人気な話が丸わかり!
オイゲンとベルファストとは意外でした。
あと割とどうでも良いことですが、アズレン3周年アートに紙粘土で作った愛宕を投稿しました。
「今日も安全に終わったね」
ワシントンさんが初の秘書艦になって、早くも晩ご飯の時間。あと残る仕事は委託の子達を迎えたりするだけなので実質、終業の時間だ。
「……お前、結局風呂来なかったじゃねえか! どこ行ってたんだよ?」
来るなら来いと言われていたけど、残念ながら行く事は出来なかった。
「母港内の大浴場って僕は入れない仕組みみたいなんだよ」
「は? 何かやらかしたのか?」
「ううん。本当に何も無いんだ。大掃除の時に、大浴場の清掃をしようとしたら見えない壁に弾かれちゃったんだ」
「それ、運営に行った方が良くないか? じゃないと困るだろ」
「いや、それほど……」
自室に風呂あるしね。
「それと、重桜の空母の奴らが妄想したり、悶えてたりで割とやべー奴らだぜ?」
「ああ、普通だね」
「お前、精神状態おかしいよ……」
「ちなみにどんな感じだった? ワシントンちゃん?」
「……死にてえか!?」
「せ、戦艦のグーパンはヤバいよ!? ──────ん?」
先程会ったメリーランドさんにみたいに呼び方を真似してみたけど、超怖い。そんなこんなでふざけていると内線電話が鳴る。
「この番号は、KAN-SENの子じゃないな───はい、竹敷の母港です」
『おい、竹敷のやつ! お前全然有給消化してねえじゃねえか!』
電話越しで激を飛ばすのは、各母港の指揮官のマネージャーさん、いわゆる僕の上司だ。タバコとお酒が大好きな、美人の大人の女性の人だ。男勝りな所があるけど、面倒見が良いことでファンが多いらしい。何故か婚活で撃沈しまくってるらしい。美人で、仕事ができて、面倒見が良いとか貰い手が出ない訳ないんだけどなあ……不思議な話だ。この怒り具合は……。
「また、婚活ダメだったんですか……?」
『くっそぉ……何でなんだ! 趣味だって話が合うはずなのにぃ!』
「そりゃあ……酒とタバコの臭いの混じったゲップされながら話されたら色々萎えますよ……」
『しょうがないだろ!? お酒とつまみが美味しいから、つい進んじゃうんだよぉ! ……お前、有給取らないのは毎日、KAN-SENとラブチュッチュしてるんだろ!? このエロ同人誌の原作め!』
「どういうこと!? 分かりましたよ……有給取りますから。期限はいつまでですか?」
『明日まで』
「はあ……明日ですか、明日!?」
『何だ? 予定でもあるのか? まさか本当に……!?』
明日とか急すぎる。また代理を任命しなくちゃいけないな。
「無いですけど、急すぎるような……あっそうだ、母港で聞きたい事がありまして」
『一週間前から忠告していたはずなんだが? ひょっとして忘れてたのか? ──────聞きたい事? 何だ?』
言われて見ると、何だかそういう内線電話があったような……ヤンデレ測定の渦中で忘れていた。僕は母港内の大浴場に入れないバグを説明した。
『───ああ、恐らく防犯の為に機能している物だな。秘書艦がロックを解除できる権限を持っているんだ。2日後に私が監査でそっちに行くから、やり方を教えてやる。だから明日は休め。随伴艦も忘れるなよ?』
ブツッと電話が切れると、僕に悩みの種が生まれる。
「どうした? 随分と仲良さそうな奴だったな……既に女がいたのか!?」
「ううん、僕の上司だよ。明日休みを取れって」
「お前、随分急だな……」
「僕もすっかり忘れてたよ……」
さて、明日の引き継ぎを早急にやらないと。明日の秘書艦は、リットリオさんか。また彼女への仮が貯まっていく。問題は随伴艦なんだよなぁ。
僕ら指揮官が休みを取り、外出する際は防犯として随伴艦を最低一人付ける決まりとなっている。前回はエンタープライズさんだったけど、逆ナンされまくった僕にエンタープライズさんが嫉妬と怒りで誰も寄せ付けないオーラがヤバかった。ひょっとしたら彼女はコードGなのかもしれない。
「ちょっと、随伴艦を探してくるね……」
随伴艦にふさわしい人はたくさん居るんだけど、謹慎処分を喰らっている人を半分くらい居るので、それに困っていた。
「どうしよう……」
「どうした? 珍しく項垂れてるじゃないか。具合でも悪いのか?」
トボトボ母港内を歩いていると、背の高いKAN-SENの子が目の前にいた。
「ジョージアさん、こんばんは……実は急に明日、休みを取らなくちゃいけなくなったんだ。これから緊急会議を開いて、引き継ぎして、随伴艦も決めないと……」
「随伴艦? 指揮官が休むのに監視役がいるのかい?」
ジョージアさんは今ではユニオンの欠かせない主力となっているけど、着任してから三ヶ月も経ってないんだった。一番開発艦の建造が早かった記憶がある。
「運営側はそう言ってるけど、実際は防犯の為だと思う。何故か僕の同僚も見た目が幼い人が多いし……」
「へえ……ならば私が付き添い人になろう。指揮官の休日の過ごし方も気になるからな」
「良いの? 明後日も、朝から鉄血のイベント周回で出撃の予定があるけど……」
「言っただろ? あんたが居ればきっと面白い旅になるって。普段からちゃんと休みは貰ってるからそのくらいはお安い御用さ!」
ジョージアさんはこの母港では珍しく爽やかなお姉さんタイプの人だ。僕からしても有難い事なのだけど、ジョージアさんが良いのならいいのかな……。
「じゃあ、お願いします。ジョージアさん」
「じゃあ、指揮官! 今日は一日私がお守りするから、好きに行動してくれ!」
緊急会議では急な休みではあったものの、意外とあっさりと各陣営の代表の子は納得してくれた。随伴艦に関しても、『ジョージアなら……』と信頼を得るくらいだった……『あ』のつく、一部の重桜の重巡と空母は悔しさで涙が一杯だった。
「とりあえず、この国内線で東京に行くよ。母港に無いものばかりだから楽しみにね!」
国内線の飛行機内でゆったりする僕たち。こんなに安心できる旅は久々だ。エンタープライズさんは機内食のレモンが怖くて、僕の手を握り締めすぎていたし。過去の杞憂を回想していると、ジョージアさんに頭を撫でられた。
「母港の事はあいつらに任せて、指揮官は存分に遊びな!」
ジョージアさんのクシャっとした笑顔に、僕も自然と笑顔になる。良いなぁ、この旅。
「はは、お言葉に甘えて……ん? 明石さんからメールが……」
『指揮官! 旅は満喫かにゃ? 明石はメンテナンスで忙しいのにゃ〜何でも良いからお土産買ってきてにゃ。指揮官が行く場所なんてあそこにゃ? フィギュアでもタペストリーでも良いのにゃ! あと、ヤンデレ測定のアプリが出来たからダウンロードURLを貼っておくにゃ。ほんじゃ、さようなら〜』
明石さんのテクノロジーが斜め上に発展していく。ジョージアさんを測れってことか……。タイミングをみて測ろう。
「明石からかい? メンテナンスで助けてもらってるから買ってってあげるんだろ? 私も仲間に買ってあげようかな」
「うん。ロシアさんやリットリオさんに?」
「おお、よく分かったな。サロンでよく遊んでいるからな」
「なんか不思議な遊びをしているよね」
「不思議……? 将チェス棋は三人でやるものだろ?」
「なにその遊び!? 混ざりに混ざってカオスになってるよ!?」
今までと比べるとカオスの具合がすごく微笑ましい。でも、どうやって遊ぶんだろう……?
「ほぉ、ここが指揮官がよく行く所かい?」
「うん。秋葉◯だよ」
到着したのは、一時期オタクの街として有名になった秋◯原だ。今はアニメ、ゲーム系が一般的に広まってきた為、カフェに行く人やビジネスマン、より一層世間に馴染んだ街になった。今でも機械系のお店はご健在だ。僕もゲームのメモリースティックを格安大容量の物を買って、お世話になった。
僕たちが◯葉原、通称アキバの駅を降りると何だか僕たちに視線が集まる。
『何だあのお姉さん!? 背が高くて美人でスタイル抜群!? エッッッッッッッ』
『まるでWOWsのジョージアみたいだぁ……』
『隣の人は明らかにショタ。これはおねショタでは!?』
『この後、無茶苦茶スるんだろうなぁ……少子化万歳!』
「なあ、指揮官……私達は有名人だったりするのかい?」
「色んな意味でね……」
「へえ、だけど見たことが無いものばかりだな。やけにクレーンゲームのお店が多いんだな」
既に駅前に一店舗あるのに、少し歩いて歩行者天国通路に行けば、ゲーセンだらけである。これだけあっても、景品に違いがあるので新しいものから少しレアな景品まで品揃えは抜群だ。
「実は並んでいる商品は同じでは無くてね。お店は同じでも違いが楽しめるよ! まず、この建物に行くよ〜」
僕が指定したのは、同じく駅前にある、ラジ◯会館だ。ここのフィギュアやグッズの品揃えがハンパない。4〜5年前に放送が終わったアニメのフィギュアなんてネット以外に売ってないと思ってたけど、普通に売っていたくらいだ。
「ここか。入り口の前にも色んなグッズが売ってるんだな。抱き枕なんて買う人がいるのかい?」
「いるんだよ……しかもモノによっては5分で売り切れたんだ」
「需要があるんだねぇ……」
噂によればダンケルクさんの抱き枕が速攻で売り切れたかなんとか……。
「お待たせ! 買う用事を済ませてきたよ」
僕が欲しかった同人誌やグッズと明石さん向けのグッズを購入して、お店を出る。ジョージアさんはプラモデルのお店で軍艦模型をしばし眺めていた。
「私も建造されていれば、ここに並んでいたかと思うと感慨深くてね。しっかし、本当に精密に再現されているんだな」
確かにジョージアさんは計画艦なので、実際には存在していないんだけど不思議と命を貰っている。細かに再現されているため、組み立てるのにはかなりの集中力が必要だ。
「ひょっとしたらジョージアさんも、どこかの会社が、いつかプラモデルで再現してくれるかもしれないよ」
「……もしかして慰めてくれるのかい? 優しいねぇ」
悲しんでいるつもりじゃないけど、と笑って僕の頭を撫でた。
「さて、まだまだ行くんだろ? 次はどこだい?」
「うん、すぐそこのゲームショップに」
ラジ◯会館を出て、橋下の信号を渡る。そこにあるのはソ◯マップだ。ここで明石さんに頼まれたゲームの予約をしに行く。
「この近くはメイド隊が多いんだね。ロイヤルの人達はここでも働いているのか」
「この人達は普通の一般の人だよ。メイド服が制服なんだ」
「そして道端で呼び込みをしているって訳か……って凄い数だな。1メートルおきにいるんじゃないか?」
「いわゆるメイドカフェの呼び込みなんだけど、ブームが広がって行く人が増えたみたいだよ」
せっかく来たし、メイドカフェに寄ってみようかな。
「いらっしゃいませー! ご主人様! お嬢様! 何名様ですかー?」
「二名です」
「うお、熱い出迎えだ」
「ご指名のメイドは「あっ! ダンナ様〜! やっと来てくれた〜! さ、座って座って!」」
受付のメイドさんに割って入ってきたのは、ここのナンバーワンメイドのチェシャにゃんさんだ。ネコ耳と愛くるしい接客が人気のメイドさんで、以前、僕がエンタープライズさんと来た時に何故か気に入られた。
「もー! ダンナ様〜待ちくたびれたよー? 何にする? いつもの?」
「うん、いつもの水分補給コースでお願いします」
いつものとは言うけど僕は二桁も通っていない。水分補給コースとはレモン水に、メイドさんがおまじないをしながら上から塩を振りまくコースだ。今日みたいに暑い日は凄い助かるメニューだ。
「指揮官、あのメイドさんに好かれてるくらい通っているみたいだな? 指揮官はああいう子が好みなのかい?」
ジョージアさんがちょいワルに笑いながら僕をからかう。ここで僕に嫉妬しないあたり、この反応が普通なのかもしれない。よく考えたら女性の部下とメイドカフェ行くってどうなんだろう……。
そうだ。ここでヤンデレ度を測ってみよう。
ジョージア→指揮官
ヤンデレ度:38
「そこそこかな……」
「ふぅーん……母港でもやってもらったらどうだ? 案外ノリノリなKAN-SENは多いと思うぞ?」
ええ……そんな人いるかな。ロイヤル寮とかすでにメイドカフェっぽいしね。
「お待たせー! ダンナ様〜! 早く写真とろーよー!!」
飲み物を運んできたチェシャにゃんさんが、テーブルに置くなり、僕に抱きつき自撮りのようにお店用のカメラを向ける。チェシャにゃんさんって結構スタイル良いのに、胸元めちゃくちゃ開いてるんだよね……てかよくその服装許されたね。
「……ははは! メイドカフェは面白いな! 私とも一緒に撮ってくれるかい?」
初めてのメイドカフェを楽しむジョージアさん。でも一瞬、表情が曇ったような……。
「今日は違うお姉さんなんだねー! もちろんだよー! じゃあおまじないの塩をかけるよー!」
「おまじないの塩?」
「うん、メイドさんがその飲み物に塩を入れてくれるパフォーマンスがあるんだ。合言葉は『ヌスレットのしおー!』だよ」
「ヌスレット……? 変わった合言葉だな」
「じゃあ準備できたー? いくよー! 合言葉はー!?」
「「「ヌスレットのしおー!」」」
メイドさんが肘と手首を曲げて、片腕がネコのポーズのようにすると体を半身にして、指先からパラパラと塩を振りまく。他のメイドさんだと多少はグラスからはみ出ちゃうんだけど、チェシャにゃんさんはまるで一本の線のように、綺麗に塩が落ちる。人気な理由が、こういうセンスもあるのかと実感させられた。
「ほらほらダンナ様ぁ〜! こっち向いてー! はいポーズ! もーずっと待ってたんだからねー!? 次もちゃんと来てよ〜?」
「あはは、機会があればまた来ますよ」
「ほら、おねー様も撮ろー! はいポーズ! 次はダンナ様と三人で! はい! じゃあごゆっくりにゃ〜!」
「パワフルなメイドさんだな。いつかウチにも来るかもしれないな」
「さらに賑やかになりそうだね」
『……いいなぁ。チェシャにゃんさんと写真なんて滅多に無いのに……俺何十万使ったかな……』
『しかもあんなにスキンシップまで……仕方ない……相手は美男美女のカップルで、彼女さんかなり美人だし、片方はショタだぞ……俺らに勝ち目ねぇよ……』
『俺だってあんなに可愛かったんだぞ!!! ……昔は』
『誰だってな……』
「……なあ、指揮官。私達は写真撮ってもらって良かったのか?」
周りの客の会話が僕らの耳に入り、ジョージアさんが改めて不安そうに僕に聞く。
「大丈夫じゃないかな……多分」
では改めて飲み物を飲む。
「結構塩を入れていたからしょっぱいかと思ったけど、美味しいな」
「そうなんだよ。今日みたいに暑い日はちょうど良いんだ。コーラと桃だけじゃ水分補給にならないからね〜」
「お? 言ったな〜こいつ〜! うりうり〜」
僕が軽くからかうと、頭をくしゃっとさせられた。
「ダンナ様〜! 写真ができたよー、ってああー! ダンナ様をいじめちゃダメー!」
またもやチェシャにゃんさんが割って入ってきた。
「別にただの会話ですよ? あ、写真ありがとうございます」
「チェシャにゃんとダンナ様は将来結婚するんだから! 誰にも渡さないよ!」
とんでもない爆弾発言に、ポップな店内の雰囲気は一気に緊張が走る。まだ出会って数回なんですが。
「……可愛いねぇ、お嬢さん。その愛の装甲、これを見ても保てるかな?」
そう言ってジョージアさんは自分の左手の甲をこちらに向ける。
「……!? えっ!? そ、そんな!!」
チェシャにゃんさんが狼狽えるから何事かと思ったら、薬指に指輪があった……あれ!? ジョージアさんに渡したっけ?
「うぐぐぐぐぐ……!! でも、絶対に諦めないんだからぁぁぁぁ!!! うわぁぁぁぁん!!!」
既婚者? と分かるとチェシャにゃんさんは泣きながらバックルームに走って行ってしまった。
「さて、指揮官。飲み物も飲んだし、そろそろ出ようか」
「う、うん」
お会計をしに受付にいく。
「ヌスレットのしおコースが2点で───円になりま〜す。それにしてもご主人様はラッキーでしたね〜! あのナンバーワンメイドは気まぐれだから写真なんて滅多に撮れませんよー? 中には、振り向いてもらうために100万使ったご主人様もいるとか……」
「凄いですね……メイドカフェって……」
「はは! これもラブパワーですから! ご主人様とお姉様のラブラブを見せて貰って、こちらも満足です! またお越し下さいませ〜!」
お会計を済まして外に出た。
「指揮官、ありがとうな。私の分まで払ってくれて」
「いえいえ、付き添ってくれてるんだからお安い事だよ。ジョージアさんの指輪って……」
「ん? ああ、これは私のアクセサリーを指に巻いただけだよ。あのお嬢さんには洞察力がまだまだ必要だな〜」
身に付けていたアクセサリーを外して、先ほどの指輪を再現して僕に見せてくれた。ジョージアさんの方が一枚上手ということか。
「指揮官は私と結婚しても良いと思ってくれるかい? それともああいう可愛い少女が好み?」
ジョージアさんは真剣な目で僕に問う。タイプで言えば全く正反対の二人。ただ、どちらか選べと言われて即答できるような好みは持ち合わせていない。どちらも魅力あるお姉さんと女の子だし。
「えっと……その……」
「……っふふ。指揮官は面白いなあ! さっきからかったお返しだよ♪」
背中をポンと叩かれて、ハッと我に帰る。ああ、ジョークか。
「さて、次も行くんだろ? 次はどこだい?」
「うん、次はね───」
「また、ここも人が多いねぇ。眠らない街と言われるだけあるな」
「そうそう。いつも何かしらのイベントをやってる気がするんだ」
次に来たのは、ニュースでも日本の都心部としてよく紹介される、忠犬の像や1◯9の建物が有名な渋◯。別名、眠らない街だ。
『え!? あんなモデル体系の人存在するの!? トーキョーガールズ◯レクションとか注目の的でしょ!!』
『隣の子可愛いー! 何かショタに目覚めそう……』
『あのお姉さん事務所所属してるかな……でもあんな人手放す訳ないし……』
「……何だかさっきとはまた違った注目を浴びているようだな。どこの」
「そうだね……あそこに行くよ」
「ふうん、洋服屋か」
着いたのはヒ◯リエの建物にある、be◯msだ。色々セレクトショップがあるので迷ったけど、ここに決めた。
「そうなんだ。リットリオさんの【仮り】を返すためにね」
「……リットリオに?」
「うん。色々お礼するために、『ある程度のオシャレな服を着てくれたまえ!』って言われてるんだ」
「ほぉ……そうかい。指揮官のセンス、見せてもらおうかな?」
「そんな期待する程じゃ……」
というわけで今の時期に合いそうな、白からオーシャンブルーにグラデーションのかかったポロシャツに、ネイビーのハーフパンツを買う。レジをすると定員さんのオススメでサングラスを勧めて貰ったのでついでに買う。買ってから思ったけどサングラスいるかな……僕が付けると動画配信者みたいに見えるんだよな。
「おっ、来たな……ふむ、中々爽やかそうじゃないか」
「そう? 普通かなと思ったけど」
「ねぇ、そこのお姉さん? モデルって興味ない?」
半袖の男性がジョージアさんに勧誘する。まあジョージアさんなら勧誘されてしまうだろうな。エンタープライズさんも勧誘されたけど、『人妻を勧誘するとは、あなたは変態か?』と超弩級のウソでお断りをした。僕はいつから夫になったのだろうか……。
「ん? 私かい?」
「そうそう! 絶対に天下取れるよ! お姉さん名前は?」
ジョージアさんは、うーん、と悩むフリをして僕を見ていた。彼女自身で断れるけど、僕に断って欲しいのかもしれない。言葉はどうあれ、エンタープライズさんのお断り文句を参考にしてみよう。
「……すいません。この人、お腹に子供が三人いるんで失礼します……」
ジョージアさんの手を引いて、勧誘から煙を巻く。
「あっ……指揮官」
「え!? お腹に三人も!? しかも夫婦なのか!? 体どうなってんの!?」
そのまま僕たちはマーク◯ティのレストランフロアに行き、ランチをとる。
「……指揮官? 随分なお断り文句じゃないかい? 流石の私でも驚いたよ?」
「うっ……それは」
そりゃあ、あの体系でお腹に子供が三人もいたら驚くよね……。
「まあ、巻いたから良いけどな。次はもうちょい別なモノにしてくれよ?」
ジト目で軽く注意をされただけで、口調は特に怒ってる訳では無かった。むしろ……。
「もしかして本当に三人も子供を作るかい? んん?」
「もう、からかわないでよ……」
「からかってないよ」
「え?」
「───え? あ……」
ジョージアさんの顔が少し赤くなる。余裕のあるお姉さんかと思っていたけど、こういう表情もするんだな。
「あ、そうだ。ジョージアさん、サングラス付けてみない? さっき買ってみたんだけど、僕じゃ似合わなくて……ジョージアさんなら似合うと思うんだ」
ゴソゴソとさっき買った袋からサングラスを取り出す。
「サングラス? ───ほお、どうだい?」
試しに付けて貰ったサングラスは、ハリウッドモデル並みに似合っていた。これほど似合う人はいないでしょう。
「凄い似合ってる! よかったら、僕からのプレゼントとして貰ってくれないかな……?」
「良いのかい? それならありがたく貰っておこうかな。これなら勧誘も防げるかもしれないしな!」
聞いた話だけど、本当にオーラのある人ってマスクとかサングラスしてても隠せないらしい。ジョージアさんもその限りだと思うんだけどなぁ……。
「今日はだいたい用事を済ませたから、あとは飛行機に乗って帰るだけだけど、ジョージアさんは何か買うもの見つかった?」
「そうだねえ、大体目星はついたよ。アクセサリーってどこで買える?」
「基本的にどこの洋服屋とかにもあるけど、じゃあ1◯9にしようか」
行き先が決まり、人が交差しまくるスクランブル交差点を渡り、目の前に見える大きな建物に着く。
「あれだよ。ほら、ビルの上に数字があるでしょ?」
「おお、これが───」
「ねえねえ、僕! お姉さん、道に迷っちゃって……ちょっと教えてくれるかな??」
ビルを指差して、ジョージアさんに教えてあげると、どこからか勧誘の声が聞こえる。キョロキョロしていると目の前にはウェーブのかかった黒髪のお姉さんがニッコリとしていた。ぱっと見、麦わら帽子を被った愛宕さんかと思った。
「え? 僕?」
「そうだよ! お姉さん、ここに行きたいんだけど、分かるかな?」
そのお姉さんは僕の横にしゃがんで、スマホを見せる。大きな胸が密着している上、胸元がパックリ開いている。スマホの画面を見せられているけど、どこだここ? 少なくとも渋◯じゃないぞ。お姉さんを横目で見ると、鼻息が荒く、何だか滅茶苦茶興奮している。この人愛宕さんじゃないよね?
「うーんと……すいません。この辺詳しくないんで分からないです」
「そうなのね!? じゃあすぐそこのカフェでお茶しない!? 暑いからホテルでも良いよ!? すぐそこの坂登ればすぐだからね!? ね!?」
凄い勢いで迫られた。てか道詳しいじゃん!? 普通はそこの場所にホテルなんて気付かないよ!? やばい、腕掴まれた。何でこんな力強いの!?
「だ、大丈夫です───」
「ははーん、あんた、私の標的になろうって魂胆か……? 私の恋人に手を出す度胸は認めても良いけどな」
そのお姉さんよりも頭一個分くらい背の高いジョージアさんが、僕を掴んでいる腕を軽々と振り払い、硬直を解いてくれる。さっきプレゼントしたサングラスをしている為か、マフィアの人みたいに雰囲気出てる。
「ちっ……女が居たか……」
そのお姉さんは、さっきのにこやかにしていた顔とは思えないくらい、ジョージアさんを睨んで、どこかへ行ってしまった。
「全く……指揮官も気をつけてな───!」
「あ、ありがとうね。ちょっと怖くて……」
反射的にジョージアさんに抱きついてしまった。何だろう。母港の人とはまた違った恐怖がある。
「ははは……よしよし……」
『なんだあのおっぱいのついたイケメンは!?』
『涙目の彼氏君可愛い……』
『お ね ショ タ 成立です!!!!! ありがとうございました!!!』
「……そろそろ行こうか。指揮官」
「うん……そうだね」
僕たちは目的地のショップに入って、ジョージアさんの用事を済ませた。
「なんだかんだで夕方になったな」
「そうだね。時間が経つのは早いね」
帰りの飛行機内で、ゆったりとしている僕たち。
「今日は護衛、ありがとうね。ジョージアさん」
「普段見れない世界を見れて、私も楽しむ事が出来たよ。こちらこそありがとう」
リクライニングチェアもあってか、何だか眠気がやってきた。物買って、ご飯食べたり、お茶しただけなのにこんなに充実するとは。
「ジョージアさんって、堂々と恋人って言えるって凄いね。僕だったら照れちゃって言えないよ……ふぁあ……」
さすがは大人のお姉さんの見本って感じがする。
「……はは。暑い中、今日はいっぱい歩いたからな。ゆっくり寝ておけ?」
「うん……そうするね……」
僕が眠りに落ちるまでまだ少し掛かる。
「わ、私だって、勇気出して言っているんだからな? 好きな人を前にして平常心でいる方が難しいんだぞ? 公共の場で子供を作る、なんてはしたない……! 暑さで頭をやられたか……それとも……。でも指揮官となら子供も……悪くないな」
「サングラスと私を守ってくれたお礼をしなきゃな──────っ」
「───っ……指揮官が寝ててくれて良かった……勇気を出してみたけど、顔が熱いよ……」
もしよければ良かった話を聞かせてください。
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