異端の科学者と忘れられた技術 (凍結)   作:翔馬

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最新話投稿します。良かったら見ていって下さい。
(^_^)/




第7話 嘆く兄 笑う弟

 

「……ありがとうございます」

 

政彦の右手に有る、愛用の携帯型端末をひったくるように、素早く取った

銀髪の美女が、頭を深々と下げながら、礼を言う。

とても澄んだ綺麗な声だが、その声音に怯えが有ることに政彦は気づく。

 

(随分警戒されてるな。

だが他に話す相手もいないし、仕方ないか)

 

 

政彦は頭を下げたまま、ありがとうございましたを連呼する、美女を見下ろす。

 

お礼を言うと言うより、悪い事をして

ひたすら謝り続けているような、感じだ。

 

「頭を上げてくれ、それじゃ話も出来ない」

 

政彦は出来るだけ、声のトーンを上げながら、顔に笑みを滲ませ、銀髪の女性に話しかける。

 

 

「はい」

 

美女はそう言ってから、顔を上げる。

 

二人の視線があう。

 

長い銀髪に隠れながら、美女の怯えが

宿った瞳が、政彦を見る。

 

「先程は失礼した。

ついかっとなっていた、済まない」

 

今度は政彦が頭を下げる。

 

苛つく感情を抑えもせずに、近くにいた銀髪の美女に当たり散らしたのを

詫びたのだ。

 

「いえ……大丈夫です」

 

予想外の政彦の詫びに、少し戸惑いながらも、美女は答える。

 

「 自己紹介がまだだったな。

俺は太田政彦(おおたまさひこ)

UNASA日本支部から、このUNASA本部にMo手術を受けに来た。

日本だと、俺に適合するベースが見つからなかったんだ」

 

そこまで言うと、喋るのをやめ政彦は銀髪の美女の反応を窺(うかが)う。

 

銀髪の美女は、呆けたような顔で、政彦を見た後、頬に指を当てて考えこむ。

 

「あっあなたが、太田政彦さんですか

父から聞いてます。

日本のUNASA支部のMo手術研究員の

太田常彦さんの息子さんなんですよね」

 

政彦の丁寧な自己紹介と、何者かわかって安心したのか、長身の美女は

顔を綻ばせる。

 

それから大きく床に向かって息を吐くと、携帯端末を持っていない方の左手で握手を求めてくる。

 

「初めまして、U-NASA本部内研究所、所長ジェラルド・ローレンスの娘で助手をやっている、ジェニファーローレンスです。

宜しくお願いします」

 

銀髪の長身の美女改め、ジェニファーローレンスは、政彦以上に深々と腰の辺りぐらいまで、頭を下げながら

自己紹介を終えた。

 

 

 

「ご丁寧にミス・ローレンス、ところでミス、ローレンスはここで何をしているんだ?」

 

二人の間に先程までの、重苦しい空気が和やかな空気に変わるのを、感じながら、政彦はジェニファーに問う。

 

「はい。父から手術をした被験者の

カウンセリングで遅くなるので、

ここで太田さんを接客するように、

言いつかりましたので、ここに居ます」

 

ジェニファーがはにかみながら、ちょっと笑って答える。

 

 

「ちょっと待て」

 

瞬間、和やかな空気が一気に凍りつく。

 

ぎぎっとオイルの切れた、歯車みたいにゆっくりと首を動かし、視線だけで相手を睨み殺してしまえそうな、鋭い眼光でジェニファーを見据える。

 

 

「何故それを早く言わない。

俺がここに案内された時から、ずっと居たよな」

 

 

 

政彦は確認するように、ジェニファーに聞く。

 

 

「はい。太田さんが来る10分前に来て待ってました……」

 

ジェニファーがそれに答える。

途中から声が段々小さくなっていったが、聞き取れる範囲だ。

 

 

「いくらでも話す機会は、あったはずだが」

 

 

「はい、ありました」

 

 

ジェニファーが頷く。

 

「早く言ってくれたら、俺も無駄に怒らずに済んだんだが」

 

腕組みをする政彦。

 

 

「それについてはすみません」

 

 

「何度も盗み見してくれてたが、テレパシーでも送ってくれてたのか?」

 

皮肉をたっぷり込めて、政彦はジェニファー言う。

 

 

「あの怒らないで、聞いてくれますか?」

 

 

ジェニファーが恐る恐る言ってくる。

 

「理由が有るという訳か、良いだろう

聞こう」

 

政彦は腕組みしたまま、耳を傾ける。

 

「怖かったんです」

 

 

ジェニファーが掠れるような、声で

答える。

 

「済まない聞こえなかった」

 

あまりにも小さな声だったので、政彦は聞き取れなかった。

 

 

「太田さんが、怖そうに思えて声がかけられませんでした。

すみません」

 

ジェニファーは、さっきの倍以上の声量で言いきると、また頭を下げる。

 

「何だと?」

 

政彦は一瞬言われた意味がわからずに、困惑する。

 

 

「だったら何度も盗み見ていたのは?」

 

 

「怒ってそうだったから、怒りが収まるのを待とうと思って」

 

ジェニファーが顔を上げながら、弁解する。

 

「つまり、俺が待たされたのは、嫌がらせでもなければ、権威づけるためでもなく、単に君が俺が怖くて声をかけられなかったから、教授からの言伝てが伝わらなかった。

そういう訳だな」

 

 

「はい……そうです」

 

ジェニファーが申し訳なさそうに、

眼を逸(そ)らしながら頷く。

 

 

(わざわざアメリカまで、やって来てこんな事で、無駄な時間を使うとは)

 

政彦は、手を額にのせて、途方にくれる。

 

それから首を左右に数回振ってから、

手を放すと、その手をジェニファーの

肩に置く。

 

「ミス・ローレンス、1つ言いかな?

 

 

「はい。何でしょうか?

あぁ飲み物ですね、すぐにコーヒー」

 

「違う!!」

 

大声でそれを遮(さえぎ)る

 

それから叫びながら懇願した。

 

「頼むから、ちゃんと仕事してくれー!!」

 

 

政彦は第2研究室に来てからの、不毛に、過ぎた時間を思い嘆くのだった。

 

タイムイズマネー、時は金なり

失った時間は戻らない。

 

 

 

「はぁ〜せっかくペギーちゃんと

良い感じだったのに、小町艦長に呼び出されるとはなぁ、あれじゃひき止められないよ」

 

 

 

兄が不毛な時間に嘆いていた頃、弟の方は、ナンパが失敗していじけていた。

ちなみにペギーちゃんと言うのは、

U-NASA本部の研究員のペギーフォーテイの事で、後にMo手術を受けて、

アネックス一号の日米合同第2班の

クルーになるが、それはまだ先の話である。

年は23歳と克弘より4つも上だが、

小動物ぽい可愛さがあるので、ちゃん付けで呼んでいる。

 

「せめてアドレスか、ディナーの約束でも取れたら、良かったんだけどなぁ

 

しょんぼりしながら、足を前後に動かしながら、克弘は通路を歩く。

これが外で道端とかだったなら、克弘は、転がってる石ころを蹴っていたのだろうが、あいにくここは室内。

虚しく空を蹴るだけだ。

 

「まぁいいや、兄貴の手術が成功するにしろ、またベースが見つからないにしろ、暫くここにいるし、チャンスはまた来るか」

 

克弘は気を持ち直し、次の手を考える。

 

(そうだ。彼女は研究者だ、天才本多晃の話でもしたら、案外興味持ってくらいついて来るかも)

 

克弘は、色々なシチュエーションを想像しながら、顔をにやけさせる。

 

(そういや、兄貴どうしてんだろう?)

 

 

卑猥な妄想をしてた、克弘がふと

ペギーに釣られて置いてきた、兄の事を思い出す。

 

「ベース、見せてやるから楽しみにしてろって、言ったんだっけなぁ」

 

克弘は車で移動中にした、会話を思い出す。

 

(そういやまだ、ローマから持ってきた薬が残ってなぁ)

 

Mo手術の研究をやっている国を、あちこち飛び回っている、克弘は独自のつてがあり、変態用の薬を自前で持っている。

 

 

「訓練で薬を使いすぎたら、文句言われるが、手持ち使うなら文句言われないだろう」

 

 

克弘はそう決めると、走り出した。

 

目指すは、UNASA施設内にある、第2特殊訓練室。

 

 

 

「さ〜て始めるか」

 

走って訓練室に着いた、克弘は早速準備運動をして、体をほぐす。

伸脚に屈伸を、してジャンプして

アキレス腱を伸ばす。

 

準備運動を終えた、克弘は記録室にいる、管理者に合図を送る。

 

「いつでも良いぜ」

 

すると、生真面目な男性の声で返答が

返ってくる。

 

『薬を服用されていないようですが、宜しいですか?』

 

 

「問題ない。

戦隊ものの、怪人じゃあるまいし、実戦で薬打つまでゴキブリが待ってくれるかよ」

 

 

これも訓練、訓練と軽い調子で、克弘が応じる。

 

『死ぬ事もあるので、気をつけてください』

 

 

「えっと1つ聞いて良い?」

 

『何でしょうか?』

 

「オペレーターは、女が基本じゃないの?」

 

克弘が信じられないと、がっかりした。

 

 

『そういうことは、上に言ってください』

 

けんもほろろに、管理者が克弘に返す。

 

 

『私はローテーションで勤めてるだけです』

 

機械のように決められた事を行うように無機質に喋る。

 

「へいへいわかったよ」

 

両耳をふさぎながら、克弘が首を振る

 

 

『では、注意も終わりましたので、これから訓練を開始します』

 

 

後で小町艦長に直談判すると、密かに

決意すると、クローンテラフォーマーの登場を待った。

 

 

待つこと、1分。

大きな黒い人影が、克弘の視界に入る。

 

「大盤振る舞いだな」

 

克弘が両手を後ろに組みながら、不敵に笑う。

 

 

「じょじょ、じょうっじぎぎぎ」

 

 

そのふてぶてしい、笑みに答えるかのように、新型クローンテラフォーマー

通称ハゲゴキが、意味不明の言語を喋りながら、不気味に笑うのだった。

 

 

 

 

 




すみません。思った以上に長くなってしまったので、
ベース出せませんでした。
なるべく早く次話投稿するようにしますので、
ご了承下さい。
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