後でアーカイブ見直そうかな……。
私の作品が取り上げられてたら良いなあ。
それでは吾妻編、どうぞ。
『◯◯母港の指揮官が、無理矢理KAN-SENに痴漢! 現行犯で懲戒解雇!』
『××母港の指揮官がセクハラ疑惑で謹慎! 加害者は容疑を否認』
「うわぁ……とんでもないニュースだ」
監査も午後になるとあっさりと終わり、時間に余裕が出来たのでインターネットでニュースを見ていたら、まさにとんでもないニュースが目に入った。実際、自分以外のKAN-SENは皆女性であるため、こういった事件とは切っても切り離せない。僕の母港は何故か、僕に痴漢紛いの事をされてしまうけど。
「そうですわね〜中にはケッコンしているにも関わらず、全く手を出さない指揮官様もいらっしゃるようですよぉ〜?」
後ろから甘い声と共に抱きつかれた。これは大鳳さんだな。
「……仕事上なら良いんじゃないかな」
「プライベートなら宜しいのですね?」
「うぐぐ……大鳳さん、胸を押し付けないで……ん?」
重力に負けて上半身を前に傾けると、一枚の書類が目に入った。
『上記の事件が多発しているため、KAN-SEN痴漢防止の教習会を開く事を命ずる。
0/1 KAN-SENと教習会を開こう!』
上と下の文章のフランク差が激しすぎる。まあ、身を守るという意味で教習会を開くのは悪くないと思う。午後は暇だし、皆んなに教習会に出てもらおう。早速、テキストを作ろうと大鳳さんを呼ぼうとしたら、
「指揮官様ぁ〜運営から発信された講習用のプリントを印刷しました。ご確認くださいまし〜」
「ありがとう、大鳳さん」
仕事が早すぎてこの上なく嬉しい。ひょっとして僕の行動パターン把握されてる? な訳ないか。
大体、大鳳さんのまとめてくれたテキストに目を通したので、これを元に使おう。
「───母港の方々にご連絡です。大講堂に集合して下さい」
「指揮官様ぁ〜! ひょっとしたら大講堂で赤城とヤるおつもりですのね!? 見せつけてやりますわぁ〜!」
「姉様……それはただの変態です……しかし、何の用事で集まらせたのか」
「大講堂に集まる程の何かが始まるのか。まさか、結婚報告か!?」
「ウェールズ、早とちりするでない。きっと業務だろう」
「モナーク、パンツを脱ごうとするなよ?」
「うふふ、ジョージ達と講習できるなんて楽しみだわ!」
「難しい任務でもあるのかしら? 私もお手伝いしますよ」
「あはは、ありがとうね。吾妻さん。ただの教習会なのに……何で皆、水着とか露出の多い服を着ているんだろう……」
「あの害虫どもめ……指揮官様には手を出させませんわ!」
積極的に参加してくれるのは嬉しいんだけど、目まではギラギラしなくても良いんだよ? ひと通り、みんなが席に座ったのを確認したところで、教習会を始めることにした。
「あー皆さん、急なお集まりありがとうございます。今回お話しするテーマは『痴漢、セクハラ』です」
「指揮官は痴漢プレイが好きなのね!? お姉さん頑張っちゃう! 電車? 図書館? それとも体育館かしら!?」
「確かに指揮官は【いつも】無防備な隼鷹が好きだものね? オサナナジミだもの」
「指揮官は鈴谷に痴漢をしてみたいのですよね? 全部分かっていますから……やだ、下着がびしょびしょだわ……」
何故か大衆からは歓喜の声が上がっている。まるで新作ゲームの発表みたいに。僕、セリフ間違えたかな。
「お静かに!! どうしてあなた達はすぐに発情するんですか……ったく。数分の講習の後に、実際に痴漢から身を守る技術を習得していただきますの」
進行役の大鳳さんがぷんすか言いながらも話を進めてくれた。ありがたいけど、自室の鍵をピッキングするのはやめてね?
再び、進行用のテキストを読みなおす。
「実際に、他の母港で痴漢が多発しているんだそうです。これは僕に言えることだけど、指揮官の権限を使って、強制的にセクハラをしてはいけません。大事なのはちゃんと声に出して抵抗することです。では、KAN-SENに痴漢をして抵抗できるか確かめてもらいましょう──────うん!? 何これ!?」
よく見たらKAN-SENに痴漢を───辺りから手書きだ!? 誰が書いたんだろう……。大鳳さん、何でニヤついているんだ。
「どうした、しないのか? 実際に実践した方が、大勢には分かりやすいであろう? このキングジョージ5世を好きに使うが良い」
「「「「ジョージ!?」」」」
ジョージさんが率先して名乗り出てくれたけど、僕、訴えられても仕方ない状況だよ。
「安心したまえ。少なくともこの母港で、指揮官の事を訴える者はいない。さあ、時間は待ってくれないぞ。始めようではないか」
ジョージさんは壇上に上がり、僕に背を向けて、無防備である事を証明した。なんでこんなに堂々としているのだろう。少なくともジョージさんにセクハラしようなんて考える人はいないな。
「私は痴漢するに値しないか? ここまで来て、恥をかかせる指揮官ではなかろう?」
ジョージさんは美人だし、スタイル良い。確かにここで引けば、ジョージさんのメンツを悪くしてしまう。決心して、ジョージさんに触ることにした。
「…………おや? いつもの豪胆っぷりはどうした? 痴漢というのは肩を掴む事か?」
逆に怒られてしまった。痴漢しないで怒られるとか初めて聞いたよ? 今度こそ……!
「……んっ、太ももだと……。『あなたが痴漢か? 事務所まで連行願おうか!』」
お尻を触るのは勇気がいるので、太ももの後ろを触った。どちらも犯罪臭がやばいけど。ジョージさんは演技が掛かった声で、僕の腕を掴み、抵抗する素振りを見せた。大衆からは拍手があがる。
「ウェールズたちが貴方に熱を持つ理由が分かるぞ。どうやら私までその虜になってしまったようだ、ははは!」
「ありがとうね。ジョージさん……あれ? こんな所に水溜りが……」
「どうということは無い。また私を頼ってくれ」
拍手と共にジョージさんが壇上から降りた。次の準備までに床を拭いておこう。
「ハウ、ティッシュをくれるか?」
「いいけど、どうしたの?」
「久々に汗をかいたんだ、ふふふ」
「? そうなのね」
「「「敵が増えたか……」」」
「……キングジョージ5世さんありがとうございます。もう少し、実践してもらいましょう、指揮官様。次は、明石ちゃん?」
ウェールズさん、ヨークさん、モナークさんから殺気が出ているのを尻目に、明石さんがズバンと袖を高く上げた。珍しいな。
「明石がやるにゃ! 痴漢は大人だけでなく子供にもやるからにゃ! それを防止するのにゃ!」
「そうだね。じゃあ明石さん、お願いね」
「え〜、今度は子供相手を想定して実践お願いしますわ。明石ちゃんは子供なのかしら……?」
背丈は僕とそんなに変わらないけど、確かに子供なのだろうかと疑問はある。
「明石はスマホをいじっているから、指揮官は遠慮なくやってくれにゃ〜」
明石さんは僕に背を向けたままスマホをいじり出して、無防備を晒す。だから堂々としすぎでは?
「……指揮官、どこ触ってるにゃ〜そこはスカートなのにゃ〜」
「あれ!? ああ、ここか」
思ったよりも場所が違かったので、少し手探りする。
「んにゃっ。『通報されたくなければ、ダイヤを寄越せにゃ。または防犯ブザーを鳴らすにゃ!』」
明石さんの演技に拍手が起こる。ダイヤを強要するって指揮官相手限定すぎるでしょ。
「そうですわぁ。子供が大人相手に抵抗するのは怖いと思いますので、防犯ブザーを鳴らすのは効果的です〜。最後は、このお淑やかな大鳳が───んん……?」
大鳳さんが目を凝らす先に、控えめに手が上がったのは、意外な人物。大鳳さんよりもお淑やかな吾妻さんだった。
意外な立候補に大衆もどよめいた。
「吾妻さん、壇上までお願いできる?」
KAN-SENの性能は、あのローンさんよりも硬い耐久力を持ち、主力に負けない頑丈さを備える。だが、普段はお淑やかに歩く吾妻さんは、気品を持ちながらも、絶対に揺るがない歩みでこちらへ向かってきた。
「指揮官、私はカンレキが無くて、実は痴漢とかが想像できていないんです」
申し訳なさそうに吾妻さんの耳? がペタンと下がる。カンレキはよく分からないけど、痴漢もカンレキに入るの?
「痴漢は女性にとっては良くない事だと分かるのですが……指揮官、教えてください!」
吾妻さんは後ろを向くと、僕に遠近法を間違えているのかというくらいの大きなお尻を突き出した。耳を赤く染めて。
「吾妻……後輩キャラだとは思っていたけど、巨乳、太もも、デカ尻の後輩キャラ!? お姉さんよりも属性盛り沢山じゃない!」
「私もお尻には自信があるが、あれほど形の良いモノでは……くっ! 王家と引き換えにお尻が大きくならないだろうか」
「さすが超甲巡洋艦にゃ〜初代尻タッチの貫禄は伊達じゃないにゃ〜」
ガヤの騒がしさと共に、吾妻さんの羞恥による震えが大きくなっていく。
「吾妻さん……ちゃんと声を出すんだよ?」
「はい……っ! んっ……あっ……」
なんと。僕の手のひらよりも大きい、吾妻さんのお尻は形、柔らかさが芸術的で、僕の手が吸い込まれそうな程にくい込んだ。ただ単に撫でているだけなのに!
「ほら、こういう時は何て言うんだっけ?」
「やっ……んぁっ! ……指揮官……! あんっ……」
もじもじする吾妻さんが内股になるせいで余計にこちらにお尻を強調しだした。こちらとしてはそろそろ抵抗するセリフを言って欲しいんだけど……ん? 明石さんがタブレットを掲げて……もしかして。
吾妻→指揮官
ヤンデレ度:39
「うっ、頭に数字が……!」
「ひゃっ!? ……んっ」
頭に数字が刻まれた衝撃で、お尻を掴んでしまった。何だかギャラリーも静まり返って……? 何で皆、両腕を股の間に?
「ほら、吾妻さん。言って良いんだよ?」
「イッて良い!? はい! 鈴谷はもうイッてます! ───っ!!」
「や、やめ……ないで……」
「そこは断ろう!?」
「……はい、指揮官様ぁ。この辺にしておきましょうか〜。中には吾妻さんのように中々、言いにくい状況である事がありますの。それでも勇気を持って声を出しましょう。はい、閉廷!」
ちょっとグダリそうな所を大鳳さんが助け舟を出してくれて、幕を閉じた。力が抜けたのか、へたり込む吾妻さんに手を貸した。
「あ、ありがとうございます。指揮官の痴漢は恐ろしいですね……」
「僕はしないからね!?」
「「「「「「……これがAV(Admiral Video)か……」」」」」」
ここに来ていたKAN-SENは満場一致で呟いた。
「ふむ……また開いて欲しいものだ」
「グラーフ、まずは洪水のような股の液体を拭いてくれるかしら。隣の私の足元まで来てるわ」
「すまないティルピッツ。後で一緒に下着を変えにいこう」
教習会が終わると一斉にトイレに駆け込むKAN-SENが大勢いたとか。
教習会が終わり、執務室に戻った僕と大鳳さん。大鳳さんがブツブツと何か呟いている。
「折角の指揮官様に大鳳の体の全てを弄って貰えるチャンスだったのに……勝負下着や道具一式も用意したのに……ぶつぶつ」
ヤンデレ化とはまた別のハイライトが消えた目で爪をガジガジ噛んでいた。
「大鳳さん、ありがとうね。進行役が大鳳さんで助かったよ」
ぽん、と頭を撫でる。
「ぼへえぇぇぇ! ……でも指揮官様ぁ? 他の子のお尻に夢中でしたよね? そうですよねぇ……?」
ハイライトが消えているのに瞳孔が小さくなって、息を荒げる大鳳さんはやべー奴そのものだった。今、執務室には以前のようにグロスターさんがいないし二人きりである。重装甲空母から僕は逃げ切れるだろうか、だがそんな考えは杞憂で、扉が開かれた。
「指揮官? 失礼します。ちょっとお願いが……」
「吾妻さん? どうしたの?」
「指揮官様との間を邪魔する奴は壊れてしまえばいいのに! あははははは!」
大鳳さんの言う、他の子が来た事でブレーキが外れた彼女は艦載機を飛ばした。執務室こわれる!
「これで害虫は──────あれ?」
「きゃっ……大鳳さん、ここで艦載機はダメですよ?」
艦載機を全部撃ち落とせるほどの対空は無いが、耐久が主力並みの吾妻さんはケロッとしていた。僕も大鳳さんもあんぐり、としていた。
「たいほーう! サプラーイズ!!! あそぼー!! やっほー、指揮官、吾妻さん!」
吾妻さんの後に来たKAN-SENは、大鳳さんとカンレキがあるアルバコアちゃんだ。まぁ彼女が来たと言うことは、大鳳さんは……。
「「立ったまま気絶してる……」」
「もー! また大鳳気絶しちゃってー! ちょっと生き返らせてくるねー! バイバーイ!」
アルバコアちゃんは大鳳さんを軽快に運び出して去っていった。まるで嵐のようだ。
「───それで、吾妻さん。お願いって?」
吾妻さんは普段、そういった相談をしないので余程の事があるのだろうかと思った。
「はい、指揮官って痴女対策ってしてるんですか……?」
「…………ん? 痴女?」
吾妻さんの口から【痴女】というワードを聞くとは思わなかった。
「指揮官は、よく大人の女性に狙われると聞いたので。主に愛宕さん、大鳳さん、鈴谷さん、隼鷹さん、赤城さん、加賀さんですけども……」
見事な重桜編成。あながち間違っていない。
「対策もなにもしていないけど、何かあるの?」
彼女達に何ができるのだろうか。
「それは、相互痴漢です」
「吾妻さん……誰かに言わされたりしていない? 悩みがあるなら相談乗るよ?」
「私は本気です! 例えばですけど、指揮官が赤城さんと話している時、愛宕さんや隼鷹さんはどんな表情をしていますか?」
「割と二人とも嫉妬と強奪と欲情を考えていそうな顔をしているね」
「じゃあ、先程の痴漢対策講座で、指揮官と私が演習している時はどんな表情でしたか?」
「あっ……」
実は吾妻さんとの相手の時、赤城さんや愛宕さんは嫉妬の表情はあったものの、それ以上に諦めの感情も見えた。鈴谷さんや隼鷹さんなどの同業者ならば、いつも通りのハイライトOFFの襲撃があったけど、今回は吾妻さんだから話が変わってくるのか、態度が変わった。吾妻さんの人柄か、あまり乱暴には出来ないか。
「けど、効果あるのかなぁ……」
一部のKAN-SENに火に油を注ぎそうだけど。
「まずはここでやりましょう」
吾妻さんに案内されたのは食堂だ。今はピークを過ぎて閑散としている。人も指折りくらいしかいない。
僕と吾妻さんは隣同士に座っているが、近すぎる。どのくらいかといえば、吾妻さんの太ももが僕に密着して形を変えているくらいだ。
「指揮官、私の太ももを触ってください。多少、強くても構いませんよ」
吾妻さんが何を考えているのか全然分からないよ……人が少ないとはいえ、こんな広くガランとしている所で二人だけ隣同士とか、注目の的すぎるぞ。
「んっ……やはり指揮官の手は温かいですね。愛宕さんが発情するのも納得です」
机の下で吾妻さんの立派にふっくらした太ももを撫でる。多少は声を漏らしているがまだまだ序の口のようだ。
「あっ! 指揮官! そんな所で何をしているの?」
「───!?」
太ももに夢中で危機感が薄れたのか、後ろから声を掛けられた事でビックリしてしまった。
「あ、あぁ。ハウさん、おつかれさま」
「ハウさん、こんにちは。指揮官は任務を、んっ、しているんですよ」
ハウさんがここに来た事は意外だったが、それはまあいい。それよりも吾妻さんが僕の手を取り、自分の太ももを撫でさせられている事も想定外だった。艶かしい声を挟まないで!
「……? よくは分からないけど、クッキーを焼いてきたの! 二人とも食べて!」
僕と吾妻さんが密着しているから、後ろから見ているハウさんには太ももを撫でているのが見えていないのが幸いだ。ハウさんはお裾分けのクッキーを渡すため、僕達の真向かいに座った。
「……(今度は私が触りますね。ハウさんに怪しまれないように、ね?)」
「───っ!?」
「どうしたの……指揮官? 具合悪いの?」
「う、ううん! ぜ、全然大丈夫だよっ! っ!」
「本当……? それなら良いけど。無理しちゃダメよ? また眠っちゃうかもしれないわよ?」
「そうですよ、指揮官。私の膝枕で休みましょ?」
「あはは……吾妻さんは冗談が面白いな───アッ!?」
「指揮官……? ジョージやウェールズを呼ぶ?」
「だ、だ、大丈夫大丈夫! あははははは……」
吾妻さんに太ももを触られていると思ったら、僕の股の方に手を伸ばされてしまい、声を荒げてしまった。
「指揮官、体調悪かったら言うのよ〜?」
ハウさんのクッキーを頂いて、ハウさんとは分かれた。
「吾妻さん……」
「ふふふ、相手がハウさんで良かったですね。次は赤城さん達の前でやりましょうか」
ひょっとしたら吾妻さんに寝首を狩られるような事をしてしまったのか。
「……僕、まだ死にたくないよ!?」
「赤城さんたちは、重桜の演習が終わってこちらに来ると思います。ここの木の茂み辺りでやりましょう」
僕は木に手をついて、吾妻さんに指示されたポーズをする。
「このポーズに何が───!?」
お尻を触られました。先程の教習会のお返しなのだろうか、柔らかい手つきで舐め回すように撫でられた。
「如何ですか? 少なくとも重桜の皆さんはこういう事をしたいと思っておりますよ?」
「くぅ……!! 赤城さんと加賀さん!?」
横目で見たら、演習を終えた二人がこちらに向かってきた。まだこちらには気付いていないから、隠れようとするが、
「指揮官はこのまま、ですよ?」
女性とは思えないようなパワーで僕の左手首を掴んだ。前には木が、後ろには密着した吾妻さんのせいで逃げられなくなってしまった。
「このままだと吾妻さんも艦載機に焼かれちゃうよ!?」
「大丈夫ですよ、ほら」
双方の視線がぶつかると、加賀さんは僕を見るなり、ため息と赤城さんを宥める準備へと入った。ここまではまぁ、見慣れているのだけど……。
「あっ! 指揮官さまぁ───!! ……っ、行くわよ、加賀」
吾妻さんを見るなり、僕らとは別の方向へ歩いていった。
「ねえさま、良いのですか?」
「いいから! ほら!」
「は、はぁ……」
赤城さんは、吾妻さんを見ると顔を逸らし、加賀さんの手を引いて去っていった。どういう事?
「吾妻さん、どうして?」
「どうしてって、【私だから】ですよ」
ますます分からない。人柄?
「指揮官はダイドーさんとシリアスさん、同じミスをした二人に、同じように、戸惑い無く注意できますか?」
急に哲学を感じた。シリアスさんならば、まあ【またか】と思うからすんなり言えるけど、普段優秀なダイドーさんだけど、そういう事もあるだろう、【仕方ない】と思いつつも注意するだろう。もしそんな事があるならダイドーさんに注意しずらいなぁ……。
「それは……」
「そういう事ですよ、ふふふ」
赤城さんから見た愛宕さんや鈴谷さん、隼鷹さんは同族に近いから怒れるけど、吾妻さんの人柄じゃ怒りにくいもんなぁ……。ウェールズさんやモナークさんなら陣営関係なく言いそうだけども。
「吾妻さんって、結構やり手───っ!! 股の方に手が伸びてるよ!?」
「伸ばしているんですよ?」
「あっ! おいテメェ! 指揮官に何青KANしてやがる!」
「ワシントン、表現が低俗すぎるぞ……まぁ思う事は同じだけれども。重桜の吾妻、だな? 何をしているか話をしてもらおうか」
声がする方に目を向けると、ワシントンさんとサウスダコタさんが吾妻さんの事を睨む。流石にこの二人には通じなさそうだけどもなぁ。
「指揮官と痴漢演習をしているんですよ。お二人もやりますか?」
「やりてぇ……(おい! ふざけんな!)」
「君は発情した猿か……? 度が過ぎているように見えるんだが? その手を離してもらおうか─────っ!?」
「何してんだよ、サウスダコタ。おら! 指揮官から離れやがれ……!! こいつ、固ぇ……!?」
サウスダコタさんとワシントンさんが吾妻さんを引っ剥がそうとするが、超甲巡のパワーは伊達じゃなかった。戦艦二人に持ち堪える前衛KAN-SENって何なんだ……。
「どうしましたか? 指揮官との演習の途中なのですが……っ」
「まだ触るの!?」
ようやく吾妻さんと分離されたけど、その間もお尻を触られた。ユニオンの戦艦二人と重桜の超甲巡は向かい合う。
「さっきの教習会とは態度が違うじゃねえか。大人しい奴と思っていたが、お前も重桜のやべー奴らじゃねえか! ええ?」
「指揮官の様子を見る限りじゃ、君が発端らしいね? ちょっと演習場に来てもらおうか」
ワシントンさんとサウスダコタさんはかなりお怒りのようだ。
「構いませんよ? 指揮官、演習場を貸して頂けませんか?」
「う、うん。それは大丈夫だけど……」
「へっ! 随分と余裕ぶっこいてんな! あぁ?」
それに対して吾妻さんはいつも通りのお淑やかな姿勢だ。戦艦二人に臆しないとか……。オラついているユニオンの二人は、大人しい吾妻さんを挟むように、演習場へと向かっていった。側から見たらカツアゲだし、不安な要素しかないんだけど……。
「皆で頑張った結果よ。私はその中のひとりでしかないわ♫」
「さて、次は指揮官と何をしようかしら……ふふふ」
僕はこっそりと物陰から修理班を呼んだ。
「修理二人分、お願いします……」