さて、今回は重大発表があります。
なんとですね。
GANTZ:F、まさかの総合評価5000突破しました〜!!!!
ほんとびっくりしました。
皆様のおかげです。これかも拙作をよろしくお願いします〜!
というわけでゆびわ星人編開幕です! ちなみに全3話。
ただまぁ、ゆびわ星人との戦う描写はほとんどないと思います。
0021 利用価値
「──カタストロフィについて知ッてること、ね……おっさん、いきなりぶッ込ンでくるじゃん」
西は不敵に笑う。
「当たり前だろ。オマエを生き返らせた理由の八割はソレだ。わざわざ"2番"の選択肢を潰してまでな」
その返答は言外に西の持つ情報が"2番"よりも価値があると示しているようなものだ。
そして、それは事実だ。
"2番"を選択し、手に入る武器は確かに魅力的ではある。
「ふーん、けど、俺の狂言だとは思わなかッたワケ? 現実的じゃあなかッただろ」
「ハッ、そもそもガンツ自体が非現実的だろうが」
「それもそうか」
元より、甚爾は非現実的なものなど見慣れている。術者に呪霊、呪具に呪物──そのどれもが、何も知らない人間からしてみれば空想の産物に過ぎないものばかりだ。
そも、甚爾は擬似的なものではあるが、こうして異世界への転移を果たしているのだ。現実離れしたことなんて今更のことだ。
「それに、たとえ嘘だと思っていてもそれを証明する手立てがねぇ。
嘘だと判断し、再生しないという選択肢も勿論あった。
だが、
念には念を。
何事も、起こってしまった後に行動しては遅い。何も知らぬままに先手を取られるのなら、
ただそれだけのことだ。
「逆に俺から聞くけどさー、アンタはカタストロフィが真実だと思う? それとも、俺がふざけて書いた妄想だと思う?」
「腹の探り合いは無意味だぜ、西。オマエの反応からカタストロフィが真実であることは分かってる。知ってるか? 悟られまいと嘘を隠しても、僅かな身体の動きにそれは出るもんだ」
「チッ……チートかよ」
甚爾に隠し事は通じない。微かな肉体の動き、発汗、心拍数など、あらゆる生体反応をその五感は逃さない。
甚爾を出し抜くには、それこそ和泉のような盤外から攻める他ない。真正面からはほぼ不可能だと言ってもいい。
西は観念したのか、拗ねたようにして真実を口にする。
「あー、もうバレてンのならいいや……アンタの言う通り、カタストロフィは真実さ。いずれ確実に降り注ぐ厄災──ッて、
「俺たちってのは、他のガンツの奴らのことか?」
「ああ」
カタストロフィが真実であると分かった時点で察してはいたが、やはり西はあのコミュニティサイトのロックを突破していたようだ。
再生させたのは正解だったな、と賭けに勝ったことに少しばかりの喜びと苛立ちを感じた。
いつもそうだ。ギャンブルとは関係のない賭けをする時に限り、勝利の女神は甚爾に微笑む。
その笑みを、もう少し広く向けてくれてもいいだろうに。
「で、おっさんが聞きたいのはカタストロフィの詳細についてだったよな?」
「ああ」
改めて確認をしてきた西に甚爾は頷く。
「まずカタストロフィが何なのか──詳細は俺も知らねー。海外のコミュニティの奴らが勝手に騒いでるだけだしな」
「やっぱりか」
期待していなかった、と言えば嘘になるが、これはガンツ側からしても相当な極秘事項と予想できる。そう易々と詳細をバラすような真似はしていないだろう。
「つーか、あり得ねえとは思うが、まさか海外が騒いでるからって真実だと思い込んでるわけじゃあねぇよな?」
甚爾は懸念を口にする。
西は愚かだが、同時に聡い人間でもある。噂を丸々信じ込むような愚者ではないとは思うが、念の為だ。
「ンなワケ。確かに最初は噂だッたさ。発端は確か……えーッと、ギリシャだッたッけな。まァともかく、勿論みんな信じてなかッたンだが……それも一瞬のこと。すぐに皆ンな信じたさ」
「何故だ?」
「カタストロフィ──
嘘じゃあない。
薄く笑って語る西の言葉は、全て事実だ。
「変化?」
「そう。つッても、変形するとか大幅な変化じゃないけどな。
西は語る。
そのタイマーは時間の経過を示しており、段々と減っていっているとのことだ。おそらく、それが0になった時、カタストロフィが始まるのではないかということらしい。
西が最後に確認したのは甚爾たちが来る前のミッション。その時の残り時間は、37000000秒ほど。それから4ヶ月ほど時間が経過しているため、大体あと1年後にカタストロフィが訪れることになる。
ただ、これには多くの説があるらしく、星人の駆除が完了する予定時刻、あるいはガンツの中にいる人間の寿命──など、未だに確証は得られていないようだった。
「核戦争ッていうのが今のメジャーだけど……アンタはどう思う?」
「あり得ねえとは言わねえが、確率は低いだろうな。陳腐過ぎる」
カタストロフィの正体──甚爾の予想では大きく分けて二つ。
ひとつは西の言うように核戦争──というよりは、ガンツ装備を着た兵士たちで殺し合わせる方が現実的だ。"3番"の制限を解けば無制限の再生が可能となる。実質的な不死の兵団の完成だ。
ともすれば、勝利条件は他国のガンツの掌握といったところか。妄想の域は出ないが、もしカタストロフィが人間同士の衝突を意味するのならそんなところだろう。
そしてもうひとつは、異星人との全面戦争。
ミッションはあくまでその予行練習、あるいは邪魔者の一掃──カタストロフィの時に、最も強大な星人がやって来るのではないか、と。
(まぁ、今出来ることと言えば、
何が訪れるかは分からないが、ほぼ間違いなく殺し合いになると思っている。
球男の電池残量にしろ、星人の駆除完了時刻にしろ、その後にガンツの裏側にいる奴らが、素直に兵隊を解放するとは到底思えない。
西にカタストロフィについての仮説を伝えると、彼も大体同じ推察をしていたらしく、特に否定はしてこなかった。
「ま、カタスについて俺が知ッてるのはこンなもンだけど……満足したか?」
「概ねな。欲を言えばより深く知りたかったが、時期が分かっただけで十分過ぎる。それに、オマエが他のチームと連絡が取れるなら釣りが来るレベルだぜ」
「あ? おっさん、他のチームに用があるのか?」
「まぁな。知りたいことがある」
ガンツはブラックボックスの塊だ。カタストロフィのタイマーのこともそうであるが、知らないことが多すぎる。甚爾が知っていることと言えば、基本的なルールくらいだ。
だが、他チームと連絡が取ることが出来れば、更に多くの情報を手に入れることが出来る。
「……言ッとくけど、日本の奴らは辞めといた方がいいぜ」
「あ?」
「奴らは基本的にミッションのことしか話してねーからだよ。カタスのことなら海外に聞くのが手ッ取り早い」
他県のチームを嘲る西。
おそらく、日本の連中のほとんどは海外のコミュニティのセキュリティを破れていないのだろう。カタストロフィについての情報が集まり難いということか。
「ああ、
「はぁ?」
意味がわからない、と西は怪訝に眉を顰める。
「西、オマエはガンツについて多くのことを知ってるが、それでも全てじゃねえだろ」
「……まァな」
「俺が知りたいのは、
「!」
「理解出来たか? 他にも聞きたいことはあるが、一先ずはこれだな」
"2番"──より強力な武器を得ることが出来る、100点メニューの選択肢のひとつ。
これを再び選択した場合の結果を知りたい。
実際のところ、日本でなくともそれを知ること自体は可能ではあるのだが、
それ次第では、
尤も、ミッションの難易度次第では、そんなことを言っている暇もないだろうが。
「一々オマエづてで聞くのも面倒だしな。それならオマエに海外の方を任せて、国内を俺が漁った方がいい」
甚爾とて、いくつかの言語を習得してはいるものの、全てではない。西も各国の言語を全て理解しているわけではないだろうが、どうにかする手段は持っているはずだ。
(さて、あとは西が協力してくれるかだな)
西はタダでは動かない。
何かしらのメリットを提示しなければ動いてはくれないだろう。カタスについて語ったのは、"3番"により再生されたことに対する彼なりの礼儀──いや、プライドか。
そのまま無条件でこれからも協力してくれるのが一番楽だが。
「……アンタのやりたいことは分かッた。いいよ、協力してやるよ」
意外なことに、すんなりと西は甚爾の協力を受け入れた。何か条件を迫る素振りもない。
そのことは少なからず甚爾は驚く。
「驚いたな。何かしら条件を提示してくると思ったが」
「別に。俺にとッちゃ、
今の俺は貴重な情報源──それだけで俺の生存率は大きく上がる」
「へぇ、そこまで考えてたか」
甚爾と西の協力。
互いが互いに必要な存在だ。
甚爾は西の情報収集能力を買っており、西は甚爾に情報を提供することで己の価値を証明する。
田中星人との戦いで西を失ったのは甚爾の失策。その失態を再び起こさないために、ある程度のカバーはするつもりではあった。
ミッションへの適応能力はあれど、戦闘自体が得意というわけではない西にとって、今の甚爾はある意味ボディーガードのようなものだ。
「つっても、俺はつきっきりでオマエをカバー出来るわけじゃねぇ。分かってるよな?」
「ああ。そこまでは求めたりはしねーよ」
その辺りは流石に分かっているようだった。
甚爾という戦力をただ一人を守るために使うのは宝の持ち腐れだ。
話は終わりだ。
甚爾と西は、薄く笑い合う。
「それじゃ、これから都合良く利用させてもらうぜ、西」
「それはこッちの台詞だッての」
伏黒甚爾と西丈一郎。
本来交わることのなかった二人の間に、信頼も信用もない──打算だらけの
西の手により、無事にコミュニティにアクセスすることが可能となった。甚爾の目的のひとつは叶い、次のステップに進むことが可能となった。彼との関係はそれなりに続くであろう。その人間性はどうでもいいが、その才能には利用価値がある。
「やることはやッた。もう帰らせてもらうぜ、おっさん」
「少し待てよ、西」
帰ろうとする西を甚爾が引き止める。
西を呼んだ目的は、カタストロフィについての情報提供と協力関係を結ぶこと──
カタストロフィという巨大な災禍に目を奪われがちだが、その前に甚爾たちがやらなければならないことがある。
それはガンツのミッション。
これを乗り越えなければ、そもそもその果てにあるものに到達することは出来ない。
玄野を始めとし、彼らはチームとして強くなっている。メンバー全員が強化武器を持つことだってあり得るだろう。
──だが、そんな彼らに今、ある危機が訪れている。
「西、過去に
「……ある。俺は先に転送されたから、遭遇したわけじゃねーけど、和泉たちが一戦交えたッつッてた」
「そいつらがまたやってきた」
「!」
かっぺ星人での出来事を話す。
ミッションとは関係のない、別の星人の襲撃。ガンツの隠蔽をものともせずにこちらを認識し、敵意を持って甚爾たちの下へとやって来た彼ら。
吸血鬼、と彼らは自分たちのことを名乗っていたらしい。
「奴らは間違いなく再び俺たちを狙う。おそらく、ミッション外でも襲われることもある筈だ」
「……まァ、わざわざ装備が整っている時に狙う意味がねーもンな」
納得したように西が呟く。
甚爾が吸血鬼の立場なら、ミッション中だけでなく日常生活を狙う。ガンツによる転送という手段が使えず、準備が整っていないところを叩いたり、数の暴力で制圧することが出来るからだ。
あの金髪はバカではない。おそらく同じ方法でこちらの全滅を図ってくるだろう。
「それで? 俺に話したのはなンでだよ。悪ィけど、
「そこまでオマエに求めちゃいねぇよ。話したのはあくまで注意喚起みたいなもんだ」
そもそも戦闘に関しては西に期待などしていない。
ただ、気をつけておけと言っただけ。星人に顔を見られたのは、甚爾と和泉、加藤に桜丘の四人のみ。ミッション後に再生された西が認識されている可能性は低いが、警戒を怠らないに越したことはない。
甚爾だってタダ働きはゴメンだ。ただ、厄介ごとはさっさと終わらせるに限る。
話は終わりと判断したのか、西が立ち上がる。
「話はそれだけ?」
「ああ。情報が落ち次第、随時連絡しろよ」
「わかッてるッての」
鬱陶しそうに答えた後、ステルスを発動して西は去っていった。
甚爾はケータイを手に取り、ある男に電話を掛ける。数コールして、応答が返ってくる。
『──伏黒か』
「俺も用事を終わらせた──
◆◇◆
甚爾と東郷はミッション終了後に吸血鬼対策を練っていた。
ミッションとは関係無しに星人が襲ってくるという事例が生じた以上、これからの日常生活にも侵食してこないという保証はない。
ミッション外では転送という逃走手段がないため、こちらはかなりの不利を強いられることになる。
一度や二度の撃退は可能でも、回数を重ねればゴリ押されることは明白。実力者である和泉や東郷でもそれは同じだ。
だからこそ、何らかの対応を考えるのは当然の帰結と言えた。
まず考えたのは、吸血鬼たちがどうやってこちらを特定したのか。考えられるのは二つ。
ひとつはこちらの位置を特定する手段がある可能性。レーダーなどでこちらの位置を把握出来ていることが考えられる。
だが、これに関しては謎が残る。何故、わざわざこのタイミングだったのか。そんな方法があるのなら、もっと早く行動が出来た筈。仮に使用可能になったのがかっぺ星人のミッション当日だったにしても、わざわざ敵が固まっているところを狙うのは良手だとは思えない。一網打尽に出来るチャンスとはいえ、浅はかだと言わざるを得ない。
ふたつは
ともあれ、ここから考えられるのは、吸血鬼たちはこちらの位置を特定する手段を持っていない可能性が高いということだ。
そのため、甚爾と東郷は
あの時、吸血鬼と相対したのは、甚爾と和泉、加藤に桜丘の四人だけ。狙われるとすれば、この四人だろう。
そのため甚爾は、まずこの四人のうち三人──和泉と加藤、桜丘を囮として利用することにした。
彼らを釣り餌として使用し、吸血鬼たちを釣り上げる。東郷には彼らの監視を頼んでいる。同時に三人を監視するのは不可能なため、数時間ごとに監視対象を変えてはいるが。
『今のところ音沙汰は全くないな』
「まぁ、昨日の今日だからな。それに、リーダー格の金髪は俺を警戒していた。慎重にはなってもおかしくはねぇ」
あの金髪の吸血鬼にとって、甚爾は最も危険視されている。藪を突いたらヘビではなく龍が出て来たようなものだ。
「ま、引き続き監視は頼むぜ」
『ああ、任せておけ』
ブツッ、と通話が切れる。
東郷は使える駒だ。ああいう人間を仕事人というのだろう。下された命令を黙々とこなしてくれる。何より金が掛からないのが素晴らしい。利用価値のある存在だ。
──和泉が吸血鬼に襲われた
そんな報告がやって来たのは、それから数日後のことだった。
パパ黒がガンツスーツ着てる姿を妄想してニマニマしてるこの頃
というわけで、西くんと契約を結んだ甚爾。
意外とバカにされがちな西くんですけど、コイツ中学生なんですよね……。優秀が過ぎる。
掲示板スレのフラグが立っていますが、載せるかは分かりません。本編完結後に載せるかもしれませんし、番外編的な感じでふらっと載せたりするかもです。
【吸血鬼の謎】
コイツら、どうやってミッション現場を特定したのか未だに分からないんですよね。
オニ星人みたいにレーダーを持っているわけでもないですし。ミッション後に和泉を見つけたのも偶々でしたし。
なんか面白い考察があったら教えてくださいな。
次回
『0022 黒スーツの
明日の21時に更新です。
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GANTZ:F 完結後に書いてほしいもの
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GANTZ:Gにパパ黒√
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かっぺ星人後からパパ黒介入√
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チャットルーム回
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