インフィニット・ストラトス~光に奪われし闇~ 作:ダーク・シリウス
国の各上層部が国会議事堂にて集い、悩まされてる案件の解消を臨む。今一番悩まされてるのは国の軍事、防衛の要であったISの不足が国一番の問題として、悩みの種として頭に植え付けられている。
「どうしたものか・・・・・この世界にあのような化け物が存在しているなど誰が想像できたことか」
「それ以前に日本が保有するコアが一部を除いて全てテロリストに奪われてしまったのだから、防衛もままならない」
「このまま国が丸裸のままでは我らの面子も・・・・・っ」
「面子どころではない。国そのものが危ぶまれるのだ。ここはIS学園から幾つかコアを見繕い補填しては如何か。あそこの学園には我が国から貸し与えたコアがある」
提案した者の言葉に懸念があると眉根を寄せる別の男性が指摘した。
「名案なのは確かだが、また奪われたときの事を考えているのかね?そうせずともイマージュ・オリジスに関する命令をすれば学園側は動いてくれるのだ。化け物にもイマージュ・オリジスと認定すれば問題はない。一先ずそれでしばらくは保てるだろう」
「欲を言えば篠ノ之束の捕獲が叶えたいところだ。イマージュ・オリジスが現れて以降、頻繁に姿をIS学園で見掛けるようになっているそうだからな」
「彼女に付き従うラーズグリーズとやらもな。日本のISコアを奪った犯人は篠ノ之束が率いる組織であることが判明しているというのに、何故IS学園は捕らえようとしないのだっ」
また別の男性がIS学園の篠ノ之束達に対する対応に強い遺憾を覚えていた。
「情報によれば彼の化け物を倒せはしなかったが宇宙から隕石をよんだそうだ」
「隕石を?馬鹿馬鹿しい、絵空事のようなことがISができるはずがないだろう」
「化け物については架空生物の龍、ドラゴンの種類だとかな」
「それすらも本来あり得ん話なのだ!化け物に種類も種族も部類する必要はない!」
「どちらにせよ、あのような化け物が他にもいるというのだから対策はIS学園に任せるしかない。我々は我々であの計画を続行しなければならぬ。首尾はどうかね」
また別の男性が壁際に立っている女性―――総理の秘書に成果を求めた。秘書は報告書として持参したタブレットを扱いながら告げる。
「生産率は八割越えであり、活動が可能な量産型は紛争地域に送り込んでの実験は上々であります。しかし、ISの試乗は現状できませんのでこれ以上の実験の続行は不可能です」
「・・・・・それこそIS学園からコアを受け渡してもらえばいい話か」
「いっそのこと、被験者達から取り上げますか」
「理由がない限りは強引に事を進めるのはよくない。日本代表のコアも奪われてるのだ。次期国家代表の者が決まるまではまだそうする必要はない。今は各国よりISを動かせる強力な兵士を生産し続けることが最優先だ」
「その素材が篠ノ之束に強奪されたのは痛いが、計画に支障がないことに関しては幸いであった」
「そうですな」
解散後、秘書は一人誰もいない通路を歩きながらタブレットに報告をまとめて送信する。するとすぐにメールが届き、内容を確かめると労いの言葉と共に十人以上の水着姿の少女が楽しそうに海で遊んでいる写真が何枚も送られていた。『今度は家族全員で温泉旅行行きましょう』と言うメッセージを見て秘書は口唇を緩めた。
「温泉ね・・・・・ふふ、あの子をからかって遊ぶのもいいわね」
「「おおおおおおおおっ!」」
ガギィンッ!と鋭く重い金属音を響かせ、一夏とマドカは刃を交えて対峙する。数度の剣戟を繰り広げ、腕部のガドリングガンの牽制を受けて距離を置く一夏を肉薄するマドカ。
「くっ・・・・・!」
「逃がさないぞ!」
夏季休暇中でほとんど使用する生徒がいないアリーナの中ではじまったバトルは、最初こそ一夏が押していたものの次第にマドカが巻き返し始めていた。その理由は単純にして明快。紆余曲折で第二形態になった白式の、さらに加速した燃費の悪さである。
「ふっ!」
「はぁああっ!」
バスター・ソード『フェンリル・ブロウ』を振るうマドカに向けて振るう一夏のそのブレード《雪片弐型》もすでに唯一仕様である『零落白夜』の輝きはなく、通常の物理刀になっている。距離が開けば左腕の
「ここぞとばかりに全力でペースを上げる癖は治ってないな!」
「ぐぅっ!」」
エネルギーの斬撃を受け切ったものの、視界いっぱいにランサー・ビットの放出射撃のビームに目と意識を奪われたその視界の死角からすぐにISハイパーセンサーの位置情報補足がやってくるが、もう遅かった。一夏の真上、ムーンサルトで振り下ろした足で蹴り地面へと叩きつける。眩しい瞬光に一瞬目を細める一夏。その視界に影が落ちた。
「ふんっ!」
「!?」
凄まじい勢いで落下しながらランサー・ビットを突き刺してくるに、ダメ押しとばかり放出射撃も食らい地面に激突する。同時にそれが勝負の終了を意味する。―――言うまでもなく、一夏の敗北である。
「ISの操縦歴はお前が上だというのに実戦経歴が少ない私に負けてどうする愚兄。ISの燃費の悪さがさらに倍増してしまったとはいえ、それを補う工夫をするのが操縦者のお前ではないのか愚兄」
妹のダメ出しにぐうの音も出ない兄の一夏は、親に怒られた子供のように体を小さくして正座をされている。まるで体が小さい千冬に怒られてる光景なのでなんとも言えない箒達であった。
「一夏にはちょっと同情するわね。千冬さんに怒られてる風にしか見えないし」
「顔だけは教官と同じだからな」
「ふ、二人ともそんなこと言っちゃだめだよ。マドカが気にしているんだからさ」
千冬に畏怖の念を抱いてる二人の吐露した気持ちにやんわりと宥めるシャルロットだったが、遠くからランサー・ビットの放出射撃が飛んできた。
「聞こえているぞ、そこのチャイニーとドイツ」
「危ないわねっ!?事実を言われてキレてんじゃないわよっ!」
「喋る暇があるなら訓練でもしていればいい。ああ、ISのではなくジャガイモの皮剥きの方だ。ドイツのお前もおでんではなく家庭的な料理の一つぐらい作れたらどうだ。シャルロットの料理はお前らより良き嫁になるレベルだぞ?うちの愚兄の嫁になってほしいぐらいだ」
「な、なんですってー!?」
「言ってくれる。おでんの何が悪いと言うのだ」
「いや、ラウラ?おでん以外の料理を作れるようにしなくちゃダメなんだよ」
怒髪天が衝く勢いで怒る鈴と不満げに顔をしかめるラウラ。
「ついでだが、愚兄達は日本食をよく好む。この国に来てからお前達は一度でも日本食を作ったことがあるのか?ん?どうなんだ言ってみろチャイニーとドイツ」
「ぐぬぬぬぅっ!」
「シャルロット。おでんも日本食ではないのか?」
「ラウラ、そこまでおでんに拘る理由ってなに?」
唸る鈴から意識を反らし減ってしまったエネルギーを回復するためピットの中へと飛んで移動した。するとタイミングを図ったようにプライベート・チャンネルが送られてきた。
『やっほーまどっち。元気にしてたー?』
「・・・・・」
連絡をしてきたのはマドカのISを作った篠ノ之束だった。油断ならない相手と認識してる天才からの突然の連絡には警戒して尋ねた。
「何の要件ですか」
『ふふ、そろそろ知りたい頃かなー?って思って連絡したんだよ。らーくんのこと』
束の声を聴きながら目の前の空間がパックリと裂けだす・・・・・穴のように開いた空間の奥からラーズグリーズが現れ、マドカは目を細めた。
『迎えに来たらーくんと一緒に来れば私の秘密基地に来れるよ。どうするまどっち?』
「・・・・・」
気にならないと言えば嘘になる。同じ兄の顔を持つ者が束のところにいる理由を千冬も知りたがっていた。真実が今目の前に自分からやってきて誘いかけてきている。後日改めて知ることができるかもしれない。しかし、今知るのと後で知るという自分の未来の分岐点が左右するなら・・・・・。
「わかった、奴についていけばいいのだな」
『そうだよー。それじゃ、待ってるからねまどっち』
チャンネルが閉じられ踵を返し裂け目の空間に潜ろうとするラーズグリーズを、ISを装着したままついていくマドカ。裂け目の空間に潜るラーズグリーズに続いて潜ったマドカは、最初に広大な鉄の通路に壁際で軒並みに連なっている培養カプセルの中にいる大勢の少女達の光景等に出迎えられた形で足を踏み入れた。
「・・・・・なんだ、ここは。この女たちは一体・・・・・」
「・・・・・」
マドカの疑問を答えずにどんどん奥へ突き進むラーズグリーズ。ついていく先でも同じ光景が何度も見受けられ、少し不気味に思えてきたところでとある扉の前にいったん立ち止まり、扉が横にスライドして開いたら中に入るや否や「おっかえりー!」とマドカを誘った本人からの熱い歓迎の抱擁が待っていた。豊満な胸が少女の顔に埋まり一瞬呼吸ができなく困難だったが、直ぐに離れてラーズグリーズにも抱き着いたので窒息死にならずに済んだ。
「(篠ノ之箒も将来あんな無駄乳になるのか・・・・・)」
内心失礼な考えをして本人が知ったら真剣を振るいながら否定するだろう。改めて今いる空間を見渡すとここで生活をしているのか生活用具や寝具などが設置されていて、キッチンにはショッピングモールの中で見た銀髪の少女が茶菓子を用意している。何故かラウラを彷彿させるが今のマドカには与り知らないことであった。
「へへへー、この間も会ってたけどこうしてゆっくり話し合うのはほんと久しぶりだよねまどっち。いまのまどっちを見ると高校時代のちーちゃんを思い出すよ」
「・・・・・どうせ文武両道みたいな言動をしていただろ」
「うふふ、というか授業中でもたまにまどっちやいっくんたちの写真を見て微笑んでいた時もあるんだよ?一度だけ、教師に注意されても止めなかったんだよねー」
愛されてるねーと言われても実際本当なのかマドカは確認することはできない。大方、聞いてもはぐらかされるだろうと悟っているから。
「ところで、どうしてISを装着してるのかな?」
「見知らぬ場所に敵対している奴がいるからだ」
当然の態勢だと断言するマドカにとって束は至極不思議そうに首をかしげた。
「敵対ー?ああ、らーくんはいっくんたちとじゃれあってるだけだよ?遊びだよ遊び」
「・・・・・あれで遊びだと言われても誰一人そう思えない。それより、聞かせてくれるのだろそいつの話を」
他の話や余計なことは聞く気がないマドカの催促に束はクロエがテーブルに置いた茶菓子の方へ歩み、椅子に座って美味しそうに飲食をし始めた。それを眺めるマドカにラーズグリーズ。
「さてさて、らーくんの素顔を見たからには疑問を抱いているまどっちに真実を教えてあげよう。それでらーくんのことど思うかはまどっちの気持ち次第だよ?」
ようやく話す気になった束の顔を見つめ、発せられる言葉に耳を傾ける。そして語られる言葉は全て信じられない内容だった。同時に同じ顔を持つ理由が納得する。ラーズグリーズに対する認識が変わった瞬間でもあった。ISを装着した姿の彼の者に視線を向け・・・・・自分自身でも久しぶりに口にした。あの言葉を。
「・・・・・兄さん」
「「「・・・・・」」」
一夏、秋十、一誠は違和感をはっきりと感じていた。妹の心境に変化が起きていることを。
ある日からマドカは夏季休暇中の殆んどを実戦による訓練に精を出す。それぐらいならば何もおかしくはないのだが、問題は自分達の妹の特訓に付き合っている相手が問題すぎるのだ。毎日決まった時間に現れるようになったラーズグリーズ。アリーナに登場するとマドカとマンツーマン指導を行い、時には束もやってきてIS戦闘術のノウハウを教授し、時にはトーレ達も見学をしにやってくるようになった。
「いや、なんっスかその機体。あっという間にエネルギーが無くなるなんて燃費悪すぎっスよ」
「弱すぎる。射撃はド素人、駆け引きも未熟。わざと隙を見せれば全力で仕掛けてくるその短絡。全てにおいて私達より弱すぎるぞ」
「雑魚が」
「ISの性能と効率を全然考えてないおバカな子なのねぇー?」
箒達でも言わないようなセリフを頂戴した一夏は立ち上がれそうにないほどの心のダメージを受けた。
流石に言い過ぎではないかと思うもそれが事実でもあるから、味方であるはずの少女達からは労うだけで慰めの言葉は送らなかった。
「やっぱり、なんか変わったなマドカ」
「人間嫌いの獣が急に人間に懐いて甘える例えが出るほどにな」
「でも、何でよりにもよってあいつなんかと・・・・・」
信じられない光景を目の当たりマドカがラーズグリーズにだけ(不敵)笑みを浮かべる。ここ数年、自分達には向けてくれたことが無くなった妹の笑顔を久しぶりに見れた原因は、敵対している相手との交流だったことに兄の立場として複雑極まりない。
「ははは、ははははは!強い、強いなラーズグリーズ!お前が私の兄だったらどれだけ素晴らしいことだろうか!」
強さを比較され、一夏は己が弱い事実にぐうの音も出ず、ISを持ってない秋十と一誠は微妙な面持ちで妹を見ていた。マドカの変わり様は箒達も訝しい思いをしていて、一夏達のもとへ集まりつつ訊きだす。
「ねぇ、マドカはどうしちゃったわけ?敵と仲良くしちゃってさ」
「私達と協力をする気になったのか?」
「あんな奴は信用できないぞ」
「うーん、でも何度も一緒に戦ってくれたんだから、少なくとも本気で敵対しているわけじゃないかもしれないよ?」
「そうですが、やはり急にマドカさんが親密になっていらっしゃるのが不思議で逆に疑問を抱きますわ」
自分達に聞かれてもこっちも知りたい一夏達の気持ちを他所に、シャルロットはある予感を脳裏に過った。
しかしこれは、聞いてもいい質問なのだろうか?少なくとも皆がいる前で尋ねていいか当惑するが、やはり知った方が後のためになるかもしれない。少し皆から距離を置いてマドカへプライベート・チャンネルで繋げた。
「後で話がしたいんだけど、ラーズグリーズのことについて」
『・・・いいだろう』
マドカもマドカでシャルロットに対する懸念を抱いていた模様。言えば信じるかどうかは分からないが頼めば黙ってくれる優等生、人柄であることは理解している。戦闘中に突然連絡をしてきたからにはラーズグリーズを気にするほど何か思うことがあるのだろう、とマドカは結論を出して了承した。
そしてその日の夜。女子寮から離れコースの途中にあるベンチで待ち合わせをして、しばらくして夜の闇に紛れて現れたマドカも揃うとシャルロットはベンチに座った彼女に口を開いて訊く。
「単刀直入に訊くね?ラーズグリーズの顔は愚兄と同じだって、臨海学校に行く前に言ってたよね。もしかしてラーズグリーズはマドカ達の兄弟姉妹なの?」
「仮に私が肯定したら?」
「否定されても疑問が残るかな。ラーズグリーズの今までの行動とどうして篠ノ之束博士のところにいるのか、どうしてマドカ達と一緒に暮らしていないのか。色々とね」
もっともな疑問だろう。第三者からすればどういう成り立ちでいるのか気にならないはずがない。シャルロットの質問にある質問で返すマドカ。
「すまないがその質問には答えられない。だが、私は時が来たらラーズグリーズと行動を共にすることにした」
「えっ!?」
「それまでは大人しく学園にいるが、誰にも言うなよシャルロット」
マドカから衝撃的な事を告げられ、シャルロットはただ愕然の面持ちで見つめるしかできないでいた。この話は終わりだと言わんばかり先に腰を上げて暗闇の向こうへ歩いていく、そんなマドカの背中は遠く見えたように感じた。友人として止めたいが邪魔をすれば確実に敵として牙を剥いてくる。友人に敵意を向けられる心構えをしなくてはならないとは誰が想像できたことか。
「・・・・・マドカ」
マドカはラーズグリーズのために動こうとしている。この事は一夏達や千冬は知っているのだろうか?否、知らないか知らされていないだろう。だからマドカがまだ学園に居続けている。時はまだ来ていないからだ―――。
「・・・・・」
寮長室の机に置かれているチケット。それは夏季休暇が終わり二学期が始まってしばらくたった後に開催される学園の行事に誘うものであった。千冬は意味深に見つめ傍に置いてある画面が暗い携帯に目をやり手に取りコールをする。
「おお~?おおー!ちーちゃんからの連絡だ、とうっ!」
「・・・・・」
ISの開発中に鳴り響く携帯へ飛びつく束に気にせず作業を続けるラーズグリーズ。
「もしもしひねもす~?や、おっひさーだねちーちゃん。この私に何の用かな?ほうほう、ラーメンのなるとーね。うんうん、わかったよ!ちーちゃんからのお誘いなら深海でも行っちゃうよ!」
話し合いでもするのか千冬から誘われた束は喜んでいる。微笑みながら通信を切った束からある一言をぶつけられてしまう。
「らーくん、ちーちゃんからIS学園の学園祭に来てほしいって。だからクーちゃんと一緒にに行こう!」
断れる選択肢などないラーズグリーズ。勿論行動を共にするため首肯するのだったが―――学園祭中に人生を左右することが起こるとはだれも知る由がなかった。
そして学園祭当日を迎えた。一年一組の出し物は男子は燕尾服を着た執事、女子は黒と白のエプロンドレスを着たメイド(一部の女子は執事)のコスプレ喫茶店。唯一日本しかISを動かせる男子が全員集っているせいもあり、客の対応や接客は何から何まで男子中心に動いている。
「秋十君とのツーショット!」
「私は一夏君とご奉仕セットを!」
「ねぇ、裏メニューとかないの?御手洗君と五反田君の絡みセットとかさ」
「「当店にそのようなご注文はございませんので!」」
「一誠君、私と写真を!」
淑女達からの絶え間ない注文に男子達は世話なく動き続ける。ホステスのように廊下の壁際には男子の肖像画が張られ、どの男子が人気なのかも女子達の間で賭け事の対象にもされているわけだが、当人達は気付くはずがなかった。
「さばいてもさばいても客が途切れないってどれだけいるんだよ。食堂よりも忙しすぎるぞこれはっ」
「仕方ないだろ秋兄。女子学園の中で唯一芸能人がいるクラスはここだけなんだから」
「IS学園の中でホストクラブを設立で来たら大儲け間違いなしだな」
「現役アイドルもいるからなおさらだ」
接客の対応をするべく友人と擦れ違いながら話や愚痴をこぼし、自分の休憩時間になると一人か複数で他のクラスの出し物に顔を出して学園祭を楽しむ。
「一夏、一誠。どっか行こうぜ」
「秋兄、揃って行動したら女子が騒ぎ出すと思うぞ。だってここ女子しかいないんだから」
「一誠、わかりきっていることを言ってもどうしようもない。あ、行く当てがないなら先料理部でいいか?」
「「寧ろ行こう」」
マドカを除いて織斑兄弟が揃って学園内を歩き回る。一夏の要望で料理部に顔を出し、試食をさせてもらったら一誠が調理場を借りて料理を作りだし始める負けん気が発揮してしまった。一時、料理部と三兄弟が対決してしまう事態が起きてしまい異様な盛り上がりを見せた。
「ちょっと、そこの貴方。止まりなさい」
「・・・・・」
「聞こえていないのですか。大男の貴方ですよ」
「・・・・・あ?」
自分に話しかけられたことを自覚した男は振り向いた。二メートルは優にある筋骨隆々の巨体の肌は浅黒い。その肌には相手を畏怖させるような刺青が筋肉の繊維で内側から盛り上がってる腕や頭に彫られており、顔は厳つさや強面なんてよりも生易しいぐらい、獰猛そうな顔立ちに双眸は狂気を滲ませている。明らかに堅気ではない大男が真正面から堂々と学園の門を入ろうとすれば制止の声が飛んでくる。振り向いた先に立っていたのは、メガネと手に持ったファイルで如何にも堅物イメージの女子生徒だった。
「あなた、誰かの招待?一応、チケットを確認させてもらっていいかしら」
「チケット?ンなもん持ってねぇよ」
「持っていないのでしたら学園内に入らないでください。不法侵入と不審者として警備の者を呼びますよ」
「ハッ、呼んでみろよ。そん時ぁ・・・・・死人が出るぜ?」
ニヤァと野獣のような笑みを浮かべそう言ったら次に「ああ」と声を漏らした。
「おい女。ここにいるはずだ。どこにいるか教えろや」
「・・・・・誰のことですか」
「―――織斑一誠って奴をよぉ」
銀色の双眸にギラギラと戦意や殺意が孕んでいたことを女子生徒は気づき、一歩後退して警戒する面持ちを浮かべた。
「知らないと言ったら、貴方はどうしますか」
「知っていようがいまいが、俺はあの野郎がここにいると情報を得て来たんだ。虱潰ししてでも探し出してやんよ・・・・・久々に殺し合いをするためにな」
この男は凄く危険だ。危険すぎる。女子生徒がポケットに手を突っ込んで携帯を取り出そうとする素振りをしても、逃げも隠れも邪魔すらしない男はニヤリと笑みを浮かべてた。
「・・・・・名前を伺っても」
「―――グレンデルだ。女、俺に付き合ってもらうぜ?」
大きな手が女子生徒の顔を覆う―――。
「ん?なんだ、廊下の方から騒がしいな」
不意に教室の外で列を作っている女子のざわめきが聞こえだした。なんだ、と思って出入り口の方へ視線を向けた。接客中の箒達や女子達も廊下へ意識を向けたら一人の大男が入ってきた。銀色の双眸と一緒に教室の中を見回す大男は、女子生徒の首を掴んでいた。
「ここか。・・・・・ンだよ、いねーじゃねぇか。俺に嘘吐いたか女ァ?」
「ッ・・・・・吐いて、ない・・・・・!彼は、ここに・・・・・!」
「いる奴がいないんじゃ騙したってことなんだぜ。やっぱ、テメェで探したほうが早ェな」
苦痛で顔を歪める女子生徒を無造作に教室の中で放り投げ、客達が巻き添えを食らって倒れようと気にもかけない大男は教室を後にして廊下に出戻ったところで箒達は動き出し、前と後ろから大男を挟んで臨戦態勢の構えをとった。
「貴様何者だ!目的を吐いてもらうぞ!」
「あ?チビガキ共に用はねぇんだ。どけや」
「そうはいきませんわ。目の前で白昼堂々と暴行をなさる野蛮な男を好き勝手にさせれません」
「ほぉ?俺をどうするんだ・・・・・おっ?」
「捕える。そして拷問を視野に入れて白状してもらう」
AICを展開したラウラが冷徹に正体不明の男の動きを停めた。相手が人間だろうとISだろうとAICによって重火器の弾丸ですら停止させられたら逆らえない法則―――そのはずだった。
「さぁ、痛い目に遭いたくなければ・・・・・なっ」
「じれってぇなぁっ!!!」
大男は全身の筋肉を膨張させ自力で停止結界を脱した。その行動を目の当りにした一同は目を皿にするぐらい驚きを顔にまで浮かばせてる間に、大男はラウラへ掴みかかろうとした。持ち前の小柄な体を活かす動きで俊敏にかわし距離を置くと同時にAICを再び展開―――が。
「動きを停めるんなら意識ぐらい停めてみせろや」
異様に腹部を膨らませたかと思えば、大男の口の中から視界を埋め尽くす火炎球が放たれた。絶句し、停止させる対象を変え意識を集中した時に火炎球から口の端まで釣り上げた大男が飛び出してきた。
「―――っ!?」
「停められるのは一つだけってか?」
豪快な殴打が首を横にひねったラウラの銀髪の数本を千切った。うっすらと冷や汗を流す刹那、仲間を救わんと背後から箒が粒子召喚した二本のブレードで飛び掛かりながら振り下ろすも、一本の刀を掴まれ勢いを殺された直後に箒の腹部へ足蹴りを入れて飛ばされた。
「はっ、暇つぶしにすらならねぇわなテメェらじゃあよ」
「な、何ですってっ!」
「テメェらごときがこの俺様の相手にすらならねぇってんだよ。おら、知っているんならとっとと言えよ。―――織斑一誠の居場所をよ」
『っ!?』
織斑一誠が目的だと告白した大男に愕然の面持ちを浮かべる。何故、一誠を狙っているのかその理由はわからないものの真っ当な目的で学園に来たわけではないことぐらいは察していた。「知らない!」と言っても目の前の大男は自分の目で確かめるまで探し続けるかもしれない。であれば、自分達がするべきことはただ一つ。情報の漏洩をせず、全力で敵を倒す―――!
「皆、大丈夫か!?」
『―――――』
最悪なタイミングで戻ってきてしまった三人が、一誠が大男と接触してしまった。一誠を一目見た大男は愉快気に豪快で哄笑しだす。
「グハハハ、グハハハハハッ!久しぶりだなぁその顔を見るのはよっ!思わず懐かしさを感じてしまったぜ!」
腹を抱えて今にでも床に転げ回りそうなほど笑い続ける大男に一誠は当惑していた。
「なっ、いきなり何を・・・・・っ?」
その一言で笑うのをピタリと止めて、今度は心底呆れた風にため息を吐く。
「ああ?はぁ~、ンだよ。本当にアジ・ダハーカの旦那の言う通りだな。聖杯は手に入れたがまだ復活していないって」
「アジ・ダハーカ!?まさか、お前はニーズヘッグって化け物と同じ仲間か!」
男性操縦者の一人が愕然のあまり叫んで、大男は初めて己の名乗りを上げた。
「―――俺の名前はグレンデル。『
とりあえず、とグレンデルは一誠に視線を向け、背部に浅黒い一対の翼を生やし出して己が化け物であることを明かした。
「聖杯を手に入れたオメェの実力はどんなもんか試してみるとするぜ」
「―――っ!?」
次の瞬間。一誠はグレンデルに掴まれ外へと連れ出されると窓ガラスを突き破り、闘技場と見紛うアリーナへと一緒にたどり着いた。拘束を解かれるや否や、グレンデルが拳を握って構えだした。
「そんじゃ、行くぜ織斑一誠よ」
「ま、待て―――!」
「殺し合いに相手が素直に待つ馬鹿はいねぇんだよ!」
話し合いをする気もなく闘争心むき出しで聞く耳も持たずに、グレンデルの大きな拳が鋭く突き出された。
「(やられる―――――)」
走馬灯が脳裏に過り己の死を悟った一誠に迫った拳は、強烈な殺意を感じて一誠の鼻先にぶつかる直前で停止した。グレンデルは久しく感じなかったこの殺気に深い笑みを浮かべ、周囲に顔を向け始めているとアリーナのステージの奥からIS、ラーズグリーズが現れる。
「・・・・・てめぇだな?アジ・ダハーカの旦那や悪食野郎が言っていた噂の奴は」
一誠から踵を返し戦意と殺意の光をギラギラさせる他にも歓喜の色が帯びてる銀瞳を、ラーズグリーズに向けながらズンズンと歩いていく。身長と体格は比べるまでもないほど圧倒的で勝負すれば勝てるはずがないというのにグレンデルは確信している。こいつは十数年間地下闘技場で相手にしてきたどの人間よりも己を楽しませてくれる好敵手なのだと。
専用機持ちの一夏達が二人がいるアリーナへ辿り着いた頃にはすでに死闘は繰り広げていた。振るわれるブレードを片腕で防ぎ、突き付けてくる拳をかわしてエネルギーウィングからエネルギー弾を放つ。腹部を膨張させて火球を吐くと弾き返して攻勢に転ずるラーズグリーズの背後に、素早く回って蹴りを入れるグレンデルを上空へ飛んでは弾かれるように両者は接近してブレードと拳が交わる。
「す、すげぇ・・・・・」
「ISの体であんな軽々と動けれるものなのかよ」
「ラーズグリーズの体がISだからだろう。私達の機体は操縦してこそ真価を発揮する」
「あいつの場合は乗るんじゃなくて本当の意味で一心同体だから、人間離れした動きができるわけね」
ISは全てを凌駕するが、スムーズな動きができなく遅くなり重くもなっている。ISが引き金を引くよりも早く人間の方が引き金を引く方が早い現実は周知の事実であり、自分達がラーズグリーズの動きを真似しろと言われれば、確実に動作の遅れでついていけれないだろう。
「で、どーするんだ会長。このまま見学してればいいのか?」
「できれば私はそうしたいっスね。見てくださいよ、ビームを食らってもピンピンしてるっスよ。あり得ないっス。正真正銘のバケモンっス。や、元から化け物でしたっけ」
遅れてやってきたダリルとフォルテ。これで全員が揃ったが楯無はラーズグリーズの援護に回ろうとはすぐにしない。
「相手は人の姿をしたドラゴン。あの子と戦いが集中している間は私達も下手に攻撃はできないわ。だから接近戦を極力避けて中・長距離からの援護射撃に徹底します。他は一誠君の救助よ」
「そんな遠くからチクチクと攻撃して倒せれるわけなの?この前みたいに皆で接近戦で攻撃すればいいじゃない」
火球を吐くグレンデルに対してラーズグリーズも地面にブレードを突き刺し、巨大な土の槍で火炎球を穿つ。土の槍を粉砕して飛び込んでくる相手に擦れ違い様に身体を斬り付け、直ぐに二人は至近距離で激しい攻撃を攻撃で応戦して繰り広げる。グレンデルは心底から楽し気に嬉々と笑みを浮かべていた。
「乱ちゃん、あれを見ても接近戦したい?」
「・・・・・」
もはや普通の戦闘ではないことは明らか。押し黙る乱は無言で射撃体勢に入った。
「まだまだ物足りねぇな、物足りねぇよ!どんどん攻撃してこいやぁっ!」
傷一つもないグレンデルの体は強硬、最硬だった。ISの装甲を凌駕する硬さを有するグレンデルの体はブレードを以てしても倒れる気配は皆無。しかし、だから何だとラーズグリーズは思った。グレンデルに勝てないならばこれから一生もアジ・ダハーカ達にすら勝てないのと道理。
「ッ!!!」
ブレードを握る力を込めてグレンデルの体に斬りつける。が、やはり人間の肌で隠れている浅黒い鱗が硬く、一滴の血すら出ないでいる。
「ちった痒くなってきたじゃねぇか!そうだ、その調子で―――!」
拳を振り上げるグレンデルは、背中からビームを受けた。服が貫き肌が焼き焦げたが体が貫通せず浅黒い肌だけが窺わせる。
「あ?」
動きを止めて振り返る先には、レーザーライフルを構える瞠目したセシリアや一夏達の姿が視界に入る。ここで初めてグレンデルがラーズグリーズ以外の存在に気付いた瞬間でもあった
「なんだてめぇら・・・・・交ざりてぇなら大歓迎だぜ?」
「そう、だったら遠慮なく交ぜさせてもらうわ。―――一斉射撃!」
楯無の号令で射撃を開始する。ビームやレーザ、実弾がグレンデルの全身に直撃して徐々に押していくものの・・・・・当の本人は平然と佇んでいる。
「おいおい・・・・・『相変わらず』世界最強の兵器はこんなもんかよ」
心底呆れ、嘆息するグレンデルが動いた。真正面から射撃を受けつつも接近して鈴を狙い定めて拳を構える。
「回避っ!」
疾呼する楯無の言葉を体が反応して空へと舞い上がる―――前に鈴の足を掴んだ。
「遅いってーのっ!」
「きゃあっ!?」
絶対に人間の力では動かせれないISを地面に向けて振り下ろすグレンデルは鈴を叩きつけた。しかも持ち上げてまた叩きつける行為を何度も繰り返し、ブレードを水平に斬りかかるラーズグリーズへ鈴を放り投げて肉薄しかかる。グレンデルの動きの意図を読み、あえて鈴を受け止めずに跳躍してかわしグレンデルに攻撃する。
「おほっ!やるじゃんかっ!」
甘い人間なら味方を助ける。グレンデルは人間に対しての考えを確定している。だが、中にはそうではない人間は少なからずいることも知っている。ラーズグリーズの取った行動はまさに後者であったのでグレンデルにとって好ましい故に好感を覚えた。
「大丈夫、鈴!?」
「ぐっ・・・このっぉ・・・・・!」
シャルロットに体を起こされる鈴。グレンデルへの射撃は苛烈を増してラーズグリーズの援護をする。しかし、その効果は殆ど見られず、逆に追い回されるだけで戦況は好転しない。再び二人はブレードと拳を交え合うところで鈴の前に背中を見せるグレンデル。この瞬間を逃がさないと放った龍砲の衝撃砲が―――立ち位置を入れ替わったラーズグリーズに直撃する。
「あっ!?」
短い驚きと悲鳴が混じった声を漏らすシャルロット。まさかの誤射にラーズグリーズの態勢は崩れ、その隙を黙って見逃すほどグレンデルは優しくない。唸らせる部分的に巨大化した拳を見てブレードを構えて
「おらあああああああああああっ!」
間に合わず、初めてラーズグリーズが重い一撃を受けてしまった。
ドゴオオオオオオオオオンッ!
アリーナの壁にまで殴り飛ばされ、トラックに撥ねられた以上の衝撃がラーズグリーズの全身に襲いISが半壊してスパークも生じる。左腕が無くなり上半身の装甲がひび割れていくつか剥がれ落ちる。もはやシールドエネルギーもなくなりISを維持することもままならないはず。楯無達はラーズグリーズの敗北に衝撃を覚え心が揺れる。
「・・・・・ッ」
壁から抜け出し、半壊の身体で動き出すラーズグリーズの姿に別の意味で驚く。あの状態でまだ戦うつもりでいるのだと察したところで皆の視界が映り込む。ISが維持できず強制解除された。生身が・・・・・枯れ木のように骨が浮き彫りでミイラのような身体で、黒い能面のマスクが動く度に罅が入り、左半分が割れて隠れていたラーズグリーズの素顔が表に曝された。
『・・・・・え』
『は・・・・・?』
ラーズグリーズの身体を初めてみる面々は一様に間抜けな表情を浮かべた。あんな、あんな生気が感じられないほど枯れ木のように痩せ細ったミイラのごとくの身体で、今の今まで生きて戦っていたのかと衝撃を受ける一夏達。そしてその胸の中心にはISコアが埋め込まれていた。更にフルフェイスの左半分が割れて曝された目元は―――とある男と同じ瓜二つであった。
「・・・・・お前」
グレンデルの顔は訝しんだ。どこかで見覚えのあるような、と。だが、ラーズグリーズの目元だけでは判別できずそんな疑問が沸いた時に、アリーナを駆けラーズグリーズの所へ集う複数の女達。
「らーくん!」
「ラーズッ!」
ラーズグリーズを横抱きに持ち上げたあの束が、見たことが無い焦った表情を浮かべてアリーナから脱出した。追従するナンバーズ達は追いかけて来させないため、スモークグレネード、スタングレネードを放り投げて一同の視界を奪う。
「ち、逃げたか・・・。だが、一応アジ・ダハーカの旦那に聞かなきゃいけねぇな」
久々にちょっとだけ楽しめた。笑みを浮かべながら背中から生やした翼を羽ばたかせ、IS学園から飛び去って行ったグレンデルに取り残された専用機持ち達はただ唖然と佇む。
「アジ・ダハーカ旦那」
「戻ったか。織斑一誠と会ってきたな。殺してはいまいな」
「グハハハ、ちっとだけ殴ろうとしたがアジ・ダハーカの旦那や悪食野郎が言ってたおかしな奴と戦って来たぜ。よわっちぃ機械で俺といい勝負してくれたぜ」
「その話ぶりからして奴は負けたか」
「当然だろ?でも、俺的にあいつの方が聖杯を渡す予定の男だったら嬉しかったんだが、中身があれじゃあな」
「中身?」
「すんげぇ痩せ細ってたぜ。骨が浮き彫りになってるぐらいに骨と皮の状態だった。よくもまぁあんな身体で俺と戦えたもんだって久々に感心したぜ?異常すぎるだろ、普通戦えない身体してんのによ」
「・・・・・異常か」
「あんな身体をしてたのか、ラーズグリーズの奴」
「信じられないわよ。どうしてあんな身体で・・・・・」
「そ、そもそも何なのよアイツ!一体何なの!?」
「分からない。奴に関する情報は殆ど把握していないのだ」
「姉さん・・・・・知っていたのか、あいつの身体を」
「・・・・・全てではない。一夏が斬り落としたラーズグリーズの左腕の装甲の中にあったミイラのような体の一部、それが全身まで至っていたとは想像もできなかった」
「・・・・・くそっ」
「・・・・・しばらく奴は現れないだろう。我々だけで対処する」
「するにも何も、奴らの狙いはあの愚兄だろう!こっちが何もせずとも奴らは遊び半分で愚兄にちょっかいを掛ける!ラーズグリーズでも勝てない相手にどうやって対処するんだ!」
「やるしかないんだ・・・・・それでも」
「っ・・・・・!」
「篠ノ之博士、彼はどうだい」
「うん、何とかなったよ。まさか、ISが破壊されるなんて思わなかった。コアが無事だったからよかったけど、コアまで壊れたら確実に死んでたよ」
「だが、しばらくは表に出せないのだろう?」
「出せないというより出したくないのが本音ー。らーくんの身体はボロボロなのに今日もっとボロボロになって自己回復は困難なんだよ。だからしばらくカプセルの中で過ごさなきゃならないわけだよ」
「その間は新しいISの開発をするのかね」
「うーん、同時に聖杯って不思議なアイテムを探したいかな。一つはイマージュ・オリジスが持ってるでしょ、もう一個はIS学園にある、最後の一個はまだわかってないから」
「欲を出さず効率的に探し出せる方法をするとなれば一つしかないのだがね?」
「そうだねー。あいつの存在がらーくんの邪魔をしてるけど、おかげでらーくんが私のところにいてくれるからWINWINな感じなんだよね」
でも、らーくんのためにあいつを殺して聖杯を奪っちゃおうかな?