ヴンダー内医務室。
金属の匂いと消毒薬の刺激が混じった空気の中で、綾音は天井の白いライトを見つめていた。
身体は重く、四肢にわずかな痺れが残っている。
綾音「……ここは?」
返事より先に、頬に鋭い衝撃が走った。
サクラ「ドアホ! 綾音さんのドアホ!」
サクラ「あれだけ言いましたやん、エヴァに乗らんといてって!」
震える声とともに、サクラの拳がもう一度振り下ろされる。
だが途中で力を失い、そのまま崩れ落ちた。
サクラ「なんで……なんで、そんなことするんですか……」
肩を震わせて泣きじゃくるサクラを見て、綾音は胸の奥が締めつけられる。
綾音「サクラ……ごめんね」
綾音「でも、ああするしかなかった」
ゆっくりと手を伸ばし、サクラの頭を撫でる。
その温度が、今も人が生きている証のように指先に残った。
その直後、医務室の扉が開き、無言の兵士たちが入ってくる。
綾音は抵抗することなく、隔離室へと移送された。
アナウンス「監視対象者DM03、第二チェンバー到達。点火システム準備」
アナウンス「第二チェンバー完全閉鎖。緊急点火システム起動。監視対象者DM03の隔離処理、完了しました」
金属が噛み合う重い音が、完全な遮断を告げる。
アナウンス「新弐号機、JAパーツ接続テスト問題なし」
アナウンス「左腕独立連動システム、予定通り開始してください」
艦内は戦闘準備の緊張で満ちていた。
オペレーター「全補給艦より物資補給完了。ロジスティックス担当者は速やかに退去してください」
オペレーター「ネルフ本部、移動開始。黒き月を伴い、旧南極爆心地跡へ進行中と推定」
オペレーター「全艦、第1種戦闘配置。発進準備に入ります」
隔離室の壁越しにも、ヴンダー全体が戦場へ向かって加速していくのが伝わってくる。
そのとき、通信端末が鳴った。
サクラ「第1種戦闘配置なので、私はメディカルルームに移動します」
サクラ「綾音さんは、そこを動かんでくださいね」
サクラ「何かあったら……赤いボタン、押してください」
サクラ「……行ってきます」
綾音「うん。気をつけて」
通信が切れた直後、隔離室の扉が勢いよく開いた。
マリ「だーれだ?」
綾音「……マリちゃん?」
マリ「ご名答!」
顔を近づけ、くん、と匂いを嗅ぐ。
マリ「ちょっと変わったね。大人の香りってやつ?」
アスカ「そう簡単に変わるわけないでしょ。このガキ波が」
腕を組んだアスカが、真っ直ぐ綾音を見据える。
アスカ「最後だから聞いとくわ」
アスカ「私があんたを殴ろうとした理由、わかった?」
綾音「……参号機事故のとき」
綾音「カエデに頼って、自分からアスカを助けに行かなかったから」
アスカは一瞬だけ目を細め、ふっと鼻で笑った。
アスカ「ちっとは成長したじゃない」
アスカ「……最後だから言っとく」
アスカ「あんたが作った弁当、美味しかった」
それだけ言い残し、アスカは背を向けて出ていった。
マリ「君はよくやってるよ。偉い偉い、茨波綾音ちゃん」
マリ「ツァイツェン」
軽く敬礼し、マリも部屋を出る。
直後、艦全体が激しく揺れた。
ネルフ艦隊の砲撃がヴンダーを捉えたのだ。
オペレーター「被弾! エンジン部、ATフィールドで防御!」
オペレーター「別艦より追加砲撃!」
ミサト「構わない、突っ込め!」
3番艦へ体当たり同然の突撃。
敵艦の姿勢を崩し、射線を封じる。
オペレーター「黒き月への突入ルート、確保!」
そのとき、エヴァハッチが開いた。
ミサト「なぜ開いてるの!?」
カエデ「私です」
カエデ「14年間で、この艦に隠し兵器を搭載していました」
ミサト「まさか……」
カエデ「マスティマ搭載型、二足歩行兵器」
カエデ「機体番号M01です」
巨大な人型兵器が射出され、敵の前に立ちはだかる。
カエデ「私がおとりになります」
カエデ「その間に、逃げてください」
ミサト「……わかった」
ミサト「全速前進!」
カエデ「さあ、来なさい。神殺し」
ラミエル戦で用いた盾を展開し、N2弾を連射。
弾幕が敵の動きを鈍らせる。
その隙に、ヴンダーは黒き月へ無人戦艦型誘導弾を放ち、13号機への突入路を切り拓いた。
しかし、戦況はさらに悪化する。
新弐号機の使徒化、アスカの同化。
Mark9によるヴンダーのハッキング。
そして、甲板に姿を現す碇ゲンドウ。
綾音は隔離を破り、甲板へ走った。
綾音「ミサトさん、私が行きます」
綾音「カエデなら虚数空間の動きがわかる」
綾音「だから、私を行かせてください」
綾音「レイちゃんがLCL化した帰り道」
綾音「加持さんと畑仕事をしたときの……土の匂いがしたんです」
綾音「ミサトさんの背負ってる重荷、半分持たせてください」
ミサト「……そのためには、碇ゲンドウと戦うことになるわよ」
綾音「わかってます」
綾音「サードも、ニアフォースも」
綾音「その責任を取るために、行きたいんです」
ミサトは無言でDSSチョーカーを差し出した。
綾音はそれを首に装着する。
ミドリ「やめてください!」
ミドリ「冗談じゃない、またエヴァに乗せる気ですか!」
ミドリ「疫病神! あんたのせいで私たちの人生はめちゃくちゃなんです!」
サクラが銃を構える。
サクラ「綾音さんはエヴァに乗りません!」
サクラ「エヴァに乗って、みんなを不幸にして、自分も不幸になる!」
綾音「サクラ」
綾音「今回、私が乗らなかったら、もっと被害が出る」
綾音「だから……お願い」
サクラ「無茶言わんといてください!」
サクラ「怪我したら、もう乗らんで済むんです!」
引き金が引かれる。
だが弾丸はカエデの防御に阻まれた。
ミサト「14年前、綾音ちゃんが乗らなかったら」
ミサト「私たちは滅んでた」
ミサト「ニアサーの責任は、私にある」
ミサト「これからの行動も、全部、私が背負う」
ミサト「だから、託すわ」
サクラ「……恩人や」
サクラ「でも、仇でもある」
涙を流し、サクラは崩れ落ちた。
やがて8号機が戻り、綾音はエントリープラグへと向かう。
ミサト「あなたができることは」
ミサト「肩をたたくことか、殺してあげることよ」
綾音「ミサトさん」
綾音「加持リョウジさんに会いました」
ミサト「……元気だった?」
綾音は頷いた。
ミサト「そう……よかった」
やがて改八号機がヴンダーへ帰投し、綾音は艦内の通路を抜けてエントリープラグへ向かった。
重力制御の低い床を踏みしめるたび、胸の奥で鼓動が強くなる。
これが最後になるかもしれないと、嫌でも理解していた。
ミサト「あなたができることはね」
ミサト「肩をたたくことか、殺してあげることよ」
その声は冗談めいていたが、目は真剣だった。
覚悟を試すような視線が、綾音に突き刺さる。
綾音「ミサトさん」
綾音「加持リョウジさんに会いました」
ミサト「……元気だった?」
綾音は小さく、しかしはっきりとうなずいた。
ミサト「そう……よかった」
一瞬だけ、ミサトの表情がほどける。
それがすぐ指揮官の顔に戻るのを、綾音は見逃さなかった。
改八号機が発進する。
ガフの門を越え、世界の裏側へと滑り込む。
マリ「さあ、行こうわんこ君」
綾音は深く息を吸い、胸のざわめきを押し殺した。
綾音「行ってきます」
再び八号機がヴンダーに接続される。
時間はほとんど残されていなかった。
マリ「めんご、遅れた」
マリ「準備に手間取ったさ。さあ行こう、わんこ君」
プラグスーツの装着はカエデに任せた。
冷却液の感触が全身を包み込み、意識が研ぎ澄まされていく。
ミサト「茨波綾音ちゃん」
ミサト「あなたができることは肩をたたくことか、殺してあげることよ」
ミサト「加持の受け売りだけどね」
綾音「ミサトさん」
綾音「加持リョウジ君に会ったよ」
ミサト「元気だった?」
綾音はうなずく。
ミサト「そう……よかった」
綾音「すごくかっこよくて、いい人でした」
綾音「惚れちゃいそうでした」
ミサト「ふふ……ありがとう」
ミサト「必ずサポートする。頼むわ」
綾音「はい。行ってきます」
ミサト「いってらっしゃい」
綾音は改八号機へエントリーする。
閉じるハッチの音が、退路を断つ合図のように響いた。
やがて機体は再びガフの内部へと侵入する。
マリ「オーバーラッピング対応の改八号機と、アダムスの器を取り込んだプラスフォーイー状態」
マリ「この裏宇宙でも問題なく進めてる。ありがたいことだにゃ」
マリ「さてわんこ君」
マリ「アンチLシステムが全部壊れて、みんながコア化する前に第十三号機を破壊する」
マリ「それしか起死回生の道はない」
マリ「それにしてもさすがゲンドウ君」
マリ「裏宇宙をいいことに量子テレポーテーションを連発してる」
カエデ「はい」
カエデ「ここは次元の狭間でもあります」
カエデ「こちらも量子テレポーテーションが使用可能です」
マリ「それでも捕まえるのは骨が折れそうだにゃ」
綾音「大丈夫」
綾音「カエデと一緒に行ってくるよ」
カエデ「この空間では時間や場所の概念が希薄です」
カエデ「理論上、どこへでも転移可能です」
綾音「わかった」
マリ「わんこ君」
マリ「第十三号機の中に姫の魂が残ってる可能性がある」
マリ「アスカをお願い」
綾音「わかった。やってみるね」
綾音「レイちゃん」
その呼びかけに応じるように、初号機へ通じるワープゲートが開いた。
マリ「君がどこにいても必ず迎えに行く」
マリ「だから絶対待ってて、綾音ちゃん」
綾音「うん。また後で」
初号機の内部。
そこには髪を長く伸ばした綾波レイが立っていた。
レイ「綾音ちゃん、ごめんなさい」
レイ「エヴァに乗らないようにできなかった」
綾音「ありがとう、レイちゃん」
綾音「でもいいよ。あとは私がやる」
綾音「今度こそ、みんなが使徒やエヴァを必要としない世界にする」
レイ「うん。お願い」
初号機が再起動する。
ロンギヌスの槍を奪い取った瞬間、それはカシウスへと変質した。
ゲンドウ「ほう……希望の槍、カシウスか」
綾音「やめてください、司令」
ゲンドウ「だめだ」
ゲンドウ「私にはやるべきことがある」
カエデ「ここは通常世界と多次元の中間地点です」
綾音「あれは?」
十字架を幾重にもまとった、異様な物体が浮かんでいた。
ゲンドウ「ゴルゴダオブジェクトだ」
ゲンドウ「人ではない何者かが、アダムスと六本の槍と共に神の世界を残した」
ゲンドウ「私の妻ユイも、ここにいた」
ゲンドウ「すべての始まりであり、約束の地」
ゲンドウ「人の力では抗えぬ運命を変える、唯一の場所だ」
空間が歪み、多次元へと転移する。
綾音「ここは……?」
カエデ「多次元空間です」
カエデ「人間には認識できないため、綾音さんの記憶にある空間として知覚されています」
カエデ「ここではイメージを具現化できます」
カエデ「物理法則より、意思が優先されます」
カエデ「ただし私は情報体です」
カエデ「義体を作っていただかないと行動できません」
綾音「わかった」
綾音はカエデの義体モードを明確に思い描き、実体化させた。
次の瞬間、初号機のケイジへと引き戻される。
ゲンドウ「おしゃべりはそこまでだ」
ゲンドウ「さっさと初号機を渡せ」
綾音「いいえ」
綾音「私はレイちゃんの代わりに、すべてのエヴァを終わらせに来ました」
綾音「あなたの好きにはさせません」
ゲンドウ「無駄な抵抗だ」
初号機が発進する。
舞台は第3新東京市へと変わる。
ゲンドウ「仕方ない。回り道をしよう」
ガトリング砲、レーザー砲、衛星レーザーが放たれる。
だがすべて無効化され、逆に距離を詰められる。
ナイフで応戦するも、ロンギヌスの槍の長い間合いに阻まれる。
カシウスを実体化して対抗するが、力でねじ伏せられ投げ飛ばされた。
綾音「どうする?」
カエデ「通常攻撃が通用しないなら、パルス兵器を」
綾音「うん」
パルスマシンガン、パルスグレネード。
だが結果は変わらない。
綾音「無駄みたいね」
場面が唐突に切り替わる。
ミサトの部屋、教室、レイの家、ネルフ本部、加持の畑。
綾音「まったく」
綾音「同じ動きで、しかも場面転換がウザい」
ゲンドウ「第十三号機は希望の初号機と対をなす絶望の機体だ」
ゲンドウ「互いに同調し、調律されている」
ゲンドウ「これも儀式の一環だ」
綾音「でも、攻撃しなければやられる」
ゲンドウ「無駄だ」
ゲンドウ「お前の力では私に勝てない」
綾音「同調しているなら、通常スペックじゃ無理」
綾音「なら、超えればいい」
ゲンドウ「まだわからないか」
綾音「カエデ、裏コードある?」
カエデ「あります」
カエデ「ただし旧型のため、裏コード七七七のみです」
綾音「十分」
コード七七七起動。
初号機がビースト化する。
だがそれすらねじ伏せられた。
綾音「くそ……これでもダメか」
カエデ「相手の創造空間です」
カエデ「これ以上は不利かと」
綾音「わかった」
綾音「降伏しよう」
ゲンドウ「そうだ」
ゲンドウ「これは力で解決する問題ではない」
綾音「では交渉しましょう、司令」
綾音「司令は、ここで何をするつもりなんですか」
ゲンドウ「このゴルゴダオブジェクトでしか起こせないアディショナルインパクトだ」
ゲンドウ「それが神殺しへの道につながる」
ゲンドウ「そのために二本の槍をここへ届けた」
ゲンドウ「初号機パイロット」
ゲンドウ「見せたいものがある」
黒いリリスが現れる。
綾音「リリスが……黒い?」
ゲンドウ「お前にはそう見えるのか」
ゲンドウ「エヴァンゲリオン・イマジナリー」
ゲンドウ「葛城博士が予測した、現世に存在しない想像上のエヴァだ」
ゲンドウ「絶望と希望が互いにトリガーとなり」
ゲンドウ「虚構と現実が溶け合い、すべてが同一の情報となる」
カシウスとロンギヌスが融合し、黒いリリスを貫く。
白く変質したリリスが崩れ落ちる。
ゲンドウ「これで世界を書き換えるアディショナルインパクトが始まる」
ゲンドウ「私の願いが叶う、唯一の方法だ」
インパクトが発動する。
綾音「司令は、何をお望みで?」
ゲンドウ「碇シンジが選ばなかった世界だ」
ゲンドウ「他者と自分の境界がなく、差別も貧困も虐待もない世界」
ゲンドウ「ユイと再び会える、安らぎの世界だ」
ゲンドウ「ユイ……ユイ……」
ゲンドウ「どこだ、ユイ」
ゲンドウ「ここにいるのは、すべてレイなのか」
綾音「司令」
綾音「もうやめませんか」
ゲンドウ「なぜだ」
ゲンドウ「なぜ君がここにいる」
綾音「司令のことが知りたいからです」
綾音「今まで私は、あなたを上司としてしか見ていませんでした」
綾音「でも、この体の碇レイは、あなたを知りたがっています」
ゲンドウがATフィールドを展開する。
ゲンドウ「私を恐れているのか」
ゲンドウ「人を捨てたこの私を」
綾音「これは、司令に返すはずだったものです」
綾音はウォークマンを差し出した。
次の瞬間、クラシックな電車内へと場面が変わる。
綾音「これが、外界からの防衛手段だったんですね」
ゲンドウ「だがユイと出会い、必要なくなった」
ゲンドウ「親の愛を知らない私が、親になる」
ゲンドウ「この世界は不安定で、不完全で、理不尽だ」
ゲンドウ「人はその時々で違うことを言う」
ゲンドウ「どれが本当か、わからなくなる」
ゲンドウ「私は人を恐れた」
ゲンドウ「人に満ちた世界が嫌だった」
ゲンドウ「幼い頃から孤独が日常だった」
ゲンドウ「だが、それを許さない社会があった」
ゲンドウ「他人といるのが苦痛だった」
ゲンドウ「一人でいたかった」
ゲンドウ「好きなものが二つあった」
ゲンドウ「一つは知識だ」
ゲンドウ「知識は裏切らない」
ゲンドウ「私の心の飢えを満たしてくれた」
ゲンドウ「もう一つはピアノだ」
ゲンドウ「正しく調律された音は、嘘をつかない」
ゲンドウ「私は一人でよかった」
ゲンドウ「だがユイと出会い、生きることが楽しいと知った」
ゲンドウ「ユイだけが、ありのままの私を受け入れてくれた」
ゲンドウ「ユイを失い、一人で生きる自信を失った」
ゲンドウ「初めて孤独の苦しさを知った」
ゲンドウ「ただ……ユイの胸で泣きたかった」
ゲンドウ「私は弱い」
綾音「人は一人では生きられません」
綾音「でも、人を傷つけ、傷つけられながら生きている」
綾音「弱くて未熟でも、人は知恵で世界を築いてきました」
綾音「司令も、弱さを認めればいい」
その時、現世でヴィレとヴンダーがガイアスの槍へと変形していた。
ミサトの特攻により、多次元空間へ送り込まれる。
綾音「ミサトさん、ありがとう」
綾音「また巡り会うときまで」
ゲンドウ「ユイに会えぬまま、ここに至るとは」
ゲンドウ「……そうか」
ゲンドウ「そこにいたのか、ユイ」
ゲンドウは電車を降りていく。
カヲルが現れる。
カヲル「碇ゲンドウ」
カヲル「今回の補完の中心だ」
カヲル「ここからは僕が引き継ぐ」
綾音「いいえ」
綾音「私はこの世界のイレギュラー」
綾音「最後までやります、カヲル君」
カヲル「そうだったね」
カヲル「君はイマジナリーじゃなく、リアリティとして立ち直った」
綾音「ええ」
綾音「だから、すべての落とし前をつける」
綾音「エヴァは残れば、また戦争の道具になる」
綾音「アスカちゃん」
アスカ「パパはわからない」
アスカ「ママもいない」
アスカ「だから誰もいらない」
アスカ「そうしないと苦しいから」
アスカ「エヴァに乗る」
アスカ「それしか、私の価値がないから」
アスカ「本当は……さみしかった」
アスカ「頭をなでてほしかっただけなの」
ケンスケ「いいんだ」
ケンスケ「アスカはアスカだ」
アスカ「……私、寝てた?」
アスカ「バカ波」
綾音「よかった」
綾音「また会えて」
綾音「私は別の世界へ行く」
綾音「みんなによろしく」
カヲル「行っちゃったね」
綾音「うん」
綾音「君も、人として生きて」
カヲル「君は優しかった」
カヲル「だから、この結末になった」
綾音「そうだね」
カヲル「そろそろ時間だ」
綾音、カヲル「また巡り会うときまで」
綾音「残ってるのは、レイちゃんだけだね」
レイ「私は、ここでいい」
綾音「エヴァ以外の居場所を見つけて」
レイ「それが、綾音ちゃんの願いだった」
綾音「私はこの世界には入れない」
綾音「だから、その分生きてほしい」
綾音「エヴァがいらない世界にするだけ」
レイ「……わかった」
レイは、初めて穏やかに笑った。
レイ「ありがとう、綾音ちゃん」
綾音「また巡り会うときまで」
ガイアスの槍が起動する。
綾音「みんな」
綾音「また巡り会うときまで、さよなら」
ユイが背中を押し、エヴァに槍が突き立てられる。
世界がほどけ、綾音は別の並行世界へと転移した。
END