肉食系の猛禽   作:社畜怪人

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仕事が落ち着いた…!やっと書ける…!


第9話

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

───アメリア・サリヴァンが強くなった。

 

それはあまりに主観的で、あまりに不安定で、しかし確かな確信めいた意見だった。

理詰めの戦い方を主としていた彼女が、時折見せる熱。

理を捨てて感情を露わにして躍動する姿は、彼女の新たな一面を開花させたと言わしめた。

 

何故?

言うまでもない。

あのシルヴィアと顔隠しの戦いを見て、そしてアメリア自身も顔隠しと戦って、その結果の進歩なのだろう。

良し悪しに拠らず、前に進むものこそを尊ぶ人々からは驚愕の声が上がり、切磋琢磨するトッププレイヤーたちは尚の事である。

 

競う相手が強くなれば強くなるほど、頂点への道は険しく厳しく、そして価値あるものになるのだと知っているから。

 

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

────アメリア・サリヴァンが美しくなった。

 

それはあまりに主観的な意見だった。

久々の写真集を見た一部のファンが言い出したのだ。

スタイルも良いまま。

怜悧な美貌も、そのまま。

 

しかし、その端々から漂う艷やかさはかつて持たなかったもので。

ほんの僅かな、気付くかどうかも分からないような変化。

それは、しかし確かにアメリア・サリヴァンという美女の進歩であり。

 

誰かがそれを形容して、こう言った。

『まるで無垢だった少女が、恋を知って大人の女への一歩を踏み出したかのような、儚く幽かながらも確かな成長だ』と。

 

まさかその通りだとは誰も信じず。

アメリアは、知らぬところでファンを増やすのだった。

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

『やぁサンラク、アメリアとはどうなんだい?』

 

「開口一番がそれかよ。そっちこそナツメグ氏と銀金に囲まれてデートしてたらしいじゃん?」

 

『デートじゃない』

 

「へぇ、三人でブティックとか行ってたらしいのに?」

 

『デートじゃない』

 

「まぁ、そこまで気にもしてないけどな。アメリアとは特に何もないぞ」

 

『…………』

 

「やたらプラマを挑まれたりはするけどな」

 

『その割に、アメリアを呼び捨ててるよね』

 

「そうしろって言われてんだよ」

 

『恋愛関係とかでもなく?』

 

「いやねぇだろそれは」

 

『アメリアはサンラクのこと、気にしてるみたいだけど?』

 

「そりゃあんだけカスプリでやりあってるし、リアルカスプリに拘ってるからだろ?」

 

『…………これは前途多難かな……』

 

「?」

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

アメリア・サリヴァンは恋をしている。

燃えるような感情が躰を包み、心を動かして。

年下の少年を想うなど、数ヶ月前には信じられなかったのに。

 

(次にラクロウに会えるのは明後日……!)

 

(畜生、こんなに人に会うのが待ち遠しいなんていつ以来だ…)

 

(………あぁ、そういやラクロウと初めてやり合うときもこうだった)

 

(ラクロウと離れるたびにこんな気持ちになるのか…)

 

(耐えられるわけ、ねぇよな……)

 

(ラクロウと一緒にいたい……ずっと…)

 

(声だけじゃ……ましてメールだけなんて、足りない…)

 

それは、あまりに鮮烈な感情。

それは、あまりに濁った欲望。

それは、あまりに心地よい恋。

 

辛苦の末に己の感情を律したアメリア・サリヴァンは、陽務楽郎に想いを伝えんと、覚悟を決めることになるのだった。

 

 

 

 

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