Re:腸狩りと魔獣使い救済ルート   作:青い灰

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第3節「事の終わり」

 

 

「おはよう、気分は最悪か?」

 

目が覚めて最初に聞くのがそれだった。

あの獣たちの言葉ではない。

言葉の意味は分からないが、声は穏やかで、

敵意がないことは理解できた。

……………驚くほどに、優しい声だったから。

 

「………あ………ぅ」

 

「言葉の意味は分かるか?」

 

身体を起こす。

腕を交差して顔を傾ける目の前の青年。

声の主はその人だった。

何か聞いてきてるようだが、

私は意味が分からず首を傾ける。

 

「………そうか、もう怖くないぞ」

 

あの森でのことだろうか。

何がなんだか分からなかったが、

近づいてきた獣たちを

黒い何かが倒したのは覚えている。

彼は、私へ手を伸ばす。

それに反射的に身体を縮めてしまうが………

 

「…………ぇ……ぅ?」

 

「………大丈夫」

 

言葉の意味こそ分からない。

だが…………声の優しさと、

頭を撫でられる心地好さに、

私はその手を取って、頬擦りをする。

 

──────とても、とても暖かかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「変態」

 

「ラム、心壊れる」

 

メィリィ(仮)に頬擦りされ、

ラムに言われた言葉がそれだった。

あのさぁ………精神的に死ぬって。

 

「人に好かれる体質ではないけど、

 だけど貴方の隣が一番落ち着くのよね」

 

「声が優しいからでしょうね。

 私も聞いていて安心します」

 

「子供をあやすのが上手いわ」

 

まぁ精神安定の声かけは絶賛されている。

照れるってー。

それにしても何この可愛い生き物。

人生の癒し。

 

「んぅ……」

 

「これが天使ですか」

 

撫で回したい。

いやー背後からの視線はキツイけど。

エルザとラムの視線で背中焼け焦げそう。

なんでそんなに俺のこと凝視してるの?

 

「兄様、たらしですよね」

 

「…………えー?」

 

レムが耳打ちしてくる。

いや、まぁそうだけどさ…………

仕方ないって言うか、男成分が足りないだけだ。

ロズワール?必要だとは言ってない。

今の状況で十分に両手に花だけど。

 

「姉様も兄様のことを尊敬しています。

 どうか気に掛けてあげてください」

 

「…………まぁ、そうだな。

 何年も会ってなかったわけだし」

 

「はい、兄様の前でこそ見せませんですが、

 寂しがっていたんですよ?」

 

「え、マジで?」

 

エルザの好意にはなんとなく気づいてたけど

まさかラムも?

両手に花どころじゃなくね?

幸せいっぱい、そして背中に突き立つナイフ。

後ろから刺されるのは嫌だなぁ………

 

「マジです」

 

「…………………」

 

「何?ラムの顔に何かついてる?」

 

「可愛い目と口と鼻がついてる」

 

「な………っ………」

 

……………おぉう、マジすか?

ヤバい、エルザからの視線がヤバい。

今日は機嫌を取るので忙しくなりそう。

 

「えーと、エルザさん?」

 

「………………気分が悪いのだけど」

 

「お願いだから機嫌直して」

 

「1つ…………何でも

 聞いてくれるなら許してあげてもいいわ」

 

「分かった…………何でもって言ったか今?」

 

今分かったって言ってしまったよね?

エルザさん笑みが怖い。死なないかな俺。

お腹ザックリとか嫌だよ!?

 

「ふふっ」

 

「…………あなた、前から

 思っていたけど気に入らないわ」

 

「あら、貴女もかしら?

 生憎こちらもそうよ、どう?全力で───」

 

「お前らマジで洒落にならんからやめろ!?」

 

白鯨を単騎で落とせる鬼(今は知らん)と

原作以上に異常なくらいな強化された腸狩りが

本気で戦うとか屋敷が終わるんですが。

 

 

まぁ、なにはともあれ。

俺たちは明日、出発することになった。

 

 

 

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