インフィニット・ストラトス~光に奪われし闇~   作:ダーク・シリウス

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暴かれる日闇

「パンパカパーン!らーくんの復活をお祝いに、皆で京都に遊びいこー!」

 

『・・・・・』

 

また前触れもなく言い出すなこの人は、とナンバーズ全員が呆れ混じれに心中で吐露する。無反応な彼女達の代わりとジェイル・スカリエティが口にする。

 

「彼のISの稼働テストを兼ねてかね」

 

「違うよ?純粋に遊びたいだけだよ」

 

真顔で言い返すので本当にそうしたいのだろうという雰囲気が漂う。新しいISを得たラーズグリーズが束の肩を指先で突き、意識を変えさせた。

 

「・・・・・IS学園、京都旅行」

 

「へー、そうなんだ」

 

「・・・・・箒いる」

 

「うん、そうだよね」

 

「・・・・・女湯、覗きする?」

 

「うん、そうだよっ!」

 

『・・・・・』

 

お祝いの為に旅行することは嘘ではないが、真実は語っていない。要は妹の裸体を拝むために時期を狙っての企みだったらしい。束の深意を看破したラーズグリーズは一言。

 

「・・・・・覗き、駄目」

 

「そ、そんなぁ~!?」

 

はぁ・・・・・とナンバーズから溜息が漏れる。しかし、決定事項なようで結局は皆で京都旅行に行く運びとなった。

 

「それはそうと、らーくん。そろそろしない?バカな連中の粛正をさ」

 

「・・・・・」

 

 

IS学園も京都に修学旅行として訪れた。各クラスの生徒は限られた自由時間を目一杯堪能する姿勢で一人だったり仲の良い友達と組んで古い歴史でありふれた雅な京都の街中を散策する。

 

「・・・・・」

 

教師の千冬もその一人、そして・・・・・黒い布や衣で全身を身に包む忍の格好をしたテレビカメラを持つ者の隣に完全に服装で浮いている知り合いの女性を見付けてしまった。

 

「らーくん、らーくん。これ、扇ぐと香りが出るんだってー。まだこんなのが売ってたなんて根性あるよねー」

 

「・・・・・」

 

何故こんなところに、そしてあからさまにいるのだと考えを殴り飛ばし千冬は無視できない存在へ自ら近寄った。

 

「わーい!わーい!ちーちゃんと新婚旅行なんて嬉しいなー!あ、勿論ちーちゃんは夫で私がちーちゃんの奥様だよ?いやーん、ちーちゃんが野獣のような性欲で私を―――」

 

「・・・・・その口を握り潰して一生話が出来なくしてやろうか」

 

「容赦のないアイアンクローだね!あ、ちょっとヤバいから手を放してくれると嬉しいよちーちゃん、割とマジで!」

 

声を掛けた時点で面倒事に巻き込まれる千冬が行くところについていく束とラーズグリーズ。イチャイチャしようと手を伸ばす束に、公衆の面前でキめる千冬の腕をタップする束の様子をラーズグリーズが横からカメラを向ける。

 

「何故ここにいる」

 

「らーくんの復活のお祝いに皆で遊びに来ているのだよ。純粋に楽しんでいるだけだからちーちゃんは気にしなくていいよー」

 

千冬の技から解放されてそのままラーズグリーズの背後から抱きしめる束。黒い眼は黒装束を着込む少年の身体を見つめ悲痛の色を浮かべる。ジェイル・スカリエッティから齎された情報を楯無から聞いて以降、どうしても聞きたかったことがあった。

 

「・・・・・束、ラーズグリーズの身体は回復しないのか」

 

「馬鹿な連中が色んな薬品を投与したり薬漬けにしたから、治らないよ。生まれ変わらない限りはね」

 

「・・・・・顔はどうしてそのままなんだ」

 

「ああ、顔は私特製のマスクだよ。ちーちゃん達との再会にとっても必要不可欠―――だったのにおかしな奴が割り込んでいたからできなくなったけどね」

 

冷ややかな声と不穏な空気を醸し出す束。内心警戒して厳しい目つきで束へ視線を送る。

 

「でも、マスクを脱いだらーくんを何も知らないままのちーちゃん達だったら、後々考えたら受け入れたのかも分からないね。弟の皮を被った何者だぁ!って。今の時代、人の顔を模したマスクなんて巧妙に作成できちゃうから疑うよねー。『クローン技術』なんてものも確立してるし、らーくんにそっくりなクローンだって作れる」

 

ふと、何かを思い出した風に空を見上げてからラーズグリーズに笑って話しかける。

 

「ああ、今現在も進行形何だっけらーくん。君のクローンを作り出しては国の強い兵士を量産する計画『プロトタイプ計画』ってアホな考えを具現化した研究がさ」

 

なんだとっ、と心中で愕然する。千冬の心情を悟ったかのような笑みを浮かべ、あろうことか束は爆弾発言をした。

 

「その研究所、ここ京都の地下で活動してるけどちーちゃん、知ってた?そこってらーくんが三年間も酷い事された場所でもあるんだー」

 

「っ・・・!」

 

「私がこの子を救い出してから放置していたけど、まーだ懲りずにらーくんを冒涜するような真似をし続けるからさ。この際、徹底的に潰そかって思って・・・・・今現在、日本中に生放送中だよ?これ」

 

「・・・・・は?」

 

生放送?唖然とする千冬を置いてすたこらさっさと移動を始め、千冬と離れる二人。

 

「さーて、そろそろ次は清水寺へ行こっか!」

 

「・・・・」

 

待て、と言いかけて伸ばした手は虚空に停まった。今の自分は二人を止めるだけの力はないしISもない。自分が関わればIS学園にも影響が及ぶ。二人は政府を直接潰す気でいる。聞こえてくるパトカーのサイレンも現実味が帯び始めしばらく空虚で立ち尽くす千冬は己の無力さに悔恨の気持ちと感情に浸って―――。

 

「こんなところでかのブリュンヒルデと出会えるとは奇遇なのサ」

 

そんな千冬を背後から履いたピンヒールで近づきながら声を掛ける謎の女性。振り返りその女性の顔を見た千冬は「お前は・・・」と意外な人物と出会えた驚きが顔に浮かんだ。

 

 

「あの二人がそろそろ動くって」

 

「わかったっス。じゃあ、私達も指定ポイントへ」

 

別の場所で遊んでいたディードとウェンディが届いた連絡に気を引き締め、与えられた任務を全うしようと行動を開始した。

 

「へぇ、一体どこの指定ポイントに行こうってのかしら」

 

「詳しく聞かせてもらおうか」

 

迂闊にもポニーテールとツインテールの少女に話の内容を聞かれてしまった二人は、ヤバいと一瞬思いながらもまだ自分達の作戦までは判らない相手に平然と言い返す。

 

「久しぶりっスねー。私らはラーズの復活を祝いを称して京都に遊びに来ているっス」

 

「指定ポイントは一旦戻って集合すること」

 

嘘は吐いていない。事実集合して計画を実行する為なのだ。部外者に深い所まで教えるほど間抜けではない。

 

「・・・・・ラーズグリーズ」

 

「・・・・・」

 

その名を聞いた途端に神妙な面持ちとなった箒と鈴。

 

「ねぇ、ラーズグリーズって何なわけ」

 

「何でそんなこと聞くっスか?」

 

「だっておかしいじゃない。あんな身体になった原因が非人道的な実験だって。それに一番最初にISを動かしたのは一夏達でしょ」

 

「私達はそうなった原因は話しを聞いた程度でしか知らない。それにラーズがISを世界で初めて動かしたのは、篠ノ之博士がISを開発した頃の10年前だって」

 

ディードの話を耳にした直後、箒と鈴はふいに過ったとある記憶と引っ掛かる部分が覚えた。

 

「・・・10年前、だと?」

 

「・・・ちょっと待って・・・・・」

 

 

『これ内緒だよ?僕、身体が小さくてもISを動かせたんだすごいでしょ!』

 

『お仕事の休みの日だけ一緒に束ねぇのISを創るお仕事のお手伝いをしているんだ』

 

 

「「―――――」」

 

懐かしい幼い頃の記憶の中と現実と一致できない違和感が、二人の頭の中で築いて完成した筈のパズルのピースが初めて一枚だけ違うことに気付いた。不自然に硬直する箒と鈴を一瞥して人混みの中に紛れ込むように消えながらウェンディは言う。

 

「ラーズのこと教えすぎちゃったっスかね」

 

「正体までは教えてないから問題はない。だけど、あの二人はラーズの―――だったから」

 

「・・・・・ヤバいっス、あの二人がラーズのこと気付くじゃないっスか」

 

「取り敢えず、一応ラーズに聞こう」

 

一末の不安をウェンディまで覚えてしまって、もしも教えすぎた事が駄目だったら誠心誠意に謝ろうと誓った。

 

 

「「・・・・・」」

 

「「・・・・・」」

 

チンクとディエチは動きを停めた。というより相手が長い砲身の銃を突きつけて鋭い眼差しでチンクを睨んでいた。

 

「何か用か、ISでなければ問題ないと旧兵器の銃を街中で堂々と晒す精神は疑う。ここで私が騒ぎを起こせばどちらが被害者と加害者に見えるか一目瞭然であろう」

 

「心配はするな。これはおもちゃだ。日本の法律に反してなどないさ」

 

「プラスティック製品のおもちゃにしては鉄製のようだが?最近の玩具を取り扱う業界は鉄のおもちゃを創るようになったとは知らなかったな。後日私も買い揃えよう。ではな、ラウラ・ボーデヴィッヒ」

 

銀髪をなびかせ踵を返して去ろうとするチンクの気配を感じ取り額に銃口を押し付ける。逃がさないとばかり強く。

 

「私達と同行をしてもらおうか」

 

「理由は?」

 

「貴様らとラーズグリーズの事を洗いざらい吐いてもらうためだ」

 

「警察でもないお前が私を拘束する権限はない。たかが代表候補生が警察よりも立場が上だと言うならやぶさかではないがな」

 

一進一退の会話の攻防が繰り広げる最中、半ば放置され気味の二人の相方は見守りながら別のことを思った。

 

「(小柄で長い銀髪・・・・チンク姉みたい)」

 

「(言動も纏う雰囲気は妙にラウラさんと似ていますわね)」

 

もしかしてと、二人は思わずと聞いてしまった。

 

「チンク姉」

 

「ラウラさん」

 

「「もしかして貴女の姉妹はいる?/いますか?」」

 

「「・・・・・」」

 

何だそれは、と胡乱気な表情を浮かびチンクとラウラはディエチとセシリアに振り返って言い返す。

 

「いる筈がないだろ。何を勘違いしているのだ」

 

「私の姉妹はお前達だけだ。何か勘違いしていないか」

 

「「(やっぱり似ている)」」

 

 

「IS学園か」

 

「うふふのふー、私達に何か用かしら?もう一人の眼鏡の子は知らないわねー?」

 

トーレ、クアットロの所にはシャルロットと水色のセミロングの髪形で、癖毛のようで内側に向いている。眼鏡をかけているが、視力矯正用ではなくIS用の簡易ディスプレイで、どことなく更識楯無と思わせる容姿である少女と三重塔の前で鉢合わせした。

 

「こんなところで何をしているのですか」

 

「ラーズが復活したのでな。篠ノ之博士が祝いとして遊びに来ているだけだ。今は各自自由に動いているがな」

 

「・・・ラーズグリーズが」

 

「そうよぉ?ま、そっちからちょっかいを出すのならば・・・こっちも自衛の為にあの手この手をしちゃうかもしれないからよろしくねぇ?」

 

怪しい笑みと共に笑うクアットロの発言に臨戦態勢の構えをしてしまうシャルロットにトーレは忠告する。

 

「ISを展開するならば止めておけ」

 

「何故、と聞いても」

 

「ドクターの話を聞いたのだろう私達はラーズの能力の恩恵を得ている」

 

「故に織斑千冬ですら簡単には倒せないつよーい存在ってことなのよねぇー」

 

事実そうなのかもしれない。と思ってしまうところシャルロットはナンバーズ、としてラーズグリーズの強さに警戒している。

 

「貴方達が非人道的な技術で生まれたのに自分の生き方に迷いはないんですか」

 

「迷い・・・・・?そんなものはないし、クローンではないが人工的に創られた者はそちらにもいるだろう」

 

「えっ?」

 

「確かぁ~ラウラ・ボーデヴィッヒちゃんっていう子ね~。ドイツの遺伝子強化素体(アドヴァンスド)

 

ラウラが?と衝撃的な事実を前に思考が停止かけた時、トーレとクアットロの所へ合流しようと集う他のナンバーズや束、ラーズグリーズの姿が。

 

「さーて、皆揃ったところでさくっと潰しに行こうか!」

 

唐突に言い出す束。今潰すとか言わなかった?と嵐の前触れの予感を抱いたところで束を先頭に全員が清水寺を後にどこかへ向かって行った。

 

「・・・・・どうする?」

 

「織斑先生に伝えよう」

 

自分達だけでは到底止める事だって不可能だからと千冬に連絡するシャルロットは、ラーズグリーズの姿を脳裏に思い出す。

 

 

「篠ノ之博士、研究所ってどこにあるんですかぁ~」

 

「病院だよー、こっからだと遠いからISで向かおっか!」

 

ISを展開するナンバーズ達と束を背中にしがみつかせるラーズグリーズ。周囲の驚倒の反応を気にせず空へ飛びだって病院へと直行する。とある病院まで時間を掛けて辿り着くとISを解除して中に入り込み、束が我が物顔で病院の奥へ進んではパスワードを求める認証機器の所で立ち止まる。隣には固く扉が閉ざされている。

 

「さてさて、束さんの手に掛かればちょちょいのちょーいっと」

 

カタカタと数字を片手で入力し指紋認証を求められると「てや」と画面に指先を押し付け、何故か認められて扉が開きだす。開かれた扉の向こう車輪付きの担架を含めて十人以上は優には入れる空間のエレベーター。全員中に入り束が『閉』ボタンを押したその時だった。激しい足音が聞こえてきて扉が閉まる直前に白衣を着た初老の男性が焦った顔で中を覗いてきたが、直ぐに扉が閉まり降下した。

 

「今の誰?」

 

「さぁ?この病院のお偉いさんじゃないかな?」

 

つまり医院長であった。一同を載せたエレベーターは何十階分も静かに降り続け十数分後、ようやく停止して扉が開き直ぐに白衣を着た多くの人間達が通路を行き交っていた。

 

「うわっ、こんなところに人なんて―――」

 

「リヴァーサル」

 

誰かが言いかけた矢先にラーズグリーズが能力を使った。すると行き交っていた人間達が突如にして床に倒れこんだ。それを気にせず束は歩き始め、出会い頭ラーズグリーズが「リヴァーサル」と壊れたオルゴールのように白衣を着た者達を床に平伏させていった。

 

「・・・・・生きてるよねこれ?」

 

「息はある。自力で動けないでいるようだがな」

 

「ラーズ、一体何をしているんだろ?」

 

戸惑うもついて行くしかないナンバーズ達。束の行く道の前に立ち塞がる者は例え銃を所持した顔を隠した警備の者でも、ラーズグリーズが「リヴァーサル」と言うだけで倒れていく。それが例え―――日本のコアを奪ったはずのISを装着している顔を隠した男の操縦者であろうと例外ではない。不意にここで束がカメラに向かって喋り出す。

 

「ねぇねぇ皆。顔まで隠していて辛くないかなーって思えない?だから親切で優しいこの私が解放してあげようと思うんだよねー。それじゃいっくよー、それ!」

 

黒いヘルメットのような被り物を外した束の手によって明らかになった黒ずくめの顔は―――。

 

 

織斑一誠と瓜二つな顔が日本中に映し出された。

 

 

「あれれ~?皆、この子の顔に見覚えない?あるよねー?だって、IS学園にいるはずのあの超有名な芸能人にしてアイドルの織斑一誠と同じ顔だよね?じゃあ、もしかして他の黒い人もそうなのかな?確かめてみよう!そりゃ!」

 

次々と被り物を剥いでは織斑一誠の瓜二つな顔がお茶の間に映し出されていく。

 

「おおっと、私達に襲ってきたこの子達は全員織斑一誠だったよ!束さんドッキリー!」

 

その者達を無造作に捨て置いて、先行く束にまたISがアサルトライフルを撃ちながら奥から接近してきた。

 

「おやおや、こんなところにもISが現れた!でも束さんは戦うよ!てりゃー!」

 

今度は束自身があっという間に『解体』して撃破した後、搭乗者の顔を剥げばまたしても織斑一誠の顔だった。

 

「むかーしむかし、とは言っても第二回IS世界大会「モンド・グロッソ』」が始まったころかな?誰もが織斑千冬の優勝二連覇を想像して期待していた時、何故か織斑千冬が大会に現れず不戦敗となったのは皆も覚えてるよねー?覚えてない奴は心底アリより知能がない奴だよ」

 

「で、どうして織斑千冬が大会に現れなかったのか皆も当時気になってたよね?ではでは、目的地に着くまでこの私が真実を教えてあげよう!」

 

「大会の裏ではあることが起きていたんだよねー。それは織斑千冬の弟が決勝戦のその日に誘拐されちゃってたんだよ!」

 

「家族想いの、弟想いの彼女は決勝戦よりも優勝よりも弟を救わんと栄光と名誉をかなぐり捨てて大会を放棄し、無事に誘拐された弟を救ったのだ!これが第二回IS世界大会「モンド・グロッソ」に起きた不戦敗の理由でした!」

 

「と、ここで話が終われば織斑千冬の美談で一件落着で済んだんだけれどぉー。更にこの続きがあるんだよねぇ」

 

話している最中に秘密の研究所の深奥に辿り着いた。ラーズグリーズがリヴァーサルで扉を圧力でこじ開け潜った先で・・・・・両手を横に伸ばして高々と告げた。

 

「日本のおバカな集まりの政府や権力者たちの要望で、今いる京都のとある病院の地下で、優秀な遺伝子を持つ織斑一誠を量産するためにここの研究所で強い兵士を造り出すためのクローンが毎日産みだされていたんだよねー」

 

広々とした地下空間に夥しい数の培養カプセルと、白衣を着た多くの男女たちが束の登場に愕然の面持ちで硬直していた。その内の一人の外国人に満面の笑みで軽々しく話しかけた。

 

「やぁやぁ、儲かってるー?織斑一誠を量産してぇー低いコストで強い兵士を造ったりISの操縦者にしたりとか、現在日本しか現れない男性操縦者にISを乗れるようにする薬の製薬とか頑張ってるかなー?」

 

「な、なんですか貴女は!ここは関係者以外立ち入り禁止の場所だ!」

 

「その関係者って政府の人間だよねー?大統領とか国防総省の人間とか。ああ、あとアメリカの大統領も絡んでるっけ?実際、ここに外国人の、アメリカ人の人もいるみたいだしね。というかこの人だしね。ほら、首に下げてる名標にもちゃんと英語で名前が書かれてるし」

 

「っ!?」

 

「ていうか、私のこと知らないの?篠ノ之束さんだよー?」

 

「し、篠ノ之束・・・・・っ!?」

 

「ほらほら皆、見てごらんよこのカプセルの中身。やーん、全裸だけどそこは気にしないでね?はい、体を丸めて覚醒を待っている織斑一誠くんだよー!赤ちゃんから少年、更には大人な織斑一誠がクローン技術で量産されている真っ最中でーす!」

 

「カ、カメラ・・・!?と、止めろぉっ!今すぐ映像を消すがはっ!?」

 

「うっさいよ、お前程度の奴に私を従わせるなんて億万年よりもずっと先だよ。死んでるけどねお前」

 

外国人の研究員を殴り飛ばし、近くのカプセルを破壊して覚醒前の織斑一誠を掴み取りカメラに前に突き出した。

 

「はい皆ーちゃんと見ててくれているかなー?クローンの織斑一誠のこの姿を!いやー、政府はとんでもないことをしてきたんだねー。この施設自体も相当昔からじゃないと造れていなかったと思うよ。きっと第二次世界大戦かそれ以前からじゃないかな?」

 

クローンを放り投げ、他の研究員と朗らかに話しかけつつ研究内を撮影する束は数十分も亘って行った。その間、様々なデータと証拠を集めながらお茶の間に公開していく。

 

「ああ因みに、この地下研究施設は京都の全病院と繋がっているから、暇な人は是非とも探して見給え!それじゃ、待ったねー!らーくん、カメラを停めていいよー」

 

その通りにするラーズグリーズはカメラを置いて外国の研究員の胸倉を掴む。

 

「・・・・・久しぶりだな」

 

「な、何を言って・・・・」

 

「・・・・・この顔を見れば思い出すか」

 

フルフェイスを脱ぎ捨てたその顔は・・・・・人の皮を被っていないラーズグリーズだった。木乃伊のように骨と生気の色をしていない肌の皮、右目にある筈の眼球はなく、空洞と化した眼窩の顔をした男の顔を見て、研究員は時が停まったかのように表情を凍らせた。

 

「お、お前は―――!!!」

 

「・・・・・言いたいことは山ほどある。―――取り敢えず、お前ら全員もカプセルの中でしばらく生活してもらおうか。何、酸素マスクがあるから電力が止められない限りは冷たい液体の中でも生きていられるだろう」

 

「この施設の出入り口はとっくの昔に全てロックしたから一人も地上には逃げられないよー」

 

蒼褪める研究員はラーズグリーズの手によって身近なカプセルへと連れて行かれた。

 

数時間後―――秘密の研究所に駆け付けた者達は絶句した。床の至る所に寝転がされた織斑一誠のクローンと入れ替えられたようにしてカプセルの中で閉じ込められている研究者達を。クローン以外誰も死んではいなかったが、それが後の日本を震撼させる大事件になる事をラーズグリーズ達は予期していた。

 

 

「『日没落』・・・・・始めよう」

 

「おー!」

 

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