【アズールレーン】ヤンデレ測定器   作:そうすけ

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赤城編

 「指揮官はもうちょっと危機感を持つにゃ! 練度115のモナークの弾幕なんか喰らったら塵すら残らないにゃ!?」

 

ロイヤル寮から走って来た僕と明石さんはそのままの成り行きで重桜の寮に来てきた。準備運動無しで走って疲れたので、二人で近くの椅子に座って呼吸を整えている。

 

「え〜? モナークさんいつもあんな感じだよ?」  

 

「いつもなのかにゃ!? 指揮官はどうかしてるにゃ!?」

 

今回は主砲を撃たれるとは思ってなかったけど。

 

「喉乾いたから飲み物買ってくるよ。明石さんは何がいい?」

 

「指揮官は太っ腹にゃー! じゃあ、コーラオイルスペシャルにゃ! 

くれぐれも明石のいないところでヤンデレ測定したらダメにゃ! 指揮官は危機感がなさ過ぎからにゃ!」

 

近くにある重桜の食堂は、お昼時間を過ぎているので厨房の食器がぶつかる音が鮮明に聞こえるくらい人がいない。そもそもコーラオイルスペシャルって何だろう。コーラなのかオイルなのか。飲んだことが無いのでピンと来ないや。おや……? 一人用のカウンター席に珍しいKAN-SENの子がいる。

 

「お疲れ様。今日は重桜空母の訓練だったんだっけ? 加賀さん」

 

綺麗な白い髪と耳、そして大きな狐の尻尾がクルッと180度回転すると、呼ばれた人物は僕の方を向いた。小さな口にたい焼きを咥えながら。

 

「お前か、指揮官。あぁ、後輩に分からない所があったから教えていたら、遅くなってしまった。お前こそどうしたんだ? 何用だ?」

 

僕はコーラオイルスペシャルを探していることを加賀さんに伝えたら、オエッとかなりオーバーリアクションをとられた。

 

「お前……そんなゲテモノ飲むのか? ついに頭でもおかしくなったのか??」

 

そんなにやばいモノなのか。僕の頭は正常だ。

 

「教えてやらない事もないが、暫し、私がたい焼きを食べ終わるまで付き合え」

 

その交換条件を元に、僕は五分ほど加賀さんと他愛ない世間話をした。

その時に加賀さんに、加賀さんって何か食べてる姿も可愛いねって言ったら顔を真っ赤にして肩パンされた。凄い痛い。

 

場所を教えて貰ったので、そこに向かうとする。さっきまで僕と明石さんが座っていた場所の近くだった。その自販機に向かい、コーラオイルスペシャルのボタンに手を伸ばすと、そのボタンの直前で僕とは別の細くてしなやかな手が触れた。

 

「あら、ごめんなさい……ししし指揮官様ぁ!? こんな所で出会えるなんて運命ですわ〜!!!!」

 

僕を見るなり、両手を頬に当てて恍惚な表情をしている赤城さんに出会した。

 

「こんにちは、赤城さん。重桜空母の訓練お疲れ様」

 

「指揮官様に労って貰えるなんて……幸せで胸が張り裂けそうですわぁ〜。ええ、あの子たちもまだまだ鍛え甲斐がありそうですわ。指揮官様もこのコーラオイルスペシャルがお好きでして? 赤城と同じですわ〜! やはり私と指揮官様は運命共同体……うふふふふふ、あははははは!!!」

 

赤城さんはコーラオイルスペシャル好きなんだ……確か加賀さん曰く、ゲテモノらしいけど、好みがハッキリ分かれる飲み物なのかな。

 

「僕はただ頼まれただけなんだ。じゃあね、ごゆっくり! あっ! 明石さーん、お待たせー!!」

 

コーラオイルスペシャルと山デューを買って、明石さんのところへ戻る。コーラオイルスペシャル300円もするの!? この値段を自販機で見るの初めてなんだけど!? 

 

「あわわわわわ! 指揮官はそうやって、修羅場ラクーダで爆弾投下させるんじゃないにゃー!?」

 

さっきから明石さん、顔青ざめすぎてない? 修羅場ラクーダって?

 

座っている明石さんにコーラオイルスペシャルを渡すけど、飲み物とは別の座標へと腕を伸ばして受け取ろうとしない。袖が長いので手のひらが分からなかったので袖をまくってみると、指を差しているのが分かった。僕の後ろに向かって。

 

 

振り向くと————。

 

 

「ねえ、指揮官様ぁ? この赤城よりもその猫の方が好きなの? 赤城よりも大事なの? ねえ、どうして? ねぇ?」

 

先程まで会話していた赤城さんが、吐息が掛かるくらいまで近づいていた。それにびっくりして、手に持っていたジュースを落とし、反射的に明石さんに抱きついてしまった。

 

「にゃぁぁぁぁ!? あああ明石はまだ死にたくないにゃ〜!! 三味線になんかなりたくないにゃ〜!!! あ、そうだにゃ。こういう時にヤンデレ測定器を押せば何とかなるかもしれないにゃ! 早く押すにゃ!!」

 

明石さん絶対余裕あるよねこれ。

 

「ねぇ、赤城の顔を見て何で明石に抱きつくの? ねえ何で? ねぇ指揮官様?」

 

赤城さんが真っ赤なオーラを出して近づいてくる。明石さんに急かされてタブレットを取り出し、ヤンデレ測定器を始めた。

 

赤城→指揮官

ヤンデレ度:1

 

「まさかの1にゃ! やったにゃ!(ちっ……赤城なら100くらい余裕かと思ったのににゃ」

 

今までで一番低い数字だ。明石さん、途中から声出てますよ。

 

赤城さんが凶々しいオーラを放ちながら、間合いを詰めようと足をあげて、踏んだ時にさっき僕が落としたジュース缶を踏んだらしく、前に倒れてきて僕らの横をスルーし、鈍い音を出して頭を壁にぶつけた。

 

「……うぅ……う……」

 

恐る恐る僕と明石さんは、うめき声を上げる赤城さんを覗く。

 

「や、やばいにゃ。赤城メチャクチャ怒ってるにゃ……!」

 

「う……うえぇぇぇぇん!!! あ”か”ぎ”が”い”ち”ば”ん”し”き”か“ん”さ”ま”を”あ”い”し”て”い”る”の”に”い”い”い”い”!」

 

そこで泣き出してしまった赤城さんは、いつもの重桜の根幹を担う赤城さんでは無く、一人の純粋な少女としての赤城さんになっていた。

 

「ほら、指揮官の出番にゃ。くれぐれも選ぶ言葉を間違うんじゃないにゃ〜?」

 

明石さんに背中を押されて、女の子座りで泣き喚いている赤城さんの側で屈んで、

 

「赤城さん、いつも僕のことを愛してくれてありがとうございます。赤城さんの気持ちは充分伝わっています」

 

赤城さんの頭を撫でた。ついでに痛いの痛いのとんでけー! をしておいた。

 

明石さんは声には出していないものの、口パクで【か・ら・の〜?】とジェスチャーを送ってくる。何もないですよ? お、視界の端っこで加賀さんがこちらに向かってくるのが見えた。絆創膏とか持ってないかな。

赤城さんには、指輪が売り切れなのでまだ贈る事はできない、と伝えよう。

 

「ただ、赤城さんの欲しい指輪は贈る事ができません。指輪は……加賀さん!」

 

「加賀さん、絆創膏持ってませんか?」

 

「指輪は!? 指輪はどうなのですか、指揮官様!? まさか……加賀に……?」

 

「お前か。あぁ、あるぞ。ちょうど切らしていたから買ってきた所だ。ふふふ……分かっているだろ? ちょっと私に付き合え」

 

「指輪を加賀が買ってきた!? しかも付き合え!? ……あぁ、そういう事ですか〜……」

 

先払いで加賀さんから絆創膏を貰ってきたので赤城さんに渡そうとするも、僕の横をすり抜けて加賀さんの方へ向かっていった。

 

「指揮官!? だから言葉選びは気を付けろと釘を刺したにゃ!! とんでもない爆弾を投下しやがってにゃ…… もっとやれにゃ

 

え? 赤城さんにあれ程気を遣った言葉はないぞ!? あ、そうだ。加賀さんと一緒に……、

 

「あれ……? いない……」

 

この短時間で一航戦のお二人が煙を巻いていた。近くを歩いてもどこにも見当たらない。

 

仕方が無いので僕と明石さんは再びヤンデレ測定器を持って、次のKAN-SENへ会いに行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ね、姉様……? どうして鬼の様な形相を……?」

 

「ねぇ、かぁがぁ……? 指揮官様にケッコンを申し込む前に、私に相談してと言った筈よねぇ?」

 

「えぇ……? 本当に何のこと————」

 

謎の悲鳴が重桜寮から聞こえると、愛宕さんとそばにいたグラーフさんだけが同じ方向を見ていた。

もしよければ良かった話を聞かせてください。

  • グロスター編
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