転生したらハズレ斬魄刀の使い手だった件【完】   作:ノイラーテム

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逡巡と再起

●迷い

 ほぼ原作通りの流れだが、かろうじて自分の足で歩く余裕があった。

原作と比べて副隊長扱いになり強くも成れたが、とても満足できる結果ではなかったので不満はある。何しろ戦闘そのものは圧倒していたというのに、圧倒的な霊圧差で圧し負けたからだ。

 

「このままじゃいけねえよなあ……」

 今のままだと似たり寄ったりの流れに成る。

原作よりも強くなってるので悪いわけではないがスッキリしない上に、原作よりも上程度では役に立ってないのだ。

 

剣八戦・一護戦と負け越したが、原因はハッキリしている。

剣腕そのものは初代剣八である卯ノ花隊長を除けば俺がダンチだ。得意技に限れば隊長格の方が強い技もあるだろうが、有名な技なので対処はできる。

 

要するに霊圧。

霊圧による攻撃力と防御力の差が大きいため、ダメージレースに着いていけてないのだ。

 

(俺はスキル・マスター系の系譜だからな。このままだと、将来どうなるかまで予想できる当たりシュールだな)

 アーキタイプという言葉がある。

キャラ分けなどの分類みたいなものだと思えばよい。ジャンプで言えば技巧派のクリリンやロック・リーの系譜だと言えばよいだろう。

 

努力で多彩な技や修練を積み上げた技を誇り、なるほど見るべきところはある。

だが戦いが格段上の超人戦闘に移ると盤外で見守る他なく、解説屋になるのが精々なのだ。支援系じゃないから援護や治療役になれないのも痛い。

 

(問題はどの(・・)方法で解決するか……なんだよな)

 ありがたいことに、方法論は既に確立している。

ストーリーの種類というものはシェイクスピアの時代に掘り尽くされ、超能力物・バトル物などはクールジャパンと呼ばれた時代に出尽くしたと言われている。

 

魔王様がバイトするどこかのお話も、貴種流浪譚の亜流(エライ人が困って再起する話の一種)だと言えばどれほどパターンが解明されているか分かろうものだ。

 

(自分だけで何とかする方法は二つ。他人との協力に関しては色々と要因が……っと)

 一つ目は可能な事をさらに絞って、とにかく一点突破すること。

相手の突きに対してこちらも突きを放ち止めれるくらいの、神業ともいえる精巧さを目指すというものだ。夜一さんは鬼道でソレをやってのけるし、俺もチャンバラだけなら可能だと思うけどな。

 

二つ目は思考的なブレイク・スルー。

一護が原作に無い段階で血装を覚えたように、俺も原作で規定された壁を超えるのだ。ブリーチ世界のみで判断すると瞬閧くらいだが、他の漫画・アニメを考えれば手法は幾つかある。

 

転生で記憶が曖昧になっていく部分もあるが、入院生活で繰り返し読んだ漫画とかはある程度残っている。

HxHの念……は無理にしてもオーラ管理技術。あるいはナルトの八門みたいなリスクのある……と思索が達した段階で問題が起きた。

 

(ヤベ、そういえばそうだった。一護戦の後はコイツが居たんだ)

 ここで感じたのはある人物の霊圧だった。

状況打開に夢中になって忘れていたが、原作では軽いピンチが待っているのだ。今更こっちの霊圧を消して隠れるのも問題だろう。

 

「無様だね」

「お恥ずかしながら敗北してしまいました。せめて更木隊長に判ったことだけでも伝えようと恥を忍んで参る最中です」

 原作では見なかった、気が付かなかったで通したが……。

結局無理で剣八の介入で救われた形だ。他の理由を考える必要があるだろう。

 

「刃は腕の延長。腕は頭の延長であります。まずは更木隊長に報告する所存」

「ッチ。口だけは達者ダヨ。だがね。仮にも指南の役目を持つお前以上にあの野蛮人が気が付くとも思えないけどネ」

 直属上司への伝達が優先。守秘義務ではないが類似の教範を臭わせ切り抜ける。

しかし今になって剣術指南役(笑)に任命された問題がまた出て来るとはね……。

 

と、思ったところで少し考えを切り替えることにした。

先ほどまで考えていた案の延長だ。自分で実行可能な案はまた後で試せばいい。だが他人の協力が必要なことは状況をこねくり回して、事態をひっくり返さないと無理なのだ。

 

他人とのコネで成り立つ方法はおおむね三つ。

一つ目は合体技とはいわないが、バフを掛けてもらったり連携で何とかする微妙系。

二つ目は仮面の軍勢入りするために藍染の手下になるなり、浦原の協力を仰ぐ無理筋。

三つ目は目の前のマッドに文字通り魂を売り渡すという事だ。

 

「総隊長に切られたくないので命令系統の逸脱は出来ません。しかし……英知を持って知られる涅隊長のご協力を仰げれば情報精査と検討の手間が省けるかもしれませんが……」

「ホウ……。殊勝な心掛けだネ」

 まず総隊長の名前を出すことで、命令系統を盾に一方的な上意下達を避ける。

ブラック企業で身に着けた対処手段だが……。ここで条件次第で伝えても良いと臭わせた。仰ぐのは知恵を借りるという意味の『判断』『見当』ではなく、手段である『協力』『検討』というのがポイントだ。

 

それと大変重要な事だが、マッドはこれで護廷への忠誠心を持っている。偉大な自分がこれだけ尽くしているのだから、お前らも当然やるよなあ? ということなのだろう。

 

「ナニが必要かは後で考えるとして。良いだろう。先に情報を寄こしナ。それ次第デ考えてやる」

「ありがとうございます。ナリは死神でしたが、霊圧のコントロール方法が明らかに違いました」

 剣八と一護の邪魔にならない程度の情報を渡しておく。

人相のほか位置や考え方を伝えると問題だが、さっき覚えた程度の戦闘方法くらいは良いだろう。むしろ積極的に利用して情報攪乱と……未来への布石を幾つか打っておく。

 

「霊圧の?」

「はい。涅隊長ならば資料を持っておられるかもしれません。ご教授いただければ、対策の一環として疑似的な戦闘訓練を十一番隊で行いたいと思いますが……」

 先を促すが、報酬に関する確定が先だとお茶を濁しておいた。

ここで言う疑似的な実戦訓練というのは、その情報と技術を可能な限り身に着けてみて、アグレッサーよろしく教導戦闘で身内を鍛えるという意味だ。

 

「判った判った。手持ちの資料でよければくれてやるヨ。さっさと情報を寄こすんだネ」

「ありがとうございます。お手数をおかけするかもしれませんが粉骨砕身、必要とあれば護廷に血肉を捧げる所存です」

 OK出たがせっかくなので倍プッシュでレイズしてみた。

場合によっては人体改造とか、危険な道具の実験にも付き合うと述べておく。

 

そして説明するために手を広げて簡単に動きで示した。

右の指は四を示し、左の指は手刀を作る。

 

「死神は斬・拳・走・鬼などの系統で霊圧コントロールを覚えますが、奴は瞬時に振り分けました。おそらくは戦闘技術のみならず教育手段や生育課程が違うのでしょう」

「だとしたら恐るべきコントロールだネ」

 最初に指を四つ示し、次に右から左に手刀を動かしてみる。

四本の指は斬・拳・走・鬼を示し、右から左への動きは血装を示している。せっかく一護が目覚めた戦闘方法をばらすようだが、マユリは直接戦闘しないので良いだろう。陛下への意趣返しだと思っておくことにした。

 

「あまりにも死神と違いますし、もしかしたら旅禍だけではないかもしれません。イザとなったら自分の卍解に情報収集用の措置をお願いします」

「……っ。良いのダネ?」

 どうせバレるので今の内からバラしておく。

同時に対滅却師(クインシー)用の改造を施す事で、尖り過ぎて隊長には向かないという展開に持っていく予定。

 

そして何より卍解を持っているという他愛ない情報などではなく、ソレをソウル・ソサエティの為に投げ捨てる覚悟があると伝えるのが重要だ。

 

「連中だけならばともかく、組織立っている場合は卍解を破壊するくらいの対策はしているかもしれないヨ? 少なくとも私ならそうするカラネ」

「構いません。どうせ誰かがデータを取る必要があるならば、率先するのは隊長よりも自分ら尖兵でしょう」

 こうしてマッドによる改造、マ改造へのツテを作ったところで尋問を切り抜けることができた。

 

やはり状況は自分の思い通りにした方が気分良いよな(魂を売り渡すコストは考えない物とする)

 

●隊長格との戦い

 そして順調に進行していく。

おおむね原作通りに話は流れ、俺の出番を除けば一気に隊長格四人との戦いだ。

 

狛村隊長と戦ってみたかったが、流石に射場さんは見逃してくれそうにない。

となれば望みをかけるには、この人を倒して剣八よりも先に連戦するしかあるまい。

 

「頭の良い奴は直ぐ都合で考える。頭の悪い奴は真っすぐ行ってブっ飛ばす。刃が考える必要なんかないでしょう。どっちもおかしいなら隊長が付いた方に付きますよ」

「剣腕だけのお前が意見するたあ偉ろうなったのう」

 俺たちはともに斬魄刀を抜き、瞬歩で移動しながら睨み合った。

何かのキッカケがあったところで、解号唱えて戦闘に入るだけだ。

 

そして原作沿いの戦場に辿り着き戦闘をおっぱじめる。

 

「燃え上がれ、龍紋!」

 俺は心と刃を燃え上がらせると、刀身に刻んだ龍紋を赤く染めながら切り掛かる。

向こうもガードを固める為、サイズを一度刀に戻しながら上へ上へと昇っていく。

 

「渡る世間は鬼ばかり。油断をすれば背中より切りつけられる悪行三昧のこの世の中を。順逆糺して進むため、天道照らせ! 非理法権天!」

 どこまでがノリなのか、どこまでが解号なのかは分からない。

だがその斬魄刀、非理法権天は厄介だ。直接攻撃系ゆえに地味ながらとても強力な力を秘めている。

 

「ヒュウ!」

「何度も見ればよう判るわドアホウ!」

 俺の放ったフェイントを見切り、射場さんは枝分かれした部分で斬撃を受け止めた。

そのまま刃を流し、カウンター気味に突き刺してくる。

 

非理法権天は刺突・斬撃・打撃全てを実行可能で、盾としても使用できる厚みと形状をしている。

その厚さも重過ぎず軽過ぎず、サイズも変更可能。このため走術で疾走しながら戦い、あるいは片手で防御しながら拳術や鬼道を併用できる。

 

射場さん自身の能力はどちらかといえば体力傾向の万能型で。

自分の優位を活かしつつ、相手の不利を突くことのできる実に嫌らしい戦い方ができると同時に……。逆に言えば全てを併用しながら同時進行で漢らしいラッシュで攻め立てる事ができるのだ。

 

「技にこだわるあまり、一回撃ち終わってテンション切れたら止まる癖はそのまんまじゃのう!」

「射場さんはしつこいんだよ!」

 刃を留めても刺突攻撃が届き、防御に回り過ぎると膝が飛んでくる。

それをフットブロックで止めようとすると、『破道の一、衝』とバランスを崩された。

 

「ガハハ。こげな弱い術に追い込まれるたあ修行がたらんのう。まだまだ行くけえの!」

「ちっ! 空中歩くなよ気色悪い!」

 地味な能力なので上を取って優位を保つため、空中に小さな足場を作っている。

悔しいが斬拳走鬼を非常にバランスよく混ぜ合わせていると言えるだろう。

 

……だが、それだけだ!

拳術も鬼道も確実性とラッシュ性能を上げる為、威力が小さいが隙も小さな術を選ばざるを得ない。これまでの戦いで俺が大技を当てても、相手の霊圧防御を突破できないのとよく似ている。

 

「距離を取ったら大丈夫と思うたか! アホウが!」

「霊圧も飛ばせんのかよ! ……だが、好都合!」

 なんというか器用なことに、霊圧を飛ばす斬撃も可能らしい。

しかし霊圧攻撃は威力を向上させたりはしない。月牙みたいに食わせ霊圧上限が高いと別だが……あの器用さを考えれば、むしろ器用貧乏に成りかねなかった。

 

「飛んでくるのはお見通しじゃあ! ワシが小技使うとるのは、霊圧を貯められるけえよお! ごーっつい!」

「っ! 読まれてる!? だけどなあ!」

 ホント引き出しが多いなあ。と感心するところだ。

よく考えたらチャージしてぶつける技があっても不思議じゃないよな。

 

相当な威力の霊圧攻撃であることが伺えたが、比較対象が剣八や一護なので困るほどではない。

連中から見たら俺の技もこのレベルだったんだろうなあと苦笑した。

 

「そいやあ!」

「はっ! 剣風がなんぼのもんじゃあ! そんなんまとめてかきけしたらあ!」

 龍紋によって強化された体力ならば剣圧衝撃……ソニックブレードを放つことができる。何発か放つものの、所詮は物理攻撃。衝撃波が霊圧攻撃でかき消され土煙を上げながら戻って来るではないか!

 

「消えた? どこじゃあ!?」

 しかしこの様子は望んだ物でもある。俺は既に瞬歩で移動しており……。

 

「ここだよ!」

「なんじゃっとお! 相打ち覚悟かいな!」

 俺は消えてなどいない。

衝撃波が撃ち負けて消える時に烈風が起きることを予測し、土煙の中に飛び込んでいたのだ。

 

これは隠れることなど意図していない。

直線になる見え見えの軌道で飛び込むからであり、俺のレベルではまだ難しい霊圧防御から攻撃への集中変化を補うためだ。やはりHxHの攻防移動は修行しておくべきだろう。

 

「伸びろ、龍紋! 烈壊怒号撃滅破ってなあ!」

 俺は飛び込みながら龍紋を適当な2mサイズに拡張し、柄尻ならぬ石突辺りを持って振り回した。

 

そして一気に叩きつける!

既に剛腕と言って良い状態で放つ一撃だ。周囲に衝撃波ごと大上段からの唐竹割りを食らわせたのであった。

 

「ちょいと見んうちに危ない戦いするようになったのう」

「アイツの影響ですよ。今、朽木隊長と戦ってる旅禍。ってんですけどね一護……」

 射場さんは降参のポーズをして治療を始めていた。

それを見てもう大丈夫だろうと、俺は歩きながら薬を使いながら振り帰らずに笑って連戦を狙う事にした。

 

「射場さんの代わりに狛村隊長が加担しなくて済む言い訳に成ってきますよ」

「お前に相手が務まるかあ! ……間に合うとええのう。隊長は総隊長の為に動きたい思うとるはずじゃけえ」

 やはり射場さん達も今回の処刑騒ぎに微妙な気持ちだったのだろう。

どちらとも取れる曖昧な言葉だけを残し、特に止めることなく俺を送り出してくれた。




 という訳で強化へのフラグ回と、射場さん戦になります。

時間的に狛村隊長との戦闘時間はあまり残ってないので、弓親69戦を入れるかどうかってところですね。
しかし同じ副隊長でも恋次は一角・弓親の後輩で、檜佐木は当然の様に弓親を格下扱いしてます。
五席だから大したことないと思ったのでしょうが、恋次は元六席(この話だと五席前後ですが)。お互いに真面目に修行してれば何かしら侮れない技術があると思うのですよね。
まあ実際に対戦して自分は始解せずに、弓親だけ始解の状態だったので実際余裕だったのかもしれませんけど。

●強化案とマ改造
 強化プランは色々考えてましたが、概ね次の内容です。

1:一つの技だけを鬼の様に鍛錬して、別次元の上手さに成る
2:リスクのある限界突破を行う
3:霊圧の攻・防の高速振り分けを覚える。死神にはなくとも、新開発自体は可能なはず。
4:特殊な技術・装備を作る(3の振り分けの為に、クインシーの資料をもらう事も含む)
5:マッドサイエンティストに改造してもらう
6:仮面の軍勢化する(まず無理)

これらの中から現実的な範囲で自己鍛錬を実行しつつ、不可能な部分に関してはマッドにお願いする感じですね。なお前回の敗北は半分くらいこのため。
最悪、壊れても改造修復してもらえるようにする、クインシー戦では自分がみんなの前に卍解して、隊長格の代わりに鬼灯丸を奪われる……でも良いのですが。

●捏造した射場さんの戦闘方法と斬魄刀
 全てを兼ね備えた器用貧乏の刀と、それを補うチャージ能力。
この組み合わせを活かして、相手にフリで自分に有利な様にクレバーな戦い方をする。
十一番隊に居るころは、そんな逃げみたいな観察はせずに、果敢に突撃するラッシュ・キャラであるとしました。
イメージ的にはファイターズヒストリーの溝口。とヤンキー系の漫画。

『非理法権天』
始解:
解号:天道照らせ
効果:
 サイズ変形・形状変形。
斬撃・刺突・打撃・防御の全て(卍解習得後は遠距離攻撃も)が可能。
軽さと重さのバランスも良く、持ったまま走り回って戦う事が出来、防御しても折れることはない。

始解2:
解号:暁に刻め
効果:
 チャージ機能付霊圧攻撃。

『非理法権天、菊水刃』
 非理法権天の卍解。
個人戦には向かないので使ってないが、鬼道系の卍解で刀が旗指物のようになる。
旗になった鬼道の刃で攻撃することも、薄く広げて味方を守る様にはためかせることもできる。
なお、この卍解に目覚めた後は霊圧攻撃も覚える。

・漢魂(ヤマトダマシイ)
 攻撃系の技。
鬼道の刃が特攻服のような形状に変化し、拳でなぐったり走り込んで体当たりしながら攻撃できるようになる。
非理法権天と七生報尸魂の文字も当然、服に刻まれる。

・七生報尸魂(バンザイ)
 防御系の技。
鬼道の刃で防ぐ効果へリンクし始めることで、味方を守る効果をUPする。
このリンクには仲間も参加して、後方に居る仲間を守ることが可能。
そこまで書くかは不明だが、後にバインバインされて大変な目に合うかもしれない。
「癇癪玉みたいな娘じゃのう。おどれが如きワシが受け止めたるわ」
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