申し訳ないです。
とりあえず、千手編全部とまでは行きませんが、導入部まではほとんど書けたので、そこまで投稿します。
次話は明日の夜には更新されるかと!
あと、いつもいつも誤字報告ありがとうございます……!
書いてると意外と気づかないもので。本当に助かってます。ほんとに誤字多い。
それでは!
PS.
ユニ先輩かわいい
0008 弟子入り
玄野計は、とある高層マンションの建設現場にやって来た。数年前に建築される予定だったこのマンションは、担当していた建設会社が倒産し、計画が頓挫。それっきり放置されたままとなっていた。
昼間も
そんな場所にやって来たのは、ある男──伏黒甚爾と待ち合わせしているからだ。
田中星人との戦いの後、玄野は甚爾に弟子入りを懇願した。
ガンツの部屋、ミッション──あの場所こそが己の居場所なのだと気づいた玄野は、同時にある不安を覚えていた。
確かに今回は無事に生き残ることが出来た。だが、それは運が良かったからだ。確かに玄野にはセンスがあるかもしれない。それでも、実力が不足していることは明白だ。
経験値のあった西でさえ死んだ。まだたった二回しかミッションに参加していない自分が、これからも生き残れるのか。
──生き残るための力がいる。
力を、身につけなければならない。
だから、玄野が知る限りの最強の男──伏黒甚爾に強く惹かれたのだ。
彼のようになりたいと、ならなければならないと。
残念ながら、了承の返答は得られなかったが、代わりに二日後にここに来いと言われ、玄野は約束の場所へとやって来た。
集合時間は19時であり、現在の時刻は18時40分。少しだけ早く来すぎたかもしれない。
(岸本、大丈夫かなぁ)
道中で購入したホットコーヒーを飲んで身体を温めながら、ふと岸本のことを思い出した。
一応、夕飯は置いておいたが、少しだけ心配だ。
岸本恵。
あの部屋で出会った、玄野が絶賛恋している女の子。顔も整っていて、スタイルも良く、性格も可愛い。そんな彼女と玄野は同棲している。
恋人というわけではない。岸本には帰る家がなく、玄野の家に居候しているだけだ。
──ここにいる人間は……FAXから出て来た書類なんだよ
西があの時言っていたこと。
話半分程度に聞いていたが、それが事実であることを玄野と岸本はその目で見た。
ガンツは適当だ、と西は言っていた。
生死の細かい確認をせずに部屋に死者を誘うことがあるらしい。
ガンツの蘇生は蘇生ではなく、肉体と人格をコピーしてあの部屋に吐き出している。
信じたくはないが──普通に生活している岸本を、玄野は目にしてしまった。
であるならば。
玄野と過ごした岸本恵は、
そして。
それを証明する手立てはない。
岸本が、幼い頃にやんちゃした時に出来た傷が消えていたと。それは玄野も同じだった。
ゾワリ、と背筋が凍る。
世の中には、知らない方がいいこともある。
気づいてはいけなかったことに気づいたようなそんな感覚を、玄野は確かに感じていた。
(──まぁ、考え過ぎか。俺は俺だし〜)
玄野は、その辺は図太かった。現実逃避しているだけかもしれないが、気が狂っておかしくなるよりはマシだろう。
「……あれ?」
ふとそこで、あることに気づく。
伏黒甚爾──彼は部屋に呼び出された時、口端に傷痕が付いていた。
(なンで消えてないんだろ)
ま、いいか。
ガンツは適当だと言っていたし、そういうこともあるだろう。
浮かんだ疑問はすぐに消え、時計を見ると既に集合時間の19時を過ぎていた。
待ち人の姿はなく、遅刻かよ、とため息を吐く。
──伏黒甚爾が姿を現したのは、それから30分が経った後だった。
「悪ぃな。用事があってな」
「いや、それはいいんすけど」
「スロットやっててな。辞められなかった」
「ざけんな!」
悪びれずにそう言う甚爾に、玄野は声をあげる。
ロクでもない男であることは知っていたが、やはり実際に直面するとより一層ダメ具合を感じる。ガンツに駄目ゴリラなどというあだ名を付けられるのも仕方がないのかもしれない。
「細かいことは気にすんなよ。これからする話は、オマエにとっても悪い話じゃねぇんだ」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
「弟子入りつってたよな? ──いいぜ、その話受けてやる」
◆◇◆
甚爾が参加した、たった二回のミッション。
星人と呼ばれる異形を、身勝手に蘇らせた死者を使って殺し合わせるという悪趣味なゲーム。
甚爾が戦ったネギ星人と田中星人は、ハッキリ言って雑魚と言わざるを得ない存在だった。等級換算で言えば三級レベルの存在。高くても二級下位程度だ。
だが、いつまでもそうはいかないだろうと甚爾は思っている。
理由は100点メニューの"2番"。もしもネギ星人や田中星人程度の敵しかいないのであれば、部屋の標準装備以上に強い装備など配布する必要性はない。
甚爾の推測通りにミッションを賭け事で遊んでいる輩がいたとして、そんな奴らから見ても面白くはないだろう。
(少なくとも、田中星人なんざ目じゃねえレベルの星人が出てくるのは間違いねぇ。それこそ、俺がヤバいと思っちまうくらいの奴だって十分あり得る)
考え過ぎかもしれない。それでも、対策は練って置いて損はない。
これまで部屋で行われたミッションの内容が分からない以上、推測で動く他ないが、最悪のケースを想定して動く方がそれ以外のケースでもより楽に動けるようになる。
そのためにはまずは戦力の増強だ。
"2番"の武器はその詳細こそ不明だが、持っていて損はない筈。強い武器という文面を信じるならば、部屋の標準装備を超える実用性と効果は搭載されていると考えていい。100点を取った際は、よっぽどの事情がない限りは"2番"を選ぶつもりだ。
そして、武器以外の戦力──つまり、部屋の
甚爾としては正直なところ、甚爾を頼らずとも星人と十分に戦えるレベルには育ってほしいというのが本音だ。
(
そんな星人がいないとは信じたいが、生前の経験則から断言は出来なかった。術式を巧く活用することで擬似的な不死を再現した呪霊や呪詛師は実際にいたのだから。
それ抜きにしても、ミッションは個人戦ではなくチーム戦。協力した方がクリアの効率は高い。
術師殺しを知っている者ならば、甚爾の考えに驚きを見せるかもしれないが、それは
(ま、とりあえずものは試しだ。そういう意味じゃ、玄野が弟子入りして来たのは僥倖だった)
視線の先──そこには玄野がいた。軽く身体を動かしながら、ウォーミングアップをしている。
──甚爾は玄野の弟子入りを受け入れた。
その理由は単純。メリットが大きいからだ。
前述した戦力の増強。放って勝手に育つのを待ってもいいが、それなら戦闘に関してのノウハウを所持している甚爾が指導した方が早い。その際に取られる時間や手間は、まぁ必要経費といったところだ。
そしてもう一つはお金。
これは玄野の弟子入りを認める際に甚爾が
その条件とは──
端した金でもないよりはマシだ。欲を言えば、最低値でも10万は欲しかったが、玄野が学生であることを考えれば支払える値段は限られてくるためにこの値段で設定した。それに、予定としては
しかし、5万は決して安い金額ではない。多少はごねられると思っていたが、意外にも玄野は二つ返事でその契約を了承した。命を守るためと考えれば安い金、と判断したのかもしれない。玄野以外がそれに了承するかは、その時次第だ。
問題は、玄野を次のミッションまでにどれだけ使い物に出来るか。現状、玄野がどれほど使えるか、だ。
甚爾が持っている玄野の情報は少ない。性格程度しか把握しておらず、その実力というものを実際に目にしたのはネギ星人の時だけだ。
現段階でもそれなりには戦えるだろう、とは思っている。ネギ星人にも臆することなく星人に立ち向かっていたし、田中星人はスーツ無しで3体も葬り、生還している。その事実から、あの部屋の住人の中では、最も生存出来る可能性が高い。
それでもまだ未熟であることは否定できないが。
(ま、最低限使えるようにはするさ)
今はまだ、運とセンスだけの戦闘スタイルをしっかりとした形に組み立てる。当面の目標は、その程度でいいだろう。
玄野、と呼びかけると運動をやめ、すぐにこちらへ向かってきた。
「えーッと?」
「方針が決まった」
よく聞いておけよ、と忠告する。
「とりあえず、今日から毎日──っつうわけにはいかねぇが、二日に一度程度は俺が訓練をつけてやる。オマエの自由時間は潰れるが、構わねぇよな?」
「あ、ああ」
「ならいい。つっても、俺が本格的に教えるのはまだ先だがな」
「え?」
甚爾の言葉に玄野は疑問符を浮かべる。どうやら、最初から本格的な訓練に入ると思っていたようだ。
「オマエがどんな想像してたかは知らねぇが……何かを身につけることにおいて、一番大事なものが何か知ってるか?」
「……基礎と基本?」
「そうだ。基礎と基本。いきなり高度なことをやらせても無理だ。才能あるヤツも同じだ。大元がしっかりしてねぇと、いずれ何処かで破綻しちまうんだよ」
骨組みを頑丈に作らなければ、どれほど立派なものを作り出しても崩れ落ちる。
呪術師は前提として
甚爾は特にその辺りが顕著だ。
頼れるのは己の肉体のみ。解釈による術式の拡大などが出来ない。ひたすら肉体を強化し、知識を蓄え、経験を積む──基礎基本の積み重ねしか出来なかった。
だからこそ、甚爾はその重要性を誰よりも知っている。
その果てに、一度とはいえあの五条悟を下すことに成功している。
だからまずは大元である身体の使い方──戦闘に適した動きを教える。
「でも、身体の使い方って言っても、スーツがあるならどうにかなりそうな気がするけど」
「いきなり、向上した身体能力を使いこなせるわけねぇだろ。まぁ、これに関しては実際に動いてみないと分からないだろうがな」
スーツ着用時と未着用時の差は大きい。向上した身体能力に感覚が追いつかないこともある。スーツの最大パフォーマンスを発揮するには、慣れる他ない。
「あとは筋トレも並行してやってくぜ。スーツは
「──素の力が強ければ強いほど、スーツの効力はより発揮される」
「そうだ」
でなければ、甚爾の身体能力は大幅に下がっている。甚爾の肉体は、常人がスーツの恩恵を受けても到達出来ない領域にある。
天が与えた呪縛の肉体。
如何にスーツがオーバーテクノロジーの結晶だとしても、再現できるものではない。
「だから、初めのうちは基礎体力と運動能力の向上、その過程でスーツの動きに慣れるのが目標だ。そのうちスーツに振り回されずに恩恵を最大限に発揮出来る様になる」
「あ、ああ…!」
玄野は強く頷く。
さて。一通りの説明は終えた。
「なんか質問はあるか?」
「あー、他の奴らには声掛けなくてもいいんすか?」
「ああ、必要ねぇ。まずはオマエ一人からだ」
これには理由がある。玄野には、あの部屋を率いるリーダーになってもらいたいからだ。
適正自体は加藤に軍配が上がるが、アレはダメだ。根底が善人であり、冷酷になれない。チーム内の仲が深まる代わりに、従った結果に破滅する可能性が大いにある。
星人との戦いの最中に一般人が紛れ込めば、自分の命を顧みずに助けるだろうし、最悪の場合星人にすら情けを掛けることもあるかもしれない。
加藤の在り方は人を惹きつける。
だが、その果てにあるのは希望とは限らない。そんな漫画のような展開が起こりうるほど、現実は甘くない。
その点に関しては玄野は問題ない。
力を得ようとする貪欲さに、星人に対して容赦なく在れる。
星人を倒し続けていけば、自然と部屋の住人は玄野についていくようになる筈だ。
「俺も人に教えるのは素人。いきなり大人数を相手取るよりも、オマエで経験を積んでおきたい。それにオマエがある程度成長すれば、俺がいけない時でも代わりになれるしな」
リーダー云々に関しては、玄野には黙っておく。重荷となり、悪影響が出ても困るからだ。
前者は虚言。後者は本音。それらしい嘘と真実を混ぜて説明すると、玄野は納得したようだった。
「他にはあるか?」
「いや、特には」
「OKだ。じゃ、さっさと始めるぜ」
◆◇◆
訓練自体は2時間ほどで終わった。
やったことといえば単純で、全力で走り回ったり、思い切り跳躍してマンションに着地したり、そこから飛び降りたりなど、子供の遊びの動きを大幅に増大させたようなものばかりだ。
「意外と良かったな。スーツ着てても高所から飛び降りたり、飛び乗ったりするのにビビったりするかと思ったが、杞憂だったな」
「まぁ、昔歩道橋からトラックに飛び乗ったこともあるし……その辺はあまり」
「手間が省けていいこった」
褒められることになれてないからか、少し気恥ずかしくなった。
家族も学校も玄野を認めてはくれなかった。だから、自分を認めてくれる存在に、玄野はありがたみを感じていた。
「んじゃ──
「え?」
──次?
そう思って甚爾の顔を見ると、玄野の顔が引き攣った。
何故なら、甚爾は非常に悪どい笑顔をその整った顔面に貼り付けていたからだ。
「ボーナスステージみたいなもんだ。これから訓練の終わりに、オマエには
ああ、勿論本気じゃねぇから安心しろ、と言われたが、安心出来る筈がない。
何故なら玄野は一度見ているからだ。スーツを着ていなくとも、あのヤクザを一撃で昏倒させた甚爾の実力を。
「何で、ってツラしてるな。簡単な話だ。格上との戦いに慣れておくためだ。星人がいつも自分と同等以下と思うなよ」
「た、確かに」
それに、甚爾の動きから盗めるものもあるかもしれない。
これもより強くなるため。
ならば。
「やってやる──!」
玄野が拳を構える。
甚爾は笑う。
「──ちなみに、俺に一発も入れられなかったら夜飯はオマエの奢りだ」
その日、玄野は一度も甚爾に触れられずに地面の上に何度も転がされた。
──それから二週間が経ち、玄野たちは再び黒い球体の部屋へと呼び出された。
やる夫ガンツ読み直しましたが、ほんとに面白いですねぇ。
興味がある方は是非、読んでくださいな。
それと、活動報告にも載せましたが、掲示板回をいつか書くかもです。
プロットもどき通りに行けば、おそらくかっぺ星人あたりで投稿できるんじゃないですかね。
まぁ、ほんとに番外編みたいな感じなので、本編に本格的に関わったりはしないです。
一応、アンケートも取っておこうと思うので置いときます。
PS.
プリコネにハマりました。
ユニ先輩かわいい。
GANTZ:F 完結後に書いてほしいもの
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GANTZ:Gにパパ黒√
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かっぺ星人後からパパ黒介入√
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チャットルーム回
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その他(個人でメッセージでどうぞ)