異端の科学者と忘れられた技術 (凍結)   作:翔馬

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第13話 待ち人来る

 

幸せな時ほど早く終わるのが、世の常

だ。

でもいくらなんでもこれはないと、ジェニファー・ローレンス23歳は思う。

 

 

(私ぃ、何かしましたぁー!!)

 

険しい顔をして、拳銃を持っている、

政彦を見ながら、ジェニファーは心の中で絶叫した。

 

 

 

 

無言で拳銃を取り出した、政彦は

その銃口で狙いを定めるように動かしながら、立ち上がる。

 

「お願い撃たない」

 

「さっきから、扉の向こうで盗み聞きしてる者、出てこい!!」

 

恐怖のあまり、命乞いをするジェニファーには目もくれず、政彦は扉狙って銃口を突きつけながら、強い口調で

命令した。

 

 

「えっ……扉の向こう ?」

 

もう駄目だとばかりに、手で顔を隠しながら、目を瞑(つぶ)っていたジェニファーは、おっかなびっくりながら、そうっと目を開く。

 

 

目を開くと、政彦が片手で拳銃を扉に狙いを付けたまま、立っている。

 

数秒ほど、そのまま眺めていると、視線に気づいた政彦が、首だけジェニファーの方に向ける。

 

「うん。

ミスローレンス

どうしてそんなに怯えている ?」

 

政彦が不思議そうな顔で、ジェニファーを見る。

何かあったのか ?とばかりに

 

「……あなたの、あ・なたのせいでしょうがぁ」

 

人差し指を何度も突きつけながら、

ジェニファーは政彦を非難の目で見る。

 

「俺のせいだと……何をしたのかはわからないが、それはすまなかった。

ミスローレンス」

 

政彦は拳銃を扉に向けたまま、首だけ下げて、謝る。

 

「本当にわからないんですか?」

 

ジェニファーは信じられないと、顔をしかめる。

 

「突然拳銃を取り出したじゃないですか!!」

 

 

「それは、扉の向こうで盗み聞きをしてる者がいたからだ」

 

政彦はジェニファーの質問に、淡々と答える。

 

「盗み聞きしてたら、拳銃を取り出すんですか?」

 

「敵がどういう存在かわからない、以上それに対応するのに、武装するのは当然だろ」

 

政彦はやれやれとばかりに肩をすくめる。

 

これだから、素人はと言った感じが態度に出ている。

 

 

 

「敵って、セキュリティ万全な

このU-NASAに 敵なんているんですか ? 」

 

政彦の淡々とした口調を聴いていて、

少し落ち着いてきた、ジェニファーは

口調を和らげる。

 

 

「覗き見なんて、悪意のある者のすることだろう」

 

「おっかないのう。

何も悪意のある者だけが、覗き見するわけではないと思うがのう」

 

ジェニファーと話していると、扉の向こう側から、声が聞こえてきた。

 

年老いた、渋味のある声だ。

 

声が聞こえてきたのと、前後して、

カード認証の自動扉が開いて、人が入ってくる。

 

 

 

入ってきたのは、老人が一人。

白衣の袖を腕に通さずに、羽織っている。

年は50半ばか60ぐらいで、眼鏡をかけている。

体は細く、一見栄養失調のように、

見えるが眼だけは、優秀な官僚のように鋭い。

顎に整えて生やしている、髭を撫でながら、白衣を着た老人が部屋に入ってくる。

 

「お父様」

 

政彦に詰め寄っていた、ジェニファーが、老人を見てそう呼ぶ。

 

「なるほど。あなたが」

 

ジェニファーの態度から、老人の正体を知った政彦が、拳銃を懐に仕舞いながら、老人の方に振り向く。

 

「楽しそうに、話しておるので邪魔をしては、悪いと思ったのじゃが逆効果じゃったみたいじゃのう」

 

老人は政彦の、目の前まで来ると

立ち止まり、手を差し出し。

 

「初めまして、UNASA本部アメリカMo手術研究所、所長のジェラルド・ローレンスじゃ。

ようこそUNASAへ太田政彦君」

 

笑みを浮かべながら、挨拶をする。

 

「こちらこそ宜しくお願いします。

ローレンス教授太田政彦です」

 

政彦は差し出された手を掴み

握手を交わし挨拶を返す。

 

 

「ずいぶん待たせてしまって、すまんのう」

 

握手を交わし終えた後、ローレンス教授は頭を深々と下げて謝罪する。

 

「いえ、教授のせいではありませんので、それにミスローレンスと話出来て

楽しかったです」

 

政彦はジェニファーの方を見ながら、

そう告げる。

 

「そうか。それは良かった

ジェニーはワシの3女でね。

一番、妻に似ていて容姿がいいし、頭もとてもよくて、ワシの優秀な助手でもある」

 

誇らしげな顔でジェラルドは娘を見る。

 

 

「お父様!!」

 

ジェニファーは、顔を真っ赤にしながら、父に詰め寄る。

 

「何を太田さんに言ってるんですか?」

 

「自慢の娘の素晴らしさを、政彦君に

教えているだけじゃが、ワシも常彦君からは、よく君の事を聞かされとる。

変わり者の困った奴じゃが、頼りになる息子じゃとな」

 

ローレンス教授はニヤニヤ笑いながら、政彦を見ながらそう言った後

ジェニファーが座っていた、ソファーに腰を沈めた。

 

 

(座れと言うことか)

 

政彦はそう判断すると、ちょっと前まで、座っていたソファーに座り、

ローレンス教授と顔を向かい合わせる。

 

「ジェニー。

お菓子と飲み物を頼む。

ワシはブラックのコーヒーじゃ

菓子はお前に任せる、政彦君はどうするね」

 

「では、先程はコーヒーを頂いたので

紅茶を、味はミスローレンスにお任せします」

 

 

 

「えっ……わかりました」

 

ジェニファーは、困った顔を一瞬したものの、用意をするために、研究室を

出ていって給湯室に向かうのだった。

 




最後まで読んで、いただきありがとうございます。(^_^)

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