異端の科学者と忘れられた技術 (凍結)   作:翔馬

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最新話投稿します。良かったら見ていってやって下さい。

(^_^)

克弘の秘密が少しわかります。



第10話 害虫王覚醒

1

 

妙だとハゲゴキは思った。

目の前の人間は眼を閉じたままで、動いてる。

 

これまで戦った者たちも、変身していたので、それには驚かないが、眼を閉じたまま戦う者など、今まで見たことがない。

 

普通のテラフォーマーより、はるかに

優れた頭脳で、ハゲゴキは自分の目の前にゆったりと立っている、敵である男を見る。

 

「じょう ?」

 

理解できない。

ハゲゴキは、何故眼を瞑っているのか、わからずそう結論づけた。

 

 

2

 

嘴。

ハゲゴキが解けなかった秘密の答えは、この嘴にあった。

哺乳類でありながら、ゴムのようにやわらかいそれは、嘴の左側に電気を感じる神経細胞があり、生物から発せられる生体電流を感知することが出来る

まるで潜水艦のソナーのような機能を持つのだ。

 

なお余談だが、カモノハシの体毛は

密集率が北極熊を超える、撥水

・保温に優れており、冬の水中でもへっちゃらである。

 

話を戻そう。

この非常に高性能なソナーは更にツノゼミの身体強化と、人間大になることで、精度が従来のカモノハシより、上がっており克弘には、ハゲゴキの攻撃はまるで止まっているように感じられるのだ。

 

水中のエスパーと呼ばれる由縁である。

 

 

「どうした?、テラフォーマー

びびってるのか、害虫の王の名が泣くぞ」

 

克弘は挑発的な笑みを浮かべると、

眼を瞑ったまま、散歩でもするかのようにゆっくりと歩いて迫ってくる。

 

「じょじょ」

 

その姿を見た、ハゲゴキは顔を歪ませるのだった。

 

 

 

「よっしゃぁ。このままやっちまぇー」

 

モニターにかぶり付きながら、ジャレッドは興奮していた。

克弘が薬を出した時は、『ちくしょう哺乳類型かよ』と両手で頭を抱えていたが、目眩ましに、強力なベースによる圧倒的な強さで、テラフォーマーの

片目を潰し、片腕に深手を負わせる。

今ではその手並みに、有頂天になってしまう。

 

「5000ドル貰ったー」

 

ジャレッドはついに、テラフォーマーの左目も潰した、モニターの克弘を見ながら両拳を握ってガッツポーズをした。

 

 

 

「ローマで手術を受けたと聞いて

たがまさかこれ程とは……」

 

ジャレッドと同じく、モニターで戦況を見ている、管理者は克弘の強さに驚愕していた。

 

「クローンとはいえ、進化型だぞ

それをああも一方的に」

 

モニターを見ながら、管理者は思わず唾をゴクンと飲み込む。

 

モニターに映されている、映像はそれほど衝撃的だった。

眼を瞑ったままの克弘が、無造作に間合いを詰め、蹴りまたは手の毒爪で

攻撃する。

ハゲゴキは、腕を振り回したり、膝げりを放ったり、掴もうとするが

 

「じょうぃぃ」

 

 

掠りもしない。

 

まるで空に舞う木の葉のように、右に左に時には、上下に動く克弘の変幻自在な動きについていけない。

無論クローンとはいえ、ハゲゴキ

パワーは人間など比較にならない。

一撃でもまともに入れば、克弘の体は臓物を撒き散らしながら、砕けてしまうだろう。

 

「どうした、どうした、スピードが

落ちてるぜテラフォーマー」

 

そんな必殺の一撃を、当たらなければ

問題なしとばかりに、涼しい顔をしながら、克弘は避けるとジャンプする

 

タンッと、軽くジャンプした克弘は

体を捻(ひね)って、鉤爪を振るう。

 

捻った事による、回転力がついた、

一撃はテラフォーマーの左耳を抉り

飛ばす。

 

「じょっ」

 

痛覚のないテラフォーマーは、怯む事なく、懐深くに居残る、克弘を捕らえようと、両手を大きく広げてベアハッグをしようとする。

 

「あらよっと」

 

ハゲゴキのベアハッグに捕まる前に、

克弘は、軽やかにばく宙して後ろに跳んで距離を取る。

 

「男じゃなかった。

オスに抱きつかれる趣味はねぇよ」

 

テラフォーマーの両目、両耳を潰した

克弘は余裕の表情を浮かべた。

 

 

 

「じょう……じょ」

 

ハゲゴキは、じろじろ克弘を見る。

 

全ての攻撃を避けてしまう克弘に、

恐怖すら感じていた。

 

おかしいこんな筈ではない。

 

テラフォーマーの顔がそう語っている。

 

「またにらめっこかっ、て俺眼瞑ってるわ」

 

にらめっこにならないわと、言って

ため息を吐く。

 

圧倒的に有利なのに、克弘は決して

勝ちを急がない。

テラフォーマーに一撃があるのを

知っているからだ。

一撃でもまともに貰ったら、仮に死ななかったとしても、間違いなく戦闘不能になる。

 

だから焦らない、確実に弱らせてとどめを刺す。

 

「次は、その抉れた腕を千切らせて貰おうか」

 

 

次の狙いを決めた、克弘はまたも散歩するように、距離をつめだす。

 

「じょう」

 

真正面から迫る克弘を見た、ハゲゴキは、辺りをきょろきょろと見渡す。

何かを探しているようだ。

 

だがお目当ての物は見つからず、

辺りを見渡すのをやめる。

 

「じょう」

 

克弘が射程距離に入った、瞬間

ハゲゴキは、もう何度空を切ったか

わからないパンチを繰り出す。

 

克弘の顔面目掛けて、放たれたパンチはほんの数センチ首を、克弘が後ろに反らしただけで、空振りしてしまう。

 

「ぎじじじ」

 

前のめりになってる体勢を、戻そうと

テラフォーマーが上体を起こそうとするが、その前に克弘の毒爪が伸びきった腕を貫く。

 

「じょ」

 

横側から、串刺しにされた左腕をハゲゴキは、無表情に見る。

 

「ほんと便利だな。

痛み感じないってのは、格闘技の理想の1つだよな」

 

「じょう」

 

左腕が動かせない、ハゲゴキは負傷した方の右腕を克弘の鉤爪狙って振り下ろす。

 

右腕の抉れた箇所から、白い液体が飛び散る。

 

 

「はぁ。毎回躱すのはめんどいなぁ」

 

そう言った、克弘は左腕に鉤爪を突き刺しながら、足を突き上げて、振り下ろされてる、右腕に鉤爪を下から突き上げる。

 

 

パンチを蹴りでかち上げて、防いだ克弘は次に左腕に突き刺していた、鉤爪を抜き取る。

 

白い液体が、鉤爪に付着してぽたぽたと滴(したた)る。

 

「おっ顔面がら空きぃ」

 

 

右腕を破壊した、事でできた隙に

間髪いれずに、腰の入った右ハイキックをお見舞いする。

 

「じょうー」

 

首に受けた、横からの衝撃に耐えられず横っ飛びにハゲゴキが吹っ飛ぶ。

地面をゴロゴロと転がっていく、ハゲゴキを冷めた眼で克弘は見る。

 

 

「もう少し歯応えあると思ったんだけどな」

 

蹴り終わった状態のまま、克弘は残念そうに言った。

 

 

「じぎぎぃ、じじー」

 

両手を地面に突いて、体を支えながら、テラフォーマーは立ち上がる。

右腕と左腕の、抉られた箇所から

白い液体が流れ落ちる。

 

 

「じょうー !! 」

 

 

ハゲゴキは克弘を、睨みつけながら、

激しく体を振るわす。

 

「じょ、じょ、じょおーーう」

 

ハゲゴキは自身を奮い起たせるように、高らかに吠えると、顔面をガードしながら、じりじりと迫る。

 

一歩、一歩踏みしめながら、人とは違う独特の威圧感を放ちながら、ハゲゴキは克弘を追い詰めようとする。

 

「慎重になりやがったな」

 

テラフォーマーから、ほとばしる

威圧感を肌に感じながら、克弘は

言う。

 

(強敵と認めたって感じだな)

 

その雰囲気からは先程まで、無造作に間合いに入れたハゲゴキとは、思えない。

 

 

(はぁ〜めんどいなぁ、これとまともにやりあうのは、避けたいなぁ)

 

 

克弘は面倒くさそうに、ハゲゴキを見やる。

 

抉れた両腕で顔をガードしたまま、

近づき終わったハゲゴキは、間合いに入ると同時に、左足のローキック

 

喰らったら、粉砕骨折確定の恐怖のローキックをバックステップで、躱した克弘は、片足立ちのハゲゴキに飛び上がりながらの、顔面パンチを仕掛ける。

 

「うん ?」

 

 

突如悪寒を感じた、克弘は慌てて拳を止める。

 

克弘の止めた拳の、その先には

 

(こいつ額で受ける気で)

 

テラフォーマーが固い額を突きだしている。

 

そのまま克弘がパンチを止めてなければ、額とぶつかり克弘の拳は破壊されていただろう。

 

更にテラフォーマーは、そのまま

その頭を後ろに振りかぶり

 

「ジョー」

 

(まずい)

 

銃弾ですら、表皮を傷つける事しか出来ない、強固な体での頭突き。

 

 

嘴の探知機能で、いち早くハゲゴキの狙いに気づいていた、克弘は既に後退して射程距離から抜けていた。

 

だがテラフォーマーの応用力はその上を行く。

 

空に頭突きをしながら、ハゲゴキは

口をすぼめて、息を溜め。

 

「フヴ ゥー」

 

吹き出す。

 

テラフォーマーの異常な肺活量が、

爆音を鳴らす。

 

 

「何だと」

 

テラフォーマーが吹き出したのは、息だけではない。

ヒュンヒュンと、克弘目掛けて飛んでいく、無数の破片も一緒だ。実は

ハゲゴキは、ハイキックを喰らって

倒れた後、地面に散らばる割れた床の

破片を、体に呑み込んでおり、それを今、克弘目掛けて吹っ飛ばしたのだ。

 

10を超える、鉄性の破片をテラフォーマーの肺活量で吹っ飛ばせば

それはもはや、銃弾と変わらない。

 

「やるじゃねぇか」

 

迫る10の破片を、体を揺らして避け、それが間に合わない場合は鉤爪で

弾き落としながら、克弘は凌ぐ。

 

残り、数個の破片を防ぐ事が出来れば、テラフォーマーの攻撃は終わってしまう。

 

 

「じょうぉー」

 

が、克弘との戦いで、学習したハゲゴキはそんなに甘くはなかった。

 

 

克弘が、ラスト1個の破片を弾いた瞬間、その破片目掛けて、手に持った

床の欠片を投げる。

 

サイドスローで投げたその欠片は、

横回転でくるくる回りながら、克弘の

弾いた破片にぶつかり、その飛ぶコースが変わる。

 

軌道が変わった破片は、再び克弘の顔面目掛けて突き進み、コースを変え終わった欠片は、空高く昇っていき、そのまま、天井の壁にめり込んでいる。

 

打者ならこんな球、絶対御免だ。

 

 

「嘘だろ」

 

左手で、防ごうと動かすが、間に合わない。

 

 

「がっはぁ」

 

軌道を変えた、破片が克弘の額を打ち抜く。

 

ガツン

 

一瞬克弘の頭が真っ白になる。

 

 

(はっ)

 

 

数秒意識がとんだ、克弘だったが、

嘴のセンサーが、敵の接近を知らせる。

 

破片が額を打ち抜くと同時に、テラフォーマーが走り込んできていた。

両拳を腰に添えたまま、突っ込んでくるテラフォーマー。

 

 

「くそ」

 

センサーから、テラフォーマーの狙いを読んだ、克弘が腹を両腕でガード。

 

 

 

「じょおーおーう」

 

腰に添えた両拳を、突きだす。

 

テラフォーマーのダブルパンチが、克弘の腹を守る、両腕にぶち当たる。

 

 

(ぐぅこれは、踏ん張ったらだめだ)

 

 

まるでダンプカーにでもぶつかったような、威力を軽減するため、克弘は受けながら後ろに飛び退(し)さると、片膝をつく。

 

 

「がぁぁ。このくそゴキぶりやろうがぁ」

 

両腕をプランと垂らしたまま、克弘は

絶叫を上げた。

 

「じょっ、じょっ、じょっ」

 

痛みにもがく克弘を見ながら、余裕を取り戻した、ハゲゴキはかつてビクトリアウッドの毒を無効果した時のような、不気味な毒のこもった嗤いを浮かべるのだった。

 

害虫の王、カモノハシを追い詰める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最後まで読んで頂きありがとうございました。(^_^)

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