GANTZ:F   作:うたたね。

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パパ黒のガンツからの呼び名を『駄目ゴリラ』に変更しました。

あと、お気に入り500件突破!評価も二十人の方にいただきました!ランキングもまさかの10位へ……。
更新の力か? これが……。
ありがとうございます♪


0004 採点の時間

「ガンツが採点? どういう意味だ?」

「さ、さぁ……?」

 

 中学生の言葉とガンツに表示された画面を見て、高校生二人が困惑している。

 

「さっきの戦い──ミッションの評価、ってとこだろ。どれだけ活躍したか、貢献出来たか──それをこの球、ガンツが採点するんじゃねぇの?」

「なるほど……」

「アンタ、マジで何者だよ……その通りさ」

 

 甚爾の言葉に呆れながらも中学生が頷く。全員から「一体何者?」と言った視線を向けられるが、一切合切無視する。こんなものはただの推察だ。細かい情報を繋ぎ合わせて予報を組み立てただけに過ぎない。

 

 画面が変わり、簡易的に描かれた犬のイラストとバラバラなフォントを使われた文章が表示される。

 

 てん

 るき、な

  出し

  ふり

 

 部屋全体に何とも言えない空気が充満する。

 一体、この球は犬に何を求めているのだろうか。人の言葉ならまだしも、文字なんて理解出来る筈もない。ミッションの内容などこの犬は分かっていないだろう。

 そもそも、何故犬を連れて来たのか。ミッションの説明といい、評価の内容といい、ガンツがかなり適当であることが分かった。

 

(ああ、そういや高専の傀儡師が魂の宿った呪骸を造ったともっぱら噂になってたな……ありゃあパンダだったか? 確か)

 

 まぁ、この犬はそんな例外とは違い、ただの犬であることは間違い無いのだが。

 

 しかし、どうやら星人を倒さなかったからと言って、何らかのペナルティがあるわけではないらしい。ガンツの理不尽さから星人を狩らなければそれくらいはしそうだったが、杞憂だったようだ。

 

 続いて、画面が更新され次の生存者が評価される。

 犬と同じく簡単に描かれた写真と、評価と呼んでもいいのか分からない評価文。

 当人に目を向けると、顔を赤くして混乱していた。

 

 てん

 ち でか

 はかづうろつき

 

「あたしィ!?」

「オマエしかいねぇだろ、露出狂。よかったな、俺たちの姿が周りには見えなくて」

「露出狂じゃないッ!」

「ちょっとおもしれーかもこの採点」

「おもしろくないッ!」

 

 ケラケラと笑う甚爾と計ちゃんと呼ばれた学生に噛み付く巨乳女。こいつは揶揄い甲斐があると、甚爾は確信する。

 

かとう(ちゃ)(笑)

 てん

 かとうち死にかけとわ

 にごと

 

「あ、俺だ……」

 

 オールバックの学生が小さくつぶやく。

 "かとうちゃ(笑)"というあだ名にこの文章。いよいよ評価もクソもない上に一丁前にウケを狙ったであろう文に、部屋が静寂に包まれる。

 甚爾は生前参加した合コンで、思いっきり滑り倒した名も知らない男のことをふと思い出した。あの時の空気に似ている。

 

「う〜ちょっとドキドキして来たぞ。俺、何点だろ」

「0点でしょ……」

 

 計ちゃんと呼ばれた少年がソワソワとし始め、巨乳女が冷静に彼の呟きを切り捨てる。

 甚爾も彼女に内心同意する。この採点で評価されるのは、ミッションでの活躍ではなく星人を倒したか否かだ。もし活躍が評価されるのであれば、あの時ネギ星人に掴みかかり隙を生んだ加藤はもう少し点数を貰えた筈だ。

 

 ワクワクしている少年を焦らすように、次に表示されたのは中学生だった。

 

西くん

 てん

 TOAL7てん

 13てんでお

 100てんまでもーこしだね がんば

 

 87点。かなりの点数だ。それなりに修羅場を潜って来たのだろう。尤も、その殆どが新人を囮に使っての不意打ちだろうから、経験値が貯まってるかは別だが。

 そして──気になることがひとつ。

 あと13点で終わり。

 100点を取った時、何かがある。ボーナスと言ったところだろうか。ますますゲームのようだ。

 

「100点取ったら何があるんだ?」

「採点が終わったら教えてやるよ。つーか、どうせなんとなく分かってんだろ?」

「まぁな」

 

 中学生──西と話していると、いつの間にか次の評価に移っていた。

 

くろの

 てん

 みて んこ たち

 

「フハッ……!」

 

 思わず甚爾は吹き出した。

 計ちゃん──くろの(玄野)。まさかあの危機的状況で勃起するとは流石としか言いようがない。脳が下半身に付いているのではないだろうか。変態の素質がある、と甚爾は腹を抱えて笑いながらそんな評価を玄野に下す。

 

「ちょ、アンタ笑い過ぎだろ!」

「これが笑わずにはいられるかよ。ハハッ! オマエ大物になれるぜ。変態界隈の大物だけどなッ!」

「ぐ、ぅ……!」

 

 恨めしそうにこちらを睨みつける玄野に、どこ吹く風といった様子で笑い続ける甚爾。玄野の側からいつの間にか巨乳女は消え、加藤の背後へと移動していた。懸命な判断だ。

 

「あー、腹が痛ぇ……順番的に次は俺か」

 

 まだひくつく腹筋を押さえながら、甚爾はガンツに注目する。

 甚爾が倒したのはネギ星人一匹。点数はもらえるだろうが、あの弱さだ。高得点はないだろう。高くても5点程度が限度だ。

 

 ガンツによる玄野の密告文が消え、甚爾の評価へと移る。

 

駄目ゴリラ

 てん

 97てんでお

 初参加なのに てきおう

 

  3点、というのはあのネギ星人の点数だろう。やはり、その程度の強さだったということだ。これから戦うであろう星人はネギ星人よりも手強い。そう思っておいた方がいいかもしれない。

 

「だ、駄目ゴリラ?」

「ああ、俺ヒモだったから」

「……」

「んだよ」

 

 巨乳女の零した呟きに甚爾は答えると、蔑むような視線が返ってきた。

 ヒモの何が悪いのか。住まわせてもらっている間の生活費や娯楽費などは全てこちらが払ってやっていたというのに。そもそも、きちんとした合意の上だ。

 リターンのあるヒモ。

 プロのヒモ。

 駄目ゴリラという評価は間違いだ。

 

 しかし、どうやら玄野はそうは思わなかったようで。

 

「いや、ヒモとか、嘘だろ! 絶対にやべー仕事してただろ!?」

 

 空気が凍る。

 加藤も巨乳女も「嘘だろ?」といった表情で玄野の方を向き、西は「すげーよおまえ……」と呟き呆れていた。当の玄野もしまった、と口を手で覆っており、どうやら思わず思っていたことを口にしてしまったらしい。

 甚爾が玄野を見つめる。ヤバいと思っているからか、額に大量の大粒の汗が滲んでいる。

 

「……」

「……」

 

 それから何秒経っただろうか。先に口を開いたのは甚爾だった。

 

「してたな」

「え?」

「殺し屋をやってた」

「は?」

「だから、殺し屋をやってたって言ってんだ。二度も言わせんな」

 

 殺し屋。

 非現実的な単語だったからか、西と犬以外は怪訝な表情を浮かべ、数瞬後にその意味を理解して顔を青くする。

 そんな彼らを見て甚爾は笑う。

 

「え、ええ……マジ……?」

「マジだ。ま、信じるか信じねぇかはオマエら次第だがな」

 

 本来なら冗談だと笑われるだろうが、状況が状況。かつ甚爾の異常な適応能力を見ているからか、玄野たちはそれを真実として受け取ったようだ。

 

「ま、別にオマエらを殺しはしねぇよ。()()()()()力を合わせることもあるだろうしな」

「これから……?」

「ああ。なぁ──西?」

 

 このまま甚爾のことを話しても時間が経つだけでなんの意味もない。この部屋のことに最も詳しい人間──西へと注目の的を移す。

 玄野たちも西には聞きたいことがあったらしく、彼に詰め寄り質問責めにした。西も面倒臭がることはなく、玄野たちをバカにしながらもひとつひとつ質問に答えていった。

 

 何が起こっているのか。おまえは何者なのか。何故、この状況について詳しいのか。

 その答えはどれも甚爾の推察通りだった。

 西がこの部屋にやって来たのは一年前のこと。西が来る以前からも今夜のようなことは繰り返されており、自分は経験者というだけでガンツの正体などは知らないということ。

 途中「何故そのことを最初から教えなかったのか」と加藤が西を非難し一悶着あったが、甚爾が話が進まないと二人を組み伏せたりもした。その時に西がオリジナルの自分達は死んでいて、ここにいるのは人格と肉体だけがコピーされた別人だということも言った。

 その後は滞りなく話は進んでいき、そこでそれまで傍観に徹していた甚爾もひとつ質問することにした。

 

「おい、さっきの俺の質問に答えろよ」

「さっき……? ああ、アレね。ちょっと待ってて」

 

 西がガンツに向かって「ガンツ、100点メニュー」と囁くと、球体に新たな画面が表示される。

 

 

『100てんめにゅ〜

 

 1.記憶を消されて解放される

 2.より強力な武器を与えられる

 3.MEMORYの中から人間を再生できる』

 

 

「これが100点取ったやつへの報酬さ。こん中からひとつ選ぶんだ」

「へぇ」

「記憶を消されて、解放……」

「武器……つか、再生って蘇らせるってことか……?」

 

 100点を取った者の恩恵。

 これは確かに──()()

 特に1番と3番。この二つは部屋の住人を積極的にミッションへと参加させるカードだ。

 早くこの地獄から解放されたい──だったら100点を取れ。

 あの人とまた一緒に生きたい──ならば100点を取れ。

 蜘蛛の糸。地獄から抜け出すために用意された、一糸の希望とも言えるだろう。

 それを掴むために、多くの人間が必死になって星人を狩る。実によく出来たシステムだ。

 

 甚爾としては2番の武器の内容が気になるところだ。甚爾には1を選ぶつもりはない。この世界は甚爾のいた世界ではなく、 西の言っていることが本当なのなら、自分は偽物だ。記憶を消して日常に帰ったところで意味はないのだ。ならば、当面の暇潰しとして星人を狩るのも悪くはない。

 

(それに、ガンツを作ったクソ野郎のツラも、拝んでおきたいしな)

 

 何処かでこの部屋を視聴し、こちらの様子を高みの見物しているであろうクソッタレ。

 どうせこの肉体も記憶も偽物だ。飽きるまでの暇潰しとしては及第点といったところか。

 

「もう質問はない? あ、そうそう。ここのことは喋らない方がいいぜ。頭バーンだからよ」

 

 そう言い、西はスーツに搭載されたステルス機能を利用し、部屋から出ていった。

 残されたのは四人と一匹。玄野たちもとりあえず一度家に帰るようだ。甚爾もこの部屋には用はない。まだ調べていない部屋はあるが、それは今度呼ばれた時でいいだろう。それよりもまず、やらなくてはならないことがある。

 

 玄関へ向かい、ドアを開け外へ出る。どうやら本当に次のミッションまでは自由なようだ。

 

「んじゃ、オマエらとはここでお別れだな。次のミッションまで会うことはねぇだろ」

「あ、はい。えっと……」

「あ? そういや名前言ってなかったな。甚爾。伏黒甚爾。それが俺の名前だ」

 

 甚爾が女以外に名前を教えるのは非常に珍しい。これからのミッションで『駄目ゴリラ』なんて呼ばれるのも困る。ガンツの付けたセンスのないあだ名よりも、普通に本名で呼んでもらった方がマシだ。

 甚爾の名前を聞き、加藤たちも自分の名前を伝える。オールバックの学生は加藤勝、勃起学生は玄野計、巨乳女は岸本恵と言うらしい。女の名前以外を覚えるのが苦手なため、次回会った時に覚えているかは別だが。

 

「ま、もし街中で会うことがあれば、そん時は金貸してくれ。今の俺は一文なしでな」

 

 言い捨て、西と同じくステルスを起動し、飛び降りる。その時、岸本が蔑んだ目をこちらに向けていたことは気にしない。地面まで相当離れているが、甚爾には何も問題はない。

 

(とりあえずは金集めだな)

 

 懐にはヤクザから奪った銃と、その時どさくさに紛れて盗んだ財布が入っている。これを競馬辺りで増やして、手早く資金を手に入れよう。

 

 

 

 

 ──次の日、甚爾は持っている有り金全て溶かした。

 

 

 




【ガンツのコピーについて】
ガンツは割と適当なんですよね。基本的に部屋に呼ばれるのは死人のみなんですが、たまーに死にかけの人間を蘇生しちゃう時があります。その場合、オリジナルがその後亡くなれば問題は無いんですが、生きていた場合、生き残った蘇生された人とオリジナルが遭遇したりすることもあるんです。
これが意味することはひとつ。ガンツの蘇生はあくまで蘇生ではなく、人格と肉体をスキャンして、現実にペーストするという擬似蘇生にあたるんですね。
今回、そのことについてパパ黒の言及は省いていますが、パパ黒は部屋に転送され、蘇生に気づいた時点で何となくそこを理解していました。
だって、何故か服も修復されてるしね!


とりあえず、これでネギ星人編は終わりです。
ガンツ文字のフォント弄りが一番きついぜ……これだけで軽く1時間かかる。次回からは何人か省略しようかな……。
次回からは田中星人編です。
田中星人編ではパパ黒にガンツソード振り回させます。

というか西くんの口調が無限にわからん

GANTZ:F 完結後に書いてほしいもの

  • GANTZ:Gにパパ黒√
  • かっぺ星人後からパパ黒介入√
  • チャットルーム回
  • その他(個人でメッセージでどうぞ)
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