偽物吸血鬼のお嬢様   作:温いうどん

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お嬢様、起床する

――うん?此処は何処だ…?

ゆっくりと目を開けると薄い膜、それにずいぶんと感触のいいベット。

左右を見渡すと端っこに、背中の方に…翼?

(あれ?僕はコスプレ趣味なんてあったっけ?)

いや、ないはずだぞ?などと考えていると不意にコンコンという音が聞こえた。

「失礼いたします。」

と言って部屋に人が入ってくる。

先程のものはノックだったらしい。

薄い膜――もとい、天蓋の幕を開けるのは…

「十六夜…咲夜…!?」

間違いない、彼女は僕の知っているゲームの登場人物でとある人物に仕えるメイドさん。

彼女が敬意を払う人物は―――

「どうしたのですかお嬢様?」

「か…がみを持ってきてくださらないかしら?」

そうよくわからなくなった敬語で聞くと、次の瞬間には彼女の手には手鏡が収められている。

「お待たせいたしました。照魔境です。」

ショウマキョウとやらはわからないが取りあえず覗き込むとそこに移っていたのはやはりというか…

「レミリア・スカーレット…。」

十六夜咲夜の敬愛する主人にして紅魔館の主人、吸血鬼のレミリア・スカーレットその人だった…。

「どうされたのですか?」

「ひゃ!!」

どうする?どうすればいい!

と、っとりあえずは…!

「にゃ、にゃんでもないわ咲夜。」

取りあえず本人のふりして凌ぐ!

「…そうですか…。お食事が出来ていますので食堂までお越しください。」

そう言って咲夜さんは消えた。

この元のゲーム、東方のキャラが持つ程度の能力の内でも特に奇異な能力「時を操る程度の能力」の持ち主。

レミリアにすごく優しいというか甲斐甲斐しいというイメージだったんだが…なんだかすごく怖かった…。

咲夜と呼んだ時に…鉄面皮の顔がイラッっとしたような顔になった気がした。

 

 

 

「ううっ、どこに食堂があるのぉ~。」

咲夜に起こされてから体感で一時間は経過している。

その間、彷徨いに彷徨ったのだが得たものはこの体に慣れた位…。

「ううっ、うう~~。」

やばい、切なくなってきた…。

「ううっ~~。咲夜ぁ、パチェェ、美鈴(みれい)ぃ、小悪魔ぁ。」

…ん?何か廊下の向こうからドカッーーって音が…近づいて…!

「誰ですか!私を美鈴(みれい)って呼ぶのは…っ!」

「みれーい!」

「っ!!」

美鈴(みれい)はこっちを見て目を丸くして驚いているがこっちはそれどころではない。

「じょぐどうまでづれでっでーー!」

もうレミリアの振りしなきゃとか関係ない、大泣きだ。

「わわっ!ええっとお嬢様?落ち着いてください。」

そう言って抱きしめて背をさすってくれる美鈴。

あ、ちょっと落ち着いてきた…。やばい、誤魔化さなきゃ。

「あ、あれよ。起きてすぐだから欠伸で涙が出てきちゃたわ。」

「は、はぁ。」

美鈴(みれい)、せっかく会ったのだから私を食堂までエスコートしなさい。」

ううん。さすがは僕、これなら完璧だ。

「あ、あの。お嬢様?」

「何?美鈴(みれい)。」

「あ、あははー、分かりました。不肖ながら私、紅美鈴(ホン メイリン)がエスコートさせていただきます。」

何か困ったような笑みを浮かべている美鈴(みれい)取り敢えず混乱した頭ながら大広間まで連れて行ってくれる旨は聞こえた。




どうも初投稿の温いうどんです。何分初ですので至らない点(誤字脱字、設定間違い、作品かぶり、ルール破り等)があれば教えてくださると嬉しいです。後、文字数はこの辺でいいものなのでしょうか?

補足:照魔鏡=本来は鏡に映らない存在を映すことのできる鏡
   「じょぐどうまでづれでっでーー!」=「食堂まで連れて行って」

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