こうして、俺たちはロズワールの屋敷に
居座らせてもらうことに。
ラムが作ったという夜飯(蒸かし芋)を
半強制で口に詰め込まれたりした。
エルザは隣の部屋で寝ることになり、
俺は寝るために部屋を開けた。
「あ?」
そこは、図書館だった。
……………ベアトリス忘れてた。扉渡りか。
知らないフリ知らないフリ………
「なんだ、ここは……?」
「ベティーの書庫にづかづかと入り込むなんて、
全くニンゲンは礼儀がなってないかしら」
「残念だが俺は人間じゃないんですよね。
お初にお目にかかります、ベアトリス様」
慣れていない
なんとなく敬意を示してみるが
ベアトリスは苦い顔。
「慣れていないのが丸分かりかしら。
逆に気持ち悪いのよ。
ベティーのことはロズワールに聞いたのかしら」
「そうだな。書庫だろここ。
本を読む許可を貰っても?」
「まさかベティーの扉渡りを破ってきたのかしら」
「偶然だ。持ち出しは
しないから少し寝る前に読書でも」
「自分勝手な鬼かしら………」
書庫に上がり込み、
面白そうな本を見ていく。
魔女に関する文献は、と。
前の世界で得た知識も忘れかけだし、
再確認はしっかりしとかないとな。
「……………お前、何者なのかしら」
「ん?」
唐突に背後のベアトリスから声がかかる。
そういや名乗ってなかったな。
「シルバだ、よろしく」
「───鬼。しかも男。
…………そんな筈がない、のよ」
「は?」
「────お前に身に覚えがないなら
……………今から言う言葉は忘れるかしら」
そして、ベアトリスは────
「お母様…………?」
な……………!?
ベアトリスは、今、何と………
「っ!!!」
しまった、反応を間違えた!!
ベアトリスが俺へ掌を向ける。
「………───、───悪いかしら、
つい、カッとなったのよ」
「…………」
どうやら攻撃を納めてくれたようだ。
掌を戻す。
しかし、何故俺をお母様、エキドナだと……
気にはなるが、あまり追及するのは良くないな。
「…………俺は何も聞いてない」
「───礼は言わないのよ。
それで、それでいいかしら」
「じゃあ『ごめん』とだけ言っておく」
「……………出ていくかしら。
その3冊は持ち出しを許可するのよ」
「あぁ」
扉から出る。
俺も少し考えたいことができた。
扉渡りが発動し、俺は部屋へと再び入る。
「あら、遅かったわね」
「あぁ、ちょっと書庫に………
なんでナチュラルに人の部屋にいるの?」
ラムがベッドでゴロゴロしていた。
何をしてるんだお前は。
テーブルに本を置いて
「マーキングよ」
「猫かな?」
「ラムは可愛い子猫だから」
「流石は子猫。自由すぎる」
苦笑いを浮かべていると、
なんとラムにベッドに引きずり込まれる。
力強っ!?
「!?
お、おいラム!?」
「眠いわ。今夜は一緒に寝て…………Zzz」
「寝るの早っ!?」
どうやら爆睡しているようで、
ラムが腕に抱きついたまま寝る。
………まぁたまにはいいか。
実際、久しぶりに2人に会えて嬉しいし。
寂しかったりしたのだろうか、ラムも。
「…………おやすみ、ラム。良い夢を」
明かりを消して、俺も眠りについた。