偽物吸血鬼のお嬢様   作:温いうどん

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申し訳ありません。書いている途中で美鈴が好きになってしまい、本来のプロットだとこの先出番が無いためにプロットの大幅な変更、それに伴いお巫山戯のつもりだった『閑話:九尾狐、絶叫する』を閑話から外さなくてはいけなくなりました。ご了承ください。


九尾の従者、暗躍し 吸血鬼、激昂する

side藍

結局、昨日のことが嘘で、まだ紫様に報告していないと分かり安心していた…が、

「レミリア様、大変申し訳ございませんが貴殿の従者は前日の苦情の件もございまして、今回の社交界にそぐわないという結論を出させていただきました。残りの六日間はお一人ないし、別の従者をお連れくださいませ。」

朝、起きるとドアの前でレミリアが老執事にそんなことを言われ、その…目に見えて不機嫌になっていた、

 

 

「それで?変態狐はどうするんだ?」

くっ、確かに今回は100%私が悪く、従者として付いてきたからにはレミリアの…スカーレットの

名を落とす結果になってしまったのだから朝から続く嫌味や小言に対しては甘んじて受けようと思う。だが――

「部屋でおとなしくしているよ…。それと、頼むからこの不甲斐ない姿を、橙に報告するのだけは勘弁してください。」

もう全力の土下座だった。はぁ、土下座なんて紫さまにもしたことないんじゃないか…私。

「ふん、今回だけは見逃してやろう…だが次はないぞ?」

そう言って本日のパーティーである舞踏会へと足を運んでいくレミリア、ようやく…ようやく解放された。

誰もいないことを確認して式陣を編み、紫様へと連絡を繋ぐ。

「あら?随分とおそかったわね、藍。」

「はい、計画通りに会場の出禁になりましたがレミリア嬢が大層ご立腹で…。」

「ふふっ、それはそうよね自分のところの従者が暴走して変態行為…、私だったらしっぽの毛を剥ぐわね。」

「なっ!ななな!」

「安心していいわよ。橙には何も言ってないから。」

「ううっ、なぜ知っておられるのですか?」

「会場を盗撮していたからね。」

「ですがこれも計画の内だったので仕方がないです。」

「あら?私は会場を出禁になればいいといったはずよ?誰も変態行為をしろなどとは言ってないわ。」

「で、ですが…。」

「何?何かいいわけでもあるのかしら?スマートにやるならあの無駄にプライドの高そうな御当主さまに嫌味の一つでも言えば済む話じゃなくて?」

「あう、…ごもっともです。」

「全く…最初からそういえばいいものを…次にやったら八雲家で鑑賞会するからね?」

「!ぐっ…、はい。わかりました。」

それだけは…それだけは阻止せねば…。

「計画通りに接触してきます!」

これからは本気で行く!

 

sideレミリア

 

予想以上に役に立たない八雲藍、変な運命を持っていたから乗っては上げたがおかげでスカーレットの名がおかしな評判になってしまった。

せめて残りの六日間を何事もなく過ごせれば良いのだが…私の運命も忙しく蠢いている所を見るとそうもいかないのだろう。

「憂鬱だが行かなくてはならないだろう…はぁ。」

 

予想通りだった。ヴァン・カルンスタインは散々グチグチと言ってきた後ひたすらに家系自慢をしてきた。

「さて、我がいかに偉大な人物化は分かったであろう?さすれば今夜あたりに抱いてくれよう。」

こいつはあれだな…。ロリコ…いや待て、それでは私がロリロリしいみたいではないか…。

うん、あれだ、成長途中…通常よりも数年は若い者が好きな奴なのだろうな!

「興味がない、私が子を成すには早いしな…。」

さっさとどっか行け。

「大丈夫だ。怖いのはわかるが我が優しくエスコートしてしんぜよう。」

うざい…、肩に手を回してくるな…。

「残念ですが…。」

手を払う。ああ、ウザかった。だが、愛しい家族達のためには我慢しなくては…。

「ううん、我との間に子を成すのは絶対に得だと思うのだがな…。」

いやそれはないから、あんたが面倒な脅しさえかけて来なければ普段はどうにとでもなるから。

「では貴様の妹君ではどうだろうか、おおう、言ってはみたがなかなかの妙案ではないか?そうだ!妹君の後なら貴様も怖くはないのでは?」

………は!?

「おい…。今…何て言った?」

「おっ、乗り気になったか。よしよし、貴様も貴様の妹も存分に可愛がってくれようぞ!」

こちらを抱き寄せようとしているのかもう一度肩に手を回してくる。

お前は周りの者たちが引いている理由がわからないのか…。

この殺気すら感じ取れない雑魚、そいつの口から私の妹を抱いてやる…と、我慢…出来るか!

「黙れ下郎、次に貴様程度の存在が私の妹の事を口にしてみろ…コロシテヤル。」

完全に威嚇の時の赤い爬虫類のような目と暴力的な赤い妖力を纏わして、無様に床に這い震えるソイツを一瞥して自分の部屋に帰る。

帰り際、まるでモーゼの如く出席者たちは道を開けていった。

 

 

うー、やった…やってしまった…。

妹のことを言われたからといって、あんな小物相手に…。

「うーー。」

明日はすごく面倒くさい運命になってるしー。




という訳でレミリアの社交界二日目でした。ここはまだ平穏な日常です。

次の更新は明日の予定です。

補足:八雲家で鑑賞会=テレビ局から無断で借りたもののため最高画質
   通常よりも数年は若い者=少なくとも500歳児のセリフではない、数年…一センチ変わるのだろうか

感想、指摘、評価などを頂ければ嬉しいです。未だに迷走状態なので…。

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