肉食系の猛禽   作:社畜怪人

8 / 9
忘れてたんじゃないよ、アメリア動かすのが難しいんだよ
やっとここからラブコメできそう


第8話

「7割、悪いとは言いませんが、甘くないですか?」

 

にやにやと笑いながら肩や背中をバシバシと叩いてくるアメリア・サリヴァンと、面倒そうにミックスジュースを啜るサンラク。

カースドプリズンというキャラクターの仕様上、どうしても有利不利は発生するが、そんな中でも十二分に高い勝率を誇ったのは初見殺しの引き出しゆえか。

 

「なあカッツォ、猛禽にアルコール飲ませちゃダメだろ」

 

「残念だったね、俺は飲んだシルヴィアに絡まれてるよ」

 

「お、カッツォの嫁入りか?」

 

「残念ながら俺は男だよ。嫁には入れないな?」

 

「keiに絡んでないで、私と感想戦を、しましょう」

 

「さ、サンラーーーーク!!」

 

猛禽にグイグイと引っ張られていく悪友を見ながら、慧はニヤつく。

たまには苦労すればいいのだ、と若干の嫉妬も込めて。

尤も──魚見慧とて、この後シルヴィアとのマッチングが待つのだが。

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

アメリアは、端的にいって美女である。

外面目当てに近付いてくる男たちも数多いた──その全てがアメリアの内面の激しさに腰が引けるような臆病者ばかりだったが。

 

(コイツは違う……)

 

或いは対戦時の勢いもあったのだろうが、初見こそ怪訝そうな顔をしたものの、あっさりと馴染んでいる。

流石に社会的な立場や年齢のこと、付き合いの浅さもあって言葉遣いはたどたどしいが、それでも怖じ気付く様な素振りはない。

感想戦という名の会話でも、アメリアは自分のテンションが上がるのを知覚していた。

 

(ラクロウは、私を、アメリア・サリヴァンとして見てくれる)

 

一人のゲーマーとしてぶつかってくれる。

あの熱さ、あの高潮、後を引く昂り。

アメリアとて女なのだ、優れた男、いわんや自分を高めてくれる相手なら好意を抱きもする。

 

(ラクロウとなら、私はもっと先にいける……ラクロウと、もっといたい、ラクロウと駆けたい……!)

 

イベントでの楽郎の戦いは、アメリアが知らなかった世界を教えてくれた。

楽郎からすれば数多のクソゲーで培ったテクニックでしかないし、なんなら特定ゲームでは影すら踏めないほどの上位プレイヤーの存在も知っている。

それでも、アメリアには未知の戦術で。

 

(──────あぁ、そういうことか)

 

シルヴィアがkeiに執心する理由が、今分かった。

傍らにいてくれる、自分を高めてくれる存在を。

人は高みを目指して生きるものだが、高みを見ているだけでは生きてはいけない。

手を取り合い、互いに高めあえて、支えあえる存在。

それを求めることを恋というなら。

その相手と心を通わせることを愛というなら。

 

(────私は、ラクロウに)

 

アメリア・サリヴァンは微笑んだ。

自覚できれば、こんなに簡単だったなんて。

 

(────ラクロウに、惚れたんだ)

 

 

それは、今までどんな写真集にも載ってなかったような、可愛らしく美しい笑顔だった。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

余談ではあるが、魚見慧はシルヴィア・ゴールドバーグに持ち帰られた。

 

その後、夏目恵にドヤ顔をキメるシルヴィアの姿と、夏目恵にも持ち帰りされる魚見慧の姿があったとか。




アメリアは自覚までが長いけど、自覚したらガンガン攻めてくるヤツな気がする
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