偽物吸血鬼のお嬢様   作:温いうどん

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会社辞めました&会社決まりました



巫女、舌打ちする

side射命丸文

 

さて、この雑魚たちはどうでもいいとして問題はこの娘か、触ってたみたとこあんまり身体能力もないみたいだし抱いたままで速さ出すのは危険ですかね?

「岐符「天の八衢」」

発動宣言をして扇をひと凪、これで十分でしょう。

そう思いながら私の能力である風を操る程度の能力を発動させ、死なせない程度に威力を弱めた風の弾幕を貼ろうとして――失敗した。

「あややや?貴方がた…なにかしましたね?」

能力が発動しなかったことには結構動揺しましたがそれだけです。まあここ数千年の間でそういう輩もいないわけではありませんでしたし…陰陽師とかそうゆう能力者とか…思い出せるのは大柄な態度をした別世界だのなんだのと騒いでいた能力や妖力の弾を打ち消す右手を持った子供でしょうか、最終的には左半身を吹っ飛ばしてヤッちゃいましたが…。(その後スタッフでおいしくいただきました)

要するに――

「この程度の策のみで幻想郷に乗り込んでくるとは…愚かしいにも程がありますよ?」

なによりも相手が放ってきているのが追尾性能も何もない小さな鉄の弾ということもあり目をつぶっても音と空気の振動だけで避けられるそれらに驚異を全く感じなかったのが悪かったのでしょうか。

同じような輩が隠れて狙っていることを察知はしていたのですが…

ガガガガガガガガガガガガガガ

けたたましい音とともに数百数千の弾から成る壁、あややー、これは予想していませんでした。

「まずっ!」

旋回や重力を利用した下降、それらを駆使して避けてはいますがさすがにこの娘を抱いて碌に速度が出せない状況だと反撃はできませんね。何かいい手はないものでしょうか…。

「おっ!いいところに門番発見!」

一応あれで門番だしこの子は渡しておけば問題ないかな…。

「お嬢さん。」

とりあえずは、

「ふえ?」

「目と口塞いでいてください。速度だしますんで!」

「え――

「イヤァフゥーー!!」

ゴオオオォォーーー!!!!

「…!……!」

いやぁ、能力での補助がない分一枚か二枚ほど速度が落ちますね。

「おーい、門番ちゃんやーい。」

お、気がついた。

「え、文さん…って、お嬢様!ちょっと、何てことを!」

ふむ?せっかく助け出したというのにおかしな反応ですね。もっとこう…喜ぶとか。

「あや?あー…速度出しすぎちゃった。えへ」

恐怖で震えているうえ、舌をかんじゃったっぽいですね?

「えへ、じゃないですよ!お嬢様、大丈夫ですか?」

「うー、うぅー。」

あややや、レミリア(偽)ちゃん…やっぱり子供なんですね。

ほんの300キロ程度しか出してないといいますのに…。

「ともかく一旦紅魔館に行きましょう。ほら、人間たち来てますし、以外にあの武器厄介ですし!」

実際のところ今回の異変の真相を知りたいからおそらく当事者たちであろう紅魔館の面々に会うために急かすんですけどね。

「むぅ、先ほどの音からして銃の類、しかも連発が可能なものとなりますとあの一人正面から戦うとなると厳しいですね。けど離れると狙撃されますし…。」

「ん~、多分だけどあれに対抗するのは私たちじゃ難しいですよ?能力を封じた上で嵐のような攻撃、私も2、3人まではなんとかなりますが同士打ち覚悟の連射とかされてしまうと至近距離じゃ全部は避けきれませんね。さ、狙撃される前にとっとと移動しましょう。」

「待って。」

そういって移動するのを止めたのは先程まで目を回していたレミリア(偽)ちゃん

「あの…美鈴…さん、射命丸さん。」

「あややや、なんでしょうか、えーと…まずお名前は?」

この質問に対して答えるよりも先に美鈴さんの方を向いて、困惑?ちょっと違いますね…動揺…ですかね。

「……美鈴…さん…あの…。」

「大丈夫ですよ。」

「?」

「紅魔館の皆は私含めて吸血鬼としては偽物でも本物のお嬢様だと思ってます。」

「…え…!?」

あややや、いいですね!絵になりますね!ネタになりますね!あのレミリアが不安な顔をして、美鈴さんがやさしく宥める。ここは空気を読んで円滑に進むような質問をしてみるのが一番ですかね。

「それで偽物の吸血鬼さんは何者で紅魔館の面々とのご関係は?それと今回の異変であるあの集団はやはりあなたが原因で?まさか今貴女のせいで皆さんが危機に陥っているとか?」

瞬間、空気が効率いた気がしましたが――気のせいです…よ…ね?

まさかベテラン記者である私が空気を読まない質問をしちゃったなんてあるわけ…ちょ、レミリア(偽)ちゃん!?大泣きしながら謝られても!?美鈴さんからの『なに聞いてくれちゃったんですか?』っていう感じの無言の圧力がっ…。

「あ…やや…や…、ともかくなぜか銃声もしてきませんし今のうちに移動しましょうか?」

取りあえずレミリア(偽)ちゃんが落ち着くまで時間つぶさないと視線だけで穴が開きそうです。

「はぁ、紅魔館…はわけ合って危険かもしれないので裏口から廻って様子を見ながら行きますよ。」

 

side八雲紫

 

「…流石に強かったわね。」

「…むきゅー。」

そういった私の足元にはパチュリー・ノーレッジがうずくまり、フランドール・スカーレットが木の杭で磔になっている。

とはいえ勝利したとはいえ無傷とはさすがにいかなかった。そしてその二人のわきで、霊夢が妖精メイドをこき使って寛いでいた。

「それにしても、霊夢…。これはこれは、負けて十六夜咲夜を外に逃がしてしまったのになぜか無傷で妖精メイドに淹れさせた紅茶を優雅に飲んで一体何をしていたのかしら?」

この子は…っ!苦節十数年、必死で育て上げた巫女が飢えていればやれ米だの味噌だのを貢いであげたというのにここまで働かないとは!(実際に育てたり買い出しをして苦労していたのは藍)

「えー、だって面倒臭いんだもの、それに多分だけど今回の異変は私が下手に動かない方がいい結果になる気がするは…と言うよりそうね!という訳で帰るわ。ここ数日あんたのいいつけ通りに山籠もりの修行軟化させられていい迷惑だったわ。何が楽しくて『神降ろし』なんて技を修行させられたわけ?しかもやってみれば大して場所は取らないんだからあんなの神社でできたでしょうに…。」

「このニート巫女が!」

心からの叫びだった。こっちはフランに目をつかまれそうになるたびに冷や汗をかきながらスキマを通り補足させなかったり、パチュリーが魔法を行使するたびにトラップだらけの魔法陣を爆弾解除のような緊張感の中で解除したりと正直スキマの中に隠れて何度泣いたことか…。

「に、にぃと?」

「ふふっ、そういう態度で来るなら私も容赦しないわ。もう金輪際…はかわいそうだからこの先半年はあなたに全ての差し入れ…も下手したら死んじゃいそうだから、肉類の差し入れはなくすわ。」

「!!」

これでも厳しめだったかしら?でも一回宣言しちゃったし…どうすれば…今からメイドを追いかけさせるのは危険すぎる。実際の所、その両肩に幻想郷の存亡がかかる巫女の仕事には命の危険がかかる危険な仕事はさせるべきではないだろう。

「さもなくば今からのお願いを聞いてくださるかしら?」

「くっ、まさか最初からそのつもりで!」

最初から?えーと、要するに霊夢がサボる事もすべてを勘定に入れておくことで正式に罰を与えられ、同時にその罰を回避するための断れない命令を出すことが出来る…と?

いやいやいや、私はそんなことしないからね!?大事に育ててきた子に策略を謀ったりはしないからね?

「そんなわけないでしょ。貴方がこれから動くのは反省して自主的にでしょ?そこは取り違えてもらっては困るわ。何なら断って貰ってもいいのよ。その場合は別の方法で反省していただきますけれど。」

そう、自主的になので理不尽だと思えば断ればいいのだ。後、別のお願いでもいいことも教えておいたので――

「(その別の反省が今以上に理不尽な可能性もある上にいつどこでかもわからない命令権を何時までも持たせておくなんて危険すぎる)いいわ。反省してあげる。で?私は何をすればいい?」

うんうん♪さすがは私の霊夢、反省するとこはきちんと反省できるいい子だ。

「ッチ」

え?今舌打ちされた?ううん、まさかそんなわけあるわけないよね?うん、勘違い勘違い

「うーん、そうね。さっきの戦闘でフランドール・スカーレットの傷はともかくパチュリー・ノーレッジにはやりすぎちゃったと思うから永琳を呼んできてくれないかしら?」

「ッチ、分かったわ。…手加減程度は覚えてくださるかしら賢者様…ッチ。」

……ぐすん

「し、しょうがないじゃない。相手が強すぎる上に本気だったしー、百歩譲ってパチュリーの方は瀕死の重体で済むけどフランドールのは頭吹き飛ばそうとしててやばかったしー、あの場で例え霊夢が私の代わりに居たとしても遠慮なしの一撃(むそうふういん)の連発だったと思うわよ――っていない!!」

はるか遠くに霊夢の後ろ姿が…言い訳ぐらい聞いてくれてもいいじゃない…。

「ああ、何だろうこの従者にも子供同然の子にも裏切られた感があるのは、ともかく人形を壊してスキマでその実況して目撃者作って、やる事多すぎないかしら?――痛!?」

いろいろと策を巡らせる中、胸に痛みが走り視界がぼやける。

って。あら?からだから…ちからが…?な…に…むねか…ら…つめ…はえて…――

「ようやく見つけた。マエリベリー・ハーン…聞こえているかい?いないかい?ああ、ようやく…ようやく約束を守る事が出来るよ…■■――」

ただ、薄れていく意識の中、懐かしくも懐かしくない名前を聞いた。




補足:300キロ=現行販売しているバイクの中で最速と名高いGSX1300隼の最高速度
   結界=フランの動きを封じたものとは別でここで成している結界は程度の能力のみを封じています。ただし裏設定として程度の能力の中でも努力や結果によって得た能力(紅 美鈴の気を使う程度の能力や魂魄 妖夢の剣術を扱う程度の能力)は問題なく発揮され、先天的、種族的な能力(博麗 霊夢の空を飛ぶ程度の能力やわかさぎ姫の水中だと力が増す程度の能力)は封じます。因みにこの先この結界に出番はありません
   打ち消す右手を持った子供=うに頭の少年ですが単なるネタ?いいえ、このさき出ます。出します。出させます。
   旋回や重力を利用した=格好良くバレルロールとか書きたかったですがバレルロール以外の旋回方法って知らない(笑)
   「紅魔館の皆は私含めて吸血鬼としては偽物でも本物のお嬢様だと思ってます。」=この言葉を言わせたかったが為にタイトルは偽物吸血鬼/の/お嬢様 でお嬢様であることまでは偽物はつけませんでした。でもこの先の人形の出現率がやばいことに…タイトル変えようかな?
   Qなぜあややの質問で人形は泣いた?Aものすごく分かりずらいかもしれませんが『管理人、救助する』で自分がレミリアに憑依していなければ他の人は傷ついていないと考えていたのであややの最後の質問に我慢できなかったようです。
   八雲紫=この作品では意外とダメな人。と言うかうどんの書く作品の登場人物は基本的にダメ人間です。


次回、遅くなるかならないかが全くわかりません。なるべく早めにできるよう頑張ります。
また、感想や誤字脱字、作品内での矛盾点ございましたら一言ください。面白かったの一文だけで作者はとてもやる気になります。

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