転生したらハズレ斬魄刀の使い手だった件【完】 作:ノイラーテム
●卍解出来ない理由が増えまして
気が付いたら鬼灯丸の形状が変わってた。
何を言ってるかスパロボ知らない人には判んねーと思うが、ゴルディオンハンマーを注文したらアルトアイゼン・リーゼに成っていた気分だ。
「こいつはヤベエ。弓親に見たら笑われる。てか素地を上げて刀だけで勝てるようにしねーとな」
俺はチャンバラしたいんだ、ガンブレードやパイルバンカーで切り合えるかっつーの。
それはそれとして状況は進み、表向きは見捨てる算段とか言いつつ、織姫を奪われて助けに行く組と現世を守る組に分かれるのは同じ感じだ。
能力の問題で放置するのも問題なのでこれは仕方ない。
原作と違う所は柱を守る四人のメンバー構成が違う事、そして俺と吉良が戦力予備として相手の行動に差し込む戦力となっている事だ。
おっと、檜佐木が柱組のリーダーとしてその後の指揮を執ると明確に決まってるのも違うところだな。
「俺が優男を止める。吉良はデカブツを頼まぁ」
「妥当なところだね」
ひとまず俺はフィンドールの元に向かった。
こいつが一番剣士として強そうなのと、倒した時のドロップ品として面白そうだからな。
なお、原作で戦うはずだったチーノン・ポウは侘助で完封されました(合掌)。
相性最悪だから仕方ないね。
「小賢しいな。しかし……新手はどうするのかな?」
「柱に向かうなら別に構わねえよ。倒したら俺らも増援に向かうしな」
こちらの介入に対して連中は手元に残した二名を柱に向けた。
予備戦力は拮抗状態を作り出しつつ、相手の弱点を狙うものなのでまあこんなものだろう。戦略予備ではなく逐次投入というミスになってるのは、単純に破面が戦術研究に疎いからだ。
「できるとでも? オレの力は……」
「能書きは良いから掛かって来いよ。できれば最初から帰刃しておくことをお勧めするぜ?」
親切に忠告してやると、フィンドールは下手な挑発と思ったのか嘲笑を浮かべた。
雑魚がこいつ何言ってるんだとでも考えてやがるんだろう。
「帰刃に値するかを採点してからだ。まずは副隊長くらいまでの力で遊んでみるか」
「ナメプは止めとけって。忠告はしたからな」
俺は力を抜いて相手に合わせてやることにした。
仮面を剥ぎ取りながら迫る奴に対し、霊圧を載せずに剣腕だけで抑え込みにかかる。
「副隊長クラスの力で来るってんなら、遊ぶなよ。これじゃ四席相当ってところか?」
「
すると仮面を追加で剥ぎ取りながら、俺の一撃に合わせて鍔競り合いで押し返し始めた。
フィジカルは高い方なので剣速さえ合わせれば、こうやって圧倒できるという事なのだろう。
「これが三席相当の力だ」
「まあそんな所だろうな。俺も地だけならそんなレベルだ」
コイツは自分の能力を根本から誤解してやがる。
漫画を見た時も思ったが、こいつ本当にアホだな。物凄いポテンシャルを持ってるってのに、自分の能力を根本から誤解しているのだ。
まあ俺らも良くやる勘違いなんだけどな。誰かが言っていたが、なまじ基礎性能が高いばかりに学習する機会がなかったのだろう。
「では行くぞ? これが副隊長相当の力! エスト、エスト、エスト!」
「んじゃあこっちも副隊長相当で行くわ。ついて来いよ」
更に仮面を剥ぎ取り霊圧を上げて来る。
俺も刃に霊圧を載せて副隊長相当の力で暫くチャンバラを愉しむことにした。
鍔競り合いを止めて助走の為に一度下がるのを、軽い踏み込みを重ねて切り込んでいく。
舌打ちと共に高速の刺突を繰り返してくるが、丁寧に捌いて全て一定方向に流してやった。生じた隙を突いても良いが帰刃の前なのでやめておこう。
「くっ……。剣が流される? 馬鹿な今のオレは副隊長の剣を……」
「勘違いだ。てめえの力は霊圧以外、最初から少しも変わってねえよ」
なるほど強大な霊圧を載せているから速い、パワーも中々なものだ。
確かにこれならば副隊長が放つ斬撃並みはあるし、更に霊圧の出力を強化して隊長格相当までいけるなら自分は強いと誤解しても仕方あるまい。
ポテンシャルだけなら真面目でストイックな東仙が監査してることを考えると、あながち嘘ではないだろう。しかし考えても見て欲しい。本当に隊長格の強さがあったら十刃か、藍染直属入りしているはずだ。
「どうする? 次は隊長格か?」
「……っ! 喜べ、全力を出してやる」
おそらく、こいつの能力は巨大なホースなのである。
性能そのものは高いし、特に『最初』の鋼皮やMPとしての霊圧を含めたポテンシャルは隊長格と言って良い。その上で霊圧出力も同様に上げられるのだろう。
「水面に刻め。
「ようやくか……燃えあがれ、龍紋!」
普段は堅い鋼皮で守りつつ霊圧を溜め、必要に合わせて能力を調整する。
ホースを握り込んで小さくすれば勢いを増すようなもので、攻撃手段として高圧水流で霊圧を放てるから物理的にも霊圧的にも相性が良い。
防御しながら指揮を取ったり増援として控えたり、ここぞという所で高速で火力を費やすならとても強いのだ。問題なのはこいつが、自分の強みを投げ捨てて徐々に強くなっていくこと。凄い能力に振り回されているといって差し支えないだろう。
「行くぞ死神!」
「来いよ、俺の名前は班目一角。てめえを地獄に連れて行く男だ。まあ地獄は地獄でも、マッドの所にだけどな」
マッドにお土産頼まれてんだよな。でねえと鬼灯丸を戻せねえし。
形状まで改造されてしまったが、実の所、要求水準そのものは間違っていない。
原作の龍紋鬼灯丸に匹敵する攻撃力と、壊れ難くするガワ。そして霊圧を溜めておける霊子兵装。それらを全て一つで済ませるとは思ってもみなかっただけで。こちらの要求は全て満たしているので、注文した仕様はキッチリ用意するタチなのだろう。
問題は龍紋鬼灯丸の原型が無くなりかけている事なのだ。
徐々に解決するのではなく、一息にできそうだからやってしまったのだと思われる(天才のひらめきってコエー)。だが方向性そのものは間違ってないので、あのマッドが無料で直してくれるはずはない。
「フハハハ。こうなれば貴様などに勝ち目は……」
「白兵戦かよ、望むところだけどな」
余裕ぶっこく癖は止めろ。
っていうか、こいつの能力は高台で構えるスナイパーと言ったところだ。狙撃手が自分を守れる以上の白兵戦ができるのが凄いのであって、自ら接近して来るとかマジ判んない。せめて前に出るならこっちの後方陣地を狙うとか意味を見せてほしい所だ。
とはいえチャンバラがしたい俺には好都合なので、黙って白兵戦につき合ってやった。
「先ほどの様にはいかんぞ!」
「同じだよ。力で対抗したいならせめて隊長格クラスまで霊圧を上げてこい。もっとも……そいつをやった時がてめえの命日だがな」
前回と違うのは、連続で切り掛かりつつ零距離射撃でも狙っているのかな?
しかし砲口ならぬ爪先を向けるよりも先に、俺は先ほどと同じ様に反らせていく。あえて言うなら同一方向ではなく外側へ、槍でも使う円の動きで反らせている分だけこいつの戦闘力は上がっていると評価しても良い。
「黙れ! 貴様なぞにそんな必要は無い!」
「そうだ。それで良い。スゲエ能力に頼らずちゃんと工夫して来いよ!」
右手だけではなく左手も使い、回し蹴りまで放って来た。
霊圧任せの蹴りだが重心は低く抑えて態勢を崩さないようにしている。あくまで右手を自由に使うための組み立てなのだろう。
おそらくフィンドールは仮面を取るたびに霊圧出力が上がるが、防護力が落ちている。
脱皮しながら自己強化していると考えれば、ちゃんと強くなるというのが事実で、原作に檜佐木が逆転した理由も判る。トリッキーな動きで切りつけられると、薄くなった鋼皮では防ぎきれないのだ。
以前にも言ったかもしれないが、霊圧は複数の意味が混在している。
レベルであり、出力であり、
だが能力を発揮し長時間戦えば戦う程、最初にあった鋼皮や魔力としての霊圧は減っていく。
その間に仕留めきれなければ危うくなるのだが……フィンドールは相手に合わせて追い詰めるのではなく、相手に合わせて遊んでいるのでやがて底が見えるのだ。原作において檜佐木序盤の苦戦にもかかわらず、あっけなく倒したのも頷ける。
「地上か……。おあつらえ向きだな。俺はまだ空中戦が苦手でね。ここならもっと速く動ける。
「ふっ……ふざけるな!」
面白いことを思い付いたので、あえて自分から離れてやる。
前にも言ったが俺は空中戦がまだまだ得意じゃない。訓練はしてるが原作よりも少し遅いだろうか? まあ白兵戦距離に留まって戦ってる方が好きだから仕方ないけどな。
「これでオレの力は隊長格のソレと同格。距離を離したことを後悔するなよ!」
「撃ち合いに限ってならその選択肢はエサクタだ。地上での俺の速度と腕前が隊長格なら俺の勝ち、そうでなきゃてめえの勝ちだ」
奴は腕を構えて射撃態勢、俺は腰を落として突撃態勢を見せる。
もしこれが西部劇だとしたら、サムライが刀を構えてなぜかネイティブに同情的なジャパニーズ・ウエスタンだろう。
「落ちろ落ちろ落ちろ!」
「馬鹿が。ただぶっ放すだけじゃさっきと同じに決まってんだろ」
虚弾にも似た高圧水流の連射。
その一撃一撃はただの虚弾とは一線を画する。それをガトリングガンの様に放つのだから、普通に攻撃を受ければたまらない。
だが高速のステップでかわすだけでなく、意図して撃ちに難いコースに誘導すれば当りなどしない。右左のジグザグだけでなく、時折に右右・左左と入れて再び左右と最低限のスウェーしながら疾走する。
ここは地上なので小刻みに距離の違う半歩を入れる事が可能だ。
そして奴がキレたフリして何を狙ってるかも何となく判る。
「それはノ・エサクタだ。受けよ海王の一撃! ティヘラス……ネプトゥネアァァァ!」
奴は最初の位置から飛行し、残骸を回り込んで特大の一撃を放つ。
スピード勝負に端から乗る気はないのだから、まあ気持ちは判らないでもない。
だけどな、そんなのは当然予想するだろ?
空中戦が得意だったら、残骸のある地上で戦う訳がないんだから。
何も考えずに相手の隙を突こうと思うなら、コレが最適解だと思うのだろう。
「見え見えなんだよ。せめて最初からその後ろまで下がるんだったな」
「何っ!?」
俺は奴の方向にターンしてから、避けるのではなく特大のジャンプで済ませた。
てっきり回り込むか空中に一度飛び上がるものだと思っていたらしい。意表を突くってのはこういう事だ。仮に予想されていても、距離が縮まるから損はない。
「だが、この位置と障害があればまだオレの方が速やっ……」
「伸びろ、龍紋!」
燃え上がる紋様の効果は既に6mのサイズでも振り回せるほど。
ならば僅かな距離など意味はない。確かに残骸は威力を損なわせるだろう、しかし奴が自ら剥ぎ取った鋼皮ほどの防御があるとは思えない。
(ちっ。これなら原作のリベンジに向かうんだったぜ。つい自分の中で比較しちまう)
見れば吉良は余裕でポウを倒しており他の援護に向かっている。
こんなことなら相性の悪い相手(防御高くて剣戟が効き難い)を倒せばよかったかと思わなくもなかった。
とはいえ従属官なら余裕、原作よりも強く成ったのでそんなことは判っている。
あとは虎とマンモス……名乗ったっけ? を残すのみだった。
なんとか十刃に食らいつくとか大将狙いをすれば良かったかと、自分の定めた目標の低さに愕然とする思いだ。
という訳でいきなり破面編のラストへ。
一角が関わってない分だけ、すっ飛ばした感じです。
次回で破面編を終えて、たしいたことしてない完現術編は全体をカット。
まあ一角や弓親はお互いが敵に回っても、笑顔で切り合って腕試しをしそうなので。
(白哉が月島さんズンバラリンするのと大して変わりないし)
●柱を巡る戦いと、フィンドール戦
逐次投入と戦略予備は似て非なる別の単語。
という訳で、死神側は腕利き数名の配置が違います。
総合力に優れた檜佐木がリーダーで柱組の守りとその後の動きを管制。
対応力の高い一角とイヅルが遊撃兵として、相手の陣容を乱しています。
まあその後で向こうもことをするのですが、原作通り柱狙いなので似た展開に。
その上でフィンドールの強さを多少考えてみました。
シチュエーション的には、強さ調整できる者同士の戦いがしたかっただけです。
解釈としては豊富なMPを持っていて、MPを支払うごとに強化。
普通の死神・虚がダメージ+3とか移動力+2に対し、支払う毎に追加する。
霊圧を食わせるごとに強くなる能力があり、他にも似た技が使える物が居ても
その幅がフィンドールは高く、調整し易いのだと考えました。
この考え方が正しいのであれば、仮面を剥げば出力・上昇値が上がる。
最大で隊長と同じ強さならば、確かに隊長格のソレと同等でしょう。
でもMPはガンガン減っていくし、装甲も減るのだとしたら?
原作で檜佐木が最初は圧倒されて、最後は簡単に勝ってる理屈が通ります。
(真面目な東仙に育てられた同じく真面目な檜佐木は、限りなく隊長に近い能力があるなら特に)
今回は最大出力で瞬間的に隊長に並べるだけなら一角と同じと仮定すると。
同じ事できるならば、真面目に戦って対人戦の経験値で一角が上回った感じ?
次はアヨンと戦う……のかな?
ちなみに総隊長ですが……。
「にわか作りの結界で、流刃若火を抑えられるわけもあるまい」
「ア……」
「ここで滅火皇子! 補正オサレを発動。代わりに知性とかなくなったんだ」
「カワイソーヤネー」
という展開です。
万解使うなよ、使うなよー。ええいもう良い。。と同じような展開ですね。