ゆびわ星人編最終話です。
さて。昨日あとがきにも書いてありましたが──
なんと!!!!
Twitterのフォロワーさんであり、ハーメルンの作家さんである『柴猫侍』さんからファンアートをいただきました〜!!!!
というわけで、こちらです!
【挿絵表示】
GANTZの表紙風のイラストです!
かっこいいですよね。30分くらいやってた作業が止まっちゃうほどに嬉しかったです!
柴猫侍さん、本当にありがとうございました〜!!!!
汗が止まらない。
「久々だな、加藤」
「ああ、一週間ぶりだな」
かっぺ星人との戦い以降、中止となっていた訓練が再開した。
吸血鬼がこちらの位置を掴めているのかどうかが明らかになったことがきっかけだった。
今回からは既存のメンバーに加え、新規メンバーであるレイカ、風、桜井、坂田──そして、意外なことに和泉が訓練に参加している。西同様に絶対に来ないと玄野は思っていたのだが、一体どういう風の吹き回しなのだろうか。
聞いても「関係あるか?」とはぐらかされ、まともに答える気はないようだった。
しかし、和泉に関しては玄野からしてみれば懸念があった。
何故なら、今回の新規メンバーのほとんどは、和泉の起こした大虐殺の被害者であるからだ。不和を起こさないように玄野たちは黙っているが、バレるのも時間の問題だ。
面倒なことにチームのリーダーは玄野ということになっており、揉め事が起こった場合、火の粉がこちらに降ってくるのは火を見るよりも明らかである。想像するだけで憂鬱だ。
(まァ、その時はその時か……腹を括るしかねーよなー)
その時はその時だ。
もうなるようになれ!
「ねぇ、玄野クン」
「れ、レイカか。ど、どうした?」
「ふふ、そンなに緊張しなくていいのに」
考え事に浸っていると、レイカが話しかけてきた。
やはり、まだ慣れない。星人より現実味がない。あのスーパーグラビアアイドルが目の前にいるなんて。
すっごくいい匂いがする。
いや、桜丘もいい匂いがするけども。
「鍛錬ッて言ッてたけど、どンなことするのかなッて」
「ああ、基本的には走り回ッたりとかそンな感じ。たまに講義みたいなこともするけど」
「講義?」
「そ、講──「戦術とかを教えてくれるのよ。ね、計ちゃん?」──せ、聖か」
ぬるっ、と背後から現れたのは、玄野の恋人である桜丘。レイカが玄野に好意を抱いてるのを見抜き、恋人として牽制しているのだ。
二人が対峙している時は周囲の温度が下がり、あの東郷と風が冷や汗を浮かべるほどだ。甚爾はゲラゲラ笑っている。
当人である玄野はレイカの恋心には気づいておらず、聖が嫉妬してるだけだと思っている。
「そうなンですか。教えてくださッてありがとうございます」
「いいのよ。私たち、チーム仲間でしょう?」
「ええ」
「うふふ」
「ふふふ」
そんな修羅場を加藤、桜井、坂田は遠巻きに見ていた。
「恐ろしいですね、玄野さん」
「いつか刺されてもおかしくはないね、ありゃ」
「計ちゃん……」
自分たちのリーダー、あるいは幼馴染が背負った宿命に三人は戦慄する。
特にこの中で年齢が上であり、人生経験も豊富である坂田には、くっきりと玄野が背後から刺される姿が見えていた。同時に少し羨ましくも思う。
スーパーグラビアアイドルであるレイカは勿論だが、桜丘もそれに負けていない。胸もあるし、ウエストはキュッと締まり、脚も健康的でスラリと長い。あんな美女たちに囲まれている玄野に、男として憧れを抱いてしまうのは何もおかしくはないだろう。
そもそも、このチームは男女共に顔が整っている者が多い。レイカや桜丘は勿論、桜井や玄野は童顔であり、あどけない顔立ちなものの、保護欲をそそる。加藤も高身長で体も風ほどではないががっちりしており、凛々しい顔立ちだ。そして、今はまだこの場にいない甚爾も、性格は終わっているが顔は非常に整っており、あれで女を引っ掛けているのは容易に想像がつく。
そして、キ○タクに若干似ている筈の自分──何故モテないのかは、未だに謎だ。
「まァ、いずれな。いずれ俺もモテる筈だ」
「師匠?」
「……気にするな」
まだ、希望はある筈だ。
そして、そこから少し離れた場所に和泉と風はいた。
風は黙っておにぎりを食べており、そんな彼を和泉は視線だけ向け観察していた。
(コイツはあの時の奴か……あのパワーがスーツで強化されるとなると、とンでもないな)
渋谷で虐殺を行った際、和泉の前に立ち塞がった者が三人いた。その一人がこの男──風大左衛門だ。
銃を乱射する和泉に立ち向かい、一度吹き飛ばすことに成功した男。
最終的には殺害に成功したが、一歩間違えれば負けていたのはこちらだっだ。八極拳の技を食らったが、銃に臆して威力が下がっていたにも関わらず、決して軽くはない和泉を数メートル押し飛ばした。
流石にあの時は肝を冷やしたものだ。
総合力で言えば和泉が勝るが、純粋な殴り合いであるならば、この男には敵わない。
喧嘩をするためだけに生まれた肉体──この男はきっと、武器など使わずにスーツで殴った方が確実に強い。
だが、負ける気はない。
和泉が超えようとしている壁──伏黒甚爾は、風などよりもずっと高みに位置する。
(そのためにわざわざ奴の指導する鍛錬に志願したンだ……あの男から何かを盗むなら、これが一番手ッ取り早い)
ここ数日間、甚爾と行動を共にし、吸血鬼狩りを行っていた和泉。そこで彼は、甚爾との実力差を改めて知った。
才能だけではない。経験値も何もかもが圧倒的に劣っている。その差は遥か彼方まで開いており、その背中すら見えない。
だが、そこに絶望などしなかった。
怒りもあった。悔しさもあった。同時に喜びもあった。
彼の一挙一動から多くのことが学べる。
成長していく実感──和泉紫音はまだまだ強くなれるのだと。
焦る必要はない。
少しずつでいい。
今はまだ果てしない差があれど、いつかきっと。
(その前にまずは玄野──俺は、お前を超える)
凡人でありながら、和泉を出し抜き、敗北を味わわせた同級生。
玄野計を超えることが出来なければ、伏黒甚爾など夢のまた夢だ。
玄野を見据える和泉の瞳は、轟々と燃えている。
あの部屋にやって来るまで色褪せていた世界は、彼の瞳には既にない。
そして、そんな彼らの下にその男はやって来た。
「……いや、多いな」
伏黒甚爾は、辟易とした表情を浮かべていた。
◆◇
人数が増えてもやることに変わりはない。彼らが訓練する姿を見て、気になったところが有れば指摘し、修正するだけだ。
東郷に加え、玄野たちも経験を積んだことである程度は他人に指導が出来るようになってきている。作業効率は大幅に上がり、新人たちの動きも良くなってきている。
今回の新人はかなり良い。
坂田と桜井はスーツの力とは別に超能力という特異な力がある。頼り切りになるのは良くないが、スーツと合わせれば相当に強力なものになる筈だ。
風は元々の身体能力が高く、手加減していたとはいえ、スーツを着ていた玄野と渡り合える程だ。それがスーツを着ることにより更に強化され、無類の強さを誇っている。
レイカは特に突出するところはないが、立ち回りに長けている。ただ、桜丘と不和を生じる可能性があるため、注意が必要だ。
和泉は特に問題はない。強いて挙げるなら単独プレイをしがちなところだが、和泉の性格を鑑みればそっちの方が優位に働くかもしれない。
── もットたくさんおもしろい人を
集めてこようと思いまつて
あツメつぎてしまいまちた
毎度毎度適当なことしかほざかないあの球体だが、たまには役に立つこともやるらしい。
ここに来て一気に東京チームは強くなった。あと数回ミッションをこなせば、チームとして完成するだろう。
欲を言えば、あのコミュニティサイトで知った
甚爾としても点を譲ってもいいが、少なくともあと一回クリアし、
彼らの訓練を観察しながらそんなこと考えていると、玄野がこちらへやって来た。
「どうした?」
「いや、その……気になッたことがあッて」
そう語る玄野の表情は何処か固い。緊張しているように見える。目は合わせないし、心拍数も上がっている。
不可解な玄野の行動に疑念を抱いていると、大きく息を吸い込み、深呼吸を行った後、意を決したように彼は口を開いた。
「伏黒さん、前回のミッションの時のこと、覚えてるッすか?」
前回のミッション──かっぺ星人の時のこと。
あの時に玄野と関わったことと言えば、部屋で無理矢理リーダーにしたてあげたこと、そして──
(……なるほど、そういうことか)
──
甚爾という戦力に依存しつつあった彼らを突き離すために語った、甚爾の死因。
あれ以降、甚爾に依存するような素振りは消えたようだが、それでも彼らの中では甚爾が最も強いという認識は残っている。
そんな彼が
一体誰が?
どうやって?
確かに、玄野たちの立場からしてみれば、気になるのも無理はない。
どうしたものか、と甚爾は悩む。
教えたところで、
(……適当に誤魔化すか)
確かめる手段はないし、問題はないだろう。
「オマエが──オマエらが気になってんのは、俺を殺した奴か?」
「……そ、そうッすね。伏黒さんが殺されるなンて、正直想像もつかないというか……」
「まぁ、別に一方的に殺されたわけじゃねえからな」
天与の暴君と最強の術師の戦い。
その内容を少し脚色しながら、甚爾は語る。いつの間にか他のメンバーも集まっており、甚爾の話を聞いている。
「──そういうわけで、殺したと思った奴が生きてて、殺されたってわけだ」
「相討ち、ってことッすか」
「そんな感じ」
厳密には違うが、一度甚爾は五条を下しているので間違ってはいない。まぁ、五条に対して万全にとどめを刺さず、その結果としてあの結末を引き起こした時点で、甚爾の負けではあるのだが。
「俺たち以外の超能力者、か」
坂田が興味深そうに呟いた。
五条については超能力者ということで話を進めた。
「オマエらと同種の能力かは知らねえけどな」
「ああ。それに、俺たちにはソイツほどの出力、精度は出せないさ。やろうとすれば脳が焼き切れる」
「ええ!?」
「驚いてるけど桜井、オマエも覚えがあるだろ? 能力を使い終わった後の鼻血や頭痛とか」
「……あ」
桜井にも心当たりがあるようだった。
「オマエらの能力、自前のもんじゃなくて他人から受け継いだものなんだったよな」
甚爾の問いかけに坂田は頷く。
「桜井は俺から。俺は昔にあッた婆さんから継いだ」
「つまり、本来の持ち主じゃねえわけだ。適応出来てねえから、拒絶反応が出てるんだろうな」
「なるほど……」
原理としては受肉タイプの呪物と同じだ。器ではない人間に取り込ませた場合、その末路は二つ。呪物に宿る呪いに耐えられず自壊するか、身体を乗っ取られるか。
坂田たちに与えられた『超能力の種』は、呪物ほどの毒物ではないため、ある程度の融通は利く。ただ、器ではないため、副作用が肉体への負荷として現れる──といったところか。
「なら、頼り切るのはよくない……ですよね、師匠」
「まァな。けど、生死には代えられない。いざという時は使うべきだ」
出し惜しみをして命を落とすなど、無駄死に以外の何物でもない。
その後、訓練は終わりを迎えた。
話しているうちにそれなりの時間が経ったからだ。
そして、それから1ヶ月後、甚爾たちは再びあの部屋へと集められる。
◆◇◆
──迫り来る黒刃を躱し、カウンターの要領で黒騎士の首をガンツソードが斬り裂く。
地面に倒れる星人をZガンで念入りに潰した後、甚爾は周囲の状況を確認する。
「コイツら図体だけだ! けど、油断はすンなよッ!」
「わかッた!」
「了解リーダー!」
玄野の声に、他のメンバーが反応する。
加藤たち古参組は勿論だが、前回からの参加者である坂田たちもかなり動けている。本当に前回参加したばかりなのか──そう思ってしまうくらいに、彼らは上手く立ち回っていた。
それはやはり、坂田たちのポテンシャルの高さもあるのだろう。ただ、一番の原因は東京チームがチームとして機能しているからだ。
──ゆびわ星人
それが、今回の標的だ。
10m近い図体の、黒い馬に乗った黒騎士のような見た目の星人だ。
見た目から手強そうなイメージがあったが、その実態はただの見掛け倒し。スーツさえ着ていれば問題なく倒せる程度のものでしかない。
数は10体。ボスのような個体も確認出来ず、形式としてはチビ星人と同じだ。
経験を積み、甚爾の施した指導により鍛え上げられた彼らの相手ではない。
あっという間にゆびわ星人は倒され、開始10分も経たずにミッションは終わりを迎えてしまった。
「うッひょー、なンだアイツら」
「すッげ」
新人たちが、甚爾たちが星人を全滅させたところを見て驚きを見せる。
今回の新人は6人だ。
チーマー5人と女子高生が一人。意外と聞き分けがよく、玄野たちの指示を聞き、スーツを着用させることに成功していた。
戦力になるかと言われると、正直微妙なところだが。
「まだ油断しちゃダメだッ! アイツらがまた来るかもしれない!」
星人を全て狩り終え、弛緩した雰囲気が玄野の一声で再び引き締まる。
──吸血鬼
前回のミッションで突如として乱入してきたイレギュラー。甚爾と和泉がかなり手痛いダメージを与えたとはいえ、襲って来ないとは限らない。
しかし、今回は吸血鬼が襲撃してくることはなく、全員が無事にあの部屋へと転送された。
今回は誰一人として欠けていない。新人が参加したミッションで全員生還出来たのは今回が初めてではないだろうか。
「今回の星人、弱かッたな」
「ええ。チビ星人の方がよッぽど手強かッたわ」
段々とミッションの難易度が上がっていく傾向にあったため、玄野たちもそれなりに緊張していた。甚爾もカタストロフィが近づいているため、より強い星人が来ると思っていたのだが、杞憂だったようだ。
拍子抜け。
ゆびわ星人は完全に見掛け倒しの星人だった。この分だと、点数もあまり期待出来ないな、と甚爾は思った。
甚爾が倒したゆびわ星人の数は8体のうち3体。強さからして1体5点あればいい方だろう。
採点が始まり、それぞれの獲得点数が表示される。
今回、ゆびわ星人を倒したのは5人。甚爾、玄野、和泉、風、西だ。
新人たちのうちチーマー5人は自分たちの点数を見てケラケラと笑い、女子高生は困惑した様子でガンツを見つめていた。
視線がチラチラとチーマーたちの方に向いており、恐怖に怯えていることが見てとれる。もしかすると、彼女の死因には彼らが関係しているのかもしれない。
点数獲得者で最初に表示されたのは甚爾だった。
想定外の点数に甚爾たちは驚きの声をあげる。
『駄目ゴリら
30てん
TOたL36てん
あと64てんでおわり』
「30点!? アイツらが!?」
「正直、そんなに強くなかったよな……」
ミッションの難易度、星人の強さから考えると、破格の点数配分だ。
あの程度で1体10点。
もしも一人で全て倒していれば、合計で80点取れることとなる。
ボーナスステージと言っても過言ではない。
採点が終わり、部屋の鍵が開く。
甚爾以外の点数獲得者も10点ずつ点数を加算された。合計点はそれぞれ以下の通りとなる。
玄野→2体撃破により93点
和泉→2体撃破により38点
風→26点
西→10点
西はどうやら坂田と桜井が追い詰めていたところを横取りしたらしく、桜井が憤っていた。西はどこ吹く風と言わんばかりに無視を決め込んでいた。
東郷が点を取っていなかったのは驚いたが、おそらく新人の経験のために譲ったのだと推測する。
(玄野があと7点でクリア、か。まぁ、その辺りは大丈夫か)
"1番"を選び、この部屋から解放された時、記憶を代償に命の危機から解放される。
だが、玄野の恋人である桜丘はそうではない。
彼女はあと76点もの点数を取らなければ解放を選べない。
それを抜きにしても、彼ら彼女らは解放を選ぶことはない。何故なら、玄野と桜丘は
甚爾としても桜丘の存在は望外だった。
玄野を引き止める楔として十分に役に立ってくれている。
尤も、彼女がいなかったところで、カタストロフィという情報をちらつかせることでこの部屋に縛っていたので問題はなかったと思われる。
カタストロフィに関しては次回のミッション終了後にでも伝えようとは思っている。玄野は次回で100点を超えるはず。タイミング的にもちょうど良いだろう。
いつも通り、我先にと部屋を出た甚爾は、これからのことに思考を回す。
ゆびわ星人──あまりにも温いそのミッションに甚爾は懸念があった。
甚爾の推測では、カタストロフィに近づけば近づくほどに星人はより強くなっていくと考えている。
もしそれが正しいのであれば、以降は今回のミッション──いや、これまでのようなミッションは行われないかもしれない。
コミュニティサイトで手に入れた、
玄野たちは勿論──甚爾でさえ、遅れを取ることになる可能性もある。
(近いうちにあるかもな──
というわけでゆびわ星人編終了です!
え、ゆびわ星人の描写がほとんどない……? げ、原作でもほとんどなかったですし……(震え声)
さて、玄野たちがついに甚爾を殺した人物について知りました。
ちょうど良かったので、超能力者の設定も上手く混ぜ込めたんじゃないかと思います。
次回からは待望のオニ星人編です。ここからようやくパパ黒と勝負が成立する星人がで始まるんじゃないですかね(勝てるとはいってない)。
来週から病院での実習が始まり、埼玉県に飛ばされるので、課題に追われたり新しい生活に慣れたりと忙しくなると思いますので、1ヶ月〜2ヶ月ほど投稿までの期間が開くかもしれません。
拙作の更新を楽しみにしてくださってるみなさんには大変に迷惑をおかけします。
ただ、感想の返信などは普通に行う予定なので、本作の感想や気になったことなどは遠慮なくお聞きくださいな。前書きでも言いましたが、感想の返信を行う時が1番生を実感するので。
それでは、また次回の更新──あるいは別作品でお会いしましょう!
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GANTZ:F 完結後に書いてほしいもの
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GANTZ:Gにパパ黒√
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かっぺ星人後からパパ黒介入√
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チャットルーム回
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