GANTZ:F   作:うたたね。

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0020 "3番"

 今回100点メニューを選択出来るかどうかは運次第と言ったところだ。前回までの持ち点は60点ジャスト。つまり、今回のミッションでは40点以上を獲得する必要があった。

 星人の点数はこの採点時に予想を立てるしか方法はない。

 ラプトルを6匹、親子ブラキオを1匹ずつ今回倒している。そのうちボスは1匹であり、それなりの高得点を獲得出来ると予想出来るが、20点〜30点とブレが激しい。ラプトルを1点とし、子ブラキオを5点と換算すれば、少なくとも親ブラキオは29点以上なければ100点に届かない。

 前回と比べ、ミッションの間の期間が空いている以上、西の復活は後回しとなり、情報の獲得が遅れることになる。

 "カタストロフィ"と呼ばれる何かがいつ起こるか分からないため、西の復活は早急に行いたかったのだが、今回ばかりは甚爾のミスだ。

 吸血鬼の点数もミッションの標的外のため、おそらく鑑定には入れられていないだろう。

 

(……今更後悔しても遅いが。仕方ねえ)

 

 あとはもうなるようになるしかない。もし100点に届かなかったとしても、その結果を受け入れる他ない。

 

「今回はほとんどの人が星人を倒してるから、差はあっても点数は貰えてると思う」

「星人を倒さないと点数はもらえないのか?」

「ああ。まぁ、点数がなかッたからッて、罰があるわけじゃないけど」

 

 ミッションに関わることでペナルティがあるとすれば、星人を倒しきれずにミッションを失敗してしまった場合。尤も、試す気はない。そんなものを検証するバカは何処にもいない。メリットがないからだ。

 そんなものを試す奴がいるとしたら、よっぽどのバカかあるいは狂人かだ。

 

「その……点数が溜まったら、何かあるの?」

「100点を貯めると、ガンツから特典を選べるンだ。そこの伏黒さんは、一度100点を取ッてる」

 

 視線が一気にこちらに集まってきた。

 

「特典の内容は?」

「この後教える。実際に見てもらッた方が早いしな」

「だな。採点も始まることだし」

 

 タイミング良く、ガンツの画面が切り替わる。

 

 

アホの、、、

 15てん

 TotaL15てん

   あと 8

    

 

 

「15点……そういや、恐竜そんくらい倒したかも」

「1体1点ッてことか……」

「85点で終わりッて……?」

「後でわかるわよ」

 

 

くろののふぁん

 てん

 ライばる 美形

 TotaLてん

    あと 100

 

 

 

 ガンツのコメントを見た瞬間、レイカは顔を赤く染め上げて叫んだ。

 

「えッ、えーッ、えーッ! うそッ、うそッ!」

「え? え?」

「え、俺?」

「……やッぱり警戒が必要ね」

「モテ期じゃねぇか、玄野」

 

 とぼけた顔をしていることは多いが、玄野の顔つきは悪くはない。整っていると言ってもいい。確か桜丘も、玄野の顔が気に入ったから好きになったと言っていた。

 玄野の気づかぬところで巻き起こっている修羅場に甚爾は笑いが溢れそうだった。面白そうなので黙っておくことにしよう。

 

 

いなかっぺ大将

 16てん

 TotaL16てん

   あと 84

   

 

 

「……あンまり倒せンかッたばい」

「ラプトル、めッちゃ逃げてましたもンね……」

 

 風はどうやらその気質故に恐竜から恐れられていたようだ。

 甚爾のように巧く気配を消す術を持っているわけではないので、それも仕方のないことだ。まぁ、ただ強いだけの一般人がそれほどの気迫を纏っていること自体、中々おかしなことではあるが。

 

 

チェリー

  10てん

 TotaL10てん

   あと 90

   

 

 

「10点かぁ。まだまだですね」

「いや、"能力"覚えたてであれだけ出来れば十分さ」

「能力?」

 

 聞き慣れない言葉に甚爾が疑問を呈す。

 坂田がニヤリと笑いながら、

 

「俺たち、超能力が使えンのよ。ほら」

 

 ピン、とコインを指で飛ばすと、飛ばされたコインは地面に落ちることなくくるくると空中に浮遊している。

 その光景に甚爾は目を見開いた。

 コインが浮いたことにではなく、坂田の持つ超能力という存在に、だ。

 呪力という概念の存在しないこの世界。それ故に"術式"のような特殊能力は存在しないと思っていた。

 甚爾のいた世界では術式や結界術以外で異能力というものは存在しなかったからこそ、その驚きは非常に大きい。

 

「どういう原理だ?」

「さァ? 俺もよく知らねー」

 

 嘘はない。代わりに何かを隠してはいるが、そこに悪意は感じられないためスルーしても構わないだろう。

 

(星人を殺せるっつーことは、それなりに強力な力場を生み出せるんだろうが、代償はあるみたいだな)

 

 左肩で鼻血を拭く坂田を見て、甚爾は目を細める。

 代償は身体機能への負担と言ったところか。坂田の内臓機能はかなり衰えているのが分かる。ガンツによって回復されないのはおかしな話ではあるが。

 その辺りをこの二人は気づいているのだろうか。

 おそらく坂田の方は何となく察してはいるだろう。甚爾もそれを伝えるつもりはない。戦力の低下はなるべく避けておきたいのだ。

 

 

和泉くん

  18てん

 TotaL18てん

   あと 82

   

 

 

「……」

 

 新人の中では最も高い点数を取った和泉。その表情は満足していないように見える。

 和泉はスリルを味わいたいがためにミッションを熟す稀有な存在だ。点数に一喜一憂したりはしない。ただ、新人たちの点数を見て驚いているようではあった。

 

「強い人間……そういうことか、ガンツ」

 

 ポツリと呟いた和泉は、何やら納得したように口を閉じた。

 

 

くろの

  20てん

 TotaL73てん

   あと 27

   

 

 

「おおーッ、20点! やるねー!」

「さすがリーダー!」

「ちょッとリーダーッて、やめてくれよ」

 

 玄野の点数に、新人たちが感嘆の声を漏らす。

 いい傾向だ。部屋のメンバーが玄野をリーダーと認め始めている。

 チビ星人の時から玄野のリーダーとしての素質は芽生え出していた。玄野の秘めた才能──生き残る道筋を見つけ出す、特異な力。

 それこそが他人を惹きつけ、玄野の後ろを他者が付いていくようになる。

 

 甚爾や東郷ではリーダーにはなり得ない。

 甚爾はその強さが個人として完成されているが故に。

 東郷はその在り方が兵士であるが故に。

 

 甘さが消えた加藤もリーダーの資質があるが、彼自身が玄野をリーダーとして認めているため、どの道この部屋では自然と玄野になる筈だ。

 

 当面の目的であった甚爾のチーム作り、その基盤はもうほとんど完成したと言っても過言ではない。

 

(100点まで27点……まぁ、桜丘がいる限りコイツが解放を選ぶことはあり得ねえか)

 

 懸念は玄野が解放されることであったが、桜丘という存在がいればこの部屋へ繋ぎ止める鎖として十分に作用する。

 手を打つ必要はない。

 

 

 それから、採点は次々と進んでいった。

 

 

美形

  15てん

 TotaL24てん

ラいバル登場(笑)

 られないようにね

   あと 76

   

 

 

   26てん

 TotaL65てん

   あと 3

   

 

 

かとうちゃ(笑)

  17てん

 TotaL37てん

   あと 63

   

 

 

 桜丘たちは経験を積んでいることもあり、かなり点数が取れていた。

 特に東郷は標的であったかっぺ星人も倒していたらしく、他者よりも多い点数となっている。

 玄野同様、近いうちに100点を取る可能性も見えてきた。

 

 今回の新人はかなり優秀だ。ガンツが強い人間を多く呼んできたと言っていたが、その言葉は普段のように適当をほざいてるわけではなく事実だった。

 新人がこれほど生き残ったのは、初回のネギ星人以降初めての出来事だ。それもその殆どが10点以上の点数を獲得しているという具合。

 これからミッションが非常にこなし易くなると予想出来る。

 ただ、それと同時にミッションの難易度が上がるのではないかという不安はある。

 尤も、そのための戦力の強化ではあるのだが。

 

「次は伏黒さんですね」

「今回も100点取れたんじゃない?」

 

 加藤と桜丘が2回目の100点獲得を期待した視線を向けてくる。

 

「さぁな。半々ッてとこだ」

 

 何せ、正確な点数が見えないのだ。そういう武器があればいいとは思うが、実用性は正直なところ、点数管理くらいにしか使い道はない。

 どのみち、星人を壊滅させなければ全滅の道を辿るのだ。点数が高かろうが低かろうが戦わなくてはならない。

 

「その人、そンなに強いンですか……?」

「ああ、俺たちの中だッたら一番。俺らがスーツ着て、甚爾さんがスーツ無しでも勝てねーし」

「バケモノか……?」

 

 とんでもないものを見るような目で新人たちが甚爾を見つめる。あの和泉でさえもだ。

 今回のミッションでスーツの力を身を以って実感した彼らだからこそ、その異常性がより実感出来るのだろう。かつての住人であり、100点を取ったことのある和泉なら尚更だ。

 

 新人たちの視線を無視し、甚爾はガンツに目を向ける。

 残すは甚爾の採点のみ。

 100点に到達したか否か。先ほども言ったように、半々の確率だ。情報源の獲得が遅れる可能性が50%もあると考えれば、心許ない数字である。

 

「あッ」

 

 誰かが声をあげた。

 甚爾も一瞬目を見開いた後──ニヤリと笑みを浮かべた。

 

 

「──()()()

 

 

駄目ゴリ

   

 TotaL106てん

 100てんにゅ~からんで下さい

 

 

 二度目の100点。

 ギリギリではあったが──無事に到達することが出来た。

 ジジジ、と新たな文字列が表示される。

 

 

100点めにゅ~

 1 記憶けされて解放れる

 2 より強力武器与えられ

 3 MEMORYの中から人間を再生で

 

 

「これが、100点メニュー……」

「"1番"を選べば、文字通りこの部屋から解放されるンだ。もう二度とこの部屋に呼ばれることはない」

「……逆に言えば100点を取るまでは逃げられないということだがな」

「……」

 

 新人たちは、100点メニューの報酬を見て多種多様な反応を見せた。

 希望を目にし、やる気を見せる者。

 興味深そうに見つめる者。

 まだこの部屋に囚われるのかと絶望する者。

 かつての己の選択が脳裏に過り、顔を顰める者。

 そもそもあまり興味を示さない者。

 そんな彼らを他所に、玄野たちは甚爾に問いかける。

 

「今回も"2番"を選ぶンすか?」

「"2番"を2回選べば同じ武器が出るのかしら?」

「確かに……」

「……」

 

 東郷だけは、甚爾がどれを選択するかを知っている。

 倫理を踏み躙る最低最悪の選択肢。

 ただ、甚爾がそんなことを気にする男でもないのは知っているし、これからのことを考えれば気にしている場合ではないのだ。

 

 甚爾は、その選択を口にする。

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

「──"3番"だ、ガンツ。西丈一郎を再生させろ」

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

──ジ、ジジジ

 

 

 "3番"

 

 メモリーに保存された人間の再生を可能とする、100点メニューの報酬。

 甚爾が呼び出したのは、かつての部屋の住人──西丈一郎。

 甚爾達より一年も前からあの部屋におり、『黒い球の部屋』の部屋の管理人。あと一歩というところで命を落とした彼は、数ヶ月ぶりに蘇った。

 

「は……? な……んだ?」

 

 西は状況を飲み込めていないのか、キョロキョロと周囲を見渡す。あれから部屋の顔ぶれも変わった。彼が知っている人間は、甚爾と玄野、加藤しかいない。

 

「よう、西」

「おっさん……それに、玄野と偽善者……」

「何が起こったのか分からねえ、ってツラだな」

 

 思うに、再生されて来るのは死ぬ直前──ダメージを負う前なのだろう。おそらくこの西には死んだ時の記憶は存在しない。仕組みはミッション後の回収と似たような感じらしい。

 

「あ……チッ、まじかよ……」

 

 西の端正な顔立ちが苦虫を噛み潰したように歪む。どうやら状況を察したようだ。

 

「おっさん……俺は死ンじまッたのか……」

「ああ。数ヶ月前にな」

「ああッ、だッせェッ、ちくしょうッ……くッそ……」

「ハッ、あんだけイキって死んだんだ。確かにダせぇよなぁ?」

「……うッせ!」

 

 しゃがみ込み、西はため息を吐く。

 あれは確かに恥ずかしい。あれだけ余裕ぶっておいたのにも関わらず、無様に死んでしまったのだ。

 まだ、死に際の言動を覚えていないだけマシだろうが。玄野から聞いた話を伝えれば悶絶間違いなしだ。ママ、ママ、と情けなく連呼しながら命を落としてしまったとのことだった。

 ()()()()()()

 

(いや、まだ早いな。コイツが調子に乗り始めたら使うか)

 

 口元を隠し、くつくつと笑う甚爾。

 

(伏黒さん、ぜッてーロクでもないこと考えてる)

 

 そんな甚爾を呆れた目で見つめる玄野。

 

「……で? 誰……? 俺…再生したの……」

「俺だ」

「……納得」

 

 立ち直った西の問いかけに甚爾が答えると、納得したかのように呟いた。

 全てを知っているわけではないが、西も甚爾の実力の一端を知っている。数ヶ月という短期間で、100点を取ることが出来る可能性が最も高いのが誰であるかは推測出来る。

 

「なンか魂胆があンだろ、なァおっさん」

「まぁな。じゃなきゃオマエなんて再生させねえよ」

「ハッ、半年前に死んだ俺にアドバイス求めンのかよ…情けねー」

「あ?」

 

 その言葉に部屋の空気が悪くなった。

 甚爾だけではない。桜井やレイカといった新規のメンバーも西の言いようにムッとする。

 

「……玄野、コイツ覚えてねぇみたいだし、教えてやれよ。死に際の時のことをさ」

「え? あー、そうッすね。泣きながら、ママ、ママって言いながら──」

「ああッ! いい! それ以上は言うなッ、玄野!」

 

 慌てて玄野を止める西。まさか自分がそんなにも哀れな死に際を辿っていたとは思ってもいなかったのだろう。

 くそ、と悪態を吐きながら甚爾に向き直る。その目は睨みつけているように見える。

 

「で、何が聞きたいンだよ」

「今は別にいい。後で俺の家に来い。そこで話す」

「ふーん……まァ、内容の予想はつくけど」

 

 自分が持っている情報については把握している。通常では手に入らないルートからも手に入れているため、甚爾が欲している情報はそこにあるものだと分かる。

 

「!」

 

 と、そこで西の表情は驚きに彩られた。

 さっきまでは再生されたことによる衝撃で状況を正確に把握することができていなかったが、冷静さを取り戻したことであることに気がついたのだ。

 

「和泉……オマエ、なンで戻ッてンだよ……」

「……」

「なンだよおい、記憶失くしてンのか?」

「知らねーッつの」

「チッ……」

 

 和泉紫音。

 あのサイトにも和泉の名前は出ていた。であるならば、和泉と面識があるのは当然のことだ。

 ただ、和泉は西に対して何の反応も示さない。

 何故なら彼は一度記憶を消されている。段々と思い出してはいるようだが、全ては思い出していない。西のことはまだ知らないのだ。

 

「まぁ、和泉はいいか……つーか、やッぱり0点からか……」

 

 西がガンツを見ながら呟く。

 

西くん

 てん

 あと 100

 

 

 90点を超える点を所持していた西からすれば、ショックは大きい筈だ。コツコツと貯めてきた一年が無駄になったと言っても過言ではないからだ。

 それに、部屋の戦力はかなり整っている。

 甚爾は勿論、和泉も帰ってきているし、玄野や加藤も生存しているということは、ミッションにも慣れてきている筈だ。はっきり言って戦闘が得意ではない西がこの部屋で点数を取るのは難しいかもしれない。

 奪うことが出来ればその限りではないが。

 

「なぁ、俺たちはこれから帰れるのか?」

「ああ、次のミッションが始まるまでは自由だ。あ、でも禁止事項とかもあるから教えるよ」

 

 古参メンバーと西とのやり取りを黙って見ていた新規メンバー──その一人である坂田の疑問に玄野が答え、ガンツのルールを説明する。

 

 

 そうして新規メンバーに説明を終え、鍛錬のことなどを伝えた後、今夜は解散となった。

 これまでとは比べ物にならないほどの新規メンバーの投入に、吸血鬼(イレギュラー)の登場、2回目の100点の到達。

 千手の時とは違う意味で波乱に満ちていたミッションは、甚爾たちとは別に7人の生還者と1人の再生という結果を残して、終わりを迎えた。

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 そして、ミッションから3日が経ったある日のこと。

 甚爾の自宅。

 リビングのソファに、甚爾と西が向かい合って座っていた。

 

 西は不敵に笑いながら、問いかける。

 

「で、俺に聞きたいことッて何だよ?」

 

 

 

「──Katastrophe(カタストロフィ)について、知ってることを話せ」

 

 

 

 

 




これにてかっぺ星人編は終了です!
連続更新、疲れたけど楽しかった〜! 色々調整もしやすいですしね。

この後、1話か2話程度、ミッションとは関係のない話(バトルがないとは言ってない)を書いた後、ゆびわ星人編、そして待望のオニ星人編へと入っていこうと思っています。
ゆびわ星人はダイジェストになるかと思いますが。
間に挟む話は一応決まっていて、

・西との情報交換
・パパ黒を殺した奴を追及せよ&vs吸血鬼

となっております。

病院実習もありますので、更新がかなり遅れるかもしれません。ただ、なるべく早く更新はしようと思っていますので、気長にお待ちしていただけると幸いです。
それでは!

GANTZ:F 完結後に書いてほしいもの

  • GANTZ:Gにパパ黒√
  • かっぺ星人後からパパ黒介入√
  • チャットルーム回
  • その他(個人でメッセージでどうぞ)
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