肉食系の猛禽   作:社畜怪人

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一方アメリアサイド。


第5話

いつものようにGH:Cを起動しようとして、ふと手を止める。

毎日同じように熟していた──いわばデイリーミッションのような対戦を、今はやろうと思えなかったから。

 

顔隠しとのスパーリング、或いはフレンドマッチは、血が沸き立ち肉が踊る興奮に満ちていた。

 

「なぁにが『あんまりやってなかったから』だ……!」

 

シルヴィアに見せられた【Bomber bunny &Idol doll】の動画に映っていたソレを彷彿とさせる、狂気に満ちた速度の《ミーティアス》も。

やけに刀の扱いになれたように見える《乱蔵》も。

やはり【リアル】と呼ばれるだけの同調を見せた《カースドプリズン》も。

7割勝ち越したとはいえ、初見で勝つことなどできなかった程の、混沌としたプレイ。

熱を帯びる自分に、更なる熱で返してくる──大会でも滅多に味わえない高揚だった。

 

まだ胸に燻る興奮が、起動したゲームをそのままシャットアウトさせる。

周りをとやかく言いたくなかったが、中途半端なプレイをされて冷めたくはないから。

 

「しっかし……Bomber bunny……顔隠しやkeiはあぁいうのが好きなのか?」

 

一目で息を呑むほどの美少女が、身長に似つかわしくない胸を曝して。

見た目には愛らしいdollと、はっきりと分かるほどの絆を結んでいるのを見せつけていた。

 

『アメリア、あなたはアレを見てどう思ったノ?』

 

『あン?別に、相変わらず頭のネジトンでんなぐらいだな』

 

『妬ましいとか、羨ましいとか思わない?』

 

『思わねぇよ。あれはアバターだ。リアルの顔隠しじゃねぇ』

 

『………やっぱりクールなのね。私は無理よ、リアルもアバターも、全部のkeiが欲しいもの』

 

だから、ねぇ?じゃねぇよ。

 

『今度、ダブルデートでもしてみない?私と、アメリアと。keiと、顔隠しの四人で、ね?』

 

それに対する答えを、あの時の私も、そして今の私も、持ち合わせてはいなかった。

 

◆ ◆ ◆

 

「よォ顔隠し、keiかシルヴィアから話は聞いてるか?」

 

あの時と限りなく近く、しかし全く違うケイオースシティを眺めながら、暫し雑談の時を過ごす。

ケイオースタワーの頂点で、硝煙と爆炎、悲鳴に満ちた街を見下ろしながらの対話。

 

「ダブルデートとか言ってたな。向こうはともかくこっちはデートっつーかデッドだろうに」

 

「言うじゃねぇか。そんなに私が怖いか?」

 

「リアルバレは怖いだろうが、普通に考えて」

 

「私らは怖くないからセーフだなァ?」

 

「多数決は悪い文化だと思うんだ」

 

「吐かしやがって、ならコレで私が勝ったら付き合え!」

 

体力は互いに残り二割ずつ程。

超必殺も互いに切って、後は根気と意地の勝負。

 

「ンでェ……!!!」

 

対話をやめて、拳に、足に、力を入れる。

 

(テメェの素顔を拝ませてもらうぞ、顔隠しィ!)

 

見る度ジャック・マスク姿の相手に愛だの何だのと言えるほど、私は能天気ではない。

 

結果、私は顔隠しのリアルネームを教えられて。

シルヴィア、keiと共に、顔隠しを含めた四人で出掛けることになったのだった。

 

 

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