転生したらハズレ斬魄刀の使い手だった件【完】   作:ノイラーテム

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アランカル編
幕間の終わりと、マ改造


●ブラック・レーベル1

 戦いが終わると次なる戦いが控えている。

具体的に言うと書類の山だ。破面との戦闘レポートをまとめて、講評付きで提出することに成っていた。簡単に言うと剣術指南役だなんて大層なラベルに相応しい仕事をしろと言う事だろう。

 

「意外ねえ。あんたがこういうの得意だなんて」

「十一番隊じゃ誰もしねーからな。あと俺の報告書に白紙を紛れ込まそうとするのは止めろ」

 オッパイオバケ……じゃなくて松本乱菊がコッソリ暗躍していた。

山ほどある書類の中に、自分が書くはずのレポートを放り込もうとしていたのだ。

 

「けちー~」

「ケチじゃねーよ。他はともかくあんたの感想だけは代行できねえつーの。ホラこいつだけでも埋めやがれ」

 そう言って小さなメモ紙を渡す。

こういう人間は全部やらせようとしても無駄である。やるべき仕事をギリギリまで放置し、場合によっては他人を巻き込んで自爆してくれる。もちろんタダ減らしてもやらない。

 

「松本を甘やかすな。全部やらせろ」

「ええ~」

「ええじゃないって。その代わり、今日中にポイントだけでもまとめてくれたら、こないだ欲しがってた本を資料として購入してくっから」

 日番谷隊長が注意してくれるが、乱菊はまともに取り合おうとしない。

そこで後払いの報酬として、ファッションやエステの本を購入すると約束した。

 

「え、いいの?」

「大前田にも当世風の資料を頼まれてるからよ。そのついでに土産と一緒に買って帰るだけ」

 あのデブとはそういう取引をしているので、俺の懐には余裕があった。

最初は技術開発室の方にお土産が居るかなと思ったのだが、あそこの女連中がどこまで欲しがるかは微妙なので、正直デブの頼みはありがたかった。

 

「庶務が得意なだけじゃなくて、マメでもあったのね。ホント意外というしかないわ」

「さっきも言ったが十一番隊じゃ誰一人としてしてねえんだよ。おかげで提出期限切れの書類を俺が処分してるんだ」

 方々に頭を下げて回って納期を何とかしてもらい、時間的に取り返しがつかない物を優先して片つける。それで余裕をひねり出したところを、自転車操業で間に合わせていくのだ。もちろん誰も手伝ってくれないので結局やるのは俺なのだが(なお弓親はお肌が荒れると言って手伝わない)。

 

「ああ、うん。ご愁傷さま。……ところで戦闘レポートって何を書けばいいの?」

「まずは気になった単語の確認。自分が戦った相手の概要と、始解がどのくらい通じたかとか。……後はこっちで他の報告と同じものを捏造するわ」

 鋼皮(イエロ)だとか響転(ソニード)だとかは適当に済ませられる。

だが相手の特徴なんかは乱菊以外には判らないし、会話したのなら引き出した言葉はやはり本人だけのものだ。

 

同じような感じで日番谷隊長の単語・雑感をレポートのトップに入れて、番号の管理基準から破面たちは最上級を十人揃えることを目標にしているのだろうと、適当に原作を交えてまとめておいた。

 

「……次はいつくらいに来ると思う?」

「今回のが偵察として、次が本命……いや。遅延戦術か予備工作ってところですかね。なら向こうもレポートを出して判断してからでしょうよ」

 相手が日番谷隊長とはいえ、迂闊に口を出せないので適当にそれらしいことを言っておいた。

 

 

 なんとか書き上げたレポートを資料ともどもまとめて、お土産の山込みで一度戻ることに成る。気が付けば各方面へのお土産も購入したので、手持ちからも割と散財した。

 

そしてブラック企業による圧迫面接が始まった。聞いてねーぞコラっ!

 

「戦力選定中か」

「はい。かつての最上級大虚(ヴァストローデ)が十人以上、これに特務型を加えて隊長格に拮抗できる戦力を目指していると思われます」

 自ら破面化して人間に近い形になるのは最上級大虚のみ。

しかし崩玉のお陰でパワーUPも図れるので、意外と人間形態になるやつが多い。まあ十刃に関しては最低でも、以前のバラガンやハリベル以上を目標としているだろう。

 

「特務? 戦力予備では無いというのカネ?」

「総隊長や更木隊長の前には幾ら戦力があっても無意味でしょう。むしろ炎に対する特殊な結界を張れる(ホロウ)などが当たると思われます」

 ここで失敗したのは原作知識をひけらかしてイキリ顔をしたことだ。

次々に質問が飛び出てくるので、適当な単語に苦労しながら予測したのだと見せるのに苦労した。思えばこれもフォローとしてはともかく、自分の目的の為には失敗だったのだろう。

 

「必殺は撃たせねば、いえ撃っても直撃せねば意味がありません。要求する水準はこちらが総動員した隊長格に拮抗し、時間を稼いで目的を為す事かと思われます」

「ゆえに次は時間稼ぎと並行して遅延工作をしてくると」

 現世で口にした話に頑張って色を付け、それらしい理論にしてみた。

総隊長もマッドも黙って色々考え始めたので、この理論そのものは何とか形に成っていたのだろう。

 

「総隊長。ここはもう少し詳しい話を聞きながら、対策を練りたいと思いマス」

「よかろう。斑目一角、代わりに指名したい者はいるか?」

 アレ? 気が付いたら俺のターンが飛んだぞ?

ルピ戦で何とか活躍しようだとか、むしろ援護に回って日番谷隊長に倒させ、少しなりとも運命を変えてやろうと思ったのだが……。気が付いたら盛大に自爆していたでござる。

 

「あえて言うなら一人。そいつの行動に問題があるとするなら、副隊長級の戦力であれば誰でも構わないかと」

 俺は溜息を吐きながら、この後の展開に都合よい人物を上げておいた。

 

●ブラック・レーベル2

 俺はとある隔離施設に土産を持って向かい、カウンセラーを兼ねた監視要員を遠ざける。

 

「斑目指南! ちょうど良かった、あたしもう問題ありません。ちゃんと……」

「藍染隊長の為に働ける……ですか?」

 俺がやって来たのは雛森桃に役目を押し付ける為だ。

ルピの能力は誤解されるようだが、実は攻撃を引き受けるタンク役である。ヘイトを稼ぐ言動はともかく、触手は広域攻撃力だけでなく斬られても平気なので倒し難いのだ。時間稼ぎにはピッタリの捨て駒だろう。

 

「それはっ……。いえ、藍染隊長だって何か止むにやまれない事情がきっと……」

「腐敗貴族が問題だとしても、過激過ぎやしませんかね。まあそういう一面もあるのは真実でしょうよ。っとコレは現世の土産です」

 雛森の状態はまだヤバイので、カウンセリングが必要だ。

それも表面上だけしか無理そうな段階なので、強引に正気に戻すことにする。

 

テーブルの上に置いたのは二つ。

一つは他愛のない万華鏡。もう一つはこのころから徐々に非電源系ゲーム業界で流行り出した、オリジナル・ダイス(サイコロ)である。いつ・どこで・誰が・何をした。と六面にプリントされていた。

 

「万華鏡? それとも幻灯機? ……じゃなくて、こんな玩具をもらっても……」

「人には魂の形があるとして、藍染隊長は探究者……解決者だと思います。解決するのが面白い、だから誰かの為に役に立って居たとかね」

 俺には愉悦の趣味はないので判らない。だから叩いて戻すのが精々だ。

だが格好良くねじ曲がっていれば、元の道と違っても良いのじゃあるまいか?

 

「藍染隊長はそんな面白尽くじゃありません! それに解決するのが面白いというなら、だったらなんで……」

「必要だからでしょう? 反乱するから過酷になるとしても、連れて行ってさせる仕事なんざ幾らでもあります。しかし雛森副隊長にしかできない役目はある」

 こういう精神状態の時、どうせこちらの話は聞いてない。

過去に経験があるが追い込まれて捨てられた場合は新しい目標に飛びついてしまうものだ。

 

「あたしにしかできない役目……」

「ソウル・ソサエティへの思いもまた真実であるならば、この世界の為に残す。そして周囲に自然と同情されるためにあえて斬り捨てた。違いますか?」

 本当に藍染がそう思っているかだなんてどうでも良い。

今の雛森が望んでいそうな答えの中から、こちらの望む仕事を押し付けるだけだ。

 

「護庭に残した仕事を任せ、世界を任せ、もし自分が復帰した場合は色眼鏡をせずに協力してくれる人が欲しい。ほら……ピッタリの役目じゃないですか」

「そ……そうなのかな。でも、でも、あたしが裏切ったら……他の隊長たちに信用されなかったら……」

 まあそろそろ引導を渡すか、間違った方向であっても、正気には戻ったみたいだし。

 

「藍染隊長ならどっちでも対処できるでしょ? 雛森副隊長に恨まれても監視されても、切り掛かられても、味方として側にいても良い。どんな未来だって笑顔で立ち向かうと思いますがね」

 土産のサイコロを転がしながら、藍染の性格は破綻していると口にした。

サイコロのようにその場で起きたランダムな事件に、解決手段を見つけたい。解決するために目的を欲している。手段と目的が入れ替わっているのだと告げたつもりだった。

 

しかしこの状態の雛森ならば、善意の塊として藍染は行動しているのだと思い込みたいだろう。

まあ俺にとっては雛森が立ち直って、いきなり戦力として行動してくれれば助かるんだけどな。

 

「……あたし、どうすればいいかな? 今のままだと……」

「療養中でも可能なことをするのはどうですか? その行動を見て上が判断してくれますよ。……たとえば、藍染隊長がやり残した仕事とかね」

 こうして雛森桃は立ち上がる。

あとは仕事を押し付けるだけなので、その手腕を発揮してもらおう。

 

俺は部屋を出がけに、隠れている誰かさんに話しかけた。

 

「……という訳ですが、どんな塩梅ですかね」

「マア監視を幾つ増やすのも同じ事ダヨ。私としては雛森鬼道指南が何を完成させるかと……君が持ち込んだ土産の方が気に成るんだがネ」

 用意したポストは俺と同じ指南役だ。

藍染がこちらで残した鬼道を効率よく習得するためのマニュアル造り。そして練り合わせた新しい鬼道。それらがあれば新しい力に成るだろう。

 

「他の連中が残した破片と……俺のはカンピンに近い形で保存してます。気の良い奴だったんで、なるべくまともな使い道をしてくれるとありがたいんですがね」

「それは良いネ! とても素晴らしいィィィ! 面白い使い道を探してやろうじゃないかネ!」

 心の中でエドラドに手を合わせ、俺は自分が強くなるため新しい戦いに向かう事にした。

一蓮托生で俺も酷い目に合うだなんて、思いもしなかったのだが。

 

●ブラック・レーベル3

 その後で得た収穫は良い事と悪いことがあった。

判断が困るのは、信じて送り出した雛森鬼道指南がルピの死体と共に送り返された事。

 

ルピ狙いは俺もしたかったことだが、どうも弓親と一緒にフルボッコにしてきたらしい。

笑顔で『藍染隊長が送ってくれた品ですから、収穫を逃すわけにはいかなくて』と言う辺り、送り返されるに相応しい覚悟ガンギマリである。そうか、まだカウンセラー外すのは早かったか~。

 

ていうか原作知ってるんだから、ワンダーワイス狙って倒せれば後が楽だったのにな(町が燃え尽きるけど)。

 

「黒化兵装。大虚以上の外殻とその力を宿した代物ダヨ」

「こいつはスゲー。流石の涅隊長、任せておけば頼りになる男。……とでも言えば良いんですかね? 模範解答を教えてほしい所っすよ」

 良い点としてはもちろん頼んだ改造が成功したことだ。

追加武装として攻撃力の爆上げには感謝の言葉しかない。

 

しかし、しかしである。どこの世界に大成功したら暴走するクリティカルがあるというのか!?

 

「何か問題デモ? 我ながら渾身の力作なのだがネ? 全身全霊で感謝してくれても良いのダヨ」

「感謝してるさ! これからも色々持って来ても良い! でもよ、必要もない部分が色々変わってるつーのは、どういうことっすかね!?」

 龍紋鬼灯丸に追加するのだと思っていた。

そのために少しばかり改造するのだと思っていたのだが……。一部がバッサリと切られ、大幅な改造を施されていたのである。誰がここまでしろと言ったのか!?

 

よく考えれば、こういうタイプはキッチリと仕様を注文しなければいけなかった。

この能力とこの能力が必要で、これだけはしてくれるな。そう言っておいて、残りの幅を任せるべきだったのだ。あえていうならば、その辺のポイントをミスった自分が問題なのだろうか。

 

「勿論、強化に必要だったからダヨ。納期は半分で訓練する時間もアリアリ、強化値に至っては実に50%から……」

「俺としちゃあ反動が強すぎるとか、消耗で押さえておいてくれると助かったんですが……」

 あーこりゃ駄目だ。

自分の自信作に陶酔していて、まるで話を聞いちゃいない。少なくとも失敗作だと判断するか、新しいアイデアが生まれるまでは再改造も無理だろう。

 

「ところで使い方は判るカネ? 現世に行った君ならば一目で理解すると思うのダガ」

「みりゃあ判りますよ。ここに霊珠か何かを入れてぶっ放すんでしょ」

 鬼灯丸が変わっていたのは、主に柄だ。

シリンダーが装着され、弾丸の代わりに宝玉を入れるような部分がある。おそらくは前に行ったクインシー用の武装を強化……いや、変異させて発展させたのだろう。

 

1996年に開発された天羅万象というTRPGに登場する、八連斬甲刀。

1997年に開発されたファイナルファンタジーⅧに登場する、ガンブレード。

2004年に放映されたリリカルなのはシリーズの、各種兵装。

 

リボルバー銃と大剣、あるいは魔法の杖を合体させたスーパーウエポンである。

俺の頼んだ火力強化案を汲み取り、想定する原作の龍紋鬼灯丸以上の火力と使い勝手を思い起こさせる武装であった。

 

しかし……これで戦うのはソードアクションに当たるのだろうか?

チャンバラをしたい俺にとって、首を三回転半くらいしたい疑問が投げかけられた瞬間である。




 という訳で幕間というか一角の強化案です。
ついでに指南役システムを確立するとか、鬼道コンボ良いよねと言う事で雛森鬼道指南役が爆誕。

●ブラック企業
 十一番隊って明らかに庶務してないよね。
剣八ルールを最大限に活かしてると思う。転生者である主人公は元ブラック企業の出身なので、思わず仕事してますが。

●原作知識の悪用失敗
 イキリ顔で戦術予想したら、手元に残されてしましました。
主人公としてはルピを倒したいなーと思ったのですが、できなくなったので、代わりにしたくなった鬼道コンボの為に雛森ちゃんを指南役に指名。
藍染さんの残した資料ネタを元に、色々と作業に追い込んで立ち治らせたら、妙な方向に……。

「ねえ! 誰でも鬼道練り合わせる方法思い付いたんだけど、普及する良い方法ないかな?」
「あー。そうっすね。財布……じゃなくてデブに金を出させますわ」
「フフフ。デュエリスト魂の形をしているだろう? トラップカードセット!」
「今だよ、儀式魔法おーぷん! 藍染隊長の遺産!」
 という感じですね。

●追加兵装とマ改造
 アランカルの外殻つーか鋼皮は強度高い上に霊圧通し易そうなので、追加武装のブレードに。
マッドは一角が前回に出した微妙なアイデアを元に、鬼灯丸に設置して弾倉を満たします。
八連斬甲刀でもガンブレードでも、デバイスでも好きな感じで呼んでください。

これを二刀流して戦うのが新しい戦闘スタイル。
長槍とか三節棍とかどこ行ったんだよって言う驚愕の展開。切り取られた柄は弾倉になってます。もはや背中の斧はただのバランサーですね。
スパロボのアルトアイゼン・リーゼを知っている方は、思い浮かべてくださると幸いです。
(なお一角の理想はガオガイガーのゴルディオンハンマー)
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