何ならハメで書き始めて一番伸びてるし、遠い存在だった総合評価一万にも手をかけつつあるという事実。
みんなパパ黒好きなんやね
【渋谷スクランブル交差点】
あれだけいた星人は
最も近い反応は渋谷駅。階層まではわからないが、他の仲間もおそらく同じ場所に向かっているだろうと予想し、加藤たちは走っていた。
「たぶん、渋谷に残っているのがボスだと思う」
「もう一体は、逃げ回ってるみたい。ボスッて。一部のミッションにいるッて言ッてた強い星人のこと?」
「ああ。これだけの規模だから……たぶん、いる」
ミッションの雰囲気──直感でしかないが、加藤は千手と似たようなものを今回のミッションに感じていた。
とんでもなく強い星人がいる。そんな気がしてならないのだ。
「お、おい……強い星人ッて、大丈夫なのかよ」
サラリーマンの一人が震え声で訊ねる。
無理もない。彼らにとって、無数にいた雑魚のオニ星人でさえ恐ろしいものに見えただろう。
それを聞いたレイカが優しい声色で答える。
「大丈夫です。私達は戦い慣れてますし、他の人たちもものすごく強い人ばかりなので」
「れ、レイカがそういうなら……大丈夫、なのか……?」
レイカのネームバリューは未知の恐怖すらも和らげる。
加藤はそんなレイカに感心しながらも、自分もしっかりしないといけないな、と奮起する。
「これから危険なことは多々起こると思います。ですが、俺たちは何度もそンな困難を乗り越えてきました。一緒に頑張りましょう」
「あ、ああ!」
「俺たちも頑張るよ!」
加藤のリーダーシップは、依然として発揮されている。
彼の見知らぬ他人であろうと手を差し伸ばす優しさと正義感は、弱い立場にいる人間にとっては救済の一手だ。
彼が高校でいわゆるカーストの低い人間に慕われていたのはそれが理由だろう。
その時、凄まじい轟音と共に僅かに地面が揺れ動く。
「! じ、地震!?」
「いや……違う、たぶん誰かが戦ッてるンだ!」
嫌な予感がする。
かつて、多くの仲間を失ってしまったあのミッションのことを思い出す。
「早く行きましょう、加藤くん!」
「あ、ああ!」
「ま、待ッてくれ! 俺たちはどうすればいい?」
初めてのミッションで、現実かどうかも未だに半信半疑のサラリーマンたちは、加藤たちに指示を仰ぐ。ミッションに複数回参加しているが、経験の浅い女子高生も言葉には出さないものの、怯えている素振りを見せている。
「ここで待機していてください。星人は残り一体……少なくとも、エリア内にいれば他の星人に襲われる可能性は限りなく少ない筈です」
浦中とサラリーマンに加藤は待機を命じる。
今の戦闘音からして、あそこにいる星人はかなり規模の大きい攻撃を繰り出す可能性が高い。巻き込まれることだってあり得るだろう。
彼らが了承したのを確認した加藤とレイカは走り出す。
辺りには多くの人間や星人の死体が転がっている。
心の中で助けられなくてすまない、と謝罪しながら渋谷駅に足を踏み入れようとした時、レイカが「あ」と声を上げる。
「どうした?」
「あれ……」
レイカ指を差す。その先には、マンホールから這い上がろうとしている東郷とそれを引っ張り上げている坂田と桜井がいた。
「大丈夫か!」
思わず加藤が駆け寄る。
明らかに只事ではない。スーツを着ていれば這い上がることなど容易なはず。しかし、今は二人から手助けしてもらい、何とか這い上がっているように見える。
それはつまり、スーツが破壊されている可能性を示唆していた。
「加藤さん! 無事だッたンですね!」
「ああ、何とかな。それより、三人は……」
「渋谷駅に星人の反応があッたからな。桜井と一緒に向かおうとしてたンだが、その途中で東郷とたけしがマンホールから出てきてるのを見つけたわけよ」
ちょうど東郷を助けたタイミングで加藤たちは鉢合わせたらしい。
加藤は、最初にチーム毎に散らばってからは、甚爾以外の仲間と会うことはなかった。安否が心配だったが、全員無事だったようで安堵するが、すぐに冷水を浴びたように硬直した。
その原因は、東郷の右腕だ。先ほどは、桜井に支えられていたから気が付かなかったが、肩口から先にあるはずの腕が存在しなかったのだ。
「そ、それッて……」
「止血は済ませてある。時間次第では生きて帰れる」
何とこともないように東郷は答える。
彼にとって、こういった負傷はいずれ起こるものと覚悟していたことだ。今更腕を失ったところで動揺などするはずもない。
「あの、何があッたンですか?」
レイカが東郷に訊ねる。
「俺たちはおそらくこのミッションのボスに遭遇した」
ボス──その言葉に加藤たちは戦慄する。いる可能性は考慮していたが、実際にその存在を肯定するとなると勇気がいる。
加藤は千手のことを思い出した。加藤にとっても忌々しい記憶だ。今でも偶に夢に見る。もしも甚爾がいなければ全滅もあり得たかもしれないと考えるとゾッとしない話だ。
東郷が遭遇したというボス星人の話を聞きながら、加藤はこの場にいないメンバーについて問う。
「風や西はどうしたンだよ」
「風は俺とたけしを逃し、おそらくそのままボスと戦ッている。西はオニ星人に殴り飛ばされてからどうなッたかはわからないが……」
「そンな……」
思わず呆然とする加藤たち。
「つーことは、さッきのでッけー音は、風とそのボスの戦闘音ッてことかよ」
「おそらくはな。だが、俺から見てもあいつは風よりも強い。早急に応援に行かなければ、長くは持たないだろう」
「なら、俺たちもすぐに合流しないと……!」
恐怖はある。それでも、加藤はそれを乗り越えて進むことが出来る人間だ。
「私も行くわ、加藤くん」
「! いや、でも──」
「私も……みんなの助けになりたいの」
レイカの真剣な眼差しを見て、加藤はそれを拒否することは出来なかった。
「お、俺たちも行きます! ね、師匠!」
「ああ、勿論だ。……つーか、伏黒や玄野たちは無事なンだろうな……?」
「伏黒さんは、ここに来る前に会いました。計ちゃんは分からないですけど……」
「なら、今戦ッてるのは風だけじゃないかもな」
残りの星人はボス1体だけだと考えると、伏黒や玄野も参戦していてもおかしくない、と坂田は口にする。
実際のところ、両者は未だ雷鬼と遭遇はしておらず、戦ってるのは和泉と風の二人だけなのだが、彼らにそれを知る由もない。
「俺も行きたいところだが、スーツが死んでいる以上は役に立たない。だから、
「ありがとうございます。でも、その怪我ですから無理はしないでください」
「ああ」
そう言いながらも東郷はまだ戦うつもりだ。
近接戦闘ではスーツの効果が破損しており、何より片腕を失っていることから役に立つことはない。
故に東郷は今自分が出来ることを模索している。
初参加や戦い慣れていないメンバーをなるべく遠くに逃し、己は遠くからの狙撃を狙うこと。それが今東郷に出来る最大限のやれる事だ。
先程のような失態はもう犯さない。
「気をつけろ。今回のボスは千手よりもずッと強い──
東郷のその忠告に加藤とレイカは息を呑む。
だが、次の瞬間には覚悟を決めた表情に変わる。
「はい、必ずみんなで生還します!」
【世迷言を──ここにいる奴ら、全員皆殺しだ】
その一言は、加藤たちの背筋を凍らせた。
少しばかり弛緩していた空気がガラリと入れ替わる。今この渋谷は、人間と異星人の戦争の渦中であることを、彼らに思い出させる。
振り返ったその先には、『鬼』の姿があった。
だが、加藤達の目を引いたのは、その容姿ではない。
鬼──雷鬼の手が握っている『モノ』。
何重にも絡んだ紐のようなものの先に付いてる、サッカーボール大の『ナニカ』。
暗がりでよく見えない──などということはない。
星人による未曾有のテロに晒されたとて、夜の渋谷を今もなお人口の明かりが灯している。
雷鬼が持っているそれは──
「風と、和泉……」
「うそ、でしょ」
風大左衛門と和泉紫音。
その首から下にはあるはずの肉体がなく、否が応でも彼らの死を加藤たちに突きつけていた。
「きょ、巨人……!?」
「なんなんだよ、今日は……!」
「映画、映画の撮影だよね……?! きッとそうだよ!」
周囲の無垢な一般人達も、雷鬼の姿を認識している。
流石の彼らも化け物だけじゃなく、黒服星人が轟かせていた銃声を耳にすれば、これがフィクションでもない現実であることに薄々と気がついていた。
何せ、新宿で起きた無差別テロは記憶に新しい。銃社会には程遠い日本だが、昨今においてその恐ろしさは現実味を帯びている。
(風と、和泉がやられた……単純な実力なら、伏黒さんに次ぐ二人がだ……!)
目立った傷といえば、左の角が切断されていることくらいだろうか。
戦慄する。
あの二人が命を賭けてもなお、たったそれだけしか傷を与えられなかったという事実に。
(嫌な予感がする……もしかして、伏黒さんや計ちゃんたちも……)
この場にいない伏黒と玄野、桜丘の安否が気になる。
総じて高い実力を誇る彼らだが、もしもの可能性が加藤の頭を過った。
甚爾とは直近で再会したが、その後のことは知らない。あの後、雷鬼と遭遇した可能性だった考えられる。
「……加藤、気持ちは分かるが今はその考えは捨てとけ」
「え?」
不安を隠せていなかったのか、坂田がぼそりと加藤にのみ聞こえる程度の声で耳打ちをする。
「今この場にいないンなら、戦力として数えるだけ無駄だ。淡い期待を抱いたところで、それが叶うかどうかは分かンねーしな」
確かに、と加藤は坂田の言葉を反芻する。
現状、加藤には彼らの生死を確認する手段はない。
今この場でまともに戦えるのは、たったの四人しかいない。東郷はおそらく接近戦は不可能。浦中やサラリーマンたちは、そもそも論、戦力として数えられる程ではない。
援軍を期待してひたすらに粘り続けるのは自殺行為だ。
もしも甚爾たちが命を落としていたのなら、その時間稼ぎは無意味なものになるからだ。
【人間共ォ!! 聞けッ!!】
雷鬼が唸るようにして声を張り上げる。
たったそれだけで空気が震撼し、張り詰めた空気が圧となって加藤たちの心身を締め付ける。
【そこから一歩も動くな!! 逃げたヤツから殺す!! 動いても殺す!! 今日!! この場にいることを呪え!!】
虚言ではない──その言葉に乗った怒りと殺意が、周囲の人々に理解させる。
今この瞬間、自分たちはこの怪物によって生殺与奪の権利を握られてしまっているのだと。
それは、加藤たちも同様だ。
あの千手以上の圧倒的な覇気を、雷鬼から感じ取っていた。
【まずは貴様らからだ、ハンター】
「……!」
【貴様らを全員殺して、貴様らの中で一番強い男を殺す……そして、それを繰り返し、全人類を滅ぼす】
雷鬼は、加藤たちなど眼中にない。彼のいう一番強い男──おそらくは、伏黒甚爾さえも、彼の人類撲滅宣言の一段落の一つに過ぎないのだろう。
だが同時に、ある一つの希望が浮かぶ。
雷鬼は、この怪物は甚爾とまだ対峙していない──それはつまり、伏黒甚爾という最大の切り札が生きている可能性があることを意味する。
(けど、甚爾さんに頼ッているようじゃダメだろ)
──俺を殺せるバケモノも存在するってことだ。あんまり頼りにすんなよ
かっぺ星人のミッションの際、甚爾が語った己の死因。
後に坂田たちと同じ超能力者との激闘の末の死だったことが判明した。
あの無敵にも思えた千手観音を無傷で打倒してみせたという甚爾。そんな彼の命を相討ちとはいえ奪える程の怪物がこの世に存在していたという事実。
異星人という化け物が現実にいる以上、それが加藤たちの前に現れてもおかしくはないのだ。
伏黒甚爾に依存してしまった後の末路は想像に難くない。
きっと、成すすべもなく彼を殺した星人に敗北し、この部屋のメンバーは全滅してしまうのだろう。
だから、加藤たちは必死になって鍛錬を積んできた。
伏黒甚爾のワンマンチームではない──彼も戦力の一つと言えるような、そんなチームになるために。
「やりましょう、加藤君……!」
「……俺も戦おう。死に体だが、使い道はある」
加藤の隣にレイカたちが立ち、東郷が背後でXガンを構える。
浦中やサラリーマンたちは、怯えながらも東郷の背後に立つ。
「行こう、俺たちならやれる──!」
腰を落とし、腰に据えたガンツソードを加藤が振り抜く。
それが開戦の狼煙だった。
迫り来る黒刃を雷鬼は跳躍して躱わす。
加藤を除く主要メンバーがXガンの照準を向けるが、それよりも速くに雷鬼は準備を終えている。
「避けろ、雷だ!」
声と同時に加藤たちはその場から飛び退いた。
チラリと周囲に目を向けると、東郷が何とか一番近くにいた、たけしと浦中の手を引く。何も出来ずに呆然と雷鬼を見つめるサラリーマンたち。
加藤が彼らに逃げろ、と叫んだその瞬間、
パリッ──紫電が迸り、
──雷鳴が轟く。
地面に飛び込むようにして、加藤は受け身を取り体勢を立て直す。
顔を上げた瞬間、目に見えたのは雷鬼がこちらに向かって拳を振り上げている姿。
体を捻り上げ、迫り来る拳の鉄槌を避けた加藤だが、既に雷鬼の姿はそこにはない。
何処に──そう考えた刹那、背後から衝撃が襲いかかり、地面へと叩きつけられる。
「がはッ」
【トロいな、ハンター!】
追撃の予感を覚えた加藤は、勢いよく地面を転がる。方向は完全に運任せ。背後を確認する暇などなかった。
刹那、紙一重の差で雷鬼の重い拳が先程まで加藤がいた場所に突き刺さる。コンクリートを容易く砕き、粉塵が舞う。
その強靭な膂力に冷や汗をかく。
圧倒的な力の差。基礎
雷鬼の誇る強さに加藤は伏黒甚爾の姿を幻視する。
(これが、今回のボス……! 千手よりも遥かに……)
──強い!
今の一瞬の攻防──否、一方的な防戦で分かる。
加藤一人ではどうしようも出来ない相手だと。
同時に思い出す苦々しい過去。
加藤と共に戦った多くの人間が、圧倒的な力を持つ一人の星人に成す術もなく殺されてしまったあの日の夜のことを。
(クソ……あのサラリーマンたちも死ンでしまッた)
みんなで生きて帰る。
この残酷な世界では、夢物語に等しい理想だ。
彼らはもしかしたら今回で『100点』を取れずとも、大量の点数を取れていた。加藤とレイカがそういう立ち回りをしたからだ。
今回のミッションとは言わずとも、もしかしたら次で"1番"を選べたかもしれないのに。
ギョーン ギョーン
ギョーン ギョーン
倒れる加藤を援護すべく、坂田たちがXガンを雷鬼に向かって連射する。その中には、浦中の姿もあった。
チーマーたちから性被害を受ける最中に命を落とし、ゆびわ星人のミッションに巻き込まれた彼女。坂田たちのように戦える気質ではなかった彼女は、つい先程まで戦力にはならない存在だった。
そんな彼女が、今この場で震えながらも共に戦ってくれている。
個々の能力では、雷鬼には勝てない。
それは覆ることのない絶対的な条件。
それ程までに存在する身体機能と経験値の彼我の距離。
何もかもが足りない加藤たちだが、今この状況で唯一雷鬼に勝っているものがある。
それは──
(みんなで生きて帰る! みんなでこいつに勝つンだ!)
──数の有利
個々の能力が低かったとしても、チームワークで雷鬼を上回る。
勝算があるとするのなら、きっとそれしかない。
そして、玄野というリーダーがいない今、加藤がその役割を全うする。
雷鬼の強さは圧倒的だ。
強靭な肉体が宿す膂力と敏捷性。
遠距離から放たれるスーツを一撃で破壊してしまう程の雷。
加藤たちとは別のガンツのプレイヤーとの豊富な戦闘経験。
純粋な力だけでなく、総合値としてこれまで戦ってきた星人とは一線を画す。
ドンッ、と地面がひび割れると同時に雷鬼の姿がブレ、その場から消えるようにいなくなる。
何が、と思った直後、背後から途轍もなく重い衝撃が加藤にのしかかる。
「ぐぁあッ!?」
勿論、反応出来る筈もなく、地面へと叩きつけられる。
加藤だけではない。
その場にいた隠密している東郷とたけし以外の全員が次々と吹き飛ばされていく。
残像のような軌跡が縦横無尽に舞うようにして走っている。
雷鬼の厄介な点は、その圧倒的なパワーや即死レベルの雷撃ではない。
最も危険なのは、そのフィジカルに備わった
野生的な勘を持つ風や優れた戦闘センスを備えた和泉が、存在を認識しているのにも関わらず、正面から不意を打たれてしまう程の速度。
そして、少しでも隙を見せれば雷がその身を貫く。
加藤たちもそれは理解している。
雷鬼に翻弄され、地面に転がされながらもXガンは絶対に離さず、すぐに立ち上がり銃口を向ける。
お互いにリカバリーが出来ている。エース級のメンバーが欠けている状態でも、初撃で命を落とした3人を除いて誰一人死んでいない。
「伏黒が来るまで耐えろ!」
坂田が叫ぶ。
東京部屋最強の存在。
玄野や桜丘も増援に来る可能性があるが、このいつ誰が命を落としてもおかしくない極限状況に欲してしまうのは、絶対的な強者という存在だった。
「それじゃ駄目だ!」
「何ッ!?」
「伏黒さんに頼ッてばかりじゃ、俺たちはいつか必ず行き詰まる!」
加藤が叫び、雷鬼の大振りの拳をくぐり抜け、合わせるカウンターの一撃を振りかぶる。
──
【ッ、煩わしい】
踏み込みが浅い。
衝撃を流され、明確なダメージにはならない。
だがしかし、その一撃は加藤たちにとってはひとつの希望の光だ。
これまで一度も当たらなかった攻撃が当たった。
折れかけていた心に、僅かな足組みが支えとなって生じる。
何より加藤の一言は、伏黒甚爾という名のワイルドカードに対する依存の脱却の一声でもあった。
「俺たちで! こいつをここで倒すンだ!!」
加藤の一声が、希望となって伝播する。
根拠はなく、ただの発破に過ぎない。
だが、この絶望的な状況においては、たったそれだけのことで立ち向かえる気がした。
それでも、状況は加藤たちにとっては依然として不利だ。
雷鬼の動きに翳りは見えないが、精神的な負荷は掛けられているように見える。
しかし、それは加藤たちも同様だ。
じわりじわりとスーツの消耗と精神的疲労は溜まっていく。
戦いが長引けば不利になるのは間違いなく加藤たちだ。
そして、遂にその瞬間は訪れる。
「あ!」
浦中のスーツが悲鳴を上げ始める。
それは、スーツの耐久が限界を迎え始めている証拠。
加藤たちの中でも戦闘経験が殆どない彼女は、被弾も多く受け身も上手に取れていない。スーツの消耗が一番早いのも不思議ではない。
雷鬼が獰猛に笑みを深める。
視線が浦中へと向かい、次の瞬間にはその巨体は彼女へと接近していた。加藤たちが反応するよりも早く、丸太のような脚が彼女の体へと突き刺さる。
モロに蹴りを食らった浦中。彼女は、悲鳴を上げることすら出来ず、呆然と状況を見ているしかなかった一般人のもとへと吹き飛んでいく。
仲間の一人がやられた。加藤は込み上げてくる怒りを感じるが、しかし次の瞬間にその怒気を別の感情が塗りつぶす。
「うわぁあ!」
「な、何か飛ばされてきた!?」
「
「え……!?」
一般人の悲鳴の中から聞こえた一言は、加藤たちの思考に空白を齎した。
ガンツのミッションでは、基本的にはメンバーや星人の姿形は映らない。例外として、特定の条件を満たした場合にのみ写真に写ることがあるらしいが、肉眼で捉えることは出来ない。
ただ、今回のミッションは例外的に
イレギュラーな要素ではあったが、加藤たちは考えるだけ意味はないと切り捨てていた。
しかし、ここにきて更に状況は一変した。
星人だけでなく、
実のところ、もう一つ異変が起こっているのだが、それを今の加藤たちが知る由はない。
唐突に起きたトラブルにより、加藤たちの動きが止まる。
【考え事か? 余裕だな】
その隙を──鬼の首領は見逃さない。
「しまッ──」
稲妻は、既に放たれる準備を終えている。
◆◇◆
雷撃を放つ──それだけで、加藤たちは一瞬で終わりを迎える。
その筈だった。
【 ──は? 】
反射、本能──意識よりも早く、肉体が先駆けて動く。
上体を大きくのけ反らせた雷鬼の数ミリ上を黒刃がゆっくりと通り過ぎていく。
否、遅いのではなく、それ程までにオニ星人の精神が集中していたのだ。
心拍音が耳元で聞こえる。
体中からひんやりとした汗が溢れ出る。
死の予感。
今、もしもコンマ数秒でも遅れていたのであれば。
たった一撃で、己の首は斬り飛ばされていたであろう。
その事実を認識した瞬間、雷鬼の視界が──否、脳が激しく揺れる。
そのまま車や建物を巻き込み、100メートル近く吹っ飛んでいく。その途中で体勢を立て直しながらすぐに状況把握に意識を──
(何が、起こッて……)
──割けなかった。
畳み掛けるようにして、腹部にこれまで感じたことのない衝撃が迸る。
肺から空気が無理矢理押し出され、同時に内臓が逆流する。口から排出されているような嫌悪感と共に意識が消し飛びそうになる程の痛みが遅れてやってくる。
視線を動かせば見たことのない──否、見覚えはある。
写真でだが、氷川が見せてきた写真の一枚に写っていた唇に傷のある男。
ここまで姿を見せてこなかった──伏黒甚爾の姿がそこにあった。
実はユニオンアリーナというカードゲームにハマっています
呪術廻戦となHUNTER×HUNTERみたいなバトルものは勿論ですが、学マスとかにごりりみたいなバトルとは縁のない作品も参加しているTCGです。
これの面白いところが、原作再現がものすごくてですね……
個人的に一番好きな再現は、東堂の入れ替えと千鉱の玄力3倍使用の2回アタック。
私はよく呪術廻戦の東堂デッキを使ってますが、そこに伏黒甚爾を入れております。マジで面白いので、興味ある方はぜひやってみてください。ティーチングアプリあります。
【おまけコーナー】
・和泉と風
残念ながらお亡くなりに。しかし、意地は見せたようで、雷鬼に傷を負わせることに成功。
個人的に今回のオニ星人編は、GANTZ:Oの世界線のオニ星人編をコンセプトに作っております。
活動報告にも書いているのですが、GANTZ:Oではおそらくオニ星人のボスに総力戦じゃなくて個人戦で挑み、部屋が壊滅してしてると予想してます。なので、今回は和泉と風が単独で戦ったり、チームで戦うも原作よりも戦力として劣る状態で戦ったりしてます。
パパ黒は何してたんでしょうね(すっとぼけ)
・雷鬼vs加藤たち
総力戦とは言いますが、甚爾と玄野、風と和泉といったエース級の存在が不足している状態。しかも東郷は片腕を失い、スーツの機能が死んでいる。
それでも頑張って、何とか粘ってます。
甚爾がたびたび口にしている伏黒甚爾という存在への依存。加藤の一声がその一手を担いました。
・伏黒甚爾
我らが天与の暴君
安定の不意打ち。実はネギ星人、千手相手にしか不意打ちをかましていない
不意打ちを失敗してしまいましたが、実のところここには彼の油断があったりします
透明人間だったが故の弊害ですね
いずれここについては話すことになるかと思います。
それでは、また明日も21時5分に! あるいは昼頃にでも
感想・評価お待ちしております!
GANTZ:F 完結後に書いてほしいもの
-
GANTZ:Gにパパ黒√
-
かっぺ星人後からパパ黒介入√
-
チャットルーム回
-
その他(個人でメッセージでどうぞ)