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───アメリア・サリヴァンが強くなった。
それはあまりに主観的で、あまりに不安定で、しかし確かな確信めいた意見だった。
理詰めの戦い方を主としていた彼女が、時折見せる熱。
理を捨てて感情を露わにして躍動する姿は、彼女の新たな一面を開花させたと言わしめた。
何故?
言うまでもない。
あのシルヴィアと顔隠しの戦いを見て、そしてアメリア自身も顔隠しと戦って、その結果の進歩なのだろう。
良し悪しに拠らず、前に進むものこそを尊ぶ人々からは驚愕の声が上がり、切磋琢磨するトッププレイヤーたちは尚の事である。
競う相手が強くなれば強くなるほど、頂点への道は険しく厳しく、そして価値あるものになるのだと知っているから。
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────アメリア・サリヴァンが美しくなった。
それはあまりに主観的な意見だった。
久々の写真集を見た一部のファンが言い出したのだ。
スタイルも良いまま。
怜悧な美貌も、そのまま。
しかし、その端々から漂う艷やかさはかつて持たなかったもので。
ほんの僅かな、気付くかどうかも分からないような変化。
それは、しかし確かにアメリア・サリヴァンという美女の進歩であり。
誰かがそれを形容して、こう言った。
『まるで無垢だった少女が、恋を知って大人の女への一歩を踏み出したかのような、儚く幽かながらも確かな成長だ』と。
まさかその通りだとは誰も信じず。
アメリアは、知らぬところでファンを増やすのだった。
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『やぁサンラク、アメリアとはどうなんだい?』
「開口一番がそれかよ。そっちこそナツメグ氏と銀金に囲まれてデートしてたらしいじゃん?」
『デートじゃない』
「へぇ、三人でブティックとか行ってたらしいのに?」
『デートじゃない』
「まぁ、そこまで気にもしてないけどな。アメリアとは特に何もないぞ」
『…………』
「やたらプラマを挑まれたりはするけどな」
『その割に、アメリアを呼び捨ててるよね』
「そうしろって言われてんだよ」
『恋愛関係とかでもなく?』
「いやねぇだろそれは」
『アメリアはサンラクのこと、気にしてるみたいだけど?』
「そりゃあんだけカスプリでやりあってるし、リアルカスプリに拘ってるからだろ?」
『…………これは前途多難かな……』
「?」
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アメリア・サリヴァンは恋をしている。
燃えるような感情が躰を包み、心を動かして。
年下の少年を想うなど、数ヶ月前には信じられなかったのに。
(次にラクロウに会えるのは明後日……!)
(畜生、こんなに人に会うのが待ち遠しいなんていつ以来だ…)
(………あぁ、そういやラクロウと初めてやり合うときもこうだった)
(ラクロウと離れるたびにこんな気持ちになるのか…)
(耐えられるわけ、ねぇよな……)
(ラクロウと一緒にいたい……ずっと…)
(声だけじゃ……ましてメールだけなんて、足りない…)
それは、あまりに鮮烈な感情。
それは、あまりに濁った欲望。
それは、あまりに心地よい恋。
辛苦の末に己の感情を律したアメリア・サリヴァンは、陽務楽郎に想いを伝えんと、覚悟を決めることになるのだった。