転生したらハズレ斬魄刀の使い手だった件【完】   作:ノイラーテム

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BLEACH

 あの後の事を話すとしたら、終末にして創世の剣については外せねえだろう。

御大層な名前だったが、それだけの影響を与えていた。

 

ここでまず重要なのは『ハッシュヴァルト』が『滅却師(クインシー)最終形態(レットシュテール)』を使ったことだ。

滅却師最終形態は完聖体よりも原初的な分だけ出力・吸収力が高く、霊子操作はとても強力だった。奴はソレを自分の為と言うよりは、滅却師(クインシー)のために使った。

 

「しかし、随分とデッカイ爪痕だな」

「学院としては暫く使えないらしいよ。影響範囲に居た連中の中には、まだ霊子酔いしてる人も多いって」

 さて、終末にして創世の剣BLEACHには攻撃的な名前が入っていない。

では何をするための剣であったのか? それは霊子操作によって、周辺を攪拌する作用があったと言っておこう。

 

周辺の霊子がかき(・・)乱され、形状崩壊・霊子吸収・発散と再構築の嵐が起きた。

真央霊術院の一部に馬鹿でっかい空洞と、それを覆う程のトンネルが出来てしまっている。その外壁は崩れやすい場所もあるし、逆に強固な場所も多い。

 

「狛村隊長みたいに良い影響のあった人も居るけど……そういえば一角も経過観察中だっけ?」

「構わねえよ。アレについては俺の失言だからなあ。自分でまいた種だから、文句も言えねえ」

 バンビが暴走して姿かたちを変えた時……。

死覇装がないから魂が固定化されてないと言った。死覇装の防御機能は、装甲と言うよりも魂を固定化して死神という枠を守るための物なのだ。

 

何が言いたいかと言うと、食らった人間の中には霊子をかき混ぜられたモノが居るという事だ。

再び総隊長を庇った狛村隊長は人化と犬化が中途半端に起きている。結果として原作程に犬化が行われていないとも言えるし、今までとは違う部分が犬化して困っているともいえる。

 

俺に関してはゾンビ化とその後の蘇生によって、寿命が減っていたと思われるが、それがさらに減った可能性があるし逆に増えたかもしれない。これに関しては魂が混ざった状態の調査なのでマッドも何とも言えないらしい。

 

「しかし……。せっかく卍解の事を大っぴらに言えるようになったのに、また言えねえことが増えちまったなあ」

 そして次なる問題は、この現象を起こしたのがハッシュヴァルトと言う事だ。

奴は与える力を持った滅却師(クインシー)であるがユーハバッハほどじゃなかった。だが、滅却師最終形態を使ったことで、一時的に似たような力を有したのだ。

 

一番の難題がコレである。

コレってなんだ? と言うと思うが、ブリーチ的に一番ヤバイ案件である。まあ一護ほどの素質じゃないからマシなんだけどな。

 

「ああ、滅却師(クインシー)化してるんだっけ? ボクとしては良い影響だと思うけどなあ」

「他所で口にすんじゃねえぞ? 少なくとも同じ症状の連中が増えるまではな。あー狛村隊長が満月の夜にでも変身しねえかな」

 霊子をかき混ぜられた時、近くに居た滅却師(クインシー)の影響を受けた連中がいる。

影響を受けた全員が全員そうなったわけではないし、範囲を考えればむしろ少ない方だろう。だが、滅却師の力を持った死神と言うのはそれだけで問題なのだ。

 

直撃を受けた俺ほどじゃないが、霊子を吸収してるとかちょっとした変化が起きているそうだ。血装は後天的に覚えられるらしいが、マッドの作った偽モノで十分機能するので覚えるかどうか微妙なところである。

 

「それじゃあ別の話として、昇進おめでとう。一角」

「……っち。おめえじゃあ文句も言えねえじゃねえか。とりあえず、あの恥ずかしい名前は止めて欲しいんだがな」

 話は変わるが、色々あってワンランク昇格した。

といっても隊長になったわけではなく(断ることができた)、剣術指南としての格が一つ上がってチャンバラが苦手な隊長にも指導する立場になったのだ。

 

「良い名前じゃない。大剣道、斑目一角だなんてさ。妙な部下が付いてるのが気に入らないけど」

「どこがだよ。まあ大剣術長よりマシだけどな」

 最初は大鬼道長と同じような大剣術長だったのだが、泣いて止めさせた。

仮にも卯ノ花隊長が存命中なのに、その名前を名乗ったら恥ずかしさで死ねる。実際にそう口にしたら、卯ノ花隊長に殺されそうになった。やはり女性に年齢を想起させる話題は禁物なのだろう。

 

ちなみに部下は死神だけではない。

武器を持って突撃する役目は十一番隊が既にあるし、俺もそこに在籍しているからだ。

 

「それにしてもあの(・・)連中はどうにかならなかったの?」

「そういうなよ。どっちも結構勢力が残ってるし、穏健派を中心に小さくまとまった分だけ様子見もあるんだから」

 捕虜の中で比較的に話の通じる連中を組み入れてある。

目的が戦術を教練するための教導団(アグレッサー)なので、(ホロウ)滅却師(クインシー)が居た方が都合が良いのだ。

 

不倶戴天の敵だから処刑となってないのには大きな理由がある。

ハリベル一派を中心に虚たちは虚圏の奥底に移動してるし、似たような感じでバズビーを中心とした滅却師(クインシー)が存在している。

 

不思議なことに滅却師(クインシー)の勢力は死神との敵対を中断。虚に関してもだが、襲って来る者に反撃するとだけ一方的に通告して姿を消してしまった。

 

連中が生き残って穏健派ばかりになっている事と、テロとかされても困る事。

そしてなにより、仮面勢のような虚化した連中に加えて、新たに滅却師(クインシー)化した死神が出たことが大きいだろう。そいつらも全部処刑するというには、ソウル・ソサエティは傷つき過ぎた。

 

(まっ。実際にそう決めたのは、四十六室じゃなくて零番隊だろうがな)

 世界の安定化を行うためには、大虚が一気に減らない方がいい。

加えて滅却師(クインシー)化した死神が増えれば、霊王の代用品となるパーツが増えるのだから零番隊ならば処刑を止めるだろう。

 

ついでに言うと、そいつらを使って十三隊が表向きにできない事をやれということになった。

なんというか隠密機動向きな話だと思うのだが、戦力を無駄にすることはない。奇妙な敵が出た時に死神が死ぬよりは、元捕虜であり元敵である連中が死ぬ方が良いという事なのだろう。

 

こうしてまとめてみると、ハッシュヴァルトは巧くやった。

あたらしい世代には滅却師の才能を持つ者も増えるかもしれない。古き時代に終末をもたらし、あたらしき時代を創世したという訳だ。

 

「それにしたって外でうろつき回るとか勝手が過ぎない? ほら、噂をすれば影だ」

「ジジか。お前あいつに点数カライよな。そりゃまあゾンビ化させられて嫌な思い出はあるが、あいつのお陰で涅隊長が蘇生を思い付いて……」

 艶のある黒髪で、てっぺんには触覚みたいなアホ毛。

どう見ても美少女な男の子が興味深そうに空洞を眺めている。

 

何が面白いのやらと思っていたのだが、とても不思議なことがあった。

あいつ、こんな場所を見て愉しむタイプだったか? それならまだ傷に苦しんでる重傷の死神たちの前でナースの格好でもして取引を持ちかけてる方があり得るくらいだ。

 

それに歩き方や動きにどこか見慣れたものである。

何よりも袖口が萌え袖ではないとか、服装の着崩し方に媚びたところが一つもないのだ。猛烈に嫌な予感がする。っていうか、話の通じるリルトットやパワーだけのミニーニャならともかく、ゾンビ化させるジジが監視抜きで出歩いてる?

 

「コラ! 勝手で歩いちゃダメじゃないか。それにここは許可がないと……」

「許可? 許可ならばあるとも。邪魔をしないでくれたまえヨ」

「っ!? 弓親、そこまでにしとけ」

 嫌な予感というものは大抵当たるモノである。

ゴリっと半回転する首筋からは、男の娘らしき色気がちっとも見えない。そっち方面は興味ないけどな。

 

「涅隊長。今日は随分とお若いファッションですね」

「うむ。実に九百年ぶりダネ。こういう若向きな格好は」

「え? 嘘、涅隊長? 変装……なんですか?」

 よく見ると動き方がマッドの物だった。

問題なのはマッドの首は回転しないという事だ。強制的に治癒させて機能不全を回避しているのを見ると、ロクでもない想像ばかりができる。

 

「違うぞ、弓親。これは……」

「そう。これはあの娘、いや少年の体ダヨ。ちょっと前の体が戦闘でボロボロになってしまったものでネ。面白そうだったから憑依転生という概念にチャンレンジしてみたんだ」

「悪趣味ですよそれは」

 普通ならば思ってもみなかったアイデアに弓親はドン引きしている。

どう考えても体を乗っ取っているわけだし、同じことをしてる俺としては後ろ暗いが、まともな方法ではない。

 

「どこがかネ? 私は研究が続行できる。この少年も自由の身だ。滅却師(クインシー)の監視だって同時並行できる。Win-winの関係性というやつさ」

「そんなわけないでしょう。どう考えたらこんな方法を実行するんだか。親の顔が……」

「それ以上は止せ。ナリはコレでも涅隊長だ」

 ヤバイ話に首を突っ込む前に弓親を止めておく。

もしマッドの親が修多羅千手丸だったら目も当てられない。地雷原の上でタップダンスすることになるだろう。

 

「捕虜を解放するってことに成っても大丈夫なんですよね? そこんとこだけ確認しときます」

「問題ないとも。誠心誠意説得したからネ」

 この男の誠心誠意だけは信用したくない。

だがジジと違ってマッドはまだ話が通じる。ゾンビを増やさないだろうし、リルトットたちと一緒に開放する段階で両者に線引きがなされてまともになっていれば問題ないだろう。

 

 そーれから? なんかあったっけ。

いや、あったあった。有耶無耶の内に続いていた関係が正式に決まった。

 

理由は幾つかあるが、一つ目は破面たちの第二階層に副作用が判明したこと。

使えば使う程に存在エネルギーを消費し、緩やかに消滅に近づいていく。放っておいても脅威にならないので、使ってくれた方が世界に影響を与えずに消えてくれるのでありがたいそうだ。

 

次に原作通りユーハバッハの復活と、その消滅が確認されたことだ。

また同じことが起きるかもしれず、そうなるならば監視できる状態の方がやり易い。ついでにいうならばコントロールし易い相手の方が良いという、実に現金な判断である。

 

「いつになったらオレらは解放されるんだ? 口で良かったら良い思いさせてやるからさあ、ちったあ教えてくれよ」

「お前の口ほど洒落にならねーものはねえよ。つか、次で終いだ」

 リルトットがバンビーズらしいジョークを飛ばしてくるがゾっとしない。

大きな口で何でも食べるこいつが、口で奉仕するとか言っても寒気しかしねえ。つか、あれから十年以上経ったのにちっとも育たねえな(何処とは言わないが)。

 

「……本当か?」

「本当だよ。まあ四十六室らしい回答で飽きれるばかりだが」

 御終いというのは始末するという意味かと目を細めるリルに俺は肩をすくめた。

そうするくらいならジジ辺りはとっくに始末しているだろうし、もっと有効な使い道ができたから解放するってわけだ。

 

「新しく大使館を作って大使館員を蘇生させるから、てめえらの代表にそのことを伝えろってよ」

「今更かよ? ていうか、オレらの役職勝手に決めんな」

「でも……それって誰なんでしょう? みんな燃やされちゃいましたよね?」

 基本的にアスキンとリジェまでのメンバーは焼却処分してある。

ジジの能力があるから、非情ではあるが当然の処置ってやつだな。逆にこっちの隊長格は即座に回収することで、ゾンビ化と蘇生で戦力比で逆転したのだから。

 

「まさか……ポテトか!?」

「そのまさかさ。ハッシュヴァルトなら話は通じるし最後に滅却師最終形態を使ったからな。色んな意味で都合良いって事だろう」

 奴はもう霊子を外に出す事ができない。

つまり反逆されることはないし、それほどの覚悟で生き残りを助けた英雄でもある。古い序列を無視したとしても滅却師たちがありがたがるだろうという判断だ。それと大使館を精霊廷に造ることで、滅却師もユーハバッハの依り代も監視できるという事だろう。

 

「クソだな」

「クソさ。それも聳え立つ、な」

「……。(∩´∀`)∩」

 お互いに顔を見合わせてロクでもない表情をする。

まったく反吐が出る決定だが、この話の面倒なところは断るに断れないということだ。

 

ハッシュヴァルトが蘇生されること自体は良い事だろうし、敗軍の将に対して温情なのに断れば滅却師の株が下がる。大使館を設定して連絡を取り合えば、当然ながら隠れている滅却師のグループは捕捉されることになるだろう。

 

「まあそうブーたれるな。前報酬を出すし、ちゃんと見つけたらボーナスもやるから」

「ハア? こんな時に口説く気か?」

「宝石ですよお。結構珍しいですねえ。でも焦げてると価値があんまりない気も。贈り物には向きませんよお」

 俺は大前田経由で手に入れた宝石を転がした。

こいつは最近になって見つかった鉱山で、少々遠い場所にある。

 

「バーカ。俺の好みはバランスの良いナイスバディだっつーの。……こいつを運んだ飛脚は相当な健脚でな。ちょっとした問題がある以外は凄い便利な女なんだと」

「それが何の関係が……。焦げ跡?」

「えーと、これは燃えた後というよりは、別の現象かな?」

 たまーに、焦げ跡を造っちまうので怒られて値引きさせられるらしい。

だが他の連中には難しい場所を、もの凄い勢いで駆けることができる。というか……この鉱山ってかなり危険地帯にあるんだよな。

 

「確かお前らの仲間に自分の体を光に変えて移動できる奴が居たろ? 俺はそいつじゃないかと踏んでるんだが」

「キャンディスか。言われてみればそうだな」

「了解しましたー。見つけてくれば良いんですね('◇')ゞ」

 どうも滅却師の連中は国ではなく会社みたいなもの(見えない王国)を作っているらしい。

組織としては体制を維持できるし、護廷から逃れるには良い方法だ。万が一見つかっても、戦闘行為をする気はないと……思わせることができる。

 

「言いたいことは判った。使われてやる。だがお前に何の利益があるんだ? それにオレ達が返って来なかったらどうする気だ?」

 リルは別れ際にそう疑問を投げて来た。

もちろん俺の回答は決まっている。

 

「次はハンデ抜きで勝負してーからな。戻って来たら魄睡(ハート)を撃ち抜くコツを教えてやるよ」

 俺もあれから強くなったからな。

組織のリーダーじゃなくて、戦士の貌をしたハッシュヴァルトと良い勝負ができるだろう。

 

俺より強い奴に逢いに行く以外、こんな面倒な仕事やってられるかっての!




 という訳でこれで最終回になります。
長々とした駄文にお付き合いくださり、ありがとうございます。

今回は事前にある程度書き貯めて、修正しながらUPしてましたが
割りと早いペースで終われたのは良い経験になりました。
もっとも最初に書いたイメージが強過ぎて、判り易り難かったり描写が足りなかったりしましたが。

反省点としては、キャラを出し過ぎた。
序文と終章から思い付いたからといって、長々とやる必要はなかったというところでしょうか。
最初から強い剣豪状態にすれば無双できましたし、本編に登場したからと言って
こんなにキャラを出す必要は無かった。藍染編で終わっておけばよかった気もします。

この後は書いても外伝か、設定をまとめた物になりますね。
なお、私の思い付いたアイデアに関しては、誰もが思い付く物なので
使いたい方がおられましたら、必要なら使ってください。
教えてくだされば読みに行かていただきます。
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