転生したらハズレ斬魄刀の使い手だった件【完】   作:ノイラーテム

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空座決戦:中編

●前座の終了

 戦略予備というのは相手の動きを止め隙を突くものだ。

ゆえに良い勝負をする必要は全くない。俺は強敵の足止め役、吉良は相性の良い大型を仕留めて回る役だと言っても良い。

 

状況はマンモスに対して吉良の加勢で優位に立った所。

ならば虎に対して加勢してからアヨンに向かうかと、従属官戦(ぜんざ)に始末を付けに掛かった。

 

「俺の為にとっといてくれたんすか? 悪いっすね」

「おう、来たか。すまんのう」

 作戦上、柱組は自分の相手が強いと分かったら無理せず防御に回ることになっている。

原作と違ったメンバーをしているが、射場さんが虎に対して遅延戦術に出ていたようだ。

 

「なんだ? 二体一なら勝てるとでも?」

「んにゃ。俺が引き継いで一対一だぜ? 時間掛けたくない場合は鬼道で援護してもらうかもしれねえけどな」

 と口にするが相手に成る気がしない。

もちろん俺が強いんじゃなくて、向こうが弱いのだ。

 

ここまで戦ってアランカルと戦うコツがようやくわかった。

破面化して戦闘訓練くらいはしてるのだろうが、ロクな検討もしてないので『その先』を考えたことがないのだ。大抵は物凄いパワーと特殊能力で片が付く。霊圧さえあれば勝てる相手としか戦ってないこともあり、互角の相手と戦った経験がないのだろう。

 

「随分と長い槍だけどよ……使いこなせるのか?」

「無理なら一度引っ込めるつーの。気にせずに掛かって来いよ」

 虎小僧は俊敏性を活かして高速で飛び回り、俺の動きが普通と見て有利を確信したようだ。

長槍はそのサイズで他を圧倒するが接近戦には弱い。

 

奴の速度ならば懐に踏み込めるし、なんとか対応できたとしても武装は手甲剣の二刀流。

防御したり飛びのく前に、切り刻んでやれるという自身があるのだろう。

 

「おう、一角。わかっとる思うが」

「当然っすね」

「何が判ってるって言うんだ? さっきまでのはただの様子見だ!」

 俺が円運動で6mサイズの槍を定石的に振り回していると、奴は高速で突っ込んできた。

それもこれまで以上に速い。口にした通り、飛び回っていたのは様子見であり、射場さんもそのことを告げたのだろう。

 

「使いこなせるってのはどんな状況でも使えるってことなんだよ。近場で使えねえ武器なんか戦場に持ち込むんじゃねえ!」

「同感だぜ。……お前もな」

 こちらの回転運動での防御よりも速い速度。

このままでは腹を切り割かれると言ったところで、俺は石突きを蹴り上げた。

 

本当の意味で目にも留まらぬ速度などそうありはしない。

奴のは単に予測できても反応できないほどの超高速と言うだけだ。突っ込んで来る手前に置いておけばよい。

 

「苦し紛れだなっ! 間合いが遠いっ」

「てめえじゃねえよ。狙ってんのはソコ」

 奴は手甲剣を二刀で構えているが、接近戦で二刀と言うのは滅多にいない。

なぜかと言うと一歩間違えば自分の腕を斬るので、あくまで片方は牽制でありもう片方が本命。サイズの小さい武器ならどちらもが本命足り得るが……それはあくまで同時攻撃を意味しない。

 

では……二撃目に備えている左腕が、突如として右腕を邪魔したらどうなろうだろう?

 

「はっ? なんで……」

「お前、同格の相手が自分を出し抜くってことを考えたことねえだろ?」

 狙ったのは奴じゃなくて、奴より前にある奴の左腕。

跳ねあがった右腕を切り割いたりなどはしないが、それでも邪魔になる。その間に右腕での攻撃は止まるし、左側面のガードはがら空きだ。

 

あとは無防備なそこに刃をぶち込むだけ。

蹴ったことで浮き上がった柄を構え直し、横薙ぎにぶちかましてやった。

 

「チクショウ! こうなったらエル・サー……」

「勉強になったな。生き残れたら修行でもし直してこい」

 ウルキオラみたいな第二階層だったらサンプルに欲しかったところだ。

マッドにデータを渡せばさぞやハッスルして功績ポイントをくれただろう。だがパワーをため込んでギアを変えるだけなんで、足を留めてる間に全力でぶった切って終了する。

 

「状況終了。親玉どもも動き出しそうだし、檜佐木。援護に向かっていいか?」

「ああ。特に松本さんのところが苦戦している。基本的にはそれぞれの隊長に付きつつ、そうでないメンツを中心に向かってくれ」

「「了解」」

 柱方面の指揮官は修兵なので報告ついでに確認すると、そのままOKが出た。

No.1~3を抑えているこちらの隊長格を援護するため射場さんたち副隊長を戻し、檜佐木を中心に残りが苦戦している乱菊たちの方に集中する。

 

「あっ。そうだ。女性陣への援護に向かうなら、正面に割って入るのは止めた方がいいよ。吹っ飛びかねないから」

「は……?」

 原作よりも体力を温存した上で、早く集合しているが最中に弓親が忠告してくれた。

お陰で思い出したが雛森は二重の意味でヤバイ。原作でも鬼道コンボをやってるし、藍染の残した鬼道関連資料を基にメきメキ腕を上げていたからだ。

 

(あいつ……ホントに大丈夫だろうな。プライバシー覗くのは好きじゃないが……)

 プライバシーは見るべきじゃないが、データなら見ても構わんだろう?

と適当な理屈をつけて、マッドから渡された監視用ツールを懐から取り出す。

 

霊圧のHP・MPを示すゲージはそれほど減っていない。

一番重要な精神状態も味方を示すグリーンのシグナルを示していた。

 

「松本さん、大丈夫でしたか?」

「防御に徹してたし何とかね。それに雛森が随分と頑張っててくれたし」

「そんな……。あたしは大したことしてないですよ」

 修兵が挨拶と傷回りの確認してる間に周囲を眺める。

……訳なのだが、なんか防御に使える縛道が随分と浮かんでるので半分ほど納得。

しかし残り半分。先ほど見たMPゲージと話が合わないので確認しておくことにした。

 

「雛森指南。アレを?」

「はい。鬼道歌留多の形で用意していた縛道を使いました。この後の戦闘を考えれば霊圧は少しでも残しておきたいですし」

 歌留多というのは鬼道を封入するアイテムの新作だ。

原作でアイテム型鬼道を使って瞬間起動するシーンがあるが……。アレを瞬間起動できないという限定する代わりに、封入できる鬼道のランクを上げている。

 

カードゲームを参考に使い道の広い万能型の素地を用意。

封入する鬼道を使い分けてストックしておくことができる優れ物だ。もっとも封入時の霊圧消費やら作成コストが高いので、試作時にはデブを随分と泣かせた(護廷御用達になったので元は取れてるはずだが)。

 

封入時の消費霊圧は従来よりも多いが、戦場で消費は抑えられる。

瞬間起動という最大のメリットは無くなったが、それでも詠唱するよりは早い。

これらを長所と取るか短所と取るかは人それぞれだが、俺たちは連携(コンボ)のやり易さと覚え易さの点で長所であると判断した。

 

「なん……だと。あたしらを相手にして後先考えていただあ!?」

「……気に入らない」

「てっきり男どもに守ってもらうためだと思っていたらこれだよ。お前ら、数も増えたしアレをやるぞ!」

 向こうでは女従属官三人がイライラしていた。

せっかく縛道の防御陣地を突破して追い詰めたと思ったら、ただの時間稼ぎで消耗もしていなかったとなればそうもなろう。

 

身内でリーダーシップに対してギャーギャー文句を言いながら、それぞれ納得しつつ左腕に右手を添えた。千切り取り放り投げるソレを邪魔するのは流石に余裕がない。

 

混獣神!(キメラ・パルカ)

 ねじり曲がり、混ざり合う腕と空間。

血飛沫と砂塵が舞う中で奇妙な化け物が出現する。

 

「何よアレ?」

 それはカモシカの足、獅子の腕、蛇の尾を持つ化け物だった。

巨体はその辺りの大虚どころでは無い。底知れぬ不気味さを従者に爆炎の冷めやらぬ空間より現れ居出た。

 

「……フ。フフフ」

「良くもやってくれたね」

「名前はアヨン。解放したあたし達3人の左腕で創った、可愛いペットさ」

 女従属官たちは少し離れたところで勝ち誇っている。

まるで出現させた時点で勝利は揺るがないとでも言わんばかりだ。

 

「随分とヤバそうだが、どうする?」

「なんだったら後ろの三人から倒しますか? 制御を止めさせれば……」

「いえ。無理でしょう。そういうことができるならワザワザ左腕なんか捨てたのに残っちゃ居ませんよ。少なくとも後方にすっ飛んで逃げます」

 どうだろう? 原作では三人娘を先に倒してないので何とも言えない。

そもそも総隊長がぶった斬って駄目だったから、耐久力も半端ないしなー。

 

「じゃあまともにやり合うしかないか。まずは様子見と行くか?」

「……そうっすね。ただ獅子の腕力とカモシカの速度、ついでに蛇の再生や探知力があるのだけは覚悟しといてください」

「そんなのどう対処すんのさ……」

 原作通り檜佐木が風死を構えたので、俺は最大級に戦力を見積もってみた。

色んな作品の獣王サマとか、そのくらいを想定して戦えばよいだろう。

 

「なあに。狛村隊長の卍解だって本人が姿隠せばそのくらいできるでしょうが。単にあの人がチキンなことせずに男らしく前線に立ってるだけで」

「そうだな。そう言われてみれば何とかなる気がしてきた。なあ」

「なあ。じゃありませんよ。どう考えても僕が前に出る前提ですよね?」

 オレの言い分に檜佐木は笑い吉良は苦笑してジト目を送って来る。

まあ今までの戦いを考えれば、キーになるのは侘助の効果だもんな。とはいえ……。

 

「心配しなくても俺が一人でやるつもりでいきますよ。ただうちの隊長と違って自分ってものを知っているんで、援護を拒ばないだけです。ただ叩くなら同じ場所じゃなくて複数個所ですね」

「そこまで言われちゃ仕方ないね。たまには男らしく頑張るとしよう」

「あたしたちは中衛と後衛に分かれ鬼道を使い分けて牽制ですね」

 やはりこちらが次々にボロボロになっていないのが大きい。

ここに副隊長を数人張り付けているのは原作と同じだが、救護の為に一番有効な吉良が動けないとか、次々に負傷するサイクルに陥っていないのもありがたい。

 

「でも珍しいね。一角が一対一で戦おうとしないなんて」

「見た感じでヤベエと判るつーか。以前に隊長たちと一緒に戦った、増えるワカメみたいな虚が居たろ? ああいうのと同じ雰囲気がするんだ。っていうか涅隊長の所で似たようなのを見た」

 確かに首がドンドン植えるというか、分身体だったか?

アニメで見たのか原作なのか、よく覚えてはいない。ただ個人戦とレイド戦では愉しみ方が違うだろう。

 

それに一対一を愉しむ気に成れないのは、原作で頑張ったのは副隊長たちだし、倒したのは総隊長だ。俺が俺がと主張するのは何か違う気がする。まあ無双するついでに倒せる相手なら気にもならないけどな。

 

「という訳で弓親。すまねえが今回は背中を頼む。切り合うでもねえ、見物できるわけでもねえとロクでもない場所で悪いがな」

「っ! 何言ってるんだよ。一角はそそっかしい所があるからね。ボクが傍で見ていないと」

 俺は卑怯者なのかもしれない。

誰の援護の手よりも、弓親が斬魄刀の真の能力でアヨンを倒すことをどこかで臨んでいる気がした。それを弓親が望んでいないことを知っていても、あいつが活躍するところを見てみたいからだ。

 

っていうか! 瑠璃色孔雀が一番有効だからな!

クリティカルする相手何だから元読者としては見てみてーよ!!

 

「さてと……。鬼退治ならぬ獣王退治と行きますか!」

 俺を先頭にした三角形の陣形。

連中もアヨンを先頭に逆三角形で睨み合う。共に戦うのは戦闘の前衛のみ。中衛以降は鬼道や虚弾(バラ)などで牽制し合っている。

 

『……』

「本当なら突撃してズドンで終わりなんだけどなあ……。まあ様子見はナシだ!」

 相手はデカブツ、俺は長物。

穂先は長刀ではあるが槍の様に刺突できないわけではない。だから本来であれば走り込んで突き刺すのが一番ダメージが出る。

 

しかし耐久力が高く再生するアヨンにそういうのは禁物だ。

やった瞬間に激高し、柄を持って俺事振り回される未来が見えるようだ。

 

「ホーウウウウ!」

 なのでここは地道に削り取る!

遠心力も利用したいところだが折角相手がボケっと動きを留めているのだ。隙が少なく直ぐに反応できる技で位置を変えながら攻撃するとしよう。

 

死神(シジン)剣!」

『ギ……? ギエエエアア!!』

 瞬歩で踏み込み切りつけると、そのまま吉良とは反対側に抜けていく。

直前までボケっとしていた癖に、そのままこちらを追いかけて来る。そして半歩を繰り返して小さなターンで再突入を掛けようとした。

 

『ルルルア!!』

「うおっ!?」

 そこから先は先ほどとは段違い。

大型生物は機敏でこそないが、その移動力は凄まじい。俺が突っ込んでいくはずだったコースに、猛烈な勢いで右ストレートが打ち込まれたのが判る。馬鹿正直にUターンしていたら直撃していただろう。

 

「速い!?」

「なんてスピードだ。しかもあの動き」

「こいつはヤバイな。吉良は縛道で動きが止まるまで斬撃中止。一撃離脱後にも誰かが縛道で援護。生半可な攻撃は効きそうにねえ。破道での攻撃は、斬り飛ばすなり傷口を焼いてみる程度で頼まぁ」

 なんというか凄げえなあ。

レンジ・インしそうになった瞬間に、ノータイムでワンパンくれやがった。しかも掠っただけでなんてダメージだ。

 

俺の攻撃力が総隊長に及んでないのも大きい、奴も衝撃を気にせずに動き回れるのだろう。

 

「一角大丈夫?」

「この程度ならな。しかしマジで平常時の更木隊長とおんなじくらいの攻撃力がありやがるぞ。もしかしたら狛村隊長の卍解くらいあるかもな」

 さすがに眼帯外した剣八程はないが、それでも無視できるダメージじゃない。

挙句に獣じみたリーチと移動力の組み合わせは尋常じゃない。俺の6mと変わらないくらいに踏み込んで来やがる。

 

このままでは面倒なことに成るし、隊長たちと十刃の戦い次第ではロクなことにならないだろう。

仕留めるルートは大きく分けて三つ。総隊長を動かさないなら二つだ。

 

「俺は牽制と削り役に回る。奴が足を留めるか侘助の効果が効いたところで畳みかけるとして、雛森は大技の準備を頼めるか?」

「何とか行けると思う……。でもみんなに当てずに準備するには、罠を仕掛けないと」

 一つ目は気乗りしないが俺の卍解。

もう一つは原作で雛森がやった大規模爆破を、術を変更することで火力向上だ。

 

当然、俺は卍解なんか見せる気はないので、雛森に頼むことにしたわけだ。

総隊長の流刃若火並みの火力は出せずとも、切り割いた端から焼き払えば話は変わって来る。英雄ヘラクレスがやった十二の難行で、再生力を持ったヒドラを焼きながら戦ったのを参考にしようと思う。

 

「ってことは暫く空中戦か。苦手なんだがなあ……。あ、仕切って悪いな檜佐木」

「いや、構わん。お前の眼と勝負勘は確かだし……俺も気に成ることがあるしな」

 指揮官役は修兵なので、あまり口出しし過ぎるのは問題だ。

しかし原作知識によるデータ予測の裏付けと、やはり指南役という前提条件が効いている。

 

様子見をして鎖鎌で縛っていたらどうなっていたか、修兵自身が俺の動きを見て判断しているのも大きいだろう。

そこで俺に戦闘を任せ、自身は指揮官として全体の戦況把握……特に東仙隊長たちの動きを見守っているに違いない。

 

『ギィィィアアアア!』

「効いてる!? 行けそうじゃない」

「さすがに同じ場所を攻撃し続ければ効いてる。あと少し削れれば……」

 それから周囲を走り回りながら攻撃を続ける。

時に直線、時に左右に揺れながら神経を使って翻弄。吉良が縛道の援護を受けて侘助を直撃させたこともあり、同じ場所を斬りつけて腕を切断することに成功した。

 

すぐさま鬼道で焼き払って再生を阻害しようとするのだが……。

ちょっとしたアクシデントが起きたというか、忘れていたことが一つある。

 

「一角、行けそうだよ。このままいけば……って一角?」

「あ、ああ。悪い。デカイのもらっちまったな」

 相手の攻撃も当たるときがあるので、ダメージそのものは回道でスルーしながら戦っていた。

だから反応は鈍らないし、最低限の回復を薬や仲間の治療で行えばそれほど動きは鈍らない。

 

だが俺は忘れていたのだ。

痛みは信号であり、危険を知らせるサインでもある。

 

同格の相手ならばお互いに運動量が減るので問題ないが相手の方は全く鈍らないので、小さなダメージの累積はいつか動きを縛ることに成る。そこで避けそこね、大きなダメージをもらってしまったという訳だ。痛みによる低下は無効化できても、血肉の欠損による運動量までは無効化できないのだ。

 

「マズイな。使うか……それとも最後の一撃に賭けるか」

 卍解するか、それとも諦めずに白兵戦での勝利を目指すか。

そんなつまらないこだわりが最悪の状況を招いた。

 

諦めてスタコラし、一時的に下がって回復してもらえば仕切り直せたはずだ。

その間を素直に弓親と吉良に任せれば、二人とも縛道で障害物でも作って時間稼ぎをしてくれただろう。

 

転生したのだから原作に無い状況で活躍したい。

運命を変えてみたいという浅ましい思いが、ここで活躍したはずの仲間から手柄を奪い、そしてやってはいけない状況に追い込んでしまったのだ。

 

『ホーーーアアアア!!!』

「しまっ!? そこでソレをやるかよ!」

「一角!」

「避けろ、斑目!」

 アヨンは攻撃を喰らった場所に打ち、侘助を複数回喰らった方の腕を千切って捨てた。

そして開始直後と変わらぬ速度を取り戻して勢いよく迫る。油断と言っても良い。俺の動きが鈍るまでソレをやらないだけの知能があるとは思えなかった。

 

ここに来て全てを集約するという作戦の組み立てをアヨンが行い、俺に迫ったのである。

 

そして……。

 

「咲き狂え!! 瑠璃色孔雀!」

 燦然と輝く光の蔦が、アヨンを雁字搦めに拘束する。

その動きを縛り花をを咲かせつつ、引っぱってターゲットを変えようとすると、その部分の蔦を切り離してコレに備える。

 

「馬鹿野郎……そいつを見せたくなかったんじゃないのかよ……」

「一角が死ぬよりはいい。よっぽどね」

 俺が既に知っていたと口にしてしまった時、弓親の背中は一瞬だけ震えた。

その時にどんな顔をしていたか見はしない。だが相棒なのだ。余計なことは言って欲しくないのだと察することができる。

 

俺の我儘のせいで、けっして俺だけには見られたくない始解を見せてしまった。

俺が卍解したときはあくまで情報遮断を行う結界の中。その時とは比較にならないはずなのに。

 

(……そうか。原作のあの時……。使おうとしたのは俺……いや、一角を。自分が守りたい物の為だったんだな)

 クインシーとの決戦の最中、ゾンビ化した隊長格が襲ってきた。

その時に一瞬だけ瑠璃色孔雀を使おうとして、途中で倒されたシーンがある。咄嗟のことだと思っていたのだが、一角を守ろうとしたのだと思えば辻褄が合うような気がした。

 

「いかん綾瀬川! これ以上は止められん。そっちに行くぞ!」

「心配無用。これで終わりだ……咲き誇れ! 瑠璃色孔雀!!」

(……っ俺の知らない解放……。そうだよな、これはお前の戦いだ)

 先ほどよりも強く輝き、霊圧を吸い上げることでアヨンの動きすら無力化する。

それでも動けるのはアヨンだからこそ。しかし容赦なく降り注ぐ縛道や破道が一歩一歩その動きを鈍らせる。

 

その戦いの前に俺の出番が今更あるはずがない。

罪滅ぼしにここで卍解して参戦し、見せたのはお互い様だなんて恥ずかしいことができるはずがない。

 

弓親に自分への誓いを破らせた痛みを背負って、我儘と油断への罰を改めて噛みしめる事にした。




 という訳で中編です。
次回に藍染・仮面の軍勢の決戦を見ながら破面編の終了予定。

●ジオ・ヴェガ戦とバラガンの従属官戦
 戦い慣れたので無双しました。
従属官は強さが微妙なのが悲しい所ですね。
原作よりもアッサリ片が付き、檜佐木司令官の指示で戦力が4・2で移動。
女性陣の元に4名が援護に向かい、やはりサクサクと片つけに入ります。
アヨンさえ居なければ、簡単に前座が終わったことでしょう。

●雛森と鬼道歌留多
 カードゲームを参考にした、封入し易い鬼道装備です。
基本的には、東仙や檜佐木が使ってる装備の、ランクが上な代わりに問題がある物。
装備の調達コストにMP的な作成コスト、一番重要な瞬間発動が無理に。
他にも使い勝手がよさそうに見えて、他人にデッキを貸しても駄目という欠点があります。
しかしながら、それでも強力な術を割と簡単に使えるので強いという感じですね。

雛森はこういうのを藍染の資料とか、一角(転生者)の知識を利用して作成。
鬼道指南として活躍を始めた感じです。
最期に一角が持っていたアイテムは、ヒスイで出来た人形で
雛森のHP・MP・精神ゲージなどを示しています。

●アヨン戦の前後
 女性陣が余裕ぶっこいて、それに腹を立てて使用。
こちらが負傷サイクルに陥って居ない事と、原作知識による介入。
最期は弓親が瑠璃色孔雀を見せて終わりました。

何パターンかの戦いを書いては書き直したのですが、前回使いたくないと言って
即座に卍解というのもどうかと思い、フラグを幾つか入れた感じです。
それと他のキャラの手柄を奪いまくって、一角が活躍するのもなーと。
(最初から隊長より強くするなら、一人で活躍しても問題ないとは思いますが)

1:一角が卍解を使うフラグ
2:弓親が卍解を使うフラグ
3:アヨンが吸収対策を覚えるフラグ
4:?

というところですかね?
次回は藍染さまが無双して、一角が真っ二つに成る話になると思います。
「斑目一角、暁に死す!?」的な感じで。
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