ヤンデレ測定器のスクリーンショット集(3枚)
ヨークタウン型姉妹とエセックスさんの騒動で、ぽっかりと空いた天井の修理まで時間がかかる。そんな眺めの良い執務室で呑気にぼうっとしてると、
「指揮官〜いるかにゃ〜?」
この原因を引き起こした張本人、明石さんがフラッとやって来る。
「何の爆発と思ったらやっぱり、ここだったにゃ〜。指揮官も修羅場に巻き込まれるなんて罪な生き物なのにゃ〜」
「明石さんも充分仲間じゃないか〜」
罪作りな、ね。
「ご、ごほん、にゃ! 今日は写真を持ってきたのにゃ〜」
「写真? 何の?」
「ヤンデレ測定をしている時に、ヤンデレ測定度が自動で、険悪、修羅場な雰囲気を感知して、カメラが起動するのにゃ! その中でも明石がピックアップしたモノを持ってきたのにゃ!」
意気揚々と語るけど、その写真大丈夫……?
「よくKAN-SENの子たちに気づかれ無かったね。バレてたら三味線になってたね?」
「ゔぐっ…! その心配は無いのにゃ! KAN-SENの子たちには聞こえない周波数のシャッター音が鳴ってるからにゃ!」
そうすると、見慣れた緑色のタブレットの写真ライブラリを開いた。
数ある写真はスライドしながらで分かるくらいの、修羅場な写真が見えてしまった。本当に不安しかないぞ!
「じゃあまずこれにゃ! グロスターが秘書艦の時にゃ! なお写真は白黒なのにゃ」
最初に測定したのがグロスターさんだったな。僕は、明石さんに強引に重桜の寮へ連れて行かれた為、詳細はわからないが、恐らくは何も起きてない筈。
「絶対まともな表情じゃないぞ!?」
「うげぇ!? 明石の悪い予感は的中にゃ!! 逃げて正解だにゃ!」
普段からしっかりしているグロスターさんですら、数値が70超えてこれなので、重桜の子達は凄いマシに見える。見える……?
「本当に、グロスターさん気づいていないんだよね……?」
「当たり前にゃ!! 明石はそんなヘマしない「失礼いたします、ご主人様」」
「「ぎゃああああああ!!! ……あ、ベルファスト(さん)か……」」
本当に本人が来たのかと思って悲鳴をあげてしまった。
「ご主人様……? 如何されましたか? エンタープライズ様の代理で、研究委託のレポートを持ってきたのですが」
「あ、ああ……。ベルファストさん、ありがとう。ううん、何でもないよ?」
「左様ですか……? 明石様と抱き合って悲鳴をあげているのは、何でもないのでございますか……?」
僕と明石さんは、今の状況に気づいてお互い、ゆっくり離れた。
「指揮官とブラウザクラッシャーを見てたら、予想外に怖くてびっくりしちゃったのにゃ! にゃはは……」
グロスターさんをビックリ系画像などという風評被害はヤめよう!
「あまり遊ばれていると矯正いたしますよ? ……ふふ、冗談ですが」
軽い会話な筈なのに、なぜか体に悪寒が……ベルファストさんの目のハイライトは何処へ……。
「それではこれにて失礼します。お遊びは程々に、ですよ?」
英国式挨拶、カーテシーをしてベルファストさんは執務室を出た。
「おかしいのにゃ……」
「明石さん、どうしたの?」
「……よく見たらベルファストの写真だけキャプチャされてないのにゃ~。測定したKAN-SENは必ず撮影されてるはずなのににゃ……」
そんなことあるの?
「まだ不具合があるのかな?」
「バックアップから探すかにゃ……ん?」
何かを見つけたのか、僕もタブレットをのぞき込む。1枚の文字だけの画像だ。
『ヨケイナ センサクハ スルナ』
「……何だかまるで、僕たちが見る前提で用意されたみたいだね」
「……何もしないのが安全なのにゃ。さて次の画像は……」
「モナークの測定をしにロイヤル寮へ行った時にゃ!」
切り替わりが早い明石さんが次の画像を開く。
「ああ、ここからモナークさんとウェールズさんの修羅場が始まったのにゃ?」
「うん、その時はまだモナークさんに指輪をあげてなかったからね。物凄い睨んでいたね……」
別に思い出に浸るような事ではないし、この出来事から1週間も経っていないのが驚きである。
「この後、主砲が暴発するなんて思いもしなかったよ」
「そういえば、モナークとウェールズが揉めてた時、モナークにはどんな処罰をしたのかにゃ?」
コンコン、と再びノックする音がした。
「指揮官! 爆撃を喰らったと聞いてきたが……随分、派手にやられたようだな。執務室が……」
噂をするとモナークさんが心配しに来てくれた。
「そうなんだよ。幸いにも僕は無傷だけど。モナークさんは、ウェールズさんと話し合えた?」
「ん? ああ、あの罰の話か。珍しくアイツが頭を下げてきてな。真面目に謝られて、私も醒めてしまったから受け入れることにした。仮にも妹になる存在だった奴だからな。だが、相変わらず私はアイツを妹とは認めないがな!」
フンス! と腕を組むモナークさん。
「モナーク、ここにいたのか。ロイヤルの会議中に慌てて出ていくから、皆騒然としていたぞ……それにしても派手にやられたな、指揮官。ロイヤルの方で執務をするか? 優秀なメイド隊もいるし、私がより一層手を尽くそう」
「おい! 戦闘でも執務でも私が最優だ! お前は陛下の鞄持ちでもしていろ!」
「ほう……毎晩、指揮官ぬいぐるみを抱きしめて寝ている、可愛いモナークさんは最優なんだな?」
「なっ!? お前こそ、【指揮官AMSR~甘え上手の指揮官さん~】を聞いて涎と欲望を垂れ流している奴に秘書官は任せられん!」
「……もう一度、話し合う必要があるようだな」
「望むところだ。今度はねじ伏せてやる」
「「指揮官、演習場を借りるぞ」」
揉め事の中にとんでもない事が聞こえたけど、気のせいな事にしたい。
「ねえ明石さん。KAN-SENの備品って明石さんが販売してるんだっけ?」
「そうにゃ」
「ある程度の販売の自由は認めているけど……この前、僕に色んな事を喋らせたり、布や綿を大量に納品させたのと関係あるかな?」
「勘の良い指揮官は嫌いにゃ……」
「あっ……」
その反応で察してしまった。
「あまりヤバい事はしないでね……?」
「もちろん……にゃ」
「そこは嘘でも言い切って!?」
「じゃあ仕切り直して、最後の写真いくにゃ!」
僕は全然消化しきれていないんだけど……写真をのぞき込む。
「へ!? 何でこんな写真撮れてるの!? 僕と愛宕さんしかいなかった筈なんだけど」
明らかに一人称視点なんだけど……。
「これは指揮官の視界をジャックして撮ったものにゃ。相変わらず、『あ』のつく三文字の重桜はやべー奴が多いのにゃ」
「それはあなたもでは?」
「にゃ!? 明石ほど真面目で潔白なKAN-SENはいないのにゃ! 指揮官は早くダイヤを買って明石に貢ぐのにゃ!」
「明石さんは少し前の、喋った言葉を忘れたの!?」
「いいなぁ……指揮官と明石ちゃん仲良さそう……」
ん? どこからか声が聞こえる。執務室の扉は開いていない。360度見渡しても人影は無い。
「気のせいかな……はぁ、空がこんなに青いの……に……!?」
「どうしたかにゃ? 指揮官」
「いたんだよ……」
「何がにゃ?」
「指揮官殿!? 愛宕を見なかったか!? 愛宕ー!! 拙者に睡眠薬を盛るなど、やってくれたな!?」
「いるよ……愛宕さん」
「どこ(にゃ?)だ!?」
そうやって僕は人差し指を一本、上に向ける。綺麗にぽっかり空いた穴に向かって。
「「上……? ああ!?」」
愛宕さんは先日のやらかし案件によって秘書艦、不要な執務室の立ち入りを禁止されている。その逆手を取ってまさか、上から見ていたとは……。近づいてはいないものの、今まで上から見られていたとなると背筋が凍った。
「指揮官、私……見つかっちゃった……」
「愛宕!! 早く降りて……はできぬか。だったら気絶させて説教するぞ! 覚悟しろ!」
「あの、高雄さん……? 刀を出して何を……?」
「悪・即・斬!!!」
あっ。
執務室はオープンカーの如く、眺めが良い。眺めが良いから、KAN-SENの会話もよく聞こえる。耳をすませば、
『これ以上の失態は重桜の恥だぞ! 聞いておるのか!?』、
『これ以上やらかしたらロイヤルの立つ瀬がないじゃない!? ねぇベル!!』、
『どうして私を執務室に入れてくれないんだ!? 何!? ユニオンの恥だと!?』、
『我は何もしていない!! 何!? 何故、パンツを指揮官の懐に入れた事を知っている!?』、
長門ちゃんやクイーンエリザベスさん、エンタープライズさんに、グラーフ ツェッペリンさん、皆、違う陣営なのに声が綺麗に聞こえる。
「ウチは風通しが良い職場だなぁ……」
空は雲一つない、晴れた空なのに、僕の目は大雨である。
もしよければ良かった話を聞かせてください。
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グラーフ・ツェッペリン編
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大鳳編
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プリンスオブウェールズ編
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愛宕編
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ベルファスト編