草食だのとは無関係だと思っていた。

 2匹のトリケラトプスが自慢の剛腕でT-レックスを殴り付けるが、すぐに形勢は逆転する。残りの2匹のTレックスがトリケラトプスに向かって火球を浴びせようとし始めたのだ。

 その瞬間、和泉はガンツソードを振るった。あの火球の威力をすぐに悟ったのだ。このままではトリケラトプスがやられる、と。

 

(点数は、俺のモノだ)

 

 火球がトリケラトプスに当たるよりも早く、ガンツソードがその首を撥ね飛ばした。

 そこで和泉にとって予想外のことが起こる。

 標的を失ったT-レックスがトリケラトプスに向けていた口をこちらに向けてきたのだ。

 

「!」

 

 火球が和泉に向かって放たれる。

 その時には和泉は駆け出していた。

 直後、和泉が立っていた場所が爆音と共に消し飛んだ。その凄まじい威力から生じた風圧に和泉は吹き飛ばされる。

 急いで受け身を取り、先ほどまで立っていた場所を見ると、クレーターがひとつ出来上がっているのが見えた。

 

【グルルル……!】

 

 そして、こちらをジッと見つめて唸るT-レックス。

 トリケラトプスよりも遥かに強い個体が3匹。

 和泉はそんな絶望的な状況にも関わらず──笑っていた。

 

「殺ッてやるさ……!」

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

「クッソ! 数が多過ぎンだろ!」

 

 そしてその頃、玄野たちも博物館から急に現れた大量のラプトルたちと戦っていた。その数40体近く。遠くから東郷が撃ってはいるものの、流石にこの量を一人では無理がある。

 幕張メッセ前は、人間と恐竜が殺し合うという何とも奇妙な空間と化していた。

 

 新規メンバーはそれなりの数の死者が出てしまった。玄野たちも安全な場所に誘導しようとしたが、何人かはそれを振り払いエリア外へ。ラプトルたちにやられてしまった者もいる。

 今、生きているのは玄野たちの言うことを聞きスーツを着た者と身体能力に自信のあるものだけだ。

 

「計ちゃん、大丈夫?」

「ああ、数が多いだけで1体1体は大したことねー。時間はかかるだろうけど、やれる!」

「そうね。けど、あの駄目ゴリラが不安ね」

「……まぁ、あんなことを言われたらな」

 

 ──俺の死因は他殺だ

 

 あの甚爾を殺した人間がいる。その事実に、玄野たちはハッとなった。

 いつの間にか、甚爾ならば誰にも負けないと思い込んでいたのだ。だから、自分たちが勝てなくても甚爾がいれば大丈夫だなんて、甘いことを無意識のうちに考えるようになっていた。

 その思考は、玄野の原点とはかけ離れたものだ。

 強くなりたい。

 ヒーローになりたい。

 そう思って、甚爾に弟子入りをしたというのに。

 あまりの不甲斐なさに死にたくなるくらいだ。

 

「──まだまだだな、俺も」

「けど、諦めるつもりないんでしょ?」

 

「当たり前だろ。俺はもっと強くなる」

 

 

 

「右胸だ! 右胸を狙え!」

「はい!」

 

 坂田と桜井が拳を握り締めると、ラプトルが苦しみ始めばたりと倒れる。

 それを見た加藤は、やはりすごい能力だな、と思った。

 加藤が二人と知り合ったのは、つい最近のことだ。加藤が困っているところを彼らが超能力を使い解決してくれ、その日一緒に夕飯を囲ったというだけの話だ。

 彼らの超能力はすごい。透視も出来るし物も触れずに動かすことが出来る。そしてそれを悪用することなく、他人のために使えるその善心を加藤は尊敬する。

 だからこそ、そんな力を星人を殺すために使わせてしまっている現状に申し訳なさを感じていた。

 

「加藤さん、危ないッ!」

 

 桜井の言葉にハッとする加藤。振り返ると、ラプトルがこちらに飛びかかってきていた。

 咄嗟に避けようとしたその時、勢いよくラプトルが吹っ飛んでいく。

 

「油断大敵ばい」

「あ、ありがとう。助かッたよ」

 

 風大左衛門。

 手加減していたとはいえ、スーツを着た玄野と渡り合うことが出来たというとんでもない男。その力はスーツを着ることで更に高められ、この場において向かうところ敵なしだ。

 

「よし! このまま押し切るぞ!」

 

 玄野が叫び、鼓舞する。

 加藤もそれに頷き、答えた。

 

 

 

 彼らは次々とラプトルを倒していった。

 最初は混乱の渦の中にいたが、段々と冷静さを取り戻していったのだ。そうして10分ほど経ち、玄野が最後の一匹を倒したことでラプトルは全滅した。

 

「やッたな、計ちゃん……」

「ああ、そうだな。みんなのおかげだ」

 

 玄野と加藤が振り返ると、共に戦ってくれたメンバーが笑みを浮かべてこちらを見ていた。いや、それだけではない。戦いに参加していなかったメンバーも玄野たちを褒め称え感謝を述べている。

 

「俺、こんなに褒められたの初めてだよ」

 

 最初は地獄だと思っていたこの場所が、次第に玄野の中で新たな居場所となっていた。

 いつも褒められるのは弟ばかりで、誰も玄野のことを見ようともしなかった。

 けど、今はどうだ?

 彼らはきちんと──玄野を見てくれている。

 それが玄野には、嬉しくてたまらなかった。

 

 玄野は照れ臭そうに頬を掻いた。そんな様子を見た一人の少女が玄野に近づいて、その手を握った。

 

「え」

「ありがとう……あなたのおかげで、生き残ることができた」

「えッと……その……」

 

 桜丘と付き合っているとはいえ、玄野に女性との関わりは多いわけではない。整った顔に豊満な体型の少女に詰め寄られて、ドギマギしてしまうのは無理はない話だ。

 だが、ここに桜丘がいることを玄野は失念していた。

 

「計ちゃん……?」

「せ、聖……! いや、違うンだッて! び、びッくりしちゃッてさ……は、ははは」

「……」

「はい、すいませン」

 

 殺されるかと思った。

 後のガンツメンバー男会で玄野はそう語る。

 

「……」

 

 そんな二人の様子を、少女はジッと見つめていた。

 それに気づいた桜丘が少女の目を見る。

 

「……」

「……」

 

 ぶるりと玄野の背筋に寒気が走った。

 

「オマエさんも罪な男だな」

「はぁ? 意味が分かンねーよ」

 

 玄野の肩に手を置き、やれやれと首を振る坂田。意味が分からず、玄野は困惑する。

 

 

 そして、彼らの下に東郷がやってきた。遠くからラプトルたちを撃ち、玄野たちのサポートをしていたのだ。もうラプトルがいなくなったため、降りて来たのだろう。

 

「一応、ガンツが表示していた"かっぺ星人"らしき個体は狙撃して倒した。俺はこれから中に向かうが、オマエたちはどうする?」

「俺も行くッす。甚爾さんばかりに戦わせるわけには行かないッすから」

 

 かっぺ星人を倒したのにミッションが終わらないということは、やはりボス星人は別にいるということなのだろう。レーダーを見る限り、()()()()()()()()。星人の周囲に反応が一つと、そちらに向かっている反応がもう一つ。おそらく片方は和泉だろう。

 

「ぁ……なら、あれを使ッたらどうかしら?」

 

 少女が指を差した方向にあったのは、奥の部屋にガンツソードと共に置かれてあったホイールバイクだ。

 

「転送される直前に、たまたま触ってたら一緒に……」

「助かる。えーッと、名前は──」

「レイカ。下平玲花」

「ありがとう、レイ──レイカァ!?」

 

 玄野だけではない。その場にいた加藤と東郷以外の全員が目を飛び出すのではないかとばかりに見開き驚く。それは同性である桜丘も例外ではなく。

 

「ええ!? あのグラビアの……?」

「有名な人なのか、計ちゃん」

「俺も知らないな」

「嘘だろオマエら……」

 

 加藤と東郷の言葉に玄野たちは信じられないという目を向ける。

 杉本レイカ。

 ここ最近、急速に有名になったグラビアアイドルだ。

 CMなどにも多く活用され、テレビを付けていれば目にしない日はないくらいだ。

 バイト三昧の加藤や仕事人の東郷は流行りに疎いので、知らないのも無理はないかもしれないが。

 

「まさかこンなところでレイカと会えるとはなぁ……死ンでも悪いことばかりじゃねーなぁ」

「何言ッてンですか、師匠……気持ちはわかンなくもないですけど」

 

 男であれば一度は憧れてしまう少女だ。

 端正な顔立ちに絶妙なプロポーション。惹かれない筈がない。

 握手会では二度と手を洗わないと宣言する者やレイカの側の空気を持ち帰る狂信者もいるほどだ。

 

(……強力なライバルが現れたわね……)

 

 桜丘は、千手以上の危機感をレイカに向けていた。

 

「雑談はもういいだろう。早く伏黒の下へ向かうぞ」

「そうだッた。東郷さん、バイク運転出来るンすか?」

「ああ、問題ない」

 

 バイクは二人乗り用だった。一人が運転席へ乗り、もう一人はバイクの後方に後ろ向きで座るようになっている。

 東郷たちもこのバイクに乗るのは初めてのため、エンジンの起動方法が分からなかったが、適当に弄っていると電源が付いた。

 

「計ちゃん、俺たちも行った方がいいんじゃないか?」

「いや、流石にボスは危険だろ。新人は特に」

「けど……」

「大丈夫だッて。そンなに心配なら、10分だ。10分経ッたらこッちに来てくれ」

「……わかッた。気をつけてな」

「ああ!」

 

 加藤も先程の甚爾の言葉が気になっているに違いない。

 

「いくぞ」

「お願いします」

 

 バイクが動き出し、凄まじい速さで博物館へと向かっていく。

 そこでふと、玄野は気がついた。

 一体どうやって中に入るのだろうか。

 

「東郷さん、まさかこのまま突ッ込む気?」

「……しッかり掴まッていろ」

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

【許すまじ……小さき者ども……我が子を殺めた者ども……この身亡びるまで滅してくれよう】

 

 甚爾の前に君臨する巨大な恐竜──ブラキオサウルス。

 羅鼎院で見たあの仏像よりも大きい。

 だが、既存のブラキオザウルスと違うのは、その頭部についている大きな刃だ。その点だけが異質。コイツこそがボス星人であると甚爾は悟った。

 

「我が子ってのは、そこで転がってる奴か?」

【そうだ……よくも……よくも……】

「悪ぃな。無防備に寝てやがるもんだからよ。つい殺っちまった」

 

 甚爾とブラキオの間に転がる死体。身体の大部分が押し潰されているが、このブラキオと同じ個体であることは辛うじて分かる。

 この場所に辿り着いた瞬間に甚爾が躊躇なく寝ている子ブラキオにZガンをお見舞いしたのだ。

 

【我々は……静かに暮らしていただけだ……先に手を出したのは……貴様らの方だ……】

「不法侵入して来たのはオマエらだろ。文句言われても仕方ねぇな」

 

 異世界からやってきた甚爾がそれを言うのもおかしな話ではあるが、甚爾の場合は拉致されてきたみたいなものなので仕方ないといえば仕方のないことではある。

 その言葉を聞いたブラキオは、頭部を高速で振り回しながら一言呟いた。

 

【ならば──去ね】

 

 とてつもない速度でブラキオは頭部を振り下ろした。その速度は音速にも迫っており、たとえスーツを着ていようと直撃すれば一撃で耐久を持っていかれるだろう。

 ただ、甚爾はそれを五感で視認している。タイミングを合わせ、ガンツソードでその攻撃を弾く。

 中々に重い一撃だ。何より、この巨体でこの速度。遠心力を巧く利用していいる。

 ただ、その分動きは単調だ。視覚で十分に捉えられるし、タイミングも合わせやすい。それに速度が速いといっても、それは首の振りによる攻撃だけで全体的な動きはそこまでではない。

 攻撃を弾き、時には避けながら、そこで生まれる隙を狙い的確にブラキオに傷をつけていく。

 

【ぐ、ぬ……!? 貴様……ッ!】

「千手よりは弱いな、こりゃ」

 

 デカイ図体だけだ。

 スピードも膂力も千手よりは上。それでも、甚爾には敵わない。

 そもそも、基礎基本のゴリ押しは甚爾にはあまり効果はないのだ。何せ、その超人じみた身体能力で誰も対処できるから。どちらかと言えば搦手を使われたり、物理攻撃を無効化されたりした方が厄介だ。

 だからこそ、それらに対応出来るように生前の甚爾は多くの呪具を所持していた。

 

 ブラキオの攻撃は当たらない。怒りからか、はたまた焦りからか。更に速度が上昇し、重みが増していくが関係はない。

 甚爾とブラキオでは性能(スペック)からして差が大きく開いている。

 加えて甚爾には積み重ねた経験値があり、ブラキオには万が一にも勝ち目はない。

 

【馬鹿、な……ッ!】

「そろそろ終わらせるか」

 

 ブラキオが首を振るうよりも先に甚爾がガンツソードを振るう。ブラキオの最大の武器である頭部はあっさりと斬り飛ばされた。

 しかし、ブラキオの本体はそこではない。脳や心臓といった部位はブラキオの腹部に内包されている。

 首を振る攻撃を封じられたブラキオは、その大きな動体で踏み潰そうとするが、その時既にブラキオの死は確定していた。

 甚爾が片手に持っていたZガン。

 それは既にブラキオの胴体を撃ち抜いていた。

 

【ッ!? ち、……き……者……】

 

 

 最後まで甚爾に対して呪詛を吐きながら、ブラキオは倒れた。

 

 




ブラキオさんはあっさりと終了。
まぁ、攻撃手段が物理だけなので大した相手ではないよね、っていう。

【和泉について】
和泉、何故あのサイトを見ていたのに自分がミッションに参加していたことに確信を持っていなかったんだろうとずっと疑問に思ってました。
西はあのサイトに他人の名前を書き込むことに躊躇なんてしてないので、和泉の名前も確実に書かれているはず。
あのサイトを読み込んでるであろう和泉が、その方に気がつかないはずがない。実際に玄野のことを特定していますから。
では、何故和泉が自分が住人であったことに確証を持たなかったのかと言うと、あり得るのは二つです。

①単純に和泉が解放された後にサイトを書き始め、それ以前のミッションは書いていない。

けど、これは何だかなぁって感じもします。
西くんなら確実に書いてると思うんですよね。あんまりしっくりこない。

②和泉が無意識のうちに避けてた可能性。

正直、これを推してます。
和泉の解放の理由は、ひょうほん星人が映し出した未来を見て、自分の末路を見てしまったから。
無意識のうちに1番を選んで解放されちゃったんですね。
なので、自分が参加したミッションを無意識下で避けてたんじゃないかって。トラウマとも呼ぶべきものなのかもしれません。

今作では②を採用させてもらっています。
もし他に意見があれば、じゃんじゃか教えてくださいな〜。


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GANTZ:F 完結後に書いてほしいもの

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  • かっぺ星人後からパパ黒介入√
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