Re:腸狩りと魔獣使い救済ルート   作:青い灰

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第3節「事後~魔獣使い」

 

 

 

「ごめんなさい姉様」

 

「レムは謝る必要はないわ。

 ラムのためのことを思ってくれてのことだもの」

 

レムが年齢に合わない鬼化で疲弊して

動けなくなったのでラムがそれを背負っている。

それを聞いて俺は苦い顔。

 

「代わりに俺の扱い酷くない?」

 

「流石に兄様よりレムよ」

 

「美しい姉妹愛。仲良くな。

 だけどラム、兄様背中が痛いよ」

 

傷が完全に癒えきっていない俺は

屋敷へ戻ることになり、

今はラムに引きずってもらっている。

まぁ仕方ないけどさ?

 

「兄様、精霊使いだったんですね」

 

「ま、そうだな」

 

「知らなかったわ」

 

エキドナに大きくなってもらって

背中に乗せてもらおうと思ったが

マナを使いすぎて引っ込んでいる。

かなりの速度で傷が回復したので当然だが。

と、道の外れから茂みが揺れ、エルザが出てくる。

 

「あら、揃ってどうしたのかしら?」

 

「あ、エルザか。どうだった?」

 

「えぇ、貴方の見立て通りね。

 拾って来たわ。かなり大変だったのだけど?」

 

エルザが抱えているのは小さな幼女だ。

確かナツキ・スバルが来る頃には

エルザと俺が21、メィリィは12だったから、

逆算すればメィリィは3~4歳になる。

 

「大変、っつーのは?」

 

「魔獣よ。魔獣がこの娘を守るみたいだったわ。

 腸が沢山見れたから満足はしたけど」

 

「お前それ人前で言うなよ」

 

レムとラムが困惑している。

どう説明するべきかねぇ…………

考えていると、ラムが口を開く。

 

「何がなんだか分からないけど、

 取り敢えずは全員で屋敷に戻るわよ。

 話はそれからでいいから」

 

「流石ラムだ、話が分かるな」

 

「誘拐についてゆっくり聞かせてもらうわ」

「前言撤回。誤解だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだ10歳のラムに背負われた挙げ句、

 その娘を誘拐したことについて聞きたいわ」

 

「やめてくれラム。心にグサグサ刺さってる。

 誤解だから。誤解だから。

 大切なことだから二回言ったからな」

 

動けるようになったレムに

包帯を巻いてもらい、

俺は取り調べのようなものを受ける。

弁明については考えていたので大丈夫。

 

「じゃあ話すが………ちゃんと聞けよ?

 ラムさんの理解力に期待してるからね?」

 

「さっさと話しなさい」

 

「反抗期かなぁ…………わーったよ。

 屋敷を出てレムが来る前にな、

 森で子供の泣き声が聞こえてな」

 

エルザにも話を合わせてくれるように頼んだ。

騙すのは心苦しいが、仕方ない。

俺の都合なんだけどな………罪悪感が凄い。

 

「俺はレムに気づいてたし、

 エルザに頼んでた、ってわけだ」

 

「……………どうやら本当のようね。

 それで、あの娘はどうする気かしら」

 

「育てる」

 

「………………、…………まぁいいわ。

 どうせ屋敷に置いていかれても困るし」

 

エルザから嫌そうな視線を感じる。

えっ?どしたのエルザさん?

 

「私、加護持ちは嫌いなのだけど」

 

「そこは俺も加護持ちだから我慢」

 

「嫌いになりそうなのだけど」

 

「お願い嫌わないで」

 

「冗談よ」

 

「心臓に悪いからやめて?」

 

言ってなかったが、一応俺も加護を持ってる。

角が片方無くなったのに

魔法が使える理由はこの加護のお陰だ。

『紅蓮の加護』

簡単に言えば炎の影響を受けなくなる。

熱い所に行っても平気だ。炎の中でも。

後は魔法が使えて一段階上昇、というもの。

氷魔法は無理。

 

「加護はよく分からん。

 魔獣に襲われなくなる加護じゃないか?」

 

「それは便利ね」

 

取り敢えず保護。

子育て?したことないけど?

まあ成り行きだ。流されてけ。

横のベッドで寝てるメィリィだが、

記憶の本の中では言葉も

知らないくらいだったらしいがどうなのだろう。

 

「………ぅ…」

 

どうやら目覚めるようだ。

さて、どうすべきか。

 

 


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