とりあえず、現状4話までは完成しているのでぶっ込みます!4話連続投稿じゃい!7話でオニ星人編は終わるから頑張って書きますよー!
それと、たくさんの感想とお気に入りと評価をありがとうございます!
2話更新でランキング入りと総合評価が500点も増えました!これは目標の一万点行けるのでは?なんて思ったり
あと、なんやかんやで感想返すのが一番面白いです。チャットルーム回は結構好評だったのでびっくり。偉大なるGANTZ観察日記に感謝。
今回は特殊タグで遊んでみました。
遊んだといっても提供していただいたものを使っただけなんですけどもね
0026 渋谷事変①
「──半年振りの招集だな」
掲示板で暇を潰していると、いつもの悪寒が首元に走った。
久々の招集だ。
この間に吸血鬼たちが襲撃してくることはなかった。まるでミッションが終わったのではないかと錯覚してしまう程に、長い待機期間だった。
掲示板でも同じようにミッション間の間隔が長い部屋が幾つか見受けられた。ミッションが終了したのではないかという話も出ていたが、これまで通りミッションが行われている部屋もあったため、あり得ないと棄却された。
結論としては、担当区域の星人を狩り終えたからだということになった。それ故、吸血鬼は他県へと逃げたのだと思っていたが、どうやらまだ東京には星人が残っていたようだ。
これまで、2.3ヶ月期間が空いたことはあったものの、半年という長期間は初めてだ。地方であればザラにあるようだが、都心部ではあまりそういった話は出てこない。人口が密集している地域ほど、星人の数が多いからなのだろうか。
案外、今回もかっぺ星人の時と同じように県外のミッションへ参加させられるということもあるのかもしれない。
転送が完了し、あの部屋へと到着する。どうやら既存メンバーは甚爾が最後だったようで、全員が既に揃っていた。
久々のミッションということもあり、幾人かは表情が強張って見える。鍛錬自体は続けていたが、実戦経験の勘が鈍っていることは否めない。鍛錬で行えるのは、対人戦闘が限界だからだ。
新規のメンバーは、前回ほど多くはなく、これまでと同程度の人数が集められていた。
ふと、その中で一人気になる者がいた。
(ガキか。
小学校に行くか行かないか程度の子供が新メンバーの中にいた。
当然のことだが、ミッションにおいて子供が生き残る確率は非常に低い。それは単純に精神が成熟しきっていないということもあるし、何より
一人でミッションを生き抜くのは100%無理だ。
加藤辺りがカバーに入るだろうが、あまり貴重な戦力を子守に割きたくはないというのが本音だ。彼の性格上、止めても無駄であるから止めやしないが。
「お、伏黒さん」
すると、甚爾の転送にいち早く気づいた玄野が声をかけてくる。
「久々のミッションッすね」
「ああ。かなり期間が空いたからな。鈍って死なねーといいが」
「縁起でもないこと言わないでくださいよ……」
甚爾の揶揄に玄野は苦笑する。
実際のところ、戦闘に身を置いていないことによるブランクはかなり大きい。
あの時、星漿体暗殺任務の時にそれを強く実感した。
当初の予定ではもう十手ほど早く五条悟を殺していた筈だった。ただ、術師殺しの仕事から一時身を引いていたため、身体を思うように動かせなかった。
「ま、でも俺も死ぬつもりはないッすよ」
いつになくやる気に満ちている玄野に疑問を覚えるが、すぐにそれも解消する。
玄野の点数は93点。あと7点獲得すれば、100点メニューの選択が可能となる。おそらく、ネギ星人レベルのミッションでなければ、今回のミッションで達成することが出来る。
「ま、死なねーように精々頑張るんだな。何処かのクソガキみてえに100点間近で死ぬこともあり得るからな」
「縁起でもないこと言わないでくださいよッ! あと、西がすごい顔してるし」
西に視線を向けると、彼は今にでもこちらにXガンを撃って来そうな形相でこちらを睨みつけていた。甚爾がそれを鼻で笑うと、更に額に青筋を浮かべる。
流石に玄野もマズイと思ったのか、すかさず話題を変えようと西に話しかける。
「つ、つーか、西。オマエは大丈夫なのか? 訓練にも出てねーし、前回復活したばかりだろ?」
「……うッせーな、玄野。問題ねーッつの」
「おまえ、玄野さんが折角心配してくれてるのに……!」
「頼んだ覚えはねーよ雑魚」
「いやいや、いいンだよ桜井」
玄野に対してあんまりな態度に桜井が噛みつくが、西はまったくそれに取り合わない。玄野もこれ以上西を刺激するのはマズイと判断し、桜井を静止する。
この状況を悪ふざけで生み出したであろう甚爾に対し、玄野は心の中で「だから賭け事で勝てねーンだよ」と悪態をついた。それを悟ったわけではないが、甚爾は玄野のデコをデコピンで弾く。
「……」
東郷に視線を向けると、彼は静かに頷いた。
西のカバーは、東郷に任せてある。
それを大っぴらに広めないのは、西に対してあまりいい感情を抱いていない者たちの反感をこれ以上上げないためだ。
「お、おい……アンタら、一体何の話してンだよ」
すると、甚爾たちの話を傍観していた新人たちが困惑した様子で話しかけてきた。
甚爾は玄野と加藤に視線を向け、説明を促す。
今回の新人は五人。サラリーマンと例の子供。それにプラスして、既存メンバーを含めたら十六人だ。
部屋が狭く感じる。
──あーたーらしい あーさが きた
これ以上の追加メンバーは来ないのか、ガンツが歌を歌い始める。玄野たちの説明のおかげで思った以上に騒めきが広がることはなく、彼らは球に注目する。
いつもの文章が表示され、今回のミッションの
「コイツらッて……」
玄野たちの視線が、甚爾、加藤、和泉、桜丘の四人に向けられる。甚爾と和泉は無視したが、代わりに加藤と桜丘が頷いた。
「ええ、あの時私たちを襲ッた奴の一人よ」
表示されている画像は、氷川と呼ばれる金髪の吸血鬼。ミッション外で甚爾たちを襲った、星人の中でも一際異端な存在。
だが、その実状は甚爾と和泉の手によって壊滅状態にまで追い込まれており、以前ほどの脅威はないと言ってもいい。それでも、油断出来るものではない。
玄野たちも吸血鬼たちが標的にされる可能性は考えていたようで、そこまで驚いてはいない。どちらかと言えば、複数体の星人が標的とされていることに驚いているように見える。
実際、不思議ではある。千手の時のように同種族というわけではなく、今回は完全な別個体だ。
(抗争してるか、あるいは手を組んでるか……どちらにせよ、これまでとは毛色が違いそうだ)
推測のうちのひとつにあった、星人同士の同盟。
吸血鬼たちは人間に近いコミュニティを築いているため、その可能性は十分にあり得た。
新人たちをスーツに着替えさせた玄野たちは、これからのミッションの立ち回りを説明する。
かっぺ星人辺りから慣れてきたのか、説得は滞りなく行われている。また、スーツを着ている人間が多いこともあるだろう。これまでとは違い、この場においてスーツを着ていない人間は少数派だ。日本人は特に自分の意見を押し殺し、多数に流され易い傾向にある。
「今回の敵は部屋の武器を知ッてる。スーツのメーター部分への攻撃は気をつけてくれ」
「このスーツ、耐久限界とかあンの?」
「ああ。一定値以上のダメージを食らったり、所々についてるメーターを破壊されるとただのラバースーツになる。だから、ダメージが無いからと言ッて、調子に乗ると痛い目──いや、死ぬことになる」
──死
その言葉に、説明を聞いてもなお余裕を見せていた新人たちの表情が強張った。
まだ、何処かこれが現実ではないと思っていたのだろう。助けを求めるようにして、彼らは周囲を見渡すが、ほとんどが玄野の言葉を否定しない。怯える彼らをチーマーたちがニヤニヤと笑みを浮かべ、西は嘲るようにして笑う。
果たして、彼らは生き残ることが出来るのだろうか。
正直なところ、その辺りは甚爾でも予想はし難い。実際、あの部屋に呼ばれた時、玄野がここまで成長するとは思ってもなかった。彼の才覚に気づいたのは、ミッションを幾度かこなしてからだった。
単純に腕っ節が強いからと言って生き残れるというわけではない。その逆もまた然りだ。
(今回のミッションで、それなりの
仲間同士で何やら話しているチーマーどもに甚爾は視線を向ける。
彼らに関しては、品定は済んでいる。彼らが一緒に部屋にやってきた女をレイプした──というのは、レイカから得た情報で知っている。ミッションへの適応能力が高いのも、良心のタガが外れているからだろう。
だが、長生きはしないタイプだ。ガンツのミッションを楽しんではいるが、危機感を感じていない。バカな呪詛師に似ている。狡猾な人間は長生きできるが、狡猾だと
下手にこちらの足を引っ張ってもらっても困るし、早々に退場願いたいと甚爾は思っていた。
ああいう輩をつけあがらせれば、こちらに牙を向きかねない。面倒なことはしたくはない。
(精々、いい撒き餌になって死ね)
甚爾の視線に気づいた彼らは、何を勘違いしているのか低俗な笑みを浮かべて頷いた。
大方、
──ジ、ジジ
「……」
そうこうしている間に、転送の合図だ。どうやら一番最初に転送されるのはチーマーたちのようだ。続いて、和泉が転送させられる。特に反応を示すことはなく部屋から消える。
転送が始まったことで玄野たちが焦り始めた。
気になったので、近づくと、子供にスーツを着せることに悪戦苦闘している様子だった。
「どうしよう、玄野くん。この子、全然スーツ着てくれないの」
「マズイな……」
「おーい、見ろよこのスーツ、カッコいいだろー?」
「たけしくん、頼むよ」
「……」
反応はない。というより、これは警戒しているのだろうか。
すると、これまで俯いていた子供が顔を上げた。視線の先は──甚爾だ。キラキラとした目で甚爾を見つめている。
「きんにく、らいだーっ」
空気が凍る。
しかし、そんなことも気にせずに子供は持っていたスケッチブックを甚爾に見せてきた。
そこには筋肉隆々の男のイラストが描かれていた。
なるほど。
どうやら甚爾のことを、筋肉ライダーという存在だと思っているらしい。
ぷっ、と誰かが笑った。
聞こえた方向を見ると、腹を抱えて震える西がいた。先ほどの揶揄に対する仕返しのつもりなのだろうか。甚爾は持っていたXガンを投げつけた。
ガンツスーツは痛みなどのダメージは打ち消すが、慣性の法則には逆らえない。不意打ち気味に放たれたそれに西は反応することすら出来ず、壁に激突する。
「ぐ、何しやがる……ッ!」
「ハッ」
こちらを睨みつける西を鼻で笑いながら、甚爾は子供に向き直る。先ほどのキラキラした視線は一転し、怯えた目でこちらを見つめている。
──ジ、ジジ
タイミングよく、甚爾の転送が始まった。
転送された先は、前回と同様に東京だった。場所は渋谷区だ。
「……おいおい、普通に
さしもの甚爾も、これには驚いた。
これまでのミッションでは、ガンツはなるべく
だが、今回はそういった配慮は全く感じられない。時間帯も時間帯で、池袋駅周辺は多くの人間で溢れかえっている。
(一応、隠蔽工作自体は効いてるみたいだな。向こうが俺らに気づいている素振りはねえし)
環境は大きく変わっているが、ルール自体は変わったところはないようだ。
場所を移しながら、レーダーで今回のマップの範囲と星人の数を把握する。
(……多いな)
画面に表示されたのは、夥しい量の星人の反応。かっぺ星人の時など目ではない。その三倍以上は確実にある。
周囲を見渡したところ、星人らしい星人の姿は見えない。それは予想通りだ。ガンツから提示された星人の姿が人間に限りなく近しい姿だったことを考えれば、擬態していることはわかる。 聞いたところ、ネギ星人もアパートにいたということだった。気づかずに社会に溶け込んでいる星人はそれなりにいるのだろう。
吸血鬼たちもほとんど人と変わらぬ身であったし、見た目だけで彼らを見抜くのは非常に難しい。チビ星人の時のようにはいかない。
──あくまで、常人に当て嵌めた話ではあるが。
手にしていたXショットガンで、擬態している星人を多重にロックオンし、引き金を引く。
明らかに人とは違った臭い。質量に見合っていない足音。そして──
攻撃されたことに気づいたようだが、勝負は既についている。
彼らは真の姿を晒す前に肉体を弾き飛ばされ、肉塊と成り果てた。
「──あ?」
──悲鳴を上げた?
その事実に甚爾は困惑する。
ガンツのミッション中における隠蔽は、甚爾たちだけではなく星人にも適応される筈なのだ。
しかし、不思議なことに一般人は殺された星人をしっかりと認識している。星人の死体を見て嘔吐する者、泣き叫ぶ者、面白がって写真を撮る者など様々だ。
(だが、
考えられる可能性は幾つもあるが、どれも根拠がない。
単純にバグの可能性もあるし、この数の星人を処理出来ていない可能性もある。
ただ、原因がなんであれ、これまでと法則が変わっているのは確かだ。
どんな想定外な事態が起きてもおかしくはない。
(……俺たちの隠蔽が解けるのだけは勘弁願いたいな)
面倒な事態になることは目に見えている。
こんな街中で大規模な戦闘が起こり、その当事者たちがメディアに露出すれば、マスコミが挙って取り上げるのは容易に想像がつく。
その結果、こちらの姿が世間にバレる可能性は十分に考えられる。
"上"の連中が情報規制を敷いたとしても、情報というのは何処からか漏れるものだ。
現状は問題ないとしても、場合によってはこれからの表での動きを考える必要性がありそうだ。
(ま、いいさ。どのみち対策出来ねぇ。なるようにするしかねぇか)
今のところ出来る対策としては、ステルスくらいのものだ。ステルスは黒服星人には無意味だが、一般人の目は十分に誤魔化せる。ある程度の対策にはなるだろう。
ステルスを起動し、甚爾の姿は完全に闇の中へと溶け込んだ。
◆◇◆
夜の渋谷を、和泉は駆け抜けていた。
都会である東京、その中でも人口の多い都市であるこの街は、平日の夜でも人混みが多い。
こんな中でミッションを行うのは異例だ。失った記憶を少しずつ取り戻している和泉。かつて、新宿で『ジーンズ星人』と戦った時のことをふと思い返す。まだその詳細までは思い出しきれていないが、時間帯は覚えている。あの時は確かに都会でのミッションだったが、時間帯は深夜でありなるべく
(それに──今回のミッションは、どこかおかしい)
それだけではない。
だが、今回はこれまでのミッションとは明確に違う部分があった。
それは、ガンツがこれまで守ってきたルールを大きく覆す──
──刹那、和泉の目前を過ぎ去る触手。
反射。
考えるよりも早く、体が動いていた。曲がり角から現れた触手を上体を微かに後ろに逸らすことで和泉は避けていた。
そのままバク転の要領で一回転し、宙へと飛び近くの看板へと着地する。見下ろした先にいたのは、角から現れる5体の異形の怪物──オニ星人だった。
「あ、避けられた」
「何やってんだよ」
「偶然だろ。まぐれまぐれ」
「あ。あいつ、強いって言われてた奴」
「弱そう」
ニタリ、と下衆な笑みを浮かべてこちらを見上げるオニ星人。
途中で5体ほど葬ったが、彼らもこの個体と同じく和泉のことを
おそらく吸血鬼側からこちらの情報が漏れているのだろう。であれば、和泉の他に甚爾は警戒対象に入っている筈。金髪は和泉のことを知っていて、甚爾の脅威をあの時思い知ったから。
だが、正直なところ好都合だった。
相手に警戒されることで取られる行動は二つ。
ひとつは警戒されることで星人が姿を見せないこと。
もうひとつはその逆で、先に潰すために次々と戦力を向けてくることだった。
前者は星人との闘争を求める和泉にとっては好ましくない展開であったが、オニ星人の反応を見る限り後者の方に近い。臨むところだ。
オニ星人の戦闘力は先ほどの戦いで既に見切っている。
レーダーを見た限り、黒服星人を含めてかなり数が多いが、個々の強さはそうでもない。かっぺ星人やゆびわ星人の方がもっと強かった。
戦闘スタイルは主に触手。鞭のようにしならせ、攻撃してくる。威力は人体を容易く破壊出来るが、速さは目で追える程度。注意するところといえば、口から放たれる酸性の液体の放出だ。
過去、似た攻撃手段を持つ星人がスーツごと人体を溶かしたと加藤が話していたのを聞いた。
飛距離はそこまでだし、問題なく対処は出来る。
「……俺を殺す、か。面白味に欠ける冗談だ」
「は?」
「もう終わってるんだぜ、おまえら」
呟いた刹那、オニ星人たちが同時に弾け飛ぶ。
簡単な手品だ。
彼らを見つけた瞬間、ロックオンをしていただけのこと。黒服星人はこちらの装備について幾つか知っていると思っていたのだが、どうやら共有されていないようだ。
あるいはそれを失念してしまうほどオニ星人は愚鈍な頭をしているのか。知性があまり高くないのはやり取りを見てわかる。
まぁ何にせよだ。
和泉としては、雑魚狩りに興味はない。彼が求めているのは、命のやり取り──スリルある戦闘、そして勝利。
点数を取ることにも意味はあるが、西のようにそれだけに専念するつもりはまったくない。
眼下に集まってくるオニ星人たちの相手をしていては、ミッションが終わってしまう。
オニ星人のボス、そしてあの金髪の吸血鬼。
彼らを殺すのは自分だ。
甚爾に取られたくはない。次こそは、自分が。
ステルスを発動し、和泉は姿を消す。
まずは金髪の吸血鬼だ。
黒服星人を探し出し、仲間を皆殺しにした後──奴との決着をつけるとしよう。
「う、うわぁあ……!な、なんなんだよこいつら……!」
「あ、映画の撮影……?」
「痛い痛いや゛め゛で!!」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!!」
真下で襲われる一般人に目を向ける。
(……
これまでのガンツの敷いてきたルールが今回のミッションでは消えている。一般市民が星人を認識している。
不穏な雰囲気だ。
だが、和泉のやることは変わらない。たとえルールが大きく変わろうとも、星人を狩り、より高みを目指すだけだ。
襲われる市民に目を向けることなく、次の標的の元へと向かった。
◆◇◆
甚爾と和泉が戦乱に突入している中、玄野たちはちょうど全員の転送を終えていた。
この場にいるのは、甚爾と和泉、チーマー以外の12人。
新人を除けば全員が数回ミッションを経験している者たちばかりだ。
(チーマー達は……もう先に行ったのか)
見渡しても、彼らの姿は見えない。
とはいえ、玄野も驚きはしなかった。元々、訓練にも参加せず、ミッションを遊びとしか思っていない連中だ。
それに、あの部屋に呼ばれた経緯を考えれば、玄野としてもあまり彼らとは関わり合いになりたくはなかった。
(……今は、後回しにするか)
そこまで考えて、思考を打ち止める。
優先順位の問題だ。レーダーを見た限り、星人の数はこれまでのミッションとは比較にならないほどに多い。
あの吸血鬼たちも加藤と桜丘から話を聞く限り、雑魚ではないとのことだった。制限時間もあるし、ミッション失敗のペナルティだけは避けなければならない事態だ。
星人を倒しつつ、途中で合流することが最善策だといえる。
そのことをこの場にいる全員に伝える。加藤とレイカからは反論が出たが、あとで合流することと今回のミッションの難易度を伝えてなんとか納得してもらう。
「とりあえず、2〜3人に分かれて戦おう。エリアも広いし、固まって動くのは非効率だ」
「そうだな。チーム分けは、事前に決めていたヤツだな?」
「ああ。それでいいよ」
エリアも広く、星人の数も多い此度のミッション。時間が有限である以上、団体で動くよりも少数のグループで手分けして動いた方が効率的だ。
こういったミッションに備えて、予めグループは作っていた。
Aチーム:玄野、桜丘
Bチーム:加藤、レイカ
Cチーム:坂田、桜井
Dチーム:東郷、風
このうちBチームに新人と女子高生を任せ、Dチームには西を入れる。風を二人が援護射撃するという形になる。
戦力的にもバランスは良い。坂田と桜井のチームに古参組はいないが、ポテンシャルは加藤とほぼ遜色はない。冷静な判断も行えるため問題はない。チーマー達は、元々こちらに従うつもりはないようで、玄野も彼らに関しては諦めている。
現状問題があるとすれば──
「玄野くん。タケシくんはどうする…?」
「……」
そう、タケシだ。
隠れて貰っていた方が助かるが、この地獄のようなミッションの中に一人置いていくのは危険すぎる。
誰かがお守りをするのがタケシにとっては一番安全だ。
「ハッ、ンな足手纏いは捨てりゃいーだろ」
「おまえなぁ!」
西のあまりにも非情な言葉に桜井が反応する。西は薄く笑いながら、Xガンを桜井に向けた。
それ以上近づいたら殺す──そう西の目は語っていた。
「偽善者が。仮に今回のミッションでこのガキが生き残れても、100点を取れる可能性はねーよ」
「っ……!」
それは桜井も──いや、この場にいる誰もが分かっていた。
西の言う通りだ。
大人でさえスーツを着ていても命を落とす。そんなミッションに小学生にも満たない子供が生き残れる筈がないのだ。
100点を取って解放など夢のまた夢。
「桜井、落ち着け」
「く、玄野さん」
「子供のことで迷ってる時間はないからな」
タケシの100点での解放の可能性はない。甚爾が手を貸してくれたら光明はあるが、あの人は協力しない。
だからといって何もしないのは違う。可能性はない──けど、
「風、タケシのこと任せて良いか? タケシはおまえのことを一番信じてる。俺たちの中だったら、任せられる人はおまえしかいない」
甚爾が去った後、タケシは風を『筋肉ライダー』と呼んだ。
タケシが憧れたヒーロー。
今ここに、それは風しかいない。
風は一瞬迷ったが頷いて了承する。
「ありがとう」
玄野は風に感謝を述べた。
「時間もあまりない。今回のミッションも絶対に生き残るぞ!」
リーダーの言葉にそれぞれが頷く。
生き残るために日々鍛錬を続けてきた。今回もこれまで同様に戦って、生還するだけだ。
◆◇◆
『動き出したみたいだぞ』
異形の怪物が跋扈する夜の渋谷。初めは映画の撮影などと勘違いしていた一般市民たちがようやく状況を理解し始めたのか、あちらこちらで悲鳴が上がっている。
そんな中、
彼は地獄と化した池袋で逃げるそぶりすら見せず、誰かと連絡を取っていた。
そもそも、この状況において彼が焦ることなどあり得ない。
何故なら、この惨状を巻き起こしているのは彼らだからだ。
ガンツの
オニ星人──彼らを率いる者がそこにいた。
「クク、ついに来たか」
黒服のボス──氷川からの連絡にオニ星人のボスが笑う。
気分がいい。
彼らは人という種族を心の底から見下している。彼らを蹂躙するのは愉しいし、彼らの悲鳴を聞けば心が躍る。
「黒玉の連中──奴らと戦うのはこれで4度目だ。氷川。おまえが警戒する奴らは、本当に強いんだろうな?」
『……このやり取りは何度目だ? 俺の返答は変わらねーよ』
氷川の返答に、ふん、とオニは鼻を鳴らす。
耳からケータイを離し、その画面を見る。
そこには二人の男の写真が写し出されていた。
長髪の美青年と唇に傷のある男。この二人が氷川が最も警戒し、オニに念を押して注意するように言ってきた奴らだ。
その事実を告げられた時、オニは氷川たちを嘲笑った。
たかだか人間。たとえ武装したとしても、脆弱な存在であることには間違いない。事実、オニはこれまで黒玉の戦士を幾人も葬ってきた。その中にはそれなりの強者もいた。幹部クラスの星人を倒した者もいた。
──だが、そのすべてはオニ星人の首領たる己に手も足も出ずに命を落とした。
今回も結果は変わらない。オニ星人は、自分たちの勝利を信じて疑わない。
黒玉の連中は根絶やしにする。
それだけだ。
「お、アイツじゃね?
──と。
聞き覚えのない声がひとつ。
視線を向けると、そこにいたのは五人の男。男たちはこちらを見てニヤリと笑っている。
「あの玉に表示されてたし、たぶんボスじゃん?」
「人間ッぽいし余裕っしょ」
──雑魚だな。
戦うまでもなく、オニ星人は一蹴する。戦い慣れていればわかる。強者と弱者の違いが。
奴らの立ち姿は殺し合いに慣れていない者のそれ。身体は鍛えているようだが、そんなものは無意味だ。
奴らの力の源は、あのスーツだ。その恩恵は凄まじい反面、奴らに慢心を植えつける。
コイツらは、典型的な愚者だ。
「はは、俺らと変わらねーじゃん」
「弱そ〜」
「コイツら殺して、俺らも強い武器手に入れンべ」
緊張感のない会話。
敵である自分達に集中すらしておらず、その姿はあまりにも隙だらけだった。
「客が来たみたいだな。俺たちもそろそろ動くとするか」
「ああ」
「
氷川からの連絡は途絶える。
気にはしない。元よりそういう契約だ。氷川たちは長髪の男を優先的に狙い、自分たちは好き勝手に暴れる。
(雑魚が五匹……肩慣らしにもならねーが、まぁいい)
5対1。
側から見ればオニ星人が不利なように見える。実際、チーマーたちもしめたと言わんばかりに笑みを深めている。
だが、彼らは気づかない。
目の前にいるこの星人と彼らの間には、比較することすら烏滸がましい程の彼我の差が存在するということを。
「──殺るか」
蹂躙が、始まる。
◆◇◆
後にこの一夜は、日本中でこう称されることとなる。
──渋谷事変、と
はい、というわけでオニ星人編──もとい渋谷事変の始まりです
渋谷事変と聞いて、違和感を覚えた方はいると思います
え、渋谷?オニ星人編って池袋だったよな?って
はい!ですが、実はGANTZ:Oだとオニ星人は実は渋谷で行われているんですよね
原作との相違。本来の原作の世界線からは外れています
そういえば、呪術廻戦には因果の外側にいるが故に因果を無視して動ける存在がいるようです
ちなみに特殊タグの方ですが、
『ようこそ享楽至上主義の教室へ』等を投稿されているアネモネさんからいただきました。
ようやく使うことが出来ました。ありがとうございます!
【おまけ】
・黒服星人
実写版GANTZで出てきたオリジナル(?)星人。原作の氷川達を下地にした星人達です。今回は名前をそこから掻っ払ってきました
口癖のハンパねー、はオニ星人と一緒。GANTZ:minusでは、氷川が和泉に対して口にしてました。
たぶん種族的には同じか、あるいは近縁種なんだと思います。だから仲がいい
・オニ星人
GANTZの中でも屈指の強さを誇る星人。
最強はイヴァやぬらりが挙げられガチだけど、初見のインパクトは彼らに勝るとも劣らない。てかイヴァよりは優ってる。
基本的に幹部は後から動き出すけど、今回はなんか部下は最初らへんから動いてるし、ボスもやる気ある
GANTZでエピソードの人気投票したら、大阪編かオニ星人編が間違いなく一位になる
GANTZを読んだことないキミ!早く読みにいけ
GANTZ:F 完結後に書いてほしいもの
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GANTZ:Gにパパ黒√
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かっぺ星人後からパパ黒介入√
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チャットルーム回
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その他(個人でメッセージでどうぞ)