Re:腸狩りと魔獣使い救済ルート   作:青い灰

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今回はかなり長めです。




第3節「強欲の魔女との契約」

 

時折、こうやって夢を見る。

どこかふわふわとしており、

懐かしいような、嬉しいような、悲しいような。

感情すらも曖昧だが、それでも。

なんというか、この空間が好きなんだ。

 

「…………」

 

で、だ。

夢に他人が出てくるなんてよく聞く話で、

俺もよくあるので別に珍しくもないんだが。

 

「……………なんでいるのさ」

 

「悪いかい?ボクも今は結構暇していてね。

 たまにこうやって他人の夢を

 覗いているんだけど気づかれたのは初めてだよ」

 

喪服のような黒衣に、長い雪のような白髪。

『強欲の魔女』エキドナが、そこにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君には他の人の夢で会ったことがあるね。

 それと同じように、君はボクを知っている。

 何故かは知らないけどね。───違うかい?」

 

「違わないけど勝手に

 人の夢を茶会に変えてんじゃねぇ」

 

広がっているのは平原。上には青空。

その真ん中にエキドナが座る椅子があった。

それに歩み寄り、エキドナを見据える。

 

「なんだい?

 そんなに見つめられると照れるな」

 

「大罪魔女一の性悪がどんなのか観察してた」

 

「じゃあボクも自由で

 横暴な君をじっくり観察してもいいよね」

 

「ざけんな」

 

「酷いなぁ」

 

取り敢えず観察をやめ、椅子に座る。

エキドナは2つのカップに茶を注ぐ。

 

「いらん」

 

「あれ?まだ何も言ってないんだけど」

 

「お前の前では俺の知識も無駄だ。

 だから言っておく。他人の体液なんか

 知ってて喜んで飲むような奴は変態だ。

 い・ら・ん!!」

 

「まるで飲ませるボクが変態みたいじゃないか」

 

「知識欲の変態だろ」

 

「はは、それもそうだね」

 

エキドナは軽く笑って咳払い。

俺も椅子に座り、テーブルの上の

茶菓子に手を伸ばすがこれもエキドナの

髪の毛やらなんやらだったことを思い出し、

伸ばした手を戻す。

 

「ダフネなら喜んで完食するんだけどね」

 

「死にそうなほど腹減ってたら別だ。

 それが食い物の形してたら食欲に従うだろ」

 

「そうか、ならこのままずっと

 夢に閉じ込めてみようかな」

「おいやめろ」

 

「じゃあ本題に入ろうか。

 ボクがこうやって君に会いに来た理由とかね」

 

ロズワール同様、いや

奴よりも油断はしてはならない。

何故なら。

 

「喋ろうと思えばいつでも出来るのに

わざわざこうやって来たんだからな。

そんなに大事な話ってわけか」

 

「…………へぇ、中々鋭いじゃないか」

 

「今ので確証取れたんだけどな。

あと無許可に人の精霊乗っ取ってんじゃねぇ」

 

コイツ……というか、

俺と契約している精霊、ランの正体がエキドナだ。

俺はロズワールにレムとラムを預けた後、

実は偶然近くにあった聖域へ立ち寄った。

 

「あの時………墓所に近寄った時だな?」

 

「そうだね」

 

ガーフィールに邪魔され、

その場を離れたがその時からだ。

微精霊とはマナの譲渡の契約を交わしていた。

その日から、徐々にマナの譲渡量が増えていった。

その結果、微精霊は中精霊となり、

今の狼の姿になった。

 

「なんで俺と契約していた精霊に……

 ってのは今から話してくれんだろ?」

 

「なに、君も分かってるだろう?

 ボクはね、君が

 ()()()()()()()()()()()()()()見える」

 

「……………」

 

「叡知の書については君もボクを知ってるなら

 分かるだろうけど、ボクは未来をそれに記した。

 だが、君の行動はボクの叡知の書よりも正確だ。

 それも、遥かに、ね」

 

「成る程な、お前は未来が見える俺に

 興味を持って、乗り移る対象が現れたから

 こうやって干渉してきた、ってわけか」

 

簡単に言うと、

原作を知ってる俺に興味が湧いたから。

エキドナはクスリと笑い、頷く。

 

「どうやってるんだい?

 叡知の書に記されている死に戻る者とも

 ロズワールたちとも違う。

 ボクは君が()()()()()知りたいだけさ」

 

「………なら、これが絶好の機会(チャンス)

 あぁ、良い機会だぜ?『強欲の魔女』」

 

「………………」

 

実の所、()()()()()()()()

俺はまだ完全にこの世界を理解した訳じゃない。

その理解しきれていない分は

どうすることもできない。

───なら、それを知っている人物は誰か。

この世界の知識欲の権化は、目の前にいる。

 

 

 

 

「俺の知識と、『強欲の魔女』の知識欲。

 俺なら貴女が知りたいだろう、〝未来〟。

 貴女なら俺の足りない〝知識〟を埋められる」

 

 

 

俺は、賭けに出る。

 

 

 

「お前に魔女としての

 誇りがあるのかは知らない。

 それを知るのはお前だけだよな」

 

「……………成る程。確かにそうだね」

 

「お前は俺の知る確定された未来が欲しい。

 それはいずれ来るものだが、

 それでもエキドナ、お前は欲しいか?

 いずれ、『今』として手に入る『未来』が」

 

「…………ふ、っ、あははははははっ!」

 

エキドナは笑い出す。

俺は真剣さを緩めない。

 

 

「成る程ね、全ての未来を

 知ってる訳じゃないのか」

 

「流石にそれは容量オーバーだ。

 俺が知っているのは、

 〝死に戻る者〟に関する者たちだけ」

 

「……………ワタシを試しているね?

 それがどれだけ愚かなことか知っているかい?

 この『強欲の魔女』を試すだなんて」

 

「あぁ、それだけの覚悟はしてる。

 今、俺がここでお前に殺されれば

 俺は廃人になってある意味死ぬだろ」

 

 

事実、エキドナが現れてから

軽口を言っていたのは落ち着くためだ。

それまで、覚悟を決めるためだけの時間だった。

 

 

「聞かせてほしい。エキドナ。

 俺と契約を交わす気はないか?」

 

 

エキドナが妖しく口端を吊り上げる。

 

「いいよ。単純におもしろそうだからね。

 契約の対価としては、ボクは君に未来を

 問うていく、これでいいんだね?」

 

「あぁ。俺はお前に知識を求める。

 お前は俺に未来を問う。これでwin winだ」

 

エキドナの差し出した手を取る。

 

「悪友同士、仲良くやろうじゃねぇか」

 

「お互いに利益のあることだ。

 更にボクは久しぶりに外に出ることが

 できるようなものだからね。楽しみだよ」

 

 

 

 

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