「もう! 指揮官はもう少し危機感を持つにゃ!! あのまま執務室にいたらゲームオーバーにゃ!」
明石さんに引っ張られて来た、重桜の食堂は、お昼ご飯真っ最中の時間であるので賑わっている。普段なら大声のはずなのに、僕の耳に届く時には周囲の環境音に巻き込まれていた。グロスターさんはよく指導とか管理したがるから普段とあまり変わった感じが無かったけどなぁ……?
お腹が空いているので、適当な空席を見つけて、僕は日替わり定食を、
明石さんは両手で抱え込むくらいの量のフライドポテトを、隣同士座って食べることにした。最初は三味線にされるとかなんとかで、真向かいに座ろうとしていた明石さんだけど、ヤンデレ測定器の詳しい説明を聞きたいので明石さんに隣に座って貰った。
「それでヤンデレ測定器って何が出来るの? 愛の深さが分かって、指輪をハイどうぞって渡せる事?」
天城さんや神通さんみたいに頭が回るわけじゃないから、凄い単純な質問になってしまった。
「それもあるけど、じゃあ指揮官? 友好度が愛状態のまま放置されたKAN-SENはどうなると思うにゃ?」
普通に愛のままにじゃないのかな? わがままになったりはしない……と思うけど。
「確かに普通はそのまま変わらないのにゃ。けれど、ごく稀に暴走状態になったり、鬱になったり、はたまたよその母港ではKAN-SENが指揮官に手を出して病院送りになったとも聞いたにゃ。それを未然に防ぐためにこの機械が生み出されたにゃ」
ポテトをもしゃもしゃ食べながら明石さんは真面目な説明をする。熱々なせいか、ふーふーしながら食べているのでつくづく真面目なセリフがギャップに感じて面白い。
「未然に防ぐ対策とは?」
「つまり、KAN-SENと会話する事にゃ」
その答えを聞いて一理あると思ってしまった。序盤の海域ではバンバン活躍してもらっていたKAN-SENの子も、後ほどの10章や12章では出番が無くなってしまう事もあるので暫く出撃させなかったりするから。
愛宕さんもイベント海域などではかなり出撃して貰ったけど、12章じゃちょっと厳しかったから放置気味でもある。一応秘書官にしてるからまだマシかもしれないけれど。
(まぁホントは、指揮官のヤンデレの修羅場が見たいだけなのにゃ。それっぽい説明でごまかせたにゃ……ぐふふ)
明石さんが肩で笑っていると、
「随分楽しそうね? オサナナジミ?」
特徴的な呼び方をする声が後ろから聞こえるので、二人で振り向くと料理の乗ったトレーを持った隼鷹が冷ややか目でこちらを見ていた。
「おはようございます、隼鷹さん」
「お、おはようにゃ。あ、あーあ! 食堂混んでるから他に空席無いにゃ〜! あ! 指揮官の真向かいの席空いたにゃ! よかったにゃー!?」
慌てた明石さんが隼鷹さんへ席の誘導をしていた。午前中から明石さんが動揺しっ放しなのが不思議すぎる。
「ねぇ指揮官。そのタブレットは何?」
僕と同じ日替わり定食を食べる隼鷹さんが質問してきた。明石さんを見て僕が説明をしても良いのか、目で聞いてみる。縦に首を振ったのでそのまま伝えた。
「ヤンデレ測定器だよ。僕とKAN-SENの愛の深さを測れるらしいみたい」
ふーん、とあまり興味なさそうな返事だった。
至ってまともな反応なのだが、相手が相手なので意外だった。”思い出して! オサナナジミなんだから、そんなの測らなくても分かるでしょ!?”くらい言われるかと。普段はもうちょっとアグレッシブ。
では測ってみるか。タブレットの真紅のハートの画面をタップした。
隼鷹→指揮官
ヤンデレ度:11
☆ゾロ目ボーナス発動です! 今回は「天国か来客か地獄」です!
0〜25で普段の隼鷹から11の分だけヤンデレ度が引かれます。
26〜75で他の陣営から割り込み客が来ます。
76〜100で隼鷹のヤンデレ度が11倍されます。
ボーナスの数字:68
☆来客です。今回はプリンツオイゲンが来ます。
「はぁ!? 明石! この機械可笑しいわよ!? 指揮官との愛の深さが11しか無いなんて不良品よ! ガラクタよ!? ねぇそう思うでしょ指揮官!? 思い出して! 数々の【思い出】があるじゃない!?
【隼鷹が悪い子たちにいじめられているのを助けてくれたり】、【マリアナ沖で手を繋いでジャングルジムで遊んだり】、【隼鷹が転んだ時、1秒だけパンチラしたのを見た後、すぐに手を取って助けてくれたり】したじゃない!? 思い出して!!!!!」
通常運転の隼鷹さんだ。グロスターさんの数字と比べると、11くらいではあまり変化が無さそうだ。てかマリアナ沖にジャングルジムあるのか? 最後のなんて昨日の事だ。突然だったからつい見ちゃったけど、何で隼鷹さん後ろ向いてたのに分かるんだ。本当に僕はオサナナジミだったのかなぁ……? ホントウにもしかしたら……?
「やっぱり重桜は賑やかな子が多いわね〜。指・揮・官?」
艶かしい声で、僕の後ろから抱きつくように胸に手を伸ばしてきたKAN-SEN。
「オイゲンさん……びっくりするじゃないですか……」
お酒の匂いはしないので酔っ払ってる訳では無いみたいだ。いつも飄々としているから判断が難しい所がある。
「あら? あらかじめ言えば触っても良いのかしら?」
「そういう事ではないですよ?」
「オイゲンが来るなんて珍しいにゃ〜。何か美味しい定食でもあったのかにゃ〜?」
別にオイゲンが食堂に来るのが珍しい訳ではなく、ここの母港の食堂は
ロイヤル、ユニオン、重桜、鉄血寮の4種類の別々に分かれている。
とは言ってもそこまで離れてはいなくて、周辺に密集している形になっている。連絡口のあるデパートのフードコートのようなものだと思う。
選択の自由という事もあって色んな陣営の食事の文化も味わいたくて、陣営ごとの会議で提案してみたらあっさり通ってしまった。たまにサディアや東煌のKAN-SENが重桜の食堂で料理を振る舞っているのを見たことがある。リットリオさんが料理とドレスに気合が入りすぎている。
お店開けるレベルで美味しいし、パスタ作るのに胸と太ももを大きく出す必要あるんですかね?
「まぁね。たまには和風な料理もいいじゃない?」
和風な指揮官も、ね? と言って僕の耳元で大人っぽく吐息の多い声で言われた。和風な僕? 醤油で味付けされてるのかな? それにくすぐったい。耳垢溜まりやすい体質なので、あまり耳は見ないで欲しいかな。
「空気の読めない輩め……くたばれぇ!」
ヒートアップ中の隼鷹さんが更に他の陣営から水を差されたため、怒り狂って、持っていたつまようじをオイゲンさん目掛けて発射した。
ちなみに、こういうのは他と比べるとかなり優しい方で、アバークロンビーちゃんが僕にタバスコでイタズラした時、たまたまそばにいたウェールズさんとモナークさんがアバークロンビーちゃんの胸ぐらを掴み、喉の奥に両手の指を突っ込んで、奥歯ガタガタ言わせてたので流石に止めた。そして、床に落ちた唾液とアンモニア水を僕とウェールズさん、モナークさんの三人で拭いた。
「あらあら、オサナナジミさんの邪魔しちゃったかしらぁ? 喧嘩を買ってあげる所だけど、指揮官成分を確保出来たから今日は見逃してあげるわ〜」
オイゲンさんは、ひらりと猫のように軽い身のこなしでつまようじをかわすけど、若干、ヒールの部分がズレたのかよろけている。
☆来客ボーナス
0〜50で何も起こらずオイゲンが帰ります。
51〜100でラッキースケベが起きます。
来客ボーナス→88(ゾロ目)(次への特典が付きます)
不運にもよろけてしまったオイゲンさんが、尻もちをついてしまった。
となると足を開いた状態で僕に向いているので、オイゲンさんの黒い布が見えてしまっている。
「……指揮官のえっち」
オイゲンさんでも恥ずかしかったのか、内股で両手で隠した。
「あなた、普段からパンツ丸出しじゃない」
僕が思っていた事を、隼鷹さんが一字一句間違わず言った。
「……って指揮官が言ってたにゃ〜」
半笑いで、明石さんが余計な事を言うとオイゲンさんに鋭い目で睨まれて無言で去っていった。綺麗な銀髪と紅くなった耳を見届けて。
明石さんめ。鉄血の中で変な噂が広まったらどうするんだ。
ただでさえ、鉄血寮に行くとヒッパーさんには怒られるし、グラーフさんとティルピッツさんが耳を真っ赤にしながら、黙ってこっちを見ているんだ。
その二人は背が高いから余計にかしこまっちゃう。
「……ふぅ、ごちそうさま。じゃあ隼鷹は戦術教室行ってくるから。
お遊びは程々に、ね? 指揮官【いつも】羽目を外しすぎちゃうから」
空の器とトレーを持って隼鷹さんは、僕たちから離れて、午後からの勉強会へと向かっていった。
「指揮官は隼鷹と仲良しなのにゃ〜? 幼なじみで長い付き合いだから、なんでも知ってそうだにゃ〜。さて、午後も測定に付き合うにゃ!」
いつの間にか大量にあったフライドポテトが見事に明石さんのお腹の中へと移動していた。執務室に戻って、グロスターさんに午後の仕事の予定を確認したけど、委託から帰ってくるのは夜なのでだいぶ暇になるようなので、見回りも兼ねて明石さんと母港を回ることにした。
隼鷹さんがドロップしたの1週間前なんだけど……
もしよければ良かった話を聞かせてください。
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グロスター編
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隼鷹編
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モナーク編
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赤城編
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セントルイス編