投稿遅くなりました。
「シルバあ、私疲れたわあ。おんぶ」
「はいよ」
メイリィを背負って歩く。
もう水門都市の外壁も見えてきた所だ。
ちなみにここまで徒歩で来ている。
「まさか竜車が通らないなんて………
考えていなかったのだけれど」
「まぁ面倒事も嫌だけどな。
お前グステコ生まれだから暑いのダメなのか」
「………おんぶ」
「帰りなら別にいいぞ。今はメィリィがいるし。
途中からは魔獣に乗って帰るからそこまでな」
エルザとメィリィはどうやら暑いのが苦手らしい。
基本的にルグニカは四季の影響が薄いが、
カララギ側なら話は違ってくる。
カララギは夏や春の影響が強く、
春は過ごしやすくていいのだが、
今の時期……夏は本当に暑いのだ。
ましてや俺たちが今着ているのはカララギの着物。
眼福ではあるのだが、やはり暑そうだ。
下にはいつもの薄い服を着ているのだが
あれは些か刺激が強すぎる。
「そろそろ着くぞ。
中は涼しいだろうから頑張ってくれ」
「分かったわ……」
水門都市の外壁が見えてくる。
確かにあれは要塞のようにも見える。
それにしても正直、エルザが
ここまで辛そうなのは初めてかもしれない。
可哀想だ。…………エキドナを叩き起こすか。
「エキドナ、起きろ」
「どうしたんだい………って暑いなぁ、
まさか冷房代わりにボクを呼んだのかい?」
「そのまさかだ。冷房魔法とかないのか」
「ボクを誰だと思っているのかな?
かの〝強欲の魔女〟だよ。
その程度の魔法なら心得ているさ」
「御託はいいから出来るならさっさとしてくれ」
「酷いなぁ………ボクも暑いからやるけど」
俺の頭に乗る青い小さな手乗り狼(魔女)が
魔法を使う。
すると、暑い風が少しずつ
涼しくなっていくのが感じられた。
「………感謝するわ」
「涼しいわあ~………」
「エキドナ、ありがとう」
「あぁ。しかし水属性だけなのはやはり不便だね。
火属性も使えたら気温ごと下げられるんだけど」
「へぇ、魔法ってやっぱ便利なんだな。
その魔法の使い手もだが」
「そう言われると魔法使い冥利に尽きるね」
そんな感じで水門都市へと向かう。
検問までたどり着き、順番を待つ。
そして、次は俺たちの番だ。
「止まりなさい。
入都審査を行いますので誓約書にサインを」
衛兵に簡単な誓約書を渡される。
内容は、都市へ来た目的、
後は都市のルールが書かれており、
それを守るという同意するか、というものだ。
それは思ったよりも簡単で、
意識する必要はないくらい。
後は名前くらいか。
エルザにも渡され、俺がメィリィの分まで書く。
ちなみに精霊は構わないらしい。
しっかり実態のあるエキドナに周囲の人々は
「大精霊か………?」などと驚いていたが。
衛兵も少しビビっているように見える。
「これでいいかしら?」
「いいんじゃないかな。………よし。
メィリィ、都市じゃ水を汚したりするなよ?」
「はあい」
衛兵へ誓約書を提出する。
少し確認がされ、監査官から入都を許される。
正門を抜けると、
そこには、驚くほどの美しい光景が広がっていた。
「おぉ………こりゃ凄いな」
水が流れる円形の都市。
都市の中央へ行くほど高低差は低くなっており、
簡単に言えば
『クレーターの地形にそのまま町が出来た』
という感じだろうか。
水門都市、と呼ばれるだけあり、
水は透き通るほどに美しく、陽光を反射して
キラキラと輝いている。
「綺麗ね………」
「ほんと凄いわあ、楽しみ!」
こうして、俺たちは水門都市へとやって来た。