【アズールレーン】ヤンデレ測定器   作:そうすけ

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試しにKAN-SEN視点を入れてみました。






加賀編

☆加賀side 

 

 『弱き者は淘汰されるが運命だ。悔しかったら強くなることだ』

 

……最初の頃の私は、アイツにそんな事も言っていたな。

 

明らかにひ弱そうだったし、私が追い求める勇者ではなさそうだったからだ。

 

だが、艦隊の指揮には目を見張る物があった。装備の采配、そのKAN-SENの特徴を活かした編成、全てが上手い。

 

 次第に指揮官は、他のKAN-SENから好意を持たれることが増えてきた。元々、指揮官の事を好きな奴の方が多かったが、より一層愛が強くなったと感じた。

 

「……私も、惹かれてしまったKAN-SENの一人なんだがな……」

 

 

☆加賀side END

 

 

「ニ航戦、五航戦。本日の重桜空母訓練を始める。準備は良いな?」

 

ベルファストさんのアフターヌーンティーの後、重桜の見回りをしていた。

 

重桜の方で、声が聞こえたので顔を覗かせてみると、加賀さんを筆頭に蒼龍さん、飛龍さん、瑞鶴さん、翔鶴さんが演習をしていた。常に欠かさない訓練に感心していると、気合の入った掛け声と共にお互いの艦載機が発艦された。

 

「……!? 何だこれ……戦力おかしくない……?」

 

というのも、演習形式はニ航戦と五航戦対、加賀さん一人なのだが明らかに加賀さんの方が優勢に立っている。飛ばしている艦載機の量が、12章の3のボス並みなんだけど……。

 

「くっ!? いくら補正が掛かっているからって、強すぎるよ!?」

 

「瑞鶴! お姉ちゃんが守ってあげる! きゃあっ!?」

 

「先輩はいつも気合が入っていますね……」

 

「流石は一航戦の方です……飛龍、気を抜いてはいけませんよ!」

 

あっさりと決着がついてしまった。勿論、加賀さんの圧勝だ。

 

「どうした? もう終わりか? そんな事では重桜の未来は預けられんぞ!」

 

気迫ある言葉で加賀さんは、喝を入れた。すると、こちらを向いた翔鶴さんと目があった。口元を隠して滅茶苦茶悪そうなことを考えていた。

 

「翔鶴ねぇ、どうしたの?」

 

「良いから良いから。加賀先輩! もう一度お願いします!」

 

「ほう……? いつもは、いの一番に根をあげるお前が珍しい。良かろう、私を楽しませてみろ!」

 

加賀さんが大量の艦載機を発艦させて、攻撃する直前で、

 

「あー!!! 指揮官が加賀先輩に恋した目で見てまーーす!!!!」

 

翔鶴さんが大声で叫ぶ。

 

「翔鶴さん何言ってるの!?」

 

思わず飛び出してしまった。

 

「はぁ? アイツが見てる訳ないだろ……。いい加減に……!? お前、いたのか!?」

 

一斉にこちらと目が合った。翔鶴さんは腹の内が読めないなぁ……。

 

「あ! 指揮官、こんにちは! 私たちの演習見てってよ!」

 

翔鶴さんとは対照的にカラッとした挨拶をしてくれた。

 

「指揮官、こんにちは! まだまだ未熟ですが、どうぞ見てって下さい!」

 

「こんにちは、指揮官。やはり指揮官が見ていると、皆さんの士気が上がった気がしますね」

 

「そうだよ! ねぇ、加賀先輩も良いよね!?」

 

ニ航戦の提案に瑞鶴さんが便乗すると、再び翔鶴さんが悪そうな顔をした。

 

「瑞鶴、ダメよ? 加賀先輩は指揮官の事が【好き】なんだから〜」

 

やけに好き、を強調した翔鶴さんの煽りに瑞鶴さんは無自覚の火種を追加した。

 

「何言ってるの、翔鶴ねぇ! 私も指揮官の事好きだよ! って何言わせてるのさー!」

 

蒼龍さん、飛龍さんもわ、私もと続いた。一番愛のバクダンの被害者は僕なんですが……。かなり恥ずかしい。

 

「はぁ……下らない事を……お、お前はどうなんだ……?」

 

「隙あり!!」

 

「翔鶴ねぇ!?」

 

加賀さんの問いに考える暇も無く、一瞬手を止めた加賀さんに、翔鶴さんが不意打ちの爆撃をかます。

 

「やったわ、瑞鶴! お姉ちゃんお手柄よ!」

 

翔鶴さんが喜びの束の間、加賀さんの背中に青い炎がメラメラとしている。

 

「……面白い。悪あがきで私を楽しませろ……ふふふふふふ!」

 

ニ航戦、五航戦が戦闘不能になっても爆撃を続ける加賀さんであった。

 

 

 

 

フルボッコな演習が終わり、僕は労いの言葉を掛けて、その場は解散した。

 

僕は別件で、装備の見直しのために明石さんの所に向かった。

 

「ふむむ、装備の強化が終わったにゃ。指揮官はどこに行ってたのにゃ?」

 

「さっきまで加賀さんの空母演習を見てたよ」

 

「あー、加賀はニ航戦、五航戦相手に毎日演習しているのにゃ〜……そうにゃ! 加賀のヤンデレ度を測定しにいくにゃ! どこにゃ?」

 

赤城さんとは対照的に加賀さんはあまりヤンデレ度は高そうな気がしないんだけど、どうなんだろう。

 

「演習が終わったから多分、加賀さんは重桜の食堂にいると思うよ」

 

 

予想通り、加賀さんは重桜の食堂にいた。モキュモキュとみかんを食べていた。

 

「お前か……明石も。二人してガン首揃えて、どうした?」

 

僕らはヤンデレ測定器について説明した。

 

「お前たち、そんな下らない事をしていたのか……ちなみに赤城姉様はどうだった?」

 

「赤城は1だったにゃ」

 

「1か……1だと!? あれで1なのか……末恐ろしいぞ。まぁとりあえず測れ」

 

 

加賀→指揮官

ヤンデレ度:70

 

「……高いにゃ〜。赤城の70倍にゃ〜」

 

確かに高めではあるが、赤城さんの70倍って考えると相当ヤバい。

 

「一応、私は指揮官を認めているからな」

 

「じゃあ今度は加賀の番にゃ。指揮官に向けて測るのにゃ」

 

「指揮官のヤンデレ度も測るのか?」

 

「違うにゃ〜。ゴニョゴニョ(指揮官からの愛情度を測れるのにゃ)」

 

相変わらず何を測っているのか分からないが、加賀さんが緊張した面向きで僕に話しかけた。

 

「先程の話の続きだか……お、お前は私のことをどう思っているんだ?」

 

「戦闘は勿論、秘書官業務は助けられていますし、委託の子たちに軽食を振る舞ったりと心優しい方と思っています」

 

僕はそのままを伝えた。

 

「そ、そうか。なあ明石……ゴニョゴニョ(私への数値が低かったら今の言葉は……)」

 

「(加賀が怖いから、言わされてるだけにゃ)」

 

「!? ええい、ままよ!!」

 

指揮官→加賀

愛情度:50

 

「まずまずの結果にゃ。どちらでもないって感じにゃ」

 

「それは喜んで良いのか分からんぞ……」

 

「ただ、これから上がるか下がるかは加賀次第なのにゃ〜」

 

「あらぁ〜? 珍しい集まりね? 加賀、何してたの? まさかまた抜け駆けを……?」

 

ゆらり、と後ろから赤城さんがやってきた。加賀さんは何かやらかしたのだろうか。

 

「ち、違います姉様! ヤンデレ度を測定しただけです」

 

「あら、そう? いくつだったの?」

 

「70です「は?」」

 

「指揮官様への愛は誰にも負けないのにどういうことなの? この機械やっぱり壊れてるんじゃないの!?」

 

「ねえ明石さん。あの機械、本当は0を二つ付けての数値だったりしない?」

 

「そんなことだったらグロスターやウェールズは、あんなんじゃ済まないにゃ〜」

 

言われてみれば、グロスターさんが7500とかウェールズさんが7100とは限界突破してしまうな。

 

「ですが姉様。指揮官から私へは普通へと思われているみたいです」

 

「そうなの? ねえ明石。新しい機能が出来たんでしょ? 赤城にも試させなさい? 良いわよねぇ?」

 

「赤城は相当不満なのにゃ〜。じゃあやってみるにゃー」

 

「指揮官様からの思いが100でありますように……カミ様ミズホ様……!!!」

 

まるで当時のミッドウェー海戦にいたような気迫さを感じる……。

 

 

指揮官→赤城

愛情度:72

 

 

「!!! 明石、これは高いと見て良いわよね!?」

 

「高すぎでは無いけど、安心しても良い高さなのにゃ〜」

 

「ヨシッ!!!! ヨシッ!!!!」

 

赤城さんが滅茶苦茶興奮してる……その反対に加賀さんは少し残念そうな顔をして、こっそり僕に話しかけてきた。

 

「なあ、指揮官。お前は姉様の事が好きか?」

 

「ええ……? どちらかでいえば好き、だけどね? 普段はあんな感じだけど、駆逐艦の子達と一緒に遊んであげてたり、優しいところがあるんだよね」

 

思いが強い故の行動なのかもしれない。その思いが僕と駆逐艦で9.9:0.1くらいの割合である。

 

「お前はああいう女が好きなのか?」

 

加賀さんは険しい顔で、僕の服を掴んだ。

 

「ど、どうしたの? 顔が近いよ?」

 

僕の言葉にハッ、とするとすぐに手を離し、顔をそっぽ向く。

 

 

「……お前の事を考えると、頭がいっぱいになる」

 

 

行きますよ、姉様と加賀さんは赤城さんを連れて、食堂を出ていった。

 

「加賀は赤城ほどヤンデレっぽく無いのにゃ〜つまらないにゃ! もっとドロドロな修羅場を起こすのにゃ!」

 

「不吉でも無い事、言わないでよ……」

 

 

 

 

僕は執務室に戻り、ルーチンワークをしているとドアがノックされる。

 

「加賀だ、指揮官。話がある」

 

「加賀さん? どうしたの?」

 

「……ここでは話しにくい。ベルファスト、指揮官を借りるぞ」

 

「ええ、構いませんが……手荒な真似は良して下さいませ?」

 

「勿論。指揮官、来い」

 

付いてきた割には執務室を出てすぐの廊下だった。いつになく真剣な加賀さん。

 

 

「……お前は、指輪が一つしかない時、赤城姉様と私、どちらに指輪を渡すつもりだ?」

 

 

「え……」

 

想定もしない質問に、すぐには答えられなかった。

 

「お前が好きな赤城、お前の事を好きな加賀、どちらを取る。そう聞いたんだ」

 

確かに僕の中での赤城さんの評価は、意外にも高い。だからといって加賀さんが低い訳では無いし、赤城さんが素直に僕を好きなのは分かってたけど、加賀さんからストレートに好きと言われるのは意外だ。

 

煮え切らない僕の返事に、加賀さんは僕が背にしている壁をどついた。

 

「今日の夜までに決めておけ。ならば私が貰うぞ」

 

急かしているというより、怒りとはまた違く、よく分からない感情の加賀さんの背中を見つめる事しかできなかった。

 

「お帰りなさいませ。早いお帰りでしたね。何かございましたか?」

 

「……時々、体が二つ欲しい時があるよ」

 

「ご主人様……?」

 

 

 

 

☆赤城side

 

「うふふ〜指揮官様から好かれているなんて、幸せですわぁ〜」

 

これだけでご飯のオカズは一週間は持つ。

 

「姉様……加賀は少し出かけていきます」

 

「あら、そうなの? どこへ行くのかしら?」

 

コーラオイルスペシャルでも買ってきて貰おうかな。加賀は凄い嫌がるみたいだけど。

 

「……何処だって良いでしょう」

 

「加賀ぁ? まさか指揮官の所へ行くのでは……? 抜け駆けは「姉様には関係ないでしょうが」」

 

珍しく加賀の推しが強い。そう言い残すとさっさと行こうとしてしまったので、腕を伸ばして加賀の片腕を掴む。

 

「……指揮官様に何の用事? 乱暴にしようなんて考えてはダメよ」

 

「指揮官に愛の証を貰いに行くだけだ。それにあなたが言える事じゃない」

 

久々に加賀との会話で頭にきた。愛の証……? まさか指輪を!? だとしても、指揮官様はちゃんと加賀を選んだの……? 何だか嫌な予感がする……。

 

「へぇ……随分と口が回るじゃない。指揮官様は指輪を渡す時、何て言ってたの?」

 

「……腕を離せ」

 

加賀は質問には答えなかった。指揮官様はケッコン式の時、一言二言、言ってから指輪を渡すらしい。他のKAN-SENのケッコン式を覗いた時に判明した。愛宕が自慢していたっけ。

 

「悪いけど、あなたを行かせられないわ。無理矢理、貰いに行くのは指揮官様が可哀想よ」

 

「……私とヤる気か?」

 

「……久々に、ね」

 

お互いの艦載機を、それぞれ赤と青の炎に具現化して、拳を握りしめる。だが私は、本能的に感じとれてしまっていた。

 

絶対に勝てない、と。

 

普段の加賀ならば、相討ちくらいで済むのだが、今の加賀は何かおかしい。怒りではなく、目的のために感情を無にしている。そんな感じが読み取れる。下手したら私が殺されかねないから、適当にやられたフリをしてから助けを呼ぼう。

 

「……どうした? 私を止めるのだろう?」

 

「覚悟しなさい……!」

 

私は、自分に言い聞かせるように拳を加賀に振るった。

 

 

☆赤城side END

 

 

 

加賀さんからの問いに、結局正しい答えは浮かばず、夜ご飯の時間になってしまった。

 

加賀さんはそろそろ来るのだろうか。そう思っていると、ドアが弱々しくノックされた。

 

「指揮官様……加賀を、止めてください……」

 

体をあちこち負傷した赤城さんだった。

 

「赤城さん!? どうしたの!? 加賀さん……?」

 

この傷は加賀さんからによるものなのか……?

 

「赤城の事は大丈夫です。それよりも……加賀が、後悔する前に止めて下さい……」

 

ちょっと大丈夫そうには見えないんだけど……後悔とは?

 

「加賀さんは、何処へ行ったか分かる?」

 

「いえ……加賀は去り際に、『選択肢が多くて決められないのならば、減らせば良い。次はあの四人か……』と」

 

選択肢……加賀さんは僕の事が好き。そして、四人……僕は演習場で会った四人、ニ航戦、五航戦の子たちが頭に浮かんだ。

 

「……場所に心当たりがある。演習場だ! 早く行かないと!」

 

「ベルファストもお供します!」

 

「お二人は先に行って下さい……赤城の足に合わせると間に合いませんもの……」

 

「明石さんを呼んでおくから!」

 

僕らは走り出した。後悔の無いように全力で。

 

 

 

「ご主人様! 申し訳ございません! 現在、殆どのメイド隊は食事の配膳に追われていまして……」

 

演習場に向かう途中、ベルファストさんにメイド隊の援軍を呼んでもらうが、ちょうど忙しい時間帯と被ってしまっていた。

 

演習場が見えてきたあたりで、遠くからでも分かる、加賀さんの白い尻尾と複数の人影が見えた。

 

「加賀さーん! 止めるんだー!!」

 

僕の大声が届く前に、大量の艦載機が発艦されてしまっていた。

 

「くっ! 申し訳ございません。距離が遠すぎて、当てられません……」

 

意外と範囲の狭い対空砲に苦戦していると、艦載機たちは急に、全部爆発した。

 

「!? 誰だ! ……!?」

 

加賀さんが、キョロキョロ見回してる間に、僕たちに目がいった。

 

「ベルファストさん、やったね!」

 

「いえ……流石のベルファストでも、あの量の艦載機は不可能でございます……」

 

あれ? じゃあ誰が? とにかくラッキーだ。

 

「お前か……邪魔をするな。お前の為に選択肢を減らしていたのだぞ?」

 

声だけをこちらに向けて話す加賀さん。無防備の瑞鶴さん、翔鶴さん、飛龍さん、蒼龍さんは固まって怯えていた。ここまでやるなんて間違ってる。

 

「加賀さんのやってる事は間違ってるよ! 同僚や後輩たちを怪我させる事が、本当に正しい事なの!?」

 

何とか加賀さんを説得してみようと試みるが、握った拳を震わせながらこちらを向いた。

 

「お前が……! お前が!! 私か姉様にさっさと指輪を渡さないからだ!!! この優柔不断め!!!」

 

確かに優柔不断と言われればそうかもしれない。だけど、僕は選ぶ事ができない。

 

「僕が選べないのは、二人が揉めない為でもあるんだ」

 

「何だと……?」

 

「指輪って、今は生産が追いつかなくて売店には中々、置いていないんだ。勿論、あれば指輪は加賀さん、赤城さん二人に渡すよ。でも、一個しか無くて、片方に渡したら、素直に喜べるのかな……?」

 

「お前……そんな理由で渡さなかったのか!? ふざけるなよ!?」

 

迫真で僕の服を掴むが、加賀さんの表情は怒りの目に涙をぽろぽろと溢す。

 

「お前が、さっさと姉様に渡せば、私は諦められたのに……私だって好きなのに、そんなの期待してしまうでは──────っ」

 

鈍い砲撃音の後、僕の服を掴んでいた加賀さんは、糸が切れた人形のように倒れ込んだ。僕は何が起きたか分かっていないけど、顔を上げると答えはあった。

 

 

「演習相手を倒しました。誇らしきご主人様……え?」

 

 

主砲を構えたシリアスさんだった。どうやら見回りをしていたシリアスさんが、加賀さんを、ユニオンの空母演習相手と勘違いしていたみたいだ。予想外の僕らの反応にあたふたするシリアスさん。

 

「加賀ー! 今すぐやめなさい! 後悔するわ……よ? あら……?」

 

意識なく倒れている加賀さん、

演習相手と間違えて主砲をぶっ放したシリアスさん、

その二人を横で怯えながら見ているニ航戦、五航戦の四人、

空気読めと言わんばかりだが、対空のお手柄を褒めたい複雑な表情のベルファストさん。

 

呆気に取られていると、追いついた赤城さんと明石さんが声を掛けた。

 

「「指揮官(様)……この状況は一体?」」

 

 

 

「勘違いが生んだ、シュールな光景だよ……」

 

 

 

ようやく整理した言葉がこれだった。

 

 

 

 

 

☆赤城side

 

「ほら、加賀ぁ? 早く来なさい?」

 

重桜の訓練の為、いつもの演習場に後輩を含めて集まっているのだが、昨日の暴動があってか、加賀が物陰に隠れて出てこない。ほら、やっぱり後悔するじゃない。こっちの後悔はマシな方だから良かったけど。

 

「ね、姉様……私には皆に顔を向ける資格がありません……」

 

いつもの勝ち気な加賀は何処へ行ったのか。そんな所も可愛い。昨日、殴った事は怒ってるけど。

 

「資格があるかどうかは、後輩達や私が決める事よ。ね?」

 

翔鶴にアイコンタクトを送ってみる。普段はクソ生意気だけど、割と頭が回るから私も評価はしてるんだけどね。クソ生意気だけど。

 

「……! あぁ〜! 瑞鶴! お姉ちゃん、昨日の事があって怖いわぁ……怖くて、演習場にあったコーラオイルスペシャルで、先輩方の部屋の窓を拭きそうだわぁ……!」

 

「翔鶴ねぇ、またそんな事してるの……?」

 

「や、やめてくれ! そんな事したら吐き気が止まらん……!」

 

あ、出てきた。翔鶴、流石ね。え、ちょっと待って。あなた、私の飲みかけをそんな風に使ってたの!? どおりで部屋が、良い香りすると思っていたし、加賀がのたうち回ってたし……やっぱりクソ生意気だ。

 

あら、もう一人隠れている人が。この匂いは、指揮官様ね!? 半径10メートル以内にいるわ!

 

☆赤城side END

 

 

翌日、僕はあの騒動の後、気になって重桜の空母訓練をこっそりと見学しにいった。

 

「加賀さん大丈夫かな……?」

 

体と心の二つが心配だったからだ。

 

するとひょっこり物陰から、耳をペタンとさせて、猫背になる加賀さんが飛び出してきた。

 

「あの、その、昨日は怖がらせて申し訳ない……」

 

加賀さんはゆっくりと頭を下げた。

 

「い、いえいえ! ぼくは全然!! 少し怖かったですけど……」

 

「わ、私も。幸いケガはありませんでしたし。少し怖かったですけど……」

 

「ぐぅ……!」

 

怖かったというワードが、体にグサリと刺さって加賀さんが膝をついた。

 

「……ちょっとぉ先輩方ぁ? 失礼じゃないですかぁ〜?」

 

翔鶴さんが助け舟を出した、かのように見えたが、

 

「加賀先輩が怖いのは、いつもの事でしょう〜? 今更すぎませんかぁ? ねえ瑞鶴?」

 

「グハァ!?」

 

「加賀先輩!? ちょっと翔鶴ねぇ!? まあ、そうだけど……」

 

クリティカルダメージを追加しただけだった。翔鶴さんはブレないなぁ……。

 

「まあそういう事よ、加賀。体で起こした罪は、体で返す。それが礼儀でしょう? ねえ、指揮官様〜?」

 

え? 何でバレたの? 僕、見えないところに隠れてるから分かる筈無いんだけど……。呼ばれたので僕も出てくる。

 

「「「「え!? ホントにいた!?」」」」

 

後輩四人が驚く。

 

「お前……見ていたのか!?」

 

「うん。心配だから見にきたけど、大丈夫そうかな?」

 

「ええ、いつも通りの加賀ですわ。指揮官様」

 

なら良かった。じゃあ僕は引っ込もうかな。

 

「ま、待て! 指揮官!」

 

加賀さんに呼び止められて、振り向くと、首を噛まれた。甘噛みだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前が私を選ぶようになる、その日まで首を洗っておけ? ふふふ……」

 

噛まれた首をさすりながら、赤い爆撃音と加賀さんの悲鳴を聞いていた。

 

 

 

 

 




加賀さんも好きなので気合が入ってしまいました。ご了承ください。

もしよければ良かった話を聞かせてください。

  • 加賀編
  • ヨークタウン型+α編
  • ハウ編
  • 鈴谷編
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