「なぁ、家が欲しくないか?」
「貴方、いつも突然よね」
「君、たまに計画性が全くないような気がするよ」
「シルバ、暇なんじゃないのお?」
「ちょっと願望言っただけだよね!?
俺フルボッコなんだけど酷くない!?」
エキドナはわざわざ出てきてまで言いやがった。
お前ら俺を弄るの好きだよね!
屋敷を出てから1年くらい経過。
それまで王都で汚れ仕事で金を稼いでいた。
ついでにメィリィに言葉と勉強を教えた。
加護も自覚があるので魔獣も従えている。
「いやさ、メィリィも魔獣を
従えるようになったし、拠点が必要なんだよ」
「まぁ妥当だろうね。
魔獣の多さで気づかれでもしたら事だし」
エキドナの知恵、俺とエルザの戦闘能力、
そしてメィリィの操作による魔獣の力によって
王都での殺人事件は全て未解決、
もしくは魔獣によるものとして処理されている。
まともな仕事は残念ながら出来ないし。
「素性が素性だからな………」
「それもそうね、その貴方も鬼なのだし」
「私もねえ」
メィリィの魔獣の背中に乗り、
俺たちは現在カララギとルグニカの国境周辺、
つまり鬼の集落跡地へと向かっていた。
「だから鬼の集落跡地なんだよ。
俺は場所を知ってるし、
あそこは場所を特定しにくいからな」
ちなみに村の皆の死体だが、
ロズワールの野郎が魔女教徒ごと焼き払った。
俺はロズワールにレムとラムを預けた後、
皆をしっかり纏めて埋葬したが。
あの道化野郎は脛を蹴ってやった。
「ふぅん………貴方、大丈夫なの?」
「大丈夫だ。
少し離れた場所に小屋があるんだ、
そこを増築すれば問題ないさ」
「そう、ならいいわ」
エルザが随分と心配してくれて嬉しい。
それを見てクスクスと笑うメィリィも可愛い。
子供ができたらこんな感じなのかねぇ。
それかレムやラムより下の妹みたいな感じだ。
「エルザったらあ、
ほんとにシルバが好きなのねえ」
「メィリィ、揶揄うのはやめて頂戴」
「揶揄ってなんかいないわよお?
だってシルバに髪を結んでもらってる時
顔真っ赤じゃないのお」
「……………、………慣れないだけよ」
「そんなエルザも可愛い………ごぶあっ!?」
痛っ!?
言った瞬間にエルザの短剣の腹で
頬をぶっ叩かれ魔獣から転げ落ちる。
ニヤニヤと笑って見下ろしてくるメィリィに
顔が赤く息が荒いエルザ。思春期かな?
立ち上がって魔獣の横を歩く。
「………………」
「もー、シルバのせいで
エルザが拗ねちゃったじゃないのお」
「俺のせい?」
「全く、君は乙女心が分かってないね」
「エルザ、悪かったって。許してくれよ」
前へと回りこんでエルザと向き合おうとするも
再び顔を逸らされる。
耳まで赤いの隠しきれてないのも可愛い。
……………良いことを思い付いた。
背中によじ登ってメィリィの後ろへ座る。
「あれ、どうしたの?」
「メィリィも三つ編みにしたら
似合うだろうなぁ、と思いまして」
「……………」
「そうねえ、お願いしようかしらあ」
エルザがピクリと反応する。
それを見てメィリィとニヤニヤしながら髪を結ぶ。
ちなみにエルザは自分で結んでいるが、
たまに結んでやっている。
いやー顔を赤くしてるのは知らなかったなー?
そんなこんなでまた頬をぶっ叩かれ、
しばらくしてから集落が見えてくる。
途中からは獣道を利用した。
「………酷い有り様ねえ」
「……………本当に大丈夫?」
「─────、──少し墓参りに行ってくる」
皆を埋めた場所へと歩く。
エルザやメィリィは来なかった。
彼女らなりの優しさだろう。
そして、背後からの気配に気づくが、
俺は歩みを止めない。
「…………何も言わないということは、
それくらいは信頼してくれた、と解釈するよ」
「そうだからな」
「それは嬉しいな。
実は少し寂しかったよ?」
「はっ、仲間外れにして悪かったな」
横に現れたのは青毛の狼、エキドナだ。
話の通り、そこそこ信頼は出来るようになった。
2人で村の跡地、その奥へと向かう。